人件費率の計算方法と適正な目安とは?業種別平均値と考え方を解説

鷲津晴人
人件費率の計算方法

今回は、人を雇ったり外注を使ったりしていると気になる「人件費率」についてお話をしていきます。

 

人件費率とは、売上高に対してどれくらいの人件費がかかっているのかという指標です。

会社の利益を計算するときに、原価率とともに重要なデータとなります。

 

しかし実際のところ、どのていどの人件費率が自社にとって適正なのか、よく分かっていないという経営者も多いです。

そこで今回は、人件費率の意味と計算方法、業種別の平均値、人件費率が高すぎるときの改善法、について説明をしていきます。

 

人件費率は、従業員を使って会社経営をしているならとても重要な数字です。

会計は全面的に経理や会計事務所に任せているという場合でも、この機会にぜひ人件費率について学んでみてください。

 

 

経営者が把握しておくべき人件費率とは

経営者が把握しておくべき人件費率とは

 

ここからは、人件費率がどういったものなのかについて深く掘り下げていきます。

 

  • 人件費率の意味
  • 人件費率の計算式、求め方
  • 人件費率を使って経営分析をする方法

 

これらについてお話をしていきますので、経営者であるならぜひ理解しておいてください。

 

 

人件費率の意味と計算方法

冒頭でも少しお話ししましたが、人件費率とは、売上高のうちどれくらいの金額を人件費が占めているかという指標です。

そのため、計算式は以下のようになります。

 

人件費率(%) = 人件費 ÷ 売上 × 100

 

この計算式のうち、人件費に含まれるのは以下のようなものです。

 

  • 給与、賞与、各種手当
  • 退職金(退職一時金、退職年金)の引当金
  • 法定福利費(社会保険料や労働保険料の会社負担分)
  • 福利厚生費(慶弔金や社員旅行費などの法律が規定していないもの)
  • 現物支給による通勤定期券、社宅などの費用

 

つまり、これらの費用の合計を売上高で割った数字が人件費率となるわけですね。

 

ちなみに、ここで説明した計算式について、人件費の部分を原価にすると原価率を割り出すことができます。

原価率については別記事で説明していますので、併せてそちらの方も確認しておいてください。

⇒飲食店の原価率の目安が30%は間違い!?計算式と原価率を下げる方法を解説

 

 

経営分析をするときの使い方

人件費率からは、データの見方によって2つのことが分かります。

 

  1. ビジネスにおける人件費の負担
  2. 社員への還元が適切かどうか

 

まず人件費率からは、「ビジネスに対して人件費がどのていどの負担をかけているか」ということが分かります。

もし売上に対して人件費率が高すぎる場合は、無駄な外注の使いすぎや給料の上げすぎを疑わなければいけません。

 

また、人件費の効果性を見るときには「労働分配率」がよく使われます。

労働分配率は、企業が生み出した付加価値に対してどのていどが人件費として分配されているのかが分かるデータです。

 

粗付加価値 = 営業利益 + 人件費 + 賃貸料 + 租税公課 + 支払特許料 + 減価償却費
労働分配率(%) = 人件費 ÷ 粗付加価値 × 100

 

ただ、ここで1つ勘違いして欲しくないのですが、人件費率や労働分配率は、低ければ低いほど良いというわけではありません。

とくに正社員を抱えている会社の場合、人件費率が低すぎるということは、社員への還元を十分に行えていない可能性があるのです。

 

事実、人件費を削りすぎてしまい、以下のような事態に陥る会社は多くあります。

 

  • 社員のモチベーションが下がる
  • 人手不足になる(社員が辞める)
  • 経営悪化の悪循環に陥る

 

そのため人件費の削減を行うときは、人件費削減のメリットとデメリットとは?失敗しない方法も解説!でもお話ししているとおり、慎重に行わなければいけないのです。

 

つまり人件費率は、「社員への還元が適切に行われているかどうか」を見る指標にもなるわけですね。

業績が伸びているはずなのに給料が一向に上がらなければ、優秀な社員は会社を見限ってしまいます。

もし理由なく人件費率が同業他社より低いと分かったら、給料や福利厚生が適切かどうかを疑ってみてください。

 

ただし、ここで1つ注意が必要なのですが、人件費率を使って会社の利益について調べる場合は、人件費率と原価率はセットで考えてください。

なぜなら、たとえ人件費率が高くても、その分原価率を抑えられている場合は、ビジネスモデルとして問題がないことも多いからです。

 

たとえば、飲食店の人件費率はおおよそ30%~40%であると言われているのですが、キャバクラの場合はそれが50%~60%に跳ね上がります。

これは、キャバクラのビジネスモデルが食事よりも人間(従業員)に重きを置いているからです。

要は、その分キャバクラでは原価率が普通の飲食店より低くなっており、それを人件費に回すことができているわけですね。

 

このように、会社の利益について考える場合、人件費と原価率はセットで考えなければ意味がありません。

利益計算についての詳しい説明は別記事でまとめていますので、よろしければそちらの方も参考にしてみてください。

⇒経営者が理解すべき利益の種類と計算方法!利益、利益率の上げ方を解説

 

 

人件費率の業種別平均値

人件費率の業種別平均値

 

業種別に人件費率をまとめると、以下の表のようになります。

 

〇業種別平均人件費率

飲食業 30%~40% ※キャバクラなどの人間に頼るものは50%~60%
宿泊業 およそ30%  
サービス業 40%~60% ※パチンコ店はおよそ5%
※経営コンサルタント業はおよそ47%
※訪問介護業、人材派遣業は60%以上
建設業 15%~30%  
製造業 10%~50% ※製造するものによって人件費率は大きく変わります
卸売業 5%~20%  
小売業 10%~30%  

 

表を見ていただければわかるとおり、業種や売っている物によって平均人件費率は大きく変わります。

これは裏を返せば、ビジネスのやり方や売る物、サービス料金などを工夫することによって、人件費率を下げることも可能だということです。

もちろん逆に、原価率を落とすことで人件費率を上げて、ほかのサービスとの差別化を図ることもできます。

ただし、中小企業と大企業では人件費や原価率の平均値が大きく変わってきますので注意してください。

 

ちなみに、「経済産業省のHP」で各業種別の経理に関わる数字について調査した結果を見ることができます。

そちらの方も確認しておくと、同業他社の傾向をより掴めるはずです。

 

 

人件費率が高すぎるときの改善方法

人件費率が高すぎるときの改善方法

 

同業他社と比較して自社の人件費率が高すぎると感じた場合は、以下の改善方法を試してみてください。

 

  1. 価値に見合った価格にする
  2. 人件費の計算は日数ではなく時間単位で行う
  3. 人件費削減のための設備、システムを導入する

 

これらの対策を行えば、今より人件費率を下げることができるはずです。

もちろんここまでに説明したとおり、人件費率は低ければ低いほど良いと言い切れるものではありません。

しかし、人件費率が高すぎると利益を圧迫してしまうため、計算外に数字が高いという場合は大きな問題です。

自社を顧みて問題があると感じた場合は、ぜひこれから紹介する3つの改善方法を試してみてください。

 

 

人件費率の改善方法1.
価値に見合った価格にする

人件費率は売上に対してどれだけ人件費が占めているかという数字なので、人件費を上げずに売上を伸ばすことで数値を下げることができます。

そして、人件費を上げずに売上を上げる方法としてまずやるべきなのが、商品価格の見直しです。

というのも中小企業の経営をしている社長の多くが、商品が本来持つ価値よりずいぶんと安い価格設定をしてしまっているからです。

無理な価格競争で売上を上げようとしていたり、商品価値の説明がうまくできていないことが主な原因です。

 

事実、弊社のクライアントさんの中には、商品価値をうまく伝えることでお客さんからの抵抗なしに価格を20倍にまでアップさせた事例があります。

現在その事例については、インタビュー動画として無料配布中です。

価格アップを成功させた方法を深く掘り下げる内容になっていますので、価格アップを検討したい場合には、ぜひ無料動画をチェックしてみてください。

⇒【無料】価格アップに成功した3人の事例インタビュー

 

 

人件費率の改善方法2.
人件費の計算は日数ではなく時間単位で行う

人件費の計算を日数ではなく時間単位で行うことで、人件費の無駄を省くことができるようになります。

いわゆる工数管理を、正しく、細かく行いましょうということですね。

 

小さな会社の社長の中には、どんぶり勘定で月単位、日単位でしか人件費を確認しない人もいます。

しかし、時間単位の工数管理を正しく行えば、それだけでPDCAサイクルを早く回すことができ、収益性がアップするという効果が出るのです。

 

さらに、人件費のことが細かく分かるようになりますので、以下のような疑問の判断に役立てることもできます。

 

  • 従業員を正社員として雇うべきなのか
  • 従業員をバイト、パートとして雇うべきなのか
  • 派遣業者を使うべきなのか
  • 外注を使うべきなのか
  • 従業員の給料を減らすべきなのか
  • どれくらい従業員の給料を上げても良いのか
  • 従業員の数を減らすべきなのか
  • どれくらい従業員の数を増やしても良いのか

 

また、従業員の時間当たりの生産性を出したい場合は、人事生産性(従業員1人の1時間当たりの粗利益)」という指標があります。

以下のような計算式で割り出すことができますので、こちらを参考にすればより現状が見えてくるはずです。

 

人事生産性(円/時間) = 粗利益 ÷ 総労働時間数

 

 

人件費率の改善方法3.
人件費削減のための設備やシステムを導入する

人件費を削減するための設備やシステムを導入すれば、長い目で見て人件費率を下げることができます。

たとえば、飲食店の券売機などが分かりやすい例ですね。

 

設備やシステムに不備があるせいで人件費がかさむという例は、意外と多くあります。

 

  • パソコンが古くて動作が重いため、作業効率が落ちている
  • 会社で導入しているシステムの操作性が悪いため、作業効率が落ちている
  • 券売機がないため、レジ操作に手間をとられている
  • 工場の機械が古いため製造速度が遅い

 

これらの問題が解決できれば、おのずと人件費率は下がるはずです。

 

ただし、システムや設備を導入するためには当然のことながら初期投資が必要となりますので、この方法はあまり余裕のない会社には向きません。

もしシステムや設備を導入する余裕がないのなら、まずは商品価格の見直し人件費管理の見直しから始めてみることをおすすめします。

 

また、人件費の削減方法については人件費削減のメリットとデメリットとは?失敗しない方法も解説!の記事内でも詳しくお話ししていますので、よろしければそちらの方も併せて確認してみてください。

 

 

【まとめ】人件費率は原価率と併せて確認すること

今回は人件費率についてお話をさせていただきました。

人件費率を確認する場合は、原価率と併せて確認する必要があります。

なぜなら、たとえ同じ業種でも、ビジネスモデルによって原価に重きを置くか人件費に重きを置くかが違ってくるからです。

たとえ人件費率が高くても、その分原価を抑えられていれば問題がない場合もあるわけですね。

 

とはいえもちろん、基本的に人件費率が高すぎるのは問題です。

もし不本意に人件費率が高くなってしまっている場合は、以下の3つの改善方法を試してみてください。

 

  1. 価値に見合った価格にする
  2. 人件費の計算は日数ではなく時間単位で行う
  3. 人件費削減のための設備、システムを導入する

 

とくにまず試して欲しいのが、「価値に見合った価格にする」という方法です。

 

現状、日本の中小企業を経営している社長の多くが、商品やサービスが本来持っている価値よりも、かなり安い価格設定をしてしまっています。

主な原因は、無理な価格競争で売上を上げようとしていたり、商品価値の説明がうまくできていなかったりといったものです。

 

そこで現在オクゴエ! では、弊社のクライアントさんが無理な価格競争を止め、商品価値をうまく伝えることでお客さんからの抵抗なしに価格をアップさせた事例を紹介しています。

「価格を20倍にまでアップさせた事例」や「価格や利益を上げながら成約率まで向上させた事例」について深く説明していますので、あなたのビジネスでも参考にしていただけるはずです。

価格アップを成功させた事例については、インタビュー動画形式で無料配布を行っています。

この機会にぜひチェックしてみてください。

⇒【無料】価格アップに成功した3人の事例インタビュー

 

人件費率は、ビジネスにおける人件費の負担や、社員への還元が適切かどうかということが分かる重要な数字です。

もし今まであまり重要視していなかったのなら、ぜひ1度しっかりと見直してみてください。

 

 

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