今回は企業のSNSの炎上対策について、炎上パターンや対処・対策方法をご紹介します。
近年、顧客の動向やコミュニケーションを図る目的として、SNSアカウントを開設する企業が増えています。
情報の拡散力や、その手軽さから、新たなマーケティングツールとして企業でも積極的に活用されている反面、SNS上の不用意な行動や発言により誹謗・中傷が殺到する、いわゆる「炎上」の引き金となっています。
SNSについての危険性を知らず運用していたり、トラブルを想定した予防法や、炎上がおきてしまった場合の対処法を知っている人は意外と少ないのです。
そこで今回は、SNSの炎上について詳しく解説していきます。
SNS炎上の仕組みを理解した上で、対処法を事前に学んでおきましょう。
企業のSNSアカウントが炎上する3パターンと実例
企業のSNSアカウントが炎上してしまうパターンは主に3つあります。
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従業員の悪ふざけによる炎上
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従業員による個人情報の流出
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ユーザーからの告発
SNSは手軽に情報を発信できるツールですが、同時に不特定多数の人に見られていると自覚して使用する必要があります。
不適切な情報を配信してしまうと、たちまちインターネット上で多くの非難や批判が起こり、いわゆる「炎上」に発展してしまうリスクがあるためです。
ここでは、実例と共に3つの炎上パターンをご紹介していきます。
炎上パターン1:従業員の悪ふざけによる炎上
炎上パターン1つ目は「従業員の悪ふざけによる炎上」です。
コンビニや飲食店などで、近年アルバイト従業員による相次ぐ不適切な写真や動画の投稿が炎上し、社会問題となっています。
「バイトテロ」と呼ばれるこの行為は、2013年ごろから知れ渡り始め、2019年現在でもこうした投稿は後を立ちません。
ほんの一部を例にあげると
- コンビニ(店舗内のおでんの白滝を、口に含んで出すという不適切動画を投稿)
- ピザ店(まかないを食べながらピザをカットする不適切動画を投稿)
- 蕎麦店(食器洗浄機に店員が入った不適切画像を投稿)
- 回転すし店(食材の魚をゴミ箱に投げ捨て、それをまな板に戻そうとする不適切動画を投稿)
- 中華チェーン店(厨房鍋の炎でタバコの火をつけている不適切動画を投稿)
- コンビニ(アイスの販売ケース内で横になっている不適切画像を投稿)
- 救急車(緊急搬送中に「#救急車なう」「#救急車デビュー」といった投稿)
- 私立高校(集団暴行動画を投稿)
などで、中には、営業停止となったり閉店に追い込まれるなどをして、加害者に損害賠償請求を行なったケースもあります。
投稿した従業員たちは、面白かったり衝撃的と思われる投稿をすることによって、世間の注目を浴びたいことがほどんどです。
こうした従業員による悪ふざけの投稿は、企業の公式のホームページやSNSに問い合わせが殺到し、店舗や個人への批判などが多発、テレビなどのメディアにもに取り上げられるため、炎上を鎮静化するのは困難を極めます。
しかし、こうした企業に甚大な影響を与えるSNSへの投稿に対して、法整備ができていないため、被害にあってもその被害額や企業イメージを取り戻すのが難しいのが現状です。
炎上パターン2:従業員による個人情報の流出
炎上パターン2つ目は「従業員による個人情報の流出」です。
企業が多数所有している個人情報の管理が、SNSの出現により以前にも増して難しくなっています。
例えば、とある市役所の資産税課に務める女性職員が、自身の卓上にあった飲食物の画像をSNSに投稿しました。
その写真には、彼女が処理をしていた市内企業の固定資産税申告書が入っており、社名や資産取得価格などの一部が判別できる形で写り込んでしまっていました。
情報漏洩を指摘する匿名のメールが市役所に届いたことにより発覚し、同市役所は職員に削除を要請の上、謝罪しましたが、たちまちネットで炎上し、市に対する批判が爆発的に増加し、メディアなどでも多数報道されました。
この職員は、書類から情報が漏洩する可能性を認識していなかったといい、これまでも辞令や自身の残業申請書類なども投稿していたのです。
情報を漏洩させる意図や悪意があったわけではなく、単に何気ない日常の一コマを投稿しようとしただけだと思われますが、企業や団体は滞在的な情報漏洩のリスクを抱えていることになります。
サイバーアタックや内部不正などの悪意のある漏洩リスクだけでなく、SNSからの意図しないリスクにも対処していかなければなりません
炎上パターン3:ユーザーからの告発
炎上パターン3つ目は「ユーザーからの告発」です。
SNSでの失言やコミュニケーション不足によって告発され、炎上まで発展するケースもあります。
例えば、某エンターテイメント企業が8月9日(長崎原爆の日)に公式Twitterで「なんでもない日おめでとう。」と投稿したことで炎上しました。
これは、この企業のアニメに登場するキャラクターが劇中で歌う歌詞を投稿したものでしたが、8月9日が長崎原爆の日であることから物議をかもしました。
ネットでは、「今日は、長崎に原爆が落とされた日。なんでもない日、ではないです」「何万人も殺された日なのに知ったことではないということか」「日本の公式がするツイートじゃない」といった厳しい反応が寄せられ、瞬く間に拡散したことによって炎上へと発展しました。
「あくまでアニメの中の歌詞であって、悪意があったわけではない」と擁護する声もありましたが、企業は問題の投稿を削除し、謝罪コメント投稿しました。
このユーザーからの告発というパターンには様々なケースがあり、企業側が予想もしていなかった指摘が一気にSNS上で拡散し、炎上する場合もあります。
誰が見ても悪意を感じるような内容というよりは、言葉が足りなかったり、見る人の捉え方により不快感を与えかねない内容によって起こることがほとんどです。
SNSが炎上するまでの5つのフェーズ
SNSが炎上するまでには、5つの段階があります。
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炎上の火種が話題となる
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検索エンジンの補助キーワードにネガティブな言葉が表示される
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まとめサイトの出現
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テレビなどの大手メディアでの報道
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企業のイメージダウン
ネット炎上は突然発生するものではありません。
火種となるようなテーマがあり、それについてネットユーザーが何らかの共感・批判を呼ぶことから発生するのです。
ネット炎上がどのような流れで起きてしまうのかを、詳しく説明していきます。
第1フェーズ:炎上の火種が話題となる
炎上の第1フェーズは、「炎上の火種が話題となる」ことです。
「この発言は問題では?」「この動画は仕事中の行動として不適切では?」そういったネット上の小さな反応が、どんどん集まることがあります。
炎上する事案は、炎上するより前の段階から話題になり、口コミで広がる段階があります。
この時点で問題に気付き、すぐに火消しができれば防げるものもありますが、ネットに「投稿」したものは完全な「削除」が難しいのも事実です。
第2フェーズ:検索エンジンの補助キーワードにネガティブな言葉が表示される
炎上の第2フェーズは、「検索エンジンの補助キーワードにネガティブな言葉が表示される」ことです。
ネット上における悪い噂の拡散力は強く、さらに詳しく知ろうと思う人が検索エンジンで炎上している理由などを検索します。
検索キーワードを入力する時に、企業名を入力すると「〇〇(企業名) バイト 不正」のようなネガティブなキーワードが出てくるのは、似たようなキーワードでたくさん検索されているためです。
例えば、ある飲食店で消費期限を過ぎた食材を使用した、と問題になっています。
「〇〇(飲食店名)」を入力すると、続けて「消費期限切れ 不正 ニュース 告発」といったキーワードが出てくることがあります。
この段階に差し掛かれば、すでに多くの人に認識され始めています。
第3フェーズ:まとめサイトの出現
炎上の第3フェーズは「まとめサイトの出現」です。
問題の認識がある程度広がると、誤った情報も混ざり始めることから、その確認も含めて「この物事の真偽」を知りたがる人が多数出てきます。
まとめサイトを作り、炎上している物事を詳しくまとめれば、それなりの閲覧数が期待できるため、多くの「まとめサイト」が出現します。
まとめサイトが出現しはじめた頃には、炎上している物事は多くの人にすでに知れていて、真実が焦点となっている頃に差し掛かっている段階です。
第4フェーズ:テレビなどの大手メディアでの報道
炎上の第4フェーズは「テレビなどの大手メディアでの報道」です。
話題性が強まれば、検索キーワードでも上位になり、まとめサイトも出現しますが、いよいよテレビなどのメディアに取り上げられれば信頼回復は困難です。
ネットで出回る「〇〇らしいよ」という書き込みや噂に比べ、テレビで「〇〇が話題に」と一言報道される方が一気にその情報の信頼度が高まります。
出所が不透明なネットの情報よりも、テレビのニュースで報道されている方が信憑性があることはどんな話題についても同じことです。
この段階に差し掛かれば、いよいよ引き返すことはできなくなり、企業としてもなんとか鎮静化するために必死にならなければなりません。
第5フェーズ:企業のイメージダウン
炎上の最後の段階、第5フェーズは「企業のイメージダウン」です。
ネットで噂になり、まとめサイトが現れ、テレビでも報道されてしまえば「〇〇(企業)さんはもうダメだな」といった世間の冷たい風を目の当たりにします。
一度悪くなった企業イメージを回復させるには、相当な時間と労力がかかります。
SNSが炎上した!対処の流れとは?
ここからは、SNSが炎上した際の、対処方法の流れを説明していきます。
- SNSの運用をストップする
- 上司や関係各所に報告
- 公式サイトに謝罪文を投稿
- 検索補助キーワードの削除依頼
炎上の火種となる物事が発覚した時点で、いかに素早い対応をとれるかによって、炎上の発展具合も変わってきます。
企業のイメージダウンとなる前に、適切に対応していくことが重要です。
炎上対処の流れ1.SNSの運用をストップする
炎上対処の流れ1つ目は「SNSの運用をストップ」させましょう。
Twitterなど、多くのSNSはコメントなどを送信することができます。
企業の公式アカウントの運用を継続すれば、コメントやDM(ダイレクトメッセージ)などでさらなる炎上を招きかねません。
炎上と比喩されるように、火に手が付けられなくなる前に鎮火するには、火元にまずは蓋をすることです。
運用していたSNSをまずは停止し、それ以上の炎上拡大をなるべく早く防止することが大切です。
炎上対処の流れ2.上司や関係各所に報告
炎上対処の流れ2つ目は「上司や関係各所に報告」することです。
SNSを担当している人間が、事の重大性を冷静に理解し、迅速に報告することが早期解決に有効です。
放置すればするほど、秒単位で拡散されていくため、一秒でも早く事態の収束のため行動を開始しましょう。
「こんなに大きな事態になるとは思っていなかった」と判断されたことが後に大きく発展してしまったというケースがほとんどです。
誰もが炎上させようとして投稿しているわけではないため、思いもよらない事態になる前にまずは報告をします。
公式サイトに謝罪文を投稿
炎上対処の流れ3つ目は「公式サイトに謝罪文を投稿」することです。
どういった意図で投稿した情報であっても、世間が別の受け止め方をしてしまうことがあります。
誰しも、良かれと思って行ったことを怒られた経験があると思いますが、その時に「いや私はそんなつもりじゃなかった」と必死に訴えても聞いてもらえません。
同じことで、そんなつもりのない投稿が問題視されはじめていれば、不適切な投稿(と判断されてしまったこと)を素直に認め、早期謝罪をします。
謝罪まで時間がかかると、投稿に対する炎上以外に二次災害のように「謝罪がない」ことに対する炎上が起こることがあります。
不適切な投稿だった可能性を認識した時点で、一秒でも早く謝罪文を公開することが大切です。
炎上対処の流れ4.検索補助キーワードの削除依頼
炎上対処の流れ4つ目は「検索補助キーワードの削除依頼」をすることです。
検索補助のネガティブなキーワードが表示される状態は、なるべく早く解決しておきたいところです。
この検索補助キーワードに印象を悪くする単語が表示されることを「ネガティブサジェスト」と呼びます。
Googleでは名誉毀損や事実無根のキーワードに対する削除対応が可能で、専用の申請フォームがあります。
申請フォームから削除申請をしても、一度目で承認されなかった場合は二度目以降の申請に対して「過去に一度返答しています」といった返答が来て、取り合ってもらえなくなる可能性があります。
その場合は、弁護士に依頼して手続きをすることができます。
注意すべき点として、弁護士ではなく「検索補助キーワードの削除を請け負う業者」を利用することは絶対に避けてください。
削除申請の代行業者がそもそも違法業者であったり、詐欺であったりするケースもあるため、弁護士に依頼することが一番です。
ちなみに、ネガティブサジェストをそのままにしておくことで考えられる被害はいくつもあります。
例えば就職を考えている学生が企業名で検索した時にネガティブサジェストがたくさん出てくると「こんなに悪い噂がある企業なのか」と思われてしまいます。
それだけでなく、企業のサービスを利用しようとする人が企業名を入れて検索しようとした時、ネガティブな内容を目の当たりにして利用を取りやめることもあります。
人材の確保や、運営そのものにまで強く影響を及ぼす可能性があるため、早期解決が大切となります。
SNS炎上を防ぐ2つの対策
SNSの炎上を防ぐために、対策を取りましょう。
- 「SNS運用ガイドライン」の作成と研修
- 投稿の監視
上記の2つの対策を取ることで、SNS炎上を未然に防ぐことができ、仮に炎上へと発展し兼ねない状況になっても被害を最小限に抑えることができます。
こうした対策は、SNSアカウントを開設している企業にとって必須です。
「SNS運用ガイドライン」の作成と研修
SNS炎上を防ぐ対策1つ目は「『SNS運用ガイドライン』の作成と研修」をすることです。
SNS運用のためのガイドラインを明確に設定し、運用するすべての担当者への研修を行うことで遵守を徹底させましょう。
例えばNHKは、2016年頃から「SNSでフォローをしたユーザーに対して、フォローをし返すことをしない」というガイドラインを制定しました。
理由は「NHK以外のアカウントをフォローすることは、そのアカウントの情報に対する支持と同じである」と批判を受けたためです。
こうしたルールを取り決めておけば、トラブルを回避することができ、SNSの運用担当者ごとに対応が違うといった問題の発生も防げます。
ガイドラインを設定することには、SNSでの炎上を予防するだけではなく、企業へのメリットもあります。
運営方針を定めておけば、SNSにおける投稿のクオリティを一定に保つことができます。
複数の担当者が投稿しても、情報の質に差が生じにくく、運用する上での明確な目的や禁止事項などを定めることが企業イメージの安定にもつながります。
またSNSを運用する中で発生したユーザーとのトラブルも、ガイドラインを設けておくことで冷静に対処することができます。
SNSは多くの人の目につくだけでなく、それぞれの情報に対するリアクションが可能の為、炎上とは言わずとも一般ユーザーから批判や否定的な意見が来ることもあります。
そうした場合への対処方法をしっかり明記し、企業と担当者間の意思疎通がしっかりと取れる体制を整えておくことで、炎上を未然に防ぐことができます。
投稿の監視
SNS炎上を防ぐ対策2つ目は「投稿の監視」をすることです。
ガイドラインを設定し、研修で遵守を徹底させたとしても、投稿するのは人間です。
ときには受け取り方によって誤解を招くような投稿をしてしまう場合もあるかもしれません。
こうした場合に備えて、一人の担当者にすべてを任せることをせずに、投稿前に複数人で確認を取る体制を整えておきましょう。
例えば、紙媒体の広告を打ち出すときには、何人もの従業員が繰り返し入稿までに内容や仕上がりの確認をしますよね。
それと同じように、複数で投稿内容を確認することが大切です。
手軽に発信できるのがSNSの特徴でもありますが、同時に発信から企業のイメージも簡単につきやすくなっています。
企業のイメージダウンとならないよう、発信する前に防げる対策をとっていきましょう。
また、SNS上で、自社に関するマイナスな投稿がされていないかを常に監視することも大切です。
ただし、膨大な量の投稿を監視するには時間も人数も必要なため、SNS上での監視を専門に行なっている会社に依頼することで、炎上を未然に防ぐ対策をとることができるでしょう。
【まとめ】企業のSNSアカウント炎上は大きなリスク!事前対策で防ごう
企業のSNSが炎上することで大きなデメリットになることはあっても、メリットはあまりありません。
世の中には「炎上商法」と呼ばれるように、炎上したことで知名度が上がったという例もあるにはありますが、それは狙って行うべきことではありません。
炎上商法には、マイナスのイメージがつきまといますので、顧客との信頼が大切な企業にとってメリットとなることはほどんどないでしょう。
ガイドラインの作成や、複数確認の徹底、個人情報等に関する研修など、事前に対策を取ることで、SNSの炎上を防いでいきましょう。
企業のイメージと直結しやすいSNSの運用を、外部の意見を交えて客観的に対策をとっていくことも必要です。
SNSを利用した自社のアピール方法や売上アップのための方法を、経営コンサルタントに相談してみることもオススメです。
弊社代表の北岡は経営コンサルタントとして、これまで中小企業、フリーランス、コンサルタントに特化し、1000社以上のコンサルティングで成功率は93.8%になります。
単なるマーケティングではなく、いかに社長の手元に利益を残すのか、働く時間を減らし社長の自給を高めていくのか、を主眼としたコンサルティングを得意としています。
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世の中に素早く多くの情報を拡散させられるSNSマーケティングは、今後ますます利用されることでしょう。
SNSでの炎上を未然に防ぐ対策や、炎上してしまった場合のフローを徹底しておくことで、起こりうるトラブルを最小限に止めることができます。
ぜひ、出来ることから始めていきましょう。