今回は、スマートペイメントについて説明をしていきます。
スマートペイメントは、簡単に言ってしまえばキャッシュレス決済の一種です。
実は現在、日本でキャッシュレス決済を広く普及させようという動きがあります。
そのため今回のテーマであるスマートペイメントについても、その動向から目を離せない状況になっているのです。
もし仮に、あなたがスマートペイメントについて詳しく知らないというのなら、今ここで情報収集を行っていってください。
スマートペイメントについて知らないままだと、キャッシュレス化の波に取り残され、今後大きな機会損失を被ってしまうかもしれません。
今回はとくに、スマートペイメントについての詳しい解説と、導入するさいの定番サービスの紹介を行っていきます。
この記事を読んでいただければ、スマートペイメントがどのようなもので、どうすれば導入できるのかを理解していただけるはずです。
ぜひ参考にして、キャッシュレス化の波を乗り越えるための準備を始めてください。
スマートペイメントとは電子決済のこと
スマートペイメントはもともと野村総合研究所が定義した言葉で、日本国内における企業と個人間による電子決済(キャッシュレス決済)のことを意味しています。
たとえば各種カード決済、電子マネー決済、QRコード決済などです。
これらの決済には現金の細かいやり取りが必要ないことから、”スマート”なペイメント(支払い)と呼んでいるわけですね。
またスマートペイメントはスマホやウェアラブルデバイスを使って支払いすることが多いことから、「モバイルペイメント」、「モバイル決済」、「スマホ決済」という呼ばれ方をすることもあります。
それらの言葉を目にしたり耳にしたりしたさいには、文字通りモバイルを使った決済という意味のほかに、スマートペイメント全般のことを指している場合もあるのだということを覚えておきましょう。
そんなスマートペイメントですが、冒頭でもお話したとおり、現在、国がらみで普及させようという動きがあります。
その一環として行われているのが、経済産業省による「キャッシュレス・ビジョン」というものです。
2020年の東京オリンピック、2025年の大阪・関西万博に向けてキャッシュレス決済(スマートペイメント)のシェアを世界最高水準の 80%まで引き上げようという試みで、導入時の金銭的な支援、キャッシュレス決済を利用した消費者へのポイント付与など、さまざまな施策を実施、計画しています。
そのため今後日本では、スマートペイメントの市場規模が拡大し、広く普及する可能性が非常に高いと言えるのです。
(参考:経済産業省_キャッシュレス・ビジョン_PDFファイル)
ちなみに、モバイル決済、キャッシュレス決済(電子決済)については別記事で詳しくまとめた記事があります。
導入方法や支援の詳細について説明していますので、ぜひそちらの方も併せて確認しておいてください。
⇒モバイル決済導入のメリットとは?仕組みや定番のサービス、手数料を解説
⇒キャッシュレス決済の種類を比較!導入におすすめなのはどれ?
スマートペイメントを導入するメリットとデメリット
国がらみで導入を推進しているスマートペイメントですが、経営者としては、実際に導入した場合にどのような変化が起こるのか、というところが気になるのではないでしょうか。
そこでここからは、スマートペイメントを導入することのメリットとデメリットを説明していきます。
まずスマートペイメントを導入することで得ることができるのは、以下のようなメリットです。
- 現金管理の手間が減る
- 客単価、客数の増加を見込める
- 中国人観光客にアピールできる
まず1番わかりやすいメリットとして、スマートペイメントを導入すれば現金管理の手間を減らすことができます。
現金管理の手間が減れば、人件費を削減することも可能です。
さらにスマートペイメントを導入すれば、客単価や客数の増加を見込むことができます。
スマートペイメントを導入することで、お客さんからすれば支払いの手段が増えるわけです。
そのためスマートペイメントを導入しておけば、導入していないお店と比べて、あなたのお店を選んでもらいやすくなります。
また、持ち合わせがなくても支払いができることから、客単価の増加を見込むこともできるのです。
そして、スマートペイメントを導入することは、中国人観光客へのアピールにも繋がります。
とくに中国ではQRコード決済が日常的に普及しており、とてもなじみ深いものとなっています。
そのため、QRコード決済を導入しておけば、中国人観光客を呼び込みやすくなるのです。
ただ一方で、スマートペイメントにはデメリットもあります。
- 導入費用や初期費用がかかる
- 日本ではまだ普及しきっていない
スマートペイメントにおいて、もっともデメリットであると言えるのがコスト面です。
スマートペイメントのサービスを提供している企業もボランティアでやっているわけではありませんので、当然決済手数料という形でランニングコストがかかってきてしまいます。
さらにカード決済や電子マネー決済を導入しようとすれば専用の読取端末が必要となるため、導入時にもコストがかかってきてしまうのです。
ただ、現在日本ではキャッシュレス決済の普及を推進するため、中小・小規模事業者に向けて支援制度を実施しています。
- 端末費用と設置費用が無料になる
- 実施期間中の決済手数料のうち1/3を国が負担
このように、支援制度の対象であれば、スマートペイメントにおけるコスト面のデメリットをかなり軽減させることができるのです。
自社のビジネスが対象になっていないかについては、公式サイトでしっかりと確認しておきましょう。
そしてもう1つ、スマートペイメントにおけるデメリットとしてよく挙げられるのが、現状の普及率です。
日本におけるスマートペイメントの普及率は、諸外国に比べればかなり低水準であるという現実があります。
ただこちらのデメリットについては、現在国を挙げて普及活動に臨んでいるということもあり、今後改善されていく可能性が非常に高いです。
さらにランニングコストも「決済額の〇%」となることが多いため、そもそもスマートペイメントの決済を使われていない状態の場合は、あまりデメリットに感じないかもしれません。
以上が、スマートペイメントのメリットとデメリットです。
今、国が行っている普及活動や支援制度のことを思えば、メリットの方が大きいと言えるでしょう。
スマートペイメントの市場規模と将来性
先にも言いましたが、現在、日本という国がキャッシュレス決済の普及活動を行っているため、当然、スマートペイメントの市場規模は今後どんどんと拡大していくことが見込まれています。
実際にスマートペイメントの市場規模は現在進行形で拡大を続けており、2020年には87兆円にまで及ぶという予想さえあるほどです。
つまりスマートペイメントは、かなり将来性のある決済方法だと言えるわけですね。
だからこそ、もしあなたがスマートペイメントを導入できるビジネスをやっているのなら、ぜひ今のうちに導入の検討をしておいてください。
先にも説明したとおり、今なら支援制度によって、あなたのビジネスでもお得に導入できるかもしれません。
このチャンスを逃さないよう、情報収集はきっちりとしておきましょう。
スマートペイメントの定番サービスと導入方法
スマートペイメントの導入を考えているなら、検討すべき定番サービスには以下のようなものがあります。
- フレッツ・スマートペイ
- Air Pay
- 楽天ペイ
- Apple Pay
- Coiney
ここからはそれぞれの特徴や導入方法をまとめていきますので、スマートペイメントを導入するさいの参考にしてください。
※ちなみに、有名なサービスであるPayPal(ペイパル)は、ICカード決済に対応できないことを理由にスマートペイメントのサービスを停止しています。
スマートペイメントの定番サービス1.
フレッツ・スマートペイ
(画像引用:フレッツ・スマートペイ公式サイト)
「フレッツ・スマートペイ」は、NTT西日本が提供するサービスです。
フレッツ光などをすでに利用している場合、スマホかタブレットがあればすぐに導入することができます。
そのため、すでにフレッツ光などを使っている場合は、非常に使いやすいスマートペイサービスであると言えるでしょう。
ただし、すでにフレッツ光以外の固定回線を使っている場合は、フレッツ光への乗り換えから行わなければ「フレッツ・スマートペイ」を使えないため、おすすめはしにくくなります。
フレッツ・スマートペイの導入方法
「フレッツ・スマートペイ」は、以下の手順で導入することができます。
- 公式サイトに申し込み
- 審査結果を待つ
- 開通案内書、カードリーダー、各種ステッカーが送付されてくる
- メールで利用開始通知を受け取り、利用を開始する
この4つの手順を終えれば、「フレッツ・スマートペイ」の導入は完了です。
スマートペイメントの定番サービス2.
Air Pay(エアペイ)
(画像引用:AirPay公式ホームページ)
「Air Pay」は画像を見ていただければわかるとおり、多くのキャッシュレス決済に対応しているスマートペイメントサービスです。
どのキャッシュレス決済を導入したら良いか迷ったら、一括で導入できる「Air Pay」を選ぶのも手でしょう。
また、決済手数料についても業界最安値を謳っているため、コスト面でも安心して使うことができます。
Air Payの導入方法
「Air Pay」は、以下の手順で導入することができます。
- 公式サイトから申し込みを行う
- 審査結果を待つ(通常3日ていど)
- カードリーダー、操作マニュアル、加盟店ステッカーが送付されてくる
- スマホかタブレットにAirペイアプリをダウンロードし、初期設定を行う
- 利用開始のお知らせメールが届いたら導入完了
以上の5つの手順を終えれば、「Air Pay」の導入は完了です。
スマートペイメントの定番サービス3.
楽天ペイ
(画像引用:楽天ペイ公式ホームページ)
「楽天ペイ」は、あの有名な楽天が提供するスマートペイメントサービスです。
クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済、オンライン決済、と幅広い決済手段を揃えています。
使いやすいのはもちろん、日本の有名企業が運営しているということで、安心して使えるサービスです。
楽天ペイの導入方法
楽天ペイは、以下の手順で導入することができます。
- 公式サイトから申し込みを行う
- 審査結果を待つ
- カードリーダーの購入を行う
- スマホかタブレットに楽天ペイアプリをダウンロードし、初期設定を行う
- 利用を開始する
この5つの手順を終えれば、「楽天ペイ」の導入は完了です。
スマートペイメントの定番サービス4.
Apple Pay
(画像引用:Apple Pay公式ホームページ)
「Apple Pay」は、iPhoneやApple Watchで使用することができるスマートペイメントサービスです。
Appleユーザー向けに作られたサービスであるため、ほかのサービスに比べて自由度では劣ります。
ただApple製品にはコアなファンも多いため、導入しておくと顧客数の増加を見込めるでしょう。
また、その仕組み上、どちらかと言うと実店舗よりECサイトに向いているという意見が多くあります。
Apple Payの導入方法
「Apple Pay」は、以下の手順で導入することができます。
- iD(アイディー)、QUICPay(クイックペイ)、Suica(スイカ)の加盟店になる
- iD(アイディー)、QUICPay(クイックペイ)、Suica(スイカ)に対応した非接触型決済のPOS端末を用意する
日本国内のApple Payは、iD、QUICPay、Suicaのインフラに相乗りする形で運営がされています。
そのため、iD、QUICPay、Suicaの加盟店になることでApple Payの導入ができるのです。
Apple Payはほかのスマートペイメントに比べて少しややこしいので、公式ホームページをしっかり確認してから導入の検討をしましょう。
スマートペイメントの定番サービス5.
Coiney(コイニー)
(画像引用:Coiney公式ホームページ)
「Coiney」はコイニー株式会社が運営するマルチ決済サービスです。
クレジットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済、オンライン決済、と幅広い決済に対応しています。
個人事業主でも導入しやすいと言われており、非常に使いやすいスマートペイメントサービスです。
Coineyの導入方法
「Coiney」は、以下の手順で導入することができます。
- 公式サイトから申し込みを行う
- 加盟店審査、クレジットカード1次審査、クレジットカード2次審査、電子マネー審査の結果を待つ
- クレジットカード1次審査通過後、WeChat Pay審査を申請し、結果を待つ
- すべての審査が通ったら利用を開始する
これらの手順を終えれば、「Coiney」の導入は完了です。
【まとめ】今後スマートペイメントの市場規模はさらに大きくなる
今回は、日本で急速に広まりつつあるスマートペイメントについてお話をさせていただきました。
スマートペイメントとは、日本国内における企業と個人間による電子決済(キャッシュレス決済)のことを指す言葉です。
今、日本ではキャッシュレス決済を普及させようと、国がらみでさまざまな施策や支援を行っています。
とくに中小・小規模事業者の場合は支援が非常に充実していますので、今がまさにスマートペイメントを導入するチャンスだと言えるのです。
今後、スマートペイメントが普及するであろうことを考えれば、この機会に1度は検討しておくべきでしょう。
ただ、スマートペイメントの導入にさいして、問題となってくるのがコスト面です。
スマートペイメントを導入するには運営サービスに申し込みを行わなければいけないため、どうしても決済額の数%という手数料がかかってきてしまいます。
とはいえ、もし仮に数%ていどの決済手数料が業績に響いてきてしまう状況なのだとしたら、それはそもそもの利益率に問題がある可能性が大きいです。
私たちのように、限られた資金や労力しかない中小企業や個人事業主の場合、大企業よりも高い利益率を確保しておく必要があります。
しかし実際は、大手企業との価格競争に参加してしまった結果、商品価格を落としてしまい、利益率の確保ができていない会社が非常に多く存在しているのです。
そこで必要なのが、商品やサービスの価格を上げることです。
商品価格を上げることができれば、単純にその分、利益を上げることができます。
スマートペイメントは、今後どんどんと日本に広まっていく見込みです。
そのときに備え、スマートペイメント導入のために知識と利益をしっかり持っておきましょう。