今回はビジネスに欠かせない「販促物」についてお話していきます。
販促物というと、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?
- チラシ
- パンフレット
- フライヤー
- ポスター
- etc…
このように販促物の種類は様々で、たくさんの企業がユニークな販促物をたくさん生み出しています。
しかし、実は販促物を正しく活用できている企業は少ないのです。
特に販促物が広告の役割になってしまっているケースや、広告が販促物の役割になっているケースが多く見られます。
販促物の本来の役割を理解しなければ、ビジネスを成功させることは非常に難しいです。
反対に、販促物の役割を理解し、広告と使い分けて活用することができれば、あなたの経営する会社の売上を伸ばすことができるでしょう。
そこで、この記事では、販促物について、以下のことを主にお話していきます。
- 販促物の本来の役割とは?
- 販促物にはどんな種類があるのか?
- 販促物を用いるメリット・デメリット
- 販促物を導入して売上をアップした事例
- 販促物の効果測定で確認するべき項目
自社商品を販売促進し、売上を上げるためにも、販促物について理解を深めておいてください。
そもそも販促物とは?販促と広告の違いを解説!
まずはじめに、そもそも販促物とはなんなのか?ということを解説していきます。
結論からいうと、販促物は「商品を効率的に売るためのもの」を指します。
販促物という言葉には、次の意味があります。
《sales promotion の訳》売り手が、買い手の購買心を刺激し、商品を購入させるために行う組織的な活動。マスメディアを使った大規模な宣伝、ダイレクトメールなどの配布、景品・試供品の提供、陳列の仕方や説明の仕方などの店員教育などの方策がある。アフターサービスの充実もこの活動のうちに入る。販促。
出典:コトバンク
簡単に言うと、「商品を効率的に売るための活動や施策」を「販売促進(販促)」ということです。
販促物の本来の目的は、「商品を売る」というところにあるので、物が売れない販促物は本来の役割をなしていないのです。
販促物と広告の違いとは?
それでは、販促物と広告の違いについて解説します。
販促物と広告の違いは、その役割・目的にあります。
- 販促物:商品を効率的に売る
- 広告:商品をより沢山の人に知ってもらう
繰り返しになりますが、販促物は商品を売るためのものです。
それに対し、広告は「商品を知ってもらうためのもの」です。
広告という言葉には、次の意味があります。
1 広く世間一般に告げ知らせること。
2 商業上の目的で、商品やサービス、事業などの情報を積極的に世間に広く宣伝すること。また、そのための文書や放送など。「広告を載せる」「新製品を広告する」「募集広告」出典:コトバンク
言葉の意味から読み取れるように、広告は「商品を多くの人に知ってもらうためのもの」を指しています。
つまり、広告の役割・目的は「商品を知ってもらう」というところにあるのです。
どんな場合に販促物を用いるべきなのか?
販促物を用いるべきなのは、すべての商品です。
なぜなら、消費者の購買プロセスには販促物が役割を担うフェーズがあるからです。
1920年にサミュエル・ローランド・ホールによって、提唱されたAIDMAの法則では、消費者の購買プロセスが示されています。
Attention(認知)→ Interest(関心)→ Desire(理解)→ Memory(検討)→ Action(購買)
この法則の後半3つは販促の役割だと一般的に言われています。
- 理解
- 検討
- 購買
この行動を起こさせるためのものが、販促物なのです。
そのため、世の中にある商品は、本来であれば販促物を用いるべきなのです。
また、これは販促物だけの話ではなく、広告にも言えることでしょう。
広告と販促物は、別の目的で利用されるものですが、どちらもすべての商品で用いるべきです。
ただし、すべての商品に同じコストをかけるべきではありません。
あなたの会社が最も売りたい商品にコストをかけるようにしましょう。
- 自社が今後力を入れて入れていきたい商品
- 利益率が一番良い商品
- 一番売れている商品を更に売りたい
- 他社と比べても最も良いと自負している商品
このように商品を売りたい理由はさまざまなので一概には言えませんが、これらを踏まえてあなたが一番売りたい商品にコストを掛けるようにしましょう。
販促物にはどんなものがあるの?販促物の種類を紹介!
それでは、販促物にどのような商品があるのかを紹介します。
一般的に販促物として用いられることの多いものは以下のとおりです。
- チラシ
- フライヤー
- パンフレット
- ポスター
- ポケットティッシュ
- クリアファイル
このようなものが一般的によく使われている販促物です。
また、販促物は、2種類に分けることができます。
- 付加価値をつけるケース
- 魅力を伝えるケース
たとえば、クレジットカード会社や銀行が、新規でクレジットカードを作った方を対象に、有名人や芸能人をプリントしたクリアファイルを配布しているケースなどは、販促物を用いたマーケティング手法です。
これは販促物によって付加価値を与えるためにクリアファイルが用いられています。
対して、ティッシュやパンフレットなどは、自社の商品の魅力をより詳細に伝えて購買につなげるために用いられます。
自社の商品を、広告よりも更に詳細に示したチラシやパンフレットは、販促物として企業が配布しているのです。
これは、基本的に自社商品の魅力を伝え、購買へつなげるためにチラシやパンフレットを用いています。
販促物を導入する2つのデメリット
ここからは、販促物を導入する2つのデメリットについて解説します。
販促物を導入するデメリットを知っておくことで、販促物を導入する際のコストを見直すことができます。
- 莫大なコストがかかる
- 思うような結果を得られないこともある
それぞれについて詳しく解説します
デメリット1.莫大なコストがかかる
1つ目のデメリットは、莫大なコストが掛かるということです。
販促物は、それ自体が売上に直結するわけではありませんが、作成するにあたり材料費や人件費がかかります。
そのため、莫大なコストがかかることがあるのです。
たとえば、自社商品の販促チラシを10万部作成し、配布するとなると次の費用がかかります。
- クリエイティブ制作費
- 印刷費
- ポスティング費
もちろん、どのような販促物を作るかにもよるので、一概には言えませんが、自社の資金状況を把握した上で販促物を作りましょう。
デメリット2.思うような結果を得られないこともある
これは販促物に限ったデメリットではありませんが、販促物を用いても思うような効果を得られないことがあります。
どれだけコストを掛けて作った販促物でも、購入どころか問い合わせも来ないなんてこともありえます。
たとえば、自社商品の販促チラシを1万部配布しても、購入件数が10件しかなかったなんてこともあるでしょう。
しかし、これはビジネスにおいては日常茶飯事です。
大切なのは、その結果を持って、次回どのように取り組むかということでしょう。
販促物を導入する3つのメリット
対して、販促物を導入するメリットは3つあります。
販促物を導入するメリットをしることにより、販促物の理解が深まり、より効果的な販促物を作成できるでしょう。
- 商品を細かくアピールできる
- リストがあればすぐに訴求できる
- 顧客に直接訴求できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
メリット1.商品を細かくアピールできる
販促物は、広告とは違い商品の詳細な情報をアピールすることができます。
そのため、商品を知っている潜在顧客に対して、さらに詳細な情報を伝えることで、購買意欲を刺激することができるのです。
繰り返しですが、広告は「知ってもらう」、販促物は「買ってもらう」が目的になるため、販促物のほうが情報量は多くなります。
- チラシ
- フライヤー
- パンフレット
このような販促物には、商品の詳細な情報を掲載するようにしましょう。
また、これらの販促物は広告にも利用されますが、広告と販促物で情報量を変えて、使いわけることでそれぞれが適切な役割を果たしてくれますよ。
メリット2.リストがあればすぐに訴求できる
自社の他商品の購入者や、リストマーケティングで獲得した顧客リストがある場合、既存顧客に向けて販促物を用いて、すぐに訴求することもできます。
販促物は、潜在顧客だけに訴求するものではありません。
自社商品に興味が薄い潜在顧客よりも、自社商品をすでに購入済で、自社に興味がある既存顧客のほうが、購入してくれる可能性は高いでしょう。
そのため、既存顧客に対して、販促物を用いているケースも非常に多いです。
- チラシ
- フライヤー
- パンフレット
このように商品の魅力を伝える販促物を、他商品と一緒にパッケージして顧客に届けるというマーケティング手法は、多くの企業が導入しています。
新商品を販売するときに、潜在顧客へ訴求する前に、既存顧客に販促物を贈り、商品や販促物の反応を見るというマーケティング手法もあります。
販促物は、リストがあればすぐに訴求をすることができると覚えておきましょう。
メリット3.顧客に直接訴求できる
販促物の種類などにもよりますが、販促物を作成することで顧客に直接訴求できるようになります。
顧客に直接訴求ができると、従業員や販売員が熱意を持って顧客に商品の素晴らしさを伝えることができるため、商品を購入してくれる可能性も高くなります。
たとえば、
- 試供品(テスター)の配布
- チラシを街中で配布
このような場合には、従業員や販売員が顧客と直接コミュニケーションを取って、販促物を使用できます。
顧客に直接訴求をしたい場合にも、販促物を用いることが効果的です。
事例から学ぶ効果的な販促物の導入方法!サントリーは販促物の導入により前年比売上を173%アップ!
この章では、販促物を導入したことで売上を上げた例を紹介します。
2018年3月。サントリーは、自社が製造・販売するビール「プレミアムモルツ」に販促物をつけることで、前年比売上を173%アップさせました。
プレミアムモルツには、「神泡サーバー」と称した超音波式サーバーを販促物として同梱し、顧客が自宅でも美味しいビールが飲めるという訴求を行ったのです。
顧客はこの神泡サーバーにロイヤルティを感じ、売上を爆発的に伸ばすことに成功しました。
一般的にビールの時期と言われている夏季ではなく、春先にこの売上の上昇はビール業界だけでなく、あらゆる業界に衝撃を与えたことでしょう。
販促物で売上を上げるには顧客ロイヤルティを意識した販促物が有効!
サントリーの事例からもわかるように、販促物で売上を上げるには、顧客ロイヤルティを意識した販促物が有効です。
顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や商品に対して持っている「愛着」「愛情」のようなものです。
その顧客ロイヤルティを、販促物を用いて刺激することにより販売促進を促すのです。
顧客ロイヤルティを向上させることにより、
- リピート率が向上する
- 顧客単価が向上する
- 顧客が自発的に口コミをしてくれる
このようなメリットがあります。
顧客ロイヤルティについては、当サイトの別記事で詳しく解説しています。
コアなファンを作りたいとお考えの経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
顧客ロイヤルティの基本と実践!コアなファンを作るブランディング戦略とは
販促物の効果測定で見るべき6つの指標!
最後に販促物を用いた場合の、効果測定で見るべき6つの指標を解説します。
広告に使われる指標もあり、同じ指標で図ることも多いです。
ただし、広告と販促物では求められる基準が違います。
また、販促物の種類や、配布方法によっては使えない指標もありますが、このような指標があるということだけは知っておきましょう。
- レスポンス率
- CV率
- CPR
- CPO
- ROAS
- 投資対効果(ROI)
それぞれの指標について詳しく解説します。
販促物の効果測定指標1.レスポンス率
レスポンス率は、配布した販促物に対して顧客からの反応があった割合です。
レスポンス率は次の式で求めることができます。
レスポンス率(%)=レスポンス数÷販促物の配布数×100
レスポンス数は、電話やメールでの問い合わせ、資料請求などを指します。
たとえば、チラシを1万枚配布し、電話やメールでの問い合わせが50件あった場合のレスポンス率は、次のとおりです。
50÷10,000×100=0.5%
レスポンス率は、商品購入前の人の割合を示す指標です。
少なくとも、販促物を配布した人のうち、レスポンスをくれた人は、その商品に興味があり、問い合わせをしてきている可能性が高いです。
そのため、レスポンス率が上がるということは、販促物を通じて興味を持ってくれた人が増えるということです。
販促物を配布するときは、まずはレスポンス率をチェックし、向上できるように努めましょう。
販促物の効果測定指標2.CV率
CV率はコンバージョン率といい、CVR(コンバージョンレート)と呼ばれることもあります。
CV率は実際に購入に至った人の割合を示す指標です。
CV率は、次の式で求めることができます。
CV率=CV数÷販促物の配布数×100
チラシを1万枚配布し、実際に購入に至った件数が30件あった場合のCV率は、次のとおりです。
30÷10,000×100=0.3%
CV数は、広告を配布した人のうち、商品を購入してくれた人の割合を示すために用いられることが多いですが、購入以外を目的としても活用できます。
たとえば、資料請求を目的としている場合は、資料請求に関する問い合わせをレスポンスとし、資料請求をコンバージョンと判断することもできます。
これは企業やプロジェクトなどの目的などによって異なるので、自社の事業内容にあわせて活用するのが良いでしょう。
販促物の効果測定指標3.CPR
CPRはCost Per Responseの略で、1件のレスポンスを獲得するのにかかったコストを示す指標です。
販促物にかかったコストから計算することができ、以下の式で求めることができます。
CPR=販促物にかかったコスト÷レスポンス率
チラシを1万枚配布し、かかったコストが30万円で、レスポンスが50件(レスポンス率0.5%)だった場合のCPRは次のとおりです。
300,000÷0.5=60,000円
この場合、1件のレスポンスを獲得するのにかかったコストは6万円です。
数字が小さいほど、1件のレスポンスにかかったコストが少ないということです。
企業としてはCPRをなるべく少なくするということが課題となるでしょう。
ただし、販促物からのレスポンスだということを明確にしなければ、効果測定を適切に行うことができないため、その販促物固有の電話番号・URLなどを設ける必要があるということは覚えておきましょう。
販促物の効果測定指標4.CPO
CPOはCost Per Orderの略語で、1件あたりのCVを獲得するのにかかったコストを示す指標です。
CPR同様に、販促物からのCVがが明確にならないと効果測定が適切に行えません。
CPOは次の式で求めることができます。
CPO=販促物にかかったコスト÷コンバージョン数
チラシを1万枚配布し、かかった費用が30万円で、CVが30件だった場合のCPOは次のとおりです。
300,000÷30=10,000
この場合、1件のCVを獲得するためにかかった費用は1万円です。
CPR同様に、数字が小さいほど1件のCVを獲得するのにかかったコストが少ないということです。
そのため企業としては、CPOもなるべく低くするということが課題となります。
販促物の効果測定指標5.ROAS
ROASはReturn On Advertising Spendの略で、販促物にかかったコストに対しての売上割合を示す指標です。
ROASは次の式で求めることができます。
ROAS=売上÷販促物にかかったコスト×100
チラシを1万枚配布し、かかった費用が30万円で、売上が20万円だった場合のROASは次のとおりです。
200,000÷300,000=66.666・・・
この場合のROASは約67%となります。
ROASの数値は高いほうが良いですが、顧客はリピート購入してくれる可能性もあるため、極端に低くなければ問題ありません。
販促物の効果測定指6.投資対効果(ROI)
投資対効果は、投資したコストに対して、どれだけの利益が得られたかを示す指標です。
投資対効果を求めることにより、その投資を今後続けていくのかどうかを判断することができます。
そのため、経営者としては非常に重要な指標と言えるでしょう。
投資対効果は次の式で求めることができます。
投資によって得られた利益÷投資額×100=投資対効果
販促物を作成し配布するという投資にかかったコストが30万円で、得られた利益が10万円だった場合の投資対効果は次のとおりです。
100,000÷300,000×100=33.333・・・
この場合の投資対効果は約33%となります。
投資対効果の数字を見て、その投資を続けるのかという判断は、事業の内容や経営者にもよります。
販促物に限ったことではありませんが、投資対効果を見て今後の経営方針を決めましょう。
【まとめ】販促物を導入して自社の売上をあげよう!
いかがでしたか?
販促物を導入することで、自社の売上を上げることができます。
しかし、多くの企業で広告と販促物が同じ扱いになってしまっているのです。
販促物を本来の役割で活用するには、広告との違いを知っておかなければいけません。
- 販促物:商品を「売る」ためのもの
- 広告:商品を「知ってもらう」ためのもの
この違いを理解していなければ、販促物を活用し、売上を上げることは難しいでしょう。
また、販促物を導入するからには、効果測定を適切に行わなければいけません。
この効果測定が適切に行われていないと、売上を伸ばすどころか無駄なコストが掛かっていることを把握できず、無駄な投資をしてしまう可能性もあります。
そこで、今回紹介した6つの指標は必ず記録するようにしてください、
- レスポンス率
- CV率
- CPR
- CPO
- ROAS
- 投資対効果(ROI)
特に投資対効果は経営方針を決める上でも重要な指標です。
投資対効果が向上していなければ、その投資や事業をやめることも考えなければいけません。
ただし、他の5項目で良い数字が出ているのに、投資対効果だけが悪い数字がでているという場合は、価格を見直すだけで投資対効果が改善される可能性があります。
投資対効果は、投資によって得られた利益と投資額で算出されます。
他の5項目で良い数値が出ているのに、利益が出ていないということは価格が適切でないからなのです。
価格を適切にすることで、売上を上げて利益率を改善することができます。
とはいえ、価格を上げてしまうことには抵抗を感じてしまいますよね。
価格を上げることにより、離れてしまう顧客ももちろんいるでしょう。
しかし、適切な価格設定にすることで、新規顧客を獲得できる可能性があるのも事実です。