今回は、いま話題の採用方法「リファラル採用」についてお話していきます。
企業の経営課題として、人材不足が取り上げられる昨今ですが、採用コストが高くて良い人材を雇用できない。と考えている経営者の方は多いのではないでしょうか?
少子高齢化の影響もあり、中小企業が新卒採用だけで企業を存続させることは難しいでしょう。
とはいえ、中途採用で良い人材を確保するためには、長期戦や採用コストが莫大になることも考えられます。
そこで、ぜひ導入していただきたい採用方法がリファラル採用なのです。
リファラル採用を導入することで、即戦力の人材を最小限のコストで雇用することができます。
人材不足だと言われている時代だからこそ、リファラル採用での信頼できる人材の確保が、今後主流になる可能性も十分に考えられるでしょう。
信頼できる即戦力人材がいれば結果的に売上を伸ばし、業績を上げることができます。
あなたもリファラル採用を導入し、自社の業績を改善することを検討してみてください。
この記事では、リファラル採用について、以下5つの内容を中心に解説しています。
- そもそもリファラル採用とは?
- リファラル採用にかかるコスト
- リファラル採用を導入するメリット・デメリット
- リファラル採用の成功事例
- リファラル採用を成功させる4つのポイント
リファラル採用は、メルカリやLINEなど、大手企業も導入して話題となっています。
最小限のコストで即戦力の人材を雇用したい経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
大手企業も導入!いま話題のリファラル採用とは?
それではまず、リファラル採用とはなんなのかについて解説します。
リファラル(referral)は、「紹介」「推薦」などの意味を持つ英語です。
つまり、リファラル採用とは、企業が設けた採用基準をクリアする人材を従業員に紹介してもらう採用方法のことをいいます。
リファラル採用は、企業で雇用されている従業員の紹介だからこそ、求職者と企業の間に信頼関係が生まれやすいことが特徴です。
従業員に友人や知人を紹介してもらうとはいえ、一定の採用基準を設けて行うので不採用も十分に考えられます。
もともとは海外で主流となっていたところを、日本でも取り入れる企業が増え、LINEなどやメルカリなどの大企業も導入しています。
また、最近ではリファラル採用のツールやアプリも開発されており、話題をよんでいる採用方法なのです。
どのような企業がリファラル採用を導入すべきなのか?
リファラル採用は、すべての企業が導入するべき採用方法です。
なぜなら、採用にかかるコストがかなり抑えられるからです。
具体的なコストに関しては後ほど詳しく解説しますが、リファラル採用は採用コストを抑えられることが特徴の1つです。
優秀な人材を確保しようと思えば、転職エージェントや求人広告を利用することが一般的ですが、かなり高額なコストが掛かってしまいます。
それに比べて、リファラル採用では0円にすることも可能です。
世の中の多くの企業は、採用コストを抑えたいと考えているでしょうから、すべての企業がリファラル採用を導入するべきなのです。
縁故採用・コネ採用との違いとは?
リファラル採用は、従業員の紹介で人材雇用する採用方法ですが、縁故採用やコネ採用とは別物です。
以下にそれぞれの採用方法の特徴をまとめました。
- リファラル採用:企業が設けた採用基準をクリアする人材を従業員に紹介してもらう
- 縁故・コネ採用:採用を前提として、人材を企業に紹介する採用方法(採用基準が設けられることは少ない)
リファラル採用と縁故・コネ採用の違いは、採用基準が設けられているかどうかということです。
繰り返しになりますが、リファラル採用は従業員の紹介といえど、不採用も十分に考えられます。
対して、縁故・コネ採用は採用を前提としているため、採用基準が設けられることが少ないです。
そのため、縁故・コネ採用は実質誰でも採用する採用方法といえます。
低コストハイリターン!リファラル採用にかかるコストを解説
ここからはリファラル採用にかかるコストについて解説します。
リファラル採用は、低コストで即戦力人材を雇用できる採用方法です。
実際にどの程度コストがかかっているのか、気になっている方も多いでしょう。
- リファラル採用で1人あたりにかかる採用コスト
- リファラル採用で雇用した人材の給与
それぞれについて詳しく解説します。
リファラル採用で1人あたりにかかる採用コストは0〜50万円!
リファラル採用で人材を1人採用するのにかかるコストは、0〜50万円です。
リファラル採用は、従業員から求職者を紹介してもらうため、広告費や転職エージェントの利用料がかかりません。
そのため、リファラル採用にかかるコストは、求職者を紹介してくれた従業員へのインセンティブだけです。
人材紹介サービスを主な事業として運営するエン・ジャパン株式会社が2017年にリファラル採用に関するアンケート調査を実施。
この調査によると、リファラル採用で入社が決定した場合に、求職者を紹介してくれた従業員へのインセンティブを設けている企業は44%と報告されています。
また、インセンティブの支給額は、以下の図の通りとなりました。
出典:エン・ジャパン株式会社 リファラル採用の意識調査
- 3万円以内:28%
- 3〜10万円:52%
- 10〜30万円:24%
- 30〜50万円:4%
- 50万円以上:1%
この結果から、リファラル採用を実施する場合のインセンティブは1〜50万円程度が一般的であるということがわかります。
ただし、そもそもインセンティブを設けていない企業が全体の56%を締めているため、インセンティブを支給しないというのも一つの手です。
リファラル採用で雇用した人材の給与は前職の100〜115%が妥当
リファラル採用で雇用した人材の給与は前職の100〜115%が妥当でしょう。
もちろん職種やキャリアによっては、さらに高額な給与を用意しなければいけない場合もあります。
転職支援サービスDODAを運営するパーソルキャリア株式会社は、2013から2014年にかけて転職に伴う年収アップの調査を行いました。
DODAエージェントサービスを利用して転職をした人のうち、前職が年収300万円以上の方で転職による年収アップ額の上位6000名を対象として、転職に伴い年収がどのように上昇したのかを集計しました。
出典:株式会社PERSOL 年収アップ転職者の傾向
この調査によると、男性の年収上昇率は平均13.8%、年収上昇額は約60万円。
女性の年収上昇率は平均13.0%、年収上昇額は約50万円と報告されています。
この結果から、リファラル採用で人材を雇用する際の給与も求職者の前職の100〜115%程度が妥当といえるでしょう。
リファラル採用を導入するメリット・デメリットを紹介
ここからはリファラル採用を導入するメリット・デメリットを紹介します。
リファラル採用のメリット・デメリットを知っておくことで、リファラル採用を導入する判断材料ができます。
中途採用や新卒採用にはないメリット・デメリットがあるので、それぞれを理解しておきましょう。
リファラル採用を導入する2つのデメリット
まずはデメリットから紹介します。
先程も紹介したエン・ジャパン株式会社の調査によると、リファラル採用のデメリットについて以下のように結果が報告されています。
出典:エン・ジャパン株式会社 リファラル採用の意識調査
リファラル採用の導入の有無を問わず、多くの企業が紹介してくれた従業員との人間関係のトラブルをデメリットと感じているです。
また、今回の調査には出ていませんが、短期間での大量採用が難しいということもリファラル採用のデメリットでしょう。
- 紹介してくれた社員と気まずくなることがある
- 短期間での大量採用は難しい
2つのデメリットそれぞれについて詳しく解説します。
リファラル採用のデメリット1.紹介してくれた社員と気まずくなることがある
1つ目のデメリットは、求職者を紹介してくれた社員と気まずくなることがあるということです。
これは求職者を紹介してくれた従業員が、自分の思ったようにならなかったり、企業と紹介された求職者の考えが合わなかったりと、さまざまな要因が考えられます。
- 従業員が紹介してくれた求職者が採用基準をクリアできず不採用になった
- 紹介された求職者は採用したが紹介した従業員と異なる部署やオフィスに配属した
- 従業員が紹介した求職者を採用したが反りが合わず退職した
このような場合には、人事担当者と求職者を紹介してくれた従業員が気まずくなってしまうことも珍しくありません。
気まずい関係が続いてしまうと、社内の雰囲気を悪くしてしまったり、業務効率を低下させてしまう可能性もあるので注意しましょう。
リファラル採用のデメリット2.短期間での大量採用は難しい
リファラル採用は、従業員からの紹介だけが窓口となるため、短期間での大量採用には向いていない採用方法です。
企業規模や従業員数に関わらず、従業員の募集を公にするわけではないため、広告や人材エージェントほどの集客力はありません。
そのため、
- 部署を新設するために従業員を新たに10名雇いたい
- 新卒採用の代わりにリファラル採用で人材を確保する
- 新卒が大量に退職した穴をリファラル採用で埋めたい
このような場合に、リファラル採用だけで人材を確保することは難しいでしょう。
もしあなたの経営する企業がこのような状況にあるなら、求人広告や転職エージェントの利用と並行してリファラル採用を導入することをおすすめします。
リファラル採用を導入する3つのメリット
次にリファラル採用を導入する3つのメリットを紹介します。
エン・ジャパン株式会社の調査によると、リファラル採用実施済みの企業にリファラル採用のメリットについて質問したところ、以下のとおり報告されています。
出典:エン・ジャパン株式会社 リファラル採用の意識調査
- 採用コストが削減できる 78%
- ミスマッチのない採用ができる 65%
- 他の採用手法で出会えない人材と出会うことができる 37%
大きく分けて3つのメリットがあると報告されています。
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
リファラル採用のメリット1.採用コストが削減できる
リファラル採用の最大のメリットは、採用コストが削減できるということです。
前述したとおり、リファラル採用にかかるコストは、求職者を紹介してくれた従業員に支払うインセンティブのみです。
インセンティブを設けない場合は、採用コストはかかりません。
多くの企業がコスト削減を課題だといわれているなか、採用コストを削減したいと考えている経営者も多いでしょう。
コスト削減ができると、以下のようにお金を使うことができます。
- 事業資金を充当できる
- 経営資金を蓄えられる
- 利益率を改善できる
採用コストは莫大な資金がかかっているため、経営を圧迫しているケースも多いです。
そんなときには、リファラル採用を導入することでコスト削減を図ることができるかもしれません。
コスト削減については、当サイトの別記事で詳しく解説しています。
コスト削減を成功させ、利益率を改善したい経営者の方はぜひ参考にしてください。
コスト削減9つの方法!社内にコスト削減の意識を浸透させるポイントとは?
リファラル採用のメリット2.採用時にミスマッチが少ない
2つ目のメリットは、採用時にミスマッチが少ないということです。
リファラル採用は、自社の従業員が知人や友人を紹介するため、採用基準や待遇だけでなく、内情や社風も正直に伝えてくれます。
そのため、労働条件や待遇にギャップが生じにくいため、企業と求職者のミスマッチも少ないのです。
新卒採用や中途採用の場合だと、面接の時に聞いていた話と違う、思っていた環境じゃなかった、と言われることも多いのではないでしょうか?
そのようなミスマッチを減らし、信頼できる人材を獲得できるのがリファラル採用なのです。
リファラル採用のメリット3.採用エージェントなどでは出会えない人材を採用できる
3つ目のメリットは、採用エージェントや求人広告など求人市場では出会えない人材を採用できることです。
リファラル採用では、求人広告や転職エージェントを利用せず、従業員の紹介で採用を行います。
そのため、良い条件の企業があれば転職したいと考えている層にもアプローチできるのです。
- 同じ専門性のある友人や知人
- 取引先の営業マン
- 大学や専門学校の同級生
このような方にアプローチすることもできるため、中途採用やキャリア採用と比べても優秀な人材を採用しやすいのです。
転職エージェントや、求人広告を利用した採用活動に満足が行っていない場合には、リファラル採用の導入を検討してみてください。
国内企業のリファラル採用成功事例「株式会社メルカリ」
フリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリでは、リファラル採用が積極的に行われています。
メルカリでは、5〜6割の社員がリファラル採用で入社していることで注目されているのです。
メルカリの採用活動は、その考え方自体が一般的な考え方とは違います。
小泉社長いわく、採用人数が3人と決められているのに100人から募集が来て97人落とすのは非効率。
広告費や面接にコストをかけるのは無駄が多すぎるため、10人採用するなら10人に声をかけて採用するのが理想という考えを持っていらっしゃいます。
そこで、社内で雇用条件を設けた上で、雇用条件に合う人に声をかけたり、メルカリに従業員の様子を掲載しているメディア「mercan」でメルカリの労働環境を発信し、他社から興味を持ってもらう活動をされています。
他にも社内外の交流イベントや、積極的に会食を設けたたりと、リファラル採用につながるような取り組みをたくさんされています。
このような採用への積極的な姿勢が、リファラル採用を成功へ導いているのでしょう。
リファラル採用を成功させる4つのポイントを解説!
最後にリファラル採用を成功させる4つのポイントを解説します。
リファラル採用を成功させるためには、従業員の協力が必要不可欠です。
そのため、従業員が自発的に協力したくなるようなリファラル採用の制度を設けたり、従業員の満足度が高い職場環境を作ることが大切です。
- 通常採用とリファラル採用を並行して行う
- 従業員に対してリファラル採用の報酬を設ける
- 従業員が他人に進めたくなる社内環境を作る
- リファラル採用のツールを導入する
以上4つのポイントについて詳しく解説します。
通常採用とリファラル採用を並行して行う
リファラル採用を成功させるためには、通常の採用と並行してリファラル採用を行うことが大切です。
リファラル採用は魅力的な採用方法ですが、大量採用には向いていません。
そのため、まずは、通常採用と並行してリファラル採用を行って、採用する人材を分けることをおすすめします。
通常採用では、若手の人材を採用し、リファラル採用で即戦力となる優秀な人材を採用することで、社内に従業員数を確保しながら教育できる人材の確保もできます。
事業が安定したり、売上が安定してきたらリファラル採用の割合を徐々に増やしていくことで、リファラル採用を成功させることができるでしょう。
従業員に対してリファラル採用の報酬を設ける
2つ目のポイントが、従業員に対してリファラル採用で人材を獲得した場合の報酬を設けるということです。
リファラル採用は従業員の協力があって成り立つものですが、従業員が行う通常業務とは別に工数がかかってしまいます。
従業員としてはなにかメリットがなければ時間や手間を取りたくないと考えるのが自然です。
そのため、従業員へのインセンティブを設けることで、リファラル採用に対して意欲的になってもらうことができるのです。
前述しましたが、このインセンティブは0〜50万円が一般的です。
企業規模や職種にもよりますが、少なくてもいいのでインセンティブを設けてリファラル採用を活性化させましょう。
従業員が他人に進めたくなる社内環境を作る
3つ目のポイントは、従業員が他人に勧めたくなるような社内環境を作るということです。
繰り返しになりますが、リファラル採用は、従業員が知人・友人にすすめるものです。
そのため、従業員が満足する社内環境でなければ、他人に紹介してもらうことは難しいでしょう。
- 労働時間の適正化
- 残業代の支給
- 年間休日の確保
- コンプライアンスの遵守
最低でもこの4項目は一度見直しましょう。
また、従業員に社内環境や人にすすめたい環境かというアンケートを取ることで、社内環境をさらに的確に改善することができます。
リファラル採用のツールを導入する
4つ目のポイントは、リファラル採用のツールを導入するということです。
ツールを導入することで、社員の負担を減らしてリファラル採用を行うことができます。
また、社員への告知から活動状況の把握なども可能なので、リファラル採用の手間を省くことができるのです。
- リファラル採用に工数をかけたくない
- 従業員の負担を減らしたい
- 従業員の活動状況を把握したい
このような場合には、ツールを導入することで、リファラル採用を円滑にすすめることができます。
まずはリファラル採用の導入から検討してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】コストを抑えて優秀な人材の獲得と利益率の改善を両立しよう!
リファラル採用は、即戦力の人材をコストを抑えて採用できることで話題の採用方法です。
リファラル採用では、従業員が知人や友人を自社に紹介して人材採用をするため、採用コストを大幅に下げられるのです。
中途採用で人材を1人雇用するのにかかる費用は数十万円から数百万円と言われています。
それに対して、リファラル採用でかかるコストは0〜50万円程度が一般的です。
コスト削減が自社の課題だと感じている経営者の方も多いのではないでしょうか?
リファラル採用であれば、低コストで即戦力の人材を雇用することができます。
また、採用コストを抑えられることで、利益率を改善することも可能です。
利益率を改善できると、他の事業に資金を充当できたり、従業員に利益を還元することもできます。
そのため、リファラル採用を行うことで、優秀な人材の獲得と利益率の改善を両立することができるのです。
ただし、1つだけ利益率が改善されにくいケースがあります。
それは、自社の商品価格が適切でないために、利益率がそもそも悪い場合です。
商品が売れているのに、利益が少ない場合などは、商品の価格が適正でないことが原因です。
そのため、リファラル採用を行う前に、まずは自社商品の価格設定を見直してください。
価格設定を適切にして、利益率を適正化することで、リファラル採用のインセンティブを増やしたり、ツールを導入する資金を捻出することもできます。