優先順位をつける基準:第二領域の欠陥とは?

アバター画像 北岡 秀紀

優先順位が重要。
時間管理の勉強をすると必ず言われることです。

が、うまく優先順位をつけれていますか?と聞かれたら…
胸を張って「YES」と答えられる人は意外に少ないです。

優先順位をうまくつけられない理由

その理由はとてもシンプル。
「優先順位をつける基準を知らないから」です。

その優先順位の基準として有名なのが「第二領域」というコンセプト。
これは、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著 キングベアー出版)に出てくる時間管理のコンセプトです。

仕事を以下のような緊急性の横軸、重要度の縦軸のマトリクスで考えます。

社長の仕事でいうと…
第一領域(重要かつ緊急):クレームの電話、締切のある仕事、病気や事故など
第二領域(緊急ではなく重要)・・・経営計画を立てる、集客システムの立案、社内マニュアル作成、社長の健康づくりなど
第三領域(緊急だが重要でない):大半の電話、大半の会議、など
第四領域(緊急でも重要でもない):インターネットサーフィン、単なる遊び、無意味な接待や付き合いなど

第四領域は論外ですが…

1日が電話対応に追われてしまい何もできなかった。
締め切りが近い仕事に気づいて慌てて取り組む。
などなど、多くの社長は、第一領域、第三領域の仕事に振り回されています。

ビジネスにおいて、大切なのは第二領域の仕事をこなしていくことです。
集客システムを組めば,その場凌ぎの集客をしなくて済む…
社内マニュアルを作れば、スタッフからイチイチ相談されずに済む…
といったように、第二領域を増やすことで、第一領域、第三領域(特に第一領域)の仕事をどんどん減らすことができるようになります。

だから、第二領域の仕事を優先しなさい!と言われるわけですが…
しかし、この第二領域という考え方には欠陥があります。

とくに小さな会社の社長が、第二領域の仕事に取り組むのは相当難しいです。
その理由は…

重要ではない仕事にも取り組まないといけないから

小さな会社の場合、あなたは社長でありながら、トップ営業マンでもあるはず。
そして、スタッフのマネジメントもやる必要があります。

トップ営業マンとして顧客にセールスをかける。
問い合わせの電話やメールに対しても全て対応しないといけない。
商品の納品もしないといけない。

で、スタッフがわからないところがあれば、それもあなたが解決してあげないといけない。
やる気がなさそうだったらモチベーションをあげてあげないといけない。

社長としての仕事をしたいけれど、トップ営業マンとしての仕事やマネージャーとしての仕事などたくさんの仕事を抱えています。

また、極端な話、たとえば領収書をテープで貼るとか、ペン、消しゴムを買いにいくとか、そういった雑務も、スタッフに残業させないためにこなさないといけないなんてことも。。。

重要度が低いとわかっていても、そんな雑務であってもやらなければなりません。
その意味で第二領域の仕事に集中するというのは、理想ではありますが…あくまで理想。
現実には不可能です。

さらに第二領域の仕事がなかなかできない理由があります。
それは…第二領域の仕事は1つや2つではないということ。
第二領域、と一口にいっても、あれも第二領域、これも第二領域、と数えてみたら10個、20個あるのが普通。

では、その同じ第二領域内での優先順位はどうつければいいのか?
これは教えてくれません。

まとめると小さな会社の社長にとって
・重要ではない仕事はどう片付けていけばいいのか?
・複数ある第二領域の優先順位はどうすればいいのか?
という2点をクリアする必要がある、ということです。

重要ではない仕事をどう片付けるのか?
3つの戦略

では、まず重要ではない仕事も大量にある中でどのように活動すればいいのでしょうか?
3つの戦略をお話ししましょう。

戦略その1:第二領域の活動を欲張らない

まずは、第二領域の活動をたくさんやろうとする必要はありません。
「週1つだけやる」と考えてください。
「あれもこれも」という考えを捨てることです。

2つも3つもとなると、結局できずに終わりますが、週に1つなら「やらなければ!」という意識が強く働き、結果的に実行しやすくなります。

「北岡さん、1つだけだと少なくないですか?」こんな風に思われたかもしれません。
けれど、先月の第二領域に取り組んだ数を思い浮かべて下さい。
週1ペースで(つまり、月に4つ、5つ)取り組めました?

ムリだったはず。
ということは、週に1つでも取り組めば進歩しているということです。

戦略その2:第二領域の実行時間をまとめる

実行するための時間はまとめて確保しましょう。
たとえば、第二領域の重点目標を1つ決めたとします。

これを「毎日30分だけやろう」というふうに細切れにしてしまうと、第一領域、第二領域の仕事がどんどん入ってきてスケジュールが狂ってしまいます。
それを防ぐためには、あらかじめ2~3時間をブロックしておく、のが最善策です。

このような感じでスケジュール帳に最初からそのための時間を確保します。
取引先とのアポイントと同じように扱うわけです。

こうすることで、効率的にかつ確実に第二領域の仕事に取り組むことができます。

特にオススメなのは月曜日の午前中。
週が変わって新たな気持ちの一発目に第二領域の仕事に取り組む。
これで一週間のはじまりを気持ちよく迎えることができます。

もし仕事が終わらなかった場合も、週初めであればリカバリーできる確率があがります。

戦略その3:戦略的先延ばしをする

そして、もうひとつ大切なのが第一領域、第三領域の仕事をなるべく「先延ばし」にします。
仕事を先延ばしにすることで、2つのシナリオが考えられます。

1)仕事自体が立ち消えになる

1つめは、先延ばしにすることで、それをする必要がなくなる、ということです。
たとえば、気乗りのしない会合に招待された。

で、申し込まなければと思っているうちに申し込みの期限が過ぎていた。
そうなると、「参加する」という選択肢は消えてなくなります。

2)期限が迫る

2つめのシナリオは、その仕事の期限が迫ってくる、ということです。
はじめから期限が近づいているわけですが、いよいよギリギリの状態いなります。
その場合、人は行動せざるを得なくなります。

たとえば、明後日、税理士が来るから帳簿の整理をしないといけない、というようなものです。

このように、重要でない仕事にも
・本当の本当にやらなくていい仕事
・期限が迫ったらやらなければいけない仕事
に先延ばしをすることで自然と分けられます。

「先延ばし」をすると罪悪感を感じます。
また、「やらないと…」と頭の片隅に残したままやると、脳のメモリを無駄に食うことになり効率を落とします。

なので、先延ばしにするものはきっぱりと「先延ばしにする」と決めてしまうことです。
で、ギリギリまでそれをあえて気にしない。
これを戦略的先延ばしと私は読んでいます。

戦略的先延ばしで期限が迫ってからやることで高い集中力が発揮できます。
圧倒的に短い時間でできるメリットも付け加えておきます。
(夏休みの宿題がその典型ですね。)

本来、先延ばししてはいけないのは第二領域の仕事だけです。
けれど、第二領域の仕事を先延ばしして罪悪感を感じている社長ってあんまりいない。
これは不思議な現象です。

たくさんある第二領域の仕事に優先順位をつけるには?

では、次にたくさんある第二領域にどのように順位をつけていけばいいのか?
そこには2つの観点が必要です。

観点1 優先順位の基準をつくる

まず1つめの観点は優先順位の基準が必要だということ。

重要な仕事と言いますが、何に対して重要な仕事かの基準が必要です。
その基準になるのが目標です。
この目標を達成するにあたって必要な仕事が第二領域の仕事、ということになるわけです。

そこから外れるものは、そもそも重要な仕事から落ちる、と考えます。
こうすることで第二領域の業務を絞り込むことができるというわけ。

では、どんな目標が必要なのかですが…
もし毎月の売上目標の達成に四苦八苦している状態なら4半期単位の目標を基準にします。
もし4半期単位くらいの仕事ができているなら1年単位の目標を基準にします。

要するに「いま、自然とやっている仕事」の一段上の仕事を目標にするわけです。

「いま、自然とやっている」わけですから、それは無理をせずともあなたは勝手にやるはずです。けれど、一段上の仕事は意図しないとやりません。

毎日やっている習慣に、新しい習慣を付け加えるようなイメージですね。

こうすることで、いまのあなたにとって大きすぎる仕事、小さすぎる仕事を「緊急ではないが重要な仕事」から外すことができます。

観点2 成果のマトリクスで考える

これである程度の第二領域の仕事は絞り込まれました。
次に絞り込んだ仕事を以下の「成果のマトリクス」で考えます。

横軸が、成果が出るのが速い・遅い。
縦軸が成果が大きい・小さい。
この①〜④に、複数ある第二領域のタスクを分類していきます。

当然、まずあなたが取り組むべきなのは成果が速く、かつ大きなもの、つまり②の領域ということになります。

では、その次はどうすればいいのか?
・①のスピードは遅くても、成果が大きいものか?
・④のスピードは速いが、成果が小さいものか?

この2つの選択になります。
これは、あなたのビジネスの状況によって異なります。
しかし、私の経験上、多くの場合、「④」を選択するのがいいでしょう。

なぜならこの「成果のマトリクス」で考えている段階で重要な仕事に絞り込まれています。
つまり成果は小さくともいずれはやるべきもの。
ならば、さっさと成果出せるものをやって、勢いをつけていくのが良いからです。

この感覚を得てもらえれば、第二領域をこなすことが気持ちよくなります。
結果、第二領域にもっと取り組めるようになっていきます。

優先順位の正しいつけ方と第二領域の問題点
まとめ

優先順位や第二領域の大切さはほとんどの社長がが知っています。
けれどもなかなか取り組めません。

本稿でその理由を明らかにしました。

その理由を踏まえ、まずは週初めに2,3時間だけ第二領域の仕事に取り組む。
しかも、成果が速く、大きく出るものから取り組む。

そして、第一領域、第三領域の仕事をあえて先延ばしにする。

これを実行するだけで今までの数倍、第二領域が実行できるようになります。
結果、第一領域、第三領域の仕事が発生しなくなり時間に余裕も生まれてきます。
ぜひ、実践してみてください。

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