リストラクチャリングが持つ本来の意味とは?やり方と事例を解説!

鷲津晴人
リストラクチャリングが持つ本来の意味とは

今回は「リストラクチャリング」が持つ本来の意味について解説をしていきます。

 

ちなみに多くの人にとって聞き馴染みのある「リストラ」は、この「リストラクチャリング」を省略した言葉です。

ただ実際のところ「リストラ」という言葉に比べ、「リストラクチャリング」という言葉についてはあまり聞き馴染みがないという人も多いのではないでしょうか。

 

リストラと言うと多くの日本人が人員整理(解雇)というネガティブな意味合いだけで捉えてしまいます。

しかし実は、リストラクチャリングが持つ本来の意味はそれだけではありません。

リストラクチャリングは人員整理以外にも、経営者として知っておくべき意味を持っているのです。

 

そこで今回はリストラクチャリングについて、以下の内容でお話をさせていただきます。

 

  • リストラクチャリング(リストラ)が持つ本来の意味
  • リストラクチャリングのやり方
  • リストラクチャリングの事例

 

もしあなたもリストラがただの人員整理でしかないと思っているのなら、ぜひ今回の記事で正しい意味を知ってください。

そしてそのうえで、自社にとってリストラクチャリングが必要かどうかを考えていきましょう。

 

 

リストラクチャリング(リストラ)が持つ本来の意味

ビジネスにおけるリストラクチャリング(リストラ)には本来、「事業の再構築や構造改革」といった意味があります。

たとえば事業規模の縮小、撤退、統廃合、分社化など、事業を根本的な部分から再構築することを総じてリストラクチャリングというのです。

そしてその中の一手段として、いわゆる解雇、つまり人員整理も含まれています。

つまり多くの日本人が持っている「リストラ = 人員整理」というイメージは、リストラクチャリングが持つ本来の意味の一部でしかないということですね。

 

さらにリストラクチャリングは、採算の合っていない事業を縮小、撤退して、余裕ができた企業力を別の事業に注ぎ込むところまで含まれます。

だからこそリストラクチャリングは事業の再構築と呼ばれているわけです。

 

ちなみにリストラクチャリングは、広義的には政治経済や社会を根本的な部分から再構築する、という意味を持っています。

このようにリストラクチャリングは、多くの日本人が思っているよりもずっと広い意味を持っているのです。

 

 

リストラクチャリングと近い意味を持つ言葉

ここからは補足的な説明として、リストラクチャリングと似た意味を持つ言葉をいくつか紹介していきます。

比較できるように簡潔にまとめておきますので、ぜひ参考にしてください。

 

リストラクチャリング リストラクチャリングは事業の再構築、構造改革を意味しています。

主に不採算事業が対象で、縮小や撤退をすることによって、調子の良い事業により企業力を注ぎ込めるようにします。

リエンジニアリング リエンジニアリングは組織、戦略レベルで抜本的に業務を改革することです。

リストラクチャリングよりも大きな規模で、会社全体を見直します。

デット・リストラクチャリング デッド・リストラクチャリングは債務の整理または再構築のことです。

主に大きな負債を抱えている企業が事業再生するために実行されます。

 

このようにそれぞれ規模や目的が異なってきますので、混同しないようにしましょう。

 

 

リストラクチャリングのやり方

リストラクチャリングを実際に実行しようとする場合、主に3つのやり方があります。

 

  1. 事業を見直す
  2. 経費を見直す
  3. 人員を見直す

 

ちなみにこの3つのやり方については、1つ1つを別々に考えるわけではなく、お互いに関連性があるものとして考えてください。

たとえば事業を見直して撤退を決めた場合、それに伴って人員整理を行う必要性も出てきます。

もしくは経費を見直す場合でも、やはり人件費は切っても切り離せないものなのです。

 

それを念頭に置いたうえで、それぞれの詳細を説明していきましょう。

 

説明する男性

 

 

リストラクチャリングのやり方1.
事業を見直す

リストラクチャリングの1つの方法として、事業そのものを見直すというやり方があります。

たとえば、以下のような戦略が一般的です。

 

  • 採算の悪い事業から撤退する
  • 採算の悪い事業の規模を縮小する
  • 採算の悪い事業を売却する

 

このように無駄な事業を削減することで、その分の企業力をより主要事業に集中させることができるようになるわけですね。

 

もし優秀な事業と無駄な事業を見分けるのが難しいと言う場合には、企業コンサルを利用するのもおすすめです。

事業の中には、今は利益が出ているけれど先がない事業もあれば、今は利益が出ていなくても少し工夫するだけで大きな利益を生み出せる事業も存在しています。

その事業の判断が、コンサルティングのプロなどでなければなかなか難しいのです。

 

ちなみに企業コンサルについては弊社も手掛けており、社長の収入や時間を十分に確保した「イケてる年商1億円」をテーマに、数多くの企業の業績をアップさせてきました。

現在オクゴエ! では、その実績例を3つ、社長へのインタビュー動画として紹介しています。

この3つは、”ある工夫”をすることで問題のあった事業の業績を一気に改善させた事例です。

”ある工夫”については今回の記事内でも説明していますので、ぜひチェックしてみてください。

⇒リストラクチャリングをする前に確認しておくべきこと

 

 

リストラクチャリングのやり方2.
経費を見直す

事業にかかる経費を見直すというのもリストラクチャリングの1つの手段です。

たとえば、以下のような形で無駄な経費を省いていきます。

 

  • 原則カラーコピーを禁止する
  • 通信プランを見直す
  • 電話会議を取り入れて無駄な交通費をなくす

 

事業をよくよく見ていけば、意外と無駄な経費はかかっているものです。

だからこそ自社の事業でどのような経費が発生しているのかを把握し、その経費を削減する方法を考えましょう。

 

 

リストラクチャリングのやり方3.
人員を見直す

もちろん、多くの日本人がイメージしている人員整理もリストラクチャリングの1つです。

社員やバイトをクビにするだけでなく、外注を見直すこともリストラクチャリングに含まれます。

人員整理をする手段としては、以下のようなものが考えられますね。

 

  • 事業規模を縮小、または撤退することで人員を削減する
  • 業務システムを導入することで人員を削減する
  • いらない業務を切り捨てる
  • 作業量を振り分け直すことで無駄な人員を削減する

 

とくに社員の練度が上がったり、もしくは便利なシステムを導入したりした場合には、1度人員についても見直した方が良いでしょう。

 

ただし、本来必要な労力以上に人員を減らしてしまうと、逆に効率が悪くなってしまうこともあるので注意が必要です。

たとえば1人の人間に無理やり2人分の仕事をさせれば、残業時間が増えるうえに社員の疲労も貯まってしまうため、作業効率が格段に落ちてしまいます。

商品を1つ作るのにかかる費用を「限界費用」というのですが、この費用は社員が疲弊すればするほど高くなってしまうのが基本です。

つまり結果的に、無理な人員削減をすることで無駄な費用がかかってしまうパターンもあるということですね。

この考え方については別記事でも解説していますので、人員整理を考えている場合はこちらも確認しておいてください。

⇒限界費用と限界収入をわかりやすく解説!利潤を最大化する方法とは?

 

 

リストラクチャリングの事例

ここからは実際にリストラクチャリングを実行に移した事例を紹介していきます。

 

  1. パナソニックの事例
  2. ソニーの事例

 

とくにパナソニックの事例はただ事業を間引いただけでなく、その分の企業力を上手く活かすことに成功しています。

それでは1つずつ詳細を説明していくので、参考にしてみてください。

 

 

リストラクチャリングの事例1.
パナソニック

リストラクチャリングの事例として日本で有名なものと言えば、パナソニックの事例ではないでしょうか。

 

日本を代表する大手メーカーのパナソニックですが、2012年、2013年には、2年連続で7500億円以上の赤字を出してしまいました。

ちなみにその大きな原因となったのがテレビ事業での失敗です。

そこでパナソニックはリストラクチャリングに着手し、事業の見直しを行いました。

 

リストラクチャリングとしてパナソニックが実際に実行したのは、主に以下のような改善策です。

 

  • テレビ事業を縮小させた(プラズマディスプレイ開発からの撤退、海外主力工場の閉鎖)
  • 半導体事業の縮小(工場の売却)
  • 自動車関連事業への注力
  • 住宅関連事業への注力

 

このようにパナソニックは、調子の悪い事業を縮小させ、その分の企業力を調子の良い事業に注ぎ込んだわけですね。

ただ縮小するだけではなかったところから、まさに理想的な「事業の再構築」であると言えるでしょう。

 

パナソニックはこのリストラクチャリングによって、経営状況を改善することに成功したのです。

 

 

リストラクチャリングの事例2.
ソニー

パナソニックと同じ大手メーカーであるソニーは、ここ数年でスマホ事業のリストラクチャリングを進めています。

人員削減、採算の合わない地域からの撤退など、事業規模を縮小してランニングコストを下げているのです。

 

ソニーのスマホ事業の主力商品である「Xperia」の販売台数は、ここ数年で1/10にまで落ち込んでいます。

しかしソニーはリストラクチャリングによる事業規模縮小によって、なんとか黒字に持ち込んでいる状態なのです。

 

ただ現状はランニングコストを下げてなんとか黒字化している状態であるとも言えるため、いっそ撤退した方が良いという意見や、ここから攻めの一手が必要になるという意見もあります。

 

 

リストラクチャリングをする前に確認しておくべきこと

リストラクチャリングに着手する前に、まず確認しておくべきことがあります。

それが、現状採算の悪い事業の商品価格を上げることができないかということです。

 

現状、日本の中小企業には、明らかに商品が持つ価値よりも低い価格で商品を提供してしまっているところが多くあります。

それこそ商品価格を上げて利益率を向上させるだけで好転する事業も存在しているのです。

 

また、基本的に事業を縮小して客層を絞り込めばその分優良顧客だけが残ることになるため、理不尽なクレームなどがなくなり、その分の労力を商品価値に反映させることもできます。

だからこそ事業規模を縮小させたり撤退したりといったことを考えているのなら、同時に利益の最大化についても考えるべきだということですね。

 

【まとめ】リストラクチャリングは人員整理という意味だけではない

今回は事業の再構築を意味するリストラクチャリングについて解説をしてきました。

リストラクチャリングは多くの日本人が持っている「リストラ = 人員整理」という意味だけでなく、事業そのものを見直すという意味を持っています。

そして、その一部として人員整理という意味も入っているということでしたね。

 

リストラクチャリングは事業の再構築であるということで、撤退や縮小といったネガティブな意味だけを持っているわけではありません。

むしろ効率の悪い事業に使っていた企業力を優秀な事業に集中させるという、ポジティブな意味合いを持っているのです。

 

ちなみにリストラクチャリングを行うさいにはまず、縮小しようとしている事業の利益率を上げることができないかを考えてください。

事業規模を縮小したとしても、客層を上手く絞ることができれば、むしろ利益率は上げることができます。

そしてそのために必要なのが、商品価格を見直すことです。

商品価格を上げれば当然、その上げた分だけ利益が上がることになります。

もしかすると価格を上げるなんて無理だ、と思っているかもしれませんが、事業規模を縮小するということはターゲットをより優良顧客だけに絞るということでもあるため、決して不可能ではありません。

リストラクチャリングは、決してネガティブなだけの言葉だけではありません。

そのことを理解し、自社の事業をより効率的なものにしていきましょう。

 

 

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