トランザクションレンディングの意味とは?融資の受け方や市場規模を解説

鷲津晴人
トランザクションレンディングの意味とは

今回は、「トランザクションレンディング」という、新しい融資サービスについてお話をしていきます。

 

銀行から融資を受けるさい、業績や実績では問題がないはずなのに審査が通らなかった、という経験はありませんか?

実際、「どうしてうちの会社が融資を受けられないのか分からない!」と悩む社長は多いです。

銀行の融資というものはそもそも、必ずしも実績や業績などの数字だけで融資するか否かの判断をしているわけではありません。

ほかにも、色々な要素をかんがみて審査結果を出しているのです。

 

そんな中、業績や実績を重視して審査を行ってくれる融資サービスがあります。

それが今回のテーマでもある「トランザクションレンディング」です。

 

もしあなたが経営者なら、トランザクションレンディングを理解しておけば、新しい資金調達の選択肢として活かせる機会が出てくるかもしれません。

そこで今回は、トランザクションレンディングについて、以下のような内容を説明していきます。

 

  • そもそもトランザクションレンディングとはどういった融資サービスなのか?
  • トランザクションレンディングのメリットとデメリット
  • トランザクションレンディングを取り扱っている代表的な事業者一覧
  • トランザクションレンディングを取り扱っている各事業者の利用方法

 

この機会に、ぜひ新しい資金調達法であるトランザクションレンディングのことを知ってください。

 

 

トランザクションレンディングはどういった融資なのか?

トランザクションレンディングはどういった融資なのか

 

トランザクションレンディングとは、審査のさいにネット上の取引履歴を判断基準とする融資サービスのことです。

その名のとおり、「トランザクション(商取引)」のデータ履歴を根拠とした「レンディング(融資)」であるというわけですね。

 

トランザクションレンディングは、フィンテックの一種として注目されています。

フィンテックとは、金融とテクノロジーを掛け合わせたものを意味する言葉です。

その中でもトランザクションレンディングは、ECサイトの決済システムや銀行口座といった取引履歴のデータを金融と結び付け、融資の審査をしているというわけですね。

 

ちなみに、フィンテックについては別記事で詳しくまとめていますので、そちらの方も併せて確認していただくと、より理解が深まります。

⇒フィンテックの意味とは?企業や銀行に与える影響をわかりやすく解説

 

では、トランザクションレンディングを運営している会社がどうやって取引履歴を確認しているのか、と疑問に思いますよね?

 

実はトランザクションレンディングの運営会社は、決済サービスを運営している自社の部署、自社が運営するECサイト、自社が運営する銀行口座、から取引データを入手しています。

たとえば大手ECサイトに出店している場合、基本的に決済システムはそのECサイトのものを使うはずです。

そしてもちろん、ECサイトの運営会社には、その取引データが残っています。

トランザクションレンディングは、その運営会社、もしくは関連会社がデータを基に審査を行い、融資を行うという仕組みになっているのです。

 

そしてさらもう1つの特徴として、トランザクションレンディングの返済は売上金から控除されるというものがあります。

たとえば、Amazonレンディングというトランザクションレンディングサービスでお金を借りた場合、Amazonで出店している店舗の売上金から返済金が控除される、という仕組みになっているのです。

このような仕組みがあることから、「トランザクションレンディングはECサイトに店舗を持っている企業にもっとも向いている融資サービスである」とも言われています。

 

 

トランザクションレンディングのメリットとデメリット

トランザクションレンディングのメリットとデメリット

 

トランザクションレンディングを利用した資金調達には、以下のようなメリットがあります。

 

  • 売上が担保になるため、それ以外の担保や保証が必要ない
  • 審査のさいに売上の実績を重要視してもらえる
  • 融資を受けるまでが早い

 

まず、ほかの融資と違って担保や保証が必要にならないというメリットがあります。

というのも、トランザクションレンディングの運営会社からしてみれば、売上がしっかりあることがすでに確認できているわけです。

そのため、売上以外の担保や保証がなくても、売上金から返済金を回収できると分かっているわけですね。

 

そしてもう1つの大きなメリットが、審査のさいに売上の実績を重視してくれるというところです。

冒頭でもお話ししたとおり、銀行から融資を受ける場合、業績や実績が良かったとしても審査に通らないことがあります。

これは、銀行がそれ以外にも色々な面を重要視して審査をしているからです。

たとえば、業績が良くても歴史の浅い会社の場合、融資が受けられない可能性も大いにあります。

その点、トランザクションレンディングなら、あくまでも売上の数字を重要視してくれるため、数字さえ良ければ歴史の浅い会社でも融資を受けることが可能なのです。

会社によっては、この審査基準が非常に助かるという場合もあるでしょう。

 

さらにトランザクションレンディングには、実際に融資を受けるまでが大変スピーディであるというメリットもあります。

なぜかというと、審査を売上実績のデータありきで行うため、審査結果が出るまでが非常に早いからです。

運営会社がすでに審査材料を持っているため、決算書などの提出も基本的にいりません。

「ビジネスチャンスを逃さないためにも素早い融資が欲しい」という場合には、トランザクションレンディングという選択肢も視野に入れておくべきでしょう。

 

以上3つが、トランザクションレンディングにおける大きなメリットです。

ただ一方で、トランザクションレンディングにはデメリットも存在しています。

 

それが、特定の決済サービスや口座を使用していないと、そもそも融資を申し込むことができないというところです。

 

先にも説明したとおり、トランザクションレンディングは、各種取引データを基に審査を行います。

そのためトランザクションレンディングの運営会社は、そもそもデータが手元になければ審査を行うことができないのです。

 

さらに、何かしらの決済サービスやECサイトを使っていれば必ずトランザクションレンディングを利用できるのかというと、そういうわけでもありません。

なぜなら、トランザクションレンディングの運営会社は、あくまでも提携しているサービスのデータしか使えないからです。

つまり、サービスによっては提携しているトランザクションレンディング業者がいないため、融資を受けることができないというわけですね。

 

ただ、今後はもっと自由にトランザクションレンディングを使えるようになるのではないか、という見通しもあります。

というのも、フィンテックの市場規模が拡大し、売上実績などの電子データ化が進めば、それだけトランザクションレンディングの可能性も広がっていくからです。

そういう意味でトランザクションレンディングは、今後の発展に期待できる融資サービスでもありますね。

 

 

トランザクションレンディングを取り扱っている代表的な事業者一覧と利用方法

トランザクションレンディングを取り扱っている事業者

 

ここからは、トランザクションレンディングを取り扱っている代表的な事業者と各利用方法についてまとめていきます。

 

  1. Amazonレンディング
  2. 事業性融資 dayta
  3. 楽天スーパービジネスローンエクスプレス
  4. GMOイプシロン トランザクションレンディング

 

1つずつ特徴を説明していきますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

トランザクションレンディング取扱い業者1.
Amazonレンディング

amazon

(画像引用:Amazon公式ホームページ)

 

Amazonレンディングは、Amazonマーケットプレイスを利用している法人向けの融資サービスです。

長期的な融資ではなく、仕入れなどの運転資金としての短期的な融資を想定しています。

そのため、あくまでもAmazonマーケットプレイスに出店しているオンライン店舗のために資金調達をする方法であると思っておきましょう。

 

ちなみに。この記事を書いている2019年5月時点で、融資可能額は10万円~5000万円、年利は8.9%~13.9%です。

 

申し込みをするには、Amazonマーケットプレイスを利用している状態で、メールにてお問い合わせをしてください。

初回申し込みの場合は最短5営業日、2回目以降は最短3営業日という早さで入金されます。

⇒【公式】Amazonレンディング説明ページ

 

 

トランザクションレンディング取扱い業者2.
事業性融資dayta

dayta

(画像引用:事業性融資dayta説明ページ)

 

事業性融資dayta(旧レンディング・ワン)は、住信SBI銀行が運営している融資サービスです。

住信SBI銀行の口座情報を基に審査を行っているため、住信SBI銀行の口座を一定期間使っていることが利用条件になります。

利用条件を満たせば、借入条件(借入可能額および借入利率)が毎月メールで連絡されるようになりますので、融資が受けられるかどうかの判断が非常にしやすいです。

 

事業性融資 daytaは運転資金という用途での融資を行っており、この記事を書いている2019年5月時点で、借入可能額は50万円~3000万円、年利は1.999%~7.999%となっています。

 

融資の申し込みは、毎月届く借入条件のメールから行ってください。

その後、無事審査を通過すれば、融資を受けることができます。

⇒【公式】事業性融資dayta説明ページ

 

 

トランザクションレンディング取扱い業者3.
楽天スーパービジネスローンエクスプレス

楽天スーパービジネスローンエクスプレス

(画像引用:楽天スーパービジネスローンエクスプレス説明ページ)

 

楽天スーパービジネスローンエクスプレスは、楽天市場に出店していれば、法人でも個人事業主でも申し込みができる融資サービスです。

楽天市場での取引履歴が審査対象となりますので、決算書の提出は必要ありません。

ただし、個人事業主の場合は2期分の確定申告書が必要となります。

 

この記事を書いている2019年5月時点で、融資可能額は50~1500万円で、年利は3.0%~14.5%です。

 

申し込みは楽天市場に出店し、実績を出してさえいれば、あとは公式ページから行えます。

⇒【公式】楽天スーパービジネスローンエクスプレス説明ページ

 

 

トランザクションレンディング取扱い業者4.
GMOイプシロン トランザクションレンディング

GMOイプシロントランザクションレンディング

(画像引用:GMOイプシロントランザクションレンディング説明ページ)

 

GMOイプシロントランザクションレンディングは、GMOイプシロン株式会社が運営するイプシロン決済サービスの加盟店のみ利用できる融資サービスです。

決済サービスに加盟さえしていれば、法人でも個人でも利用することができます。

 

ちなみにこの記事を書いている2019年5月時点では、融資額と金利について法人と個人で差があり、法人の方がお得です。

法人の場合、融資可能額は30万円~5000万円、年利は3.5%~12.0%となります。

これが個人になると、融資可能額は15万円~5000万円、年利は6.0%~12.0%となるのです。

 

融資の申し込みは、公式ホームページから簡単に行えいます。

ただし、申し込み前に融資額シミュレーションを行わなければいけませんので、注意してください。

⇒【公式】GMOイプシロントランザクションレンディング説明ページ

 

 

【まとめ】売上が大きいならトランザクションレンディングという選択肢もある

今回は、トランザクションレンディングという融資サービスについてお話をしてきました。

トランザクションレンディングは、ネット上にある取引履歴を基に審査を行い、融資をしてくれるサービスです。

あくまでも提携する決済システムや口座からデータを入手して審査を行っているため、非常に限定的なサービスであると言えます。

 

しかしその分、非常にスピーディな融資を受けられたり、担保が必要なかったりと、メリットも多いです。

もしトランザクションレンディングを使えるサービス(Amazonマーケットプレイスや楽天市場など)を利用しているなら、検討してみても良いでしょう。

 

ただし、トランザクションレンディングは長期的な融資ではありません。

あくまでも運転資金の足しとして、短期的に行われる融資です。

そのため、利益を高めて運転資金不足にならないようなビジネス運用を心がけていれば、そもそも利用する機会はそう多くはならないはずです。

 

しかし現状、日本の中小企業の多くは、十分な利益を確保できていません。

なぜなら、無理な価格競争を行い、商品の価格を限界ギリギリまで下げてしまっているからです。

そのため中小企業の社長には、忙しいのに利益が出ない、という苦しい状況に悩んでいる人も多くいます。

 

そこで重要なのが、価格競争ではなく、差別化を行うことで商品価格を上げ、十分な利益を確保することです。

トランザクションレンディングは、利用できる条件さえ揃っていれば非常に使いやすい融資サービスです。

しかしあくまでも運転資金不足を補う目的で短期的に利用されるものであり、そもそも運転資金不足さえ起こらなければ必要のないサービスであるとも言えます。

日ごろから高い利益を確保できるようなビジネスができていれば、それだけ融資に頼らなくてもよくなるということは、忘れないでおいてください。

 

 

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