売上、利益、利益率の違いとは?中小企業にとってどれが大事なのかを解説

鷲津晴人
売上と利益の違い

今回のテーマは、売上と利益の関係についてです。

 

とくに中小企業の社長さんや飲食店などを経営している個人事業主さんはよく、「売上と利益のどちらが大事なのか?」という疑問を抱きます。

これについて、結論を先に言ってしまうと、基本的にビジネスでもっとも優先すべきは利益です。

 

それこそ売上や顧客数という数字は、利益を生むための過程であるとも言えます。

いかに利益率の高いビジネスを行い、多くの利益を確保することができるか、というのがビジネスの基本なのです。

 

しかし、そうは言っても、売上を無視して良いというわけではありません。

売上の数字は、会社経営にとってはもちろん大事なものの1つです。

そうでなければ、投資家たちが大企業の売上ランキングをチェックしたり分析したりする理由もありませんからね。

 

そこで今回は、売上と利益の詳しい意味や違い、売上より利益を優先すべき理由、売上と利益の両方を無理なく上げる方法についてお話しをしていきます。

この記事を読んでいただければ、売上と利益の考え方について答えを得ることができるはずです。

 

また、とくに「売上と利益を上げる方法」については、経営をしている人なら絶対に知っておくべきことでもあります。

そのため、売上と利益について十分理解しているという場合でも、ぜひこの機会にチェックしておいてください。

 

 

売上、利益、利益率の違いと詳しい意味

売上、利益、利益率の違いと詳しい意味

 

売上、利益、利益率はそれぞれ以下のような意味を持っています。

 

  • 売上(売上高) ⇒ 企業の目的である販売物やサービスによって得た代金
  • 利益 ⇒ 会社にとっての儲け
  • 利益率 ⇒ 売上や資本に対してどれくらいの利益を出せているかの指標

 

そしてここで重要なのは、売上、利益、利益率をグラフにしたとき、必ずしもその数値は比例関係にはないということです。

 

たとえば一番おおまかな利益である粗利の場合は、売上から原価を引いた数値となります。

つまり100の売上に対して原価が30かかっていた場合、残りの70が利益となるわけです。

そしてこの場合、70/100が利益率となりますので、利益率(粗利率)は70%です。

 

一方、売上が80で原価が10だった場合も、利益は変わらず70となります。

ただし利益率は70/80となりますので、87.5%です。

 

このように、たとえ売上が下がっても、利益率が高ければ、同じかそれ以上の利益をあげることができます。

そのため、利益を上げたいと思ったとき、必ずしも売上を上げなければいけないというわけではないのです。

これが、売上、利益、利益率の関係性です。

 

それでは、ここから売上と利益・利益率についてさらに詳しく説明をしていきましょう。

 

 

売上は会社の財務力を表している

売上は、企業の目的である販売物やサービスによって得た代金のことで、主にビジネスの規模を示す指標であり、同時に企業の財務力を示す指標でもあります。

 

先にも述べましたとおり、売上は必ずしも会社の利益とは直結しません。

たとえば、売上を伸ばしたいがために無理な値引きをして利益率を下げた場合、売上は伸びているのに利益がほとんど出ない、もしくは赤字になってしまうということもよくあります。

そのため、弊社の代表である北岡は、売上だけを追い求める売上至上主義を良しとしていません。

そのことについて以下の記事で語られていますので、よろしければそちらも確認してみてください。

⇒売上目標なんて意味がない

 

ただ、それでは売上にはなんの意味もないのかというと、そういうわけではありません。

なぜなら売上が多くあるということは、それだけ会社の資金調達力が高いということを意味するからです。

もちろん、しっかりと利益が出ていることが前提ではありますが、同じ利益を出している会社の場合、売上が多い会社の方が金融機関からの融資を受けやすいのです。

 

売上規模が大きいということは、それだけ多くのキャッシュを手元に残している可能性が高く、ビジネスの規模も大きいということが言えます。

そのため金融機関は、「売上の多い企業の方がコスト削減や新規顧客開拓などによる伸びしろも大きい」と考えるのです。

つまり融資を行う金融機関が、売上の少ない会社に比べて売上の多い会社の方が成長性があるという理由で、良い評価をしてくれるわけですね。

 

このように、企業の資金調達力においては、利益だけでなく売上も重要な指標となってきます。

 

 

利益、利益率はビジネスの成否を表している

利益、利益率は、会社が行っているビジネスの成否を示しています。

 

利益とは、仕入れた物や技術に付加価値を付けて提供することで得られるものです。

たとえば10円で小麦粉を仕入れて100円のパンとして売ることができれば、パンを焼いて売るというビジネスには90円分(90%分)の付加価値があると判断できます。

 

このように利益と利益率は、ビジネスによる付加価値がどれくらいあるのかを測る指標なのです。

仮に利益がほとんど出なかったり赤字になってしまったりしているなら、ビジネスに何かしらの問題があるということになります。

その場合は、早急にビジネスの見直しを行うべきでしょう。

 

ちなみに、利益と利益率には以下のような種類があり、それぞれ意味が変わってきます。

 

〇利益の種類

利益の名称 概要
粗利(売上総利益) 粗利は売上高から売上原価を引いた数字で、ビジネスによる付加価値を測ることができます。
営業利益 営業利益は粗利から営業にかかった経費を差し引いた数字で、 会社が行ったビジネス活動の成果を表しています。
事業利益 事業利益は営業利益に金融収益を足した利益のことで、ビジネス活動と財務活動による成果を表しています。
経常利益 経常利益は営業利益に営業外収益を加えて、そこから営業外費用を差し引いた数字で、企業の正常な収益力を表しています。
税引前利益 税引前利益は経常利益から臨時的な損益を加算した数字です。
当期純利益 当期純利益は法人税などの利益にかかる税金の支払いまで終えた最終的な利益のことで、企業の経営活動の成果であり、最終的に会社に残る利益です。

 

〇利益率の種類

各利益率の名称 概要
売上高総利益率(粗利率) 売上高総利益率(粗利率)は粗利を売上高で割った数字で、取り扱っている商品にどれだけの付加価値があるかを示す指標です。
売上高営業利益率 売上高営業利益率は営業利益を売上高で割った数字で、企業の収益性や経営管理の効率を示す指標です。
経常利益率 経常利益率は経常利益を売上高で割った数字で、企業の基礎体力を示す指標です。
自己資本利益率(ROE) 自己資本利益率は、自己資本に対してどれだけの当期純利益を上げることができたかを示す指標です。
総資本利益率(ROA) 総資本利益率は、総資産に対してどれだけの利益を生み出すことができたかという指標です。

 

これらの利益、利益率の詳しい計算方法や目安については別記事でまとめていますので、そちらも確認してみてください。

⇒経営者が理解すべき利益の種類と計算方法!利益、利益率の上げ方を解説

⇒5種類ある利益率の目安と計算方法!企業経営の参考にすべき数字とは?

 

 

中小企業が売上よりも利益を重要視するべき理由とは?

利益を重要視するべき理由

 

中小企業が売上よりも利益を重要視すべき理由には、以下のようなものがあります。

 

  • ビジネスの目的が利益であるため
  • 利益率が低いと原価の高騰などによって赤字に陥りやすい
  • 人員の少ない中小企業が売上だけを伸ばしてしまうと激務になってしまう
  • 大企業と違って市場シェアを取れないため、薄利多売戦略に向かない

 

このような理由があるため中小企業の場合、売上目標は利益目標から逆算して立てるべきです。

これは、売上目標なんて意味がないの記事内で弊社代表の北岡も説明しています。

 

仮に無理な価格競争などによって利益率が低い状態で売上を伸ばしてしまうと、あなたや従業員にかかる負担が大きくなり、最悪会社そのものが破綻してしまいます。

しかも、売上や仕事量に反して利益が上がらないということは、あなたの給料も少ないままなのです。

これでは、何のために会社経営をしているのか分かりません。

 

だからこそ、とくに中小企業の場合は、売上より利益や利益率を優先させるべきです。

逆にそうしなければ、よほどのブルーオーシャンでビジネスをしていない限り、大企業に打ち負けてしまうでしょう。

 

 

売上と利益を無理なく上げる方法

売上と利益を無理なく上げる方法

 

売上と利益を無理なく上げ、会社経営を好転させる方法があります。

それが、「商品が持つ本来の価値に合わせて価格アップを行う」という方法です。

 

現状、中小企業の多くが、無理な価格競争のすえに商品が持つ価値より安い価格設定をしてしまっています。

要は、他社よりも安くしないと売上が立たないと勘違いしている社長が多いのです。

 

しかし、そのような戦い方をしていれば、我々のような中小企業が勝つことはできません。

私たち中小企業がこの社会でビジネスをやっていくには、価格競争ではなく、「差別化」「価値の見せ方、伝え方」について工夫しなければいけないのです。

 

そのことに気づかず無理な価格競争で価格を下げすぎてしまい、気づけば赤字になっていた、という会社は多くあります。

もしくは、あまりの激務に従業員が会社を離れてしまったり、社長自身が身体を壊してしまったり、という会社もありました。

 

【まとめ】小さな会社はまず利益を上げることを考えるべき

今回は、売上と利益の違い、どちらを優先させるべきかについてお話をしてきました。

 

とくに中小企業が優先すべきは売上ではなく、利益や利益率の方です。

なぜなら、会社の基本的な目的は利益であり、売上はあくまでも利益をあげるための手段にすぎないからです。

むしろ利益があまり出ないまま売上だけを伸ばそうとしてしまえば、会社の破綻を招きかねません。

 

また今回は、中小企業が売上と利益を無理なく伸ばせる方法についてもお伝えしてきました。

その方法とは、「商品が持つ本来の価値に合わせて価格アップを行う」というものです。

 

というのも中小企業を経営する社長の多くが、売上欲しさのあまり、無理な価格競争をしてしまっています。

そしてその結果、商品が持つ価値よりも安い価格設定をしてしまっているのです。

 

しかし、私たちのような中小企業がこの社会でビジネスをやっていくには、価格競争ではなく、「差別化」と「価値の見せ方、伝え方」を考えなければいけません。

そうしなければ、原価の高騰によって赤字に転落してしまったり、薄給によって従業員が会社を離れてしまったり、激務によって社長自身が身体を壊してしまったりする可能性が高いです。

売上も利益も経営者にとっては重要な数字ですが、その中でも利益は最優先とも言える指標です。

もしあなたが売上至上主義になってしまっているのなら、この機会に利益についてしっかりと考えてみてください。

 

 

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