今回は普段から私たちがやっている「フォアキャスティング思考」について掘り下げて解説していきます。
基本的にほとんどの人が、物事をフォアキャスティング思考で考えがちです。
そのため私たちは、とくに意識しなくてもフォアキャスティング思考を実践しています。
しかしフォアキャスティング思考は、効果的なやり方やほかの思考法との使い分けを知ることでさらに役立てることができる思考法なのです。
普段からやっている思考だからこそ、実は知らない部分も多くあるということですね。
そこで今回はフォアキャスティング思考について、以下の内容でお話をしていきます。
- フォアキャスティング思考の意味とは
- フォアキャスティング思考のメリット、デメリット
- フォアキャスティング思考の効果的なやり方
- フォアキャスティング思考の事例
ぜひ参考にして、普段の思考を振り返ってみてください。
フォアキャスティング思考とは?
フォアキャスティング思考とは、「現時点であるものを起点として考える思考法」です。
たとえば、「うちの商品は男性人気が高いから、もっと男性向けの施策を行おう」とか、「うちは40代のシェアを獲得しきれていないから、40代に刺さるキャンペーンを行おう」といった感じですね。
冒頭でも少しお話ししましたが、基本的に人はこのフォアキャスティング思考で物事を考えるのが普通です。
そのためあなたも、おそらく無意識にフォアキャスティング思考を行っているでしょう。
対となるバックキャスティング思考
一方、フォアキャスティング思考と対になるバックキャスティング思考というものがあります。
こちらは、「あるべき理想の姿から逆算して今やるべきことを考える思考法」です。
たとえば、「年収2,000万円が目標だから、そのためには年商を1億円にする必要があって、そのためには今ある事業だけでは難しいから新しい事業を作らなくてはいけなくて、そのためには……」というように、あるべき姿から段々落とし込んでいって、今取るべき行動を見出していきます。
フォアキャスティング思考とバックキャスティング思考を比べると、以下のような感じです。
- フォアキャスティング思考……過去や現在から未来を導き出す思考法
- バックキャスティング思考……欲しい未来から今やるべきことを導き出す思考法
フォアキャスティング思考に比べてバックキャスティング思考は一般的ではないため、自然にやっているという人はあまりいません。
しかしビジネスを成功させるためには、フォアキャスティング思考とバックキャスティング思考の両方を上手く使いこなす必要があります。
たとえばフォアキャスティング思考だけの場合、今持っていることを気にするあまり、当初の目的からブレてしまう可能性があります。
一方バックキャスティング思考だけの場合、理想を追い求めるあまり現実的ではない手法にたどり着いてしまい、失敗リスクが高くなってしまうのです。
だからこそフォアキャスティング思考とバックキャスティング思考の両面から検討することによって、目的がブレることなく、成功確率も上げることができるというわけですね。
ちなみに、バックキャスティング思考については別記事で詳しく解説をしています。
併せて参考にしてください。
⇒バックキャスティング思考で問題にアプローチ!やり方や事例を解説!
フォアキャスティング思考のメリット
フォアキャスティング思考には、以下のようなメリットがあります。
- 現状の問題点を改善するのに向いている
- 失敗リスクが低い
フォアキャスティング思考は現状を顧みる思考法であるため、現状の問題点を抜き出して改善するのに向いています。
たとえばバックキャスティング思考で施策を考えたあとでフォアキャスティング思考で再検討をすることによって、問題点と改善策を見つけ出すことができるのです。
あとは地に足の着いた思考法であるため、失敗リスクが低いというメリットもあります。
絶対に失敗できないことを考えるときは、バックキャスティング思考よりもフォアキャスティング思考の方が向いていると言えるでしょう。
フォアキャスティング思考のデメリット
フォアキャスティング思考には、以下のような弱みも存在しています。
- 消極的なアイディアに偏りやすい
- 視野が狭くなってしまう
- 目的がブレてしまう
現状から組み立てていくフォアキャスティング思考では、どうしても出てくるアイディアが消極的になりやすいです。
「うちには資金がないから……」とか、「今は時間がないから……」といった言い訳をしてしまいやすくなり、結果的に簡単に実現可能で消極的なアイディアを採用してしまうわけですね。
あとは、どうしても思考が現状に縛られてしまうので視野が狭くなりがちです。
そのためフォアキャスティング思考は、新しいアイディアを生み出すことには向いていません。
そしてもっとも大きなデメリットが、目的がブレてしまう可能性があるということです。
本当はやりたいことがあるのに、現状を顧みることで諦めが生じてしまい、どんどん目的がブレてしまう経営者はかなり多くいます。
こういった経営者は施策にも一貫性がなくなってしまいがちなため、経営自体がコケることも少なくありません。
このようにフォアキャスティング思考には、メリットもある反面デメリットも存在しています。
だからこそフォアキャスティング思考とバックキャスティング思考を併せて使いこなすことが重要なのです。
フォアキャスティング思考の効果的な実践方法
多くの人が普段から自然に行っているフォアキャスティング思考ですが、以下の手順で行えばより効果的に思考を進めていくことができます。
- 過去のデータや経験、現状を洗い出す
- 反省点や改善点を抜き出す
- 具体的な行動指針を決める
1つずつ解説していきましょう。
フォアキャスティング思考の実践方法1.
過去のデータや経験、現状を洗い出す
まずは過去のデータであったり、今置かれている状況を洗い出しましょう。
これらのデータがフォアキャスティング思考の土台となるため、ここでどれだけ多くのテータを集められるかがフォアキャスティング思考のカギとなります。
できるだけ多く、詳細にデータを洗い出してください。
フォアキャスティング思考の実践方法2.
反省点や改善点を抜き出す
次に洗い出したデータや現状から、反省点や改善できそうな点を抜き出します。
目指すべきゴールがあるなら、そのゴールにたどり着くうえで何が問題か、何が足りないか、を考えると良いでしょう。
解決すべき問題点を具体的に抜き出すことができれば、今後の行動指針が決めやすくなります。
フォアキャスティング思考の実践方法3.
具体的な行動指針を決める
解決すべき問題点が抜き出せたら、実際に何をするべきか、行動指針を決めましょう。
もしここで行動指針が固まらないようなら、データが足りないか、もしくは目標が無謀すぎる可能性があります。
とくにバックキャスティング思考で目標を立てていると無茶な内容になりがちなので、期間を延ばしたり目標値を下方修正したりできないか検討するようにしましょう。
【まとめ】フォアキャスティング思考とバックキャスティング思考は併せて使うべき
今回は多くの人が普段から行っているフォアキャスティング思考について、掘り下げた解説をしてきました。
重要なのは、現状や過去から思考を進めていくフォアキャスティング思考と、理想とする未来から逆算して思考を進めていくバックキャスティング思考を併せて使うことです。
双方にメリット、デメリットがあるため、片方だけで思考を進めてしまうと問題が生じやすくなります。
ちなみにバックキャスティング思考については別記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せて確認しておいてください。
⇒バックキャスティング思考で問題にアプローチ!やり方や事例を解説!
また、フォアキャスティング思考をより効果的に実践する場合、より現状を詳細に把握する必要があります。
このとき、目的を達成するためにどうしても足りないものとして挙がってきやすいのが資金と時間です。
しかし実は、この2つは1つの施策で解決することができます。
何をすれば良いのかというと、商品の価格アップをして利益率を上げることです。
利益率が上がれば、利益を増やしたり、仕事量を減らして時間を確保したりすることができます。
もちろん、この両方を実現することも可能です。
商品価格を上げるというと、「難易度が高そうだ」とあなたは考えるかもしれません。
しかし実は、やり方さえ知っていれば商品の価格アップはそう難しいことではないのです。
普段からやりがちなフォアキャスティング思考ですが、無意識にやるのか、意識的にやるのかで効果性は大きく変わってきます。
ぜひ今回の記事を参考にして、意識的にフォアキャスティング思考を実践してみてください。