今回は、売上が減少したさいにやるべき対処法をお伝えしていきます。
売上が下がってしまっているのに何をどうすれば良いのか分からない、と悩む経営者は多いです。
売上を回復させる対処法を思いつかないという経営者も多いですし、そもそもなぜ売上が減少してしまったのか分からないという経営者も数多くいます。
しかし、売上が減少しているにも関わらず何も対策を行わなければ、多くの場合、待っているのは倒産という現実です。
そこで今回は、意外と把握できていない売上が減少する要因と、売上の減少を食い止める対処法についてご説明していきます。
もしあなたの会社の売上が減少しており、どうすれば良いのか途方に暮れているのなら、今回の記事が参考になるはずです。
意外に把握できていない売上が下がる本質的な理由・要因
多くの経営者が意外と把握できていない売上が下がる理由ですが、大きく2つの要因に分けることができます。
- 外的要因
- 内的要因
これがどういうことなのかというと、市場や経済の変化といった会社の外に売上減少の原因がある場合と、会社の中に売上減少の原因がある場合の2パターンがあるということです。
たとえば、電子書籍の普及によって書店の売上が下がったという場合は外的要因で、飲食店で化学調味料を使いだした途端に売上が下がったという場合は内的要因となります。
それでは、この外的要因と内的要因についてどのようなものがあるのか、1つずつ説明をしていきます。
もしあなたの会社の売上が減少しているのなら、この先を確認していただくことで、その原因を見つけるキッカケにしていただけるはずです。
売上が下がる外的要因
売上減少の外的要因には、以下のようなものがあります。
- 流行の問題
- 周囲の環境の変化
- ライバルの存在
- 商品イメージの悪化
- ネットでの検索順位低下
これらの外的要因に対して対応ができていない場合、売上は減少してしまいます。
それでは、1つずつ詳細を説明していきましょう。
売上減少の外的要因1.流行の問題
自社で取り扱っている商品が世間で流行していた場合、当然ですが、流行の終わりとともに売上は大幅減少してしまいます。
とくにファッション関係を取り扱っている場合、流行の移り変わりはかなり早いです。
またそうでなくても、大気汚染が騒がれればマスクが大量に売れたり、テレビでダイエットに効くと放送されればとろろ昆布が大量に売れたりと、お客さんの購買意欲は世間の流行によって大きく左右されます。
もしあなたの会社が今まさに流行している商品を取り扱っているのだとしたら、その売上はいずれ落ちて当然なのだと考え、別商品を作るなど、対策を練っておいた方が良いでしょう。
売上減少の外的要因2.周囲の環境の変化
たとえあなたの商品やサービスが一切変化していなくても、周囲の環境が変わってしまえば売上も変わるものです。
たとえばあなたが飲食店を経営していた場合、近くに新しい道ができて店前の道を人が通らなくなってしまえば、売上は減少してしまいます。
もしくは、近くにあった大きな工場が閉鎖してしまうと、そこからのお客さんが丸々いなくなってしまいます。
そのため、もしあなたの会社の売上が周囲の環境に大きく依存している状態なら、そういった環境の変化については常にアンテナを張っておくべきです。
また周囲の変化ということで、不況が売上減少の原因となる場合もあります。
売っているものにもよりますが、リーマンショックのときのような不況が訪れてしまえば、売上は当然落ちるはずなのです。
このように、周囲の環境が変われば、あなたの会社の売上も変わります。
そして同時に、周囲の環境は常に動いているのだということを、念頭に置いておいてください。
売上減少の外的要因3.ライバルの存在
売上減少のもっとも大きな理由の一つが、競合他社やライバル商品の存在です。
それ自体は、誰でも気づきそうな当たり前な理由であると言えます。
しかし意外と気づかないのが、自社の商品とはまったく異なった商品がライバルになるパターンです。
たとえば大手航空会社では、テレビ電話のシステムをライバルであると設定しています。
これは、テレビ電話による会議の普及によって、出張で飛行機に乗るお客さんが減ってしまうということを想定しているためです。
このように一口でライバルといっても、その形はさまざまです。
何がどのような理由で自社の売上減少に繋がるのかについては、より広い視野で考えるべきでしょう。
売上減少の外的要因4.商品イメージの悪化
急激な売上減少の原因になりやすいのが、自社や商品に対するイメージの悪化です。
当然のことですが、自社に対して「ぼったくり」とか「接客が悪い」といった悪い口コミが増えてしまえば、売上は減少してしまいます。
また、イメージの悪化が原因の場合、売上が急に下がるということもあり得ます。
そしてもう1つ厄介なのが、自社ではなく、取り扱っている商品に関するネガティブな情報が広まってしまった場合です。
たとえば中国産のうなぎが危険である、という情報が流れたさいには、中国産のうなぎの売上が下がり、その分価格の高い国産うなぎの売上が1割上がったということがありました。
この場合、もしあなたの会社が中国産うなぎの輸入をメインで行っていたなら、売上が大きく減少してしまうこととなるわけです。
そのため、噂や口コミを調べる場合は、自社のものだけでなく、取り扱っている商品そのものに関しても情報を集めておくべきなのです。
売上減少の外的要因5.ネットでの検索順位低下
ネット集客を行っていた場合、GoogleやYahooといった検索エンジンでの掲載順位が売上に大きな影響を与えることがあります。
そして日本内で多くのシェアを得ている検索エンジンは、GoogleのAIによって順位が決められているのです。
さらにGoogleは評価基準の改正を日々行っていますので、ある日突然、一瞬で掲載順位が大幅ダウンしてしまうこともあり得てしまうのです。
仮に検索順位が1位から2位に下がってしまった場合、サイトの訪問率が半分近くになってしまうというデータもあります。
単純に考えて、1位が2位になっただけでも、その検索キーワードからの売上が半分になってしまうわけです。
そうならないためにも、SEO対策(検索エンジン最適化 = 検索エンジンで上位を狙うための対策)を行ったり、検索エンジン以外での集客を考えたりする必要があります。
また検索エンジンだけに限らず、Web関係の移り変わりは非常に早いので、常に新しい情報を仕入れるようにしておいてください。
売上が下がる内的要因
売上減少の内的要因には、以下のようなものがあります。
- 商品、サービスの質の低下
- 社員の質の低下
- 新規顧客の開拓不足
- 客単価の低下(リピート回数の低下)
これら内的要因は会社内での問題であるため、外的要因に比べれば対策がしやすいはずです。
だからこそきっちりと問題点を理解し、改善に取り組みましょう。
売上減少の内的要因1.商品、サービスの質の低下
商品、サービスの質が低下してしまえば、いずれはお客さんに気づかれてしまい、売上の減少に直結してしまいます。
もし化学調味料を使う、従業員を減らす、といったことを意図的に行い、結果サービスの質が低下して売上減少が起こっているというのなら、元に戻すことも視野にいれるべきです。
ただ、商品やサービスの質は気づかないうちに落ちてしまう場合もあります。
従業員レベルの低下、仕入れ品の質の低下など、その原因はさまざまです。
そういった質の低下にいち早く気づくためにも、アンケートなどでお客さんの声を集め、常にお客さんの評価を確認できるようにしておきましょう。
売上減少の内的要因2.社員の質の低下
社員の質が低下し、1人頭の売上が減少してしまえば、当然、会社全体の売上も減少してしまいます。
たとえば営業担当の質が落ちれば受注する仕事の量が減ったり、最悪値切られてしまったりもするわけです。
そしてそんな社員が増えれば増えるほど、会社の売上は減少し続けます。
そうならないためにも、社員教育についてはしっかりと考えるべきです。
社員教育の正しい方法については別記事でまとめていますので、もし社員の質が低下していると感じているのなら、そちらの方も確認しておいてください。
⇒社員教育の正しい方法とは?カリキュラムの例や進め方を徹底解説
売上減少の内的要因3.新規顧客の開拓不足
新規顧客を開拓しなければ、売上はどんどんと減少してしまいます。
リピーターを得るような仕組みになっていないビジネスでは当然のことですが、たとえ飲食店や美容店といったリピーターを得る仕組みのビジネスであたっとしても、新規顧客の開拓は絶対に必要なのです。
なぜなら、基本的に顧客数はさまざまな理由によって減っていくものだからです。
そのため、常に新しい顧客を取り入れていかなければ、ほとんどのビジネスはあっという間に破綻してしまいます。
もし自社の顧客数が徐々に減っているというのなら、それは新規顧客の開拓が十分ではない可能性があります。
新規開拓営業の方法については別の記事でまとめられていますので、そちらの方を参考にして、新規顧客の獲得を考えてください。
売上減少の内的要因4.客単価の低下(リピート回数の低下)
たとえお客さんの数が変わらくとも、客単価が下がってしまえば売上は減少します。
たとえば安い商品だけが売れて高い商品が売れなかったり、リピート客が減ってしまったりという場合です。
とくに競合他社に対して値下げで対抗しようとすると、このパターンに陥りやすくなってしまいます。
値下げをしてなんとか集客をしてもほとんど利益が出ない、と苦しむ社長も多いのです。
そもそも薄利多売戦略は中小企業にはあまり向いていません。
むしろしっかりと商品やサービスの価値を伝えて、その分、利益率を上げるべきなのです。
その方法についてはこの記事でも説明していますので、そちらもぜひ読んでおいてください。
売上の減少を食い止める対処法
売上の減少を食い止めるもっとも効果的な対処法は、分析と改善を繰り返すことです。
ただし分析に関しては、社長みずからが責任を持ってしっかりと行うようにしてください。
ここまで説明させていただきましたとおり、売上減少の理由、原因は数多くあり、それぞれによって対処法も違ってきます。
しかし、そもそもの原因を間違えてしまえば、売上の減少を止めることはできないのです。
むしろ間違った値下げ対策を行ってしまい、倒産してしまう会社も数多くあります。
だからこそ、売上が減少したときは、社長であるあなたがしっかりと原因を追究してください。
営業担当などに任せてしまうと、日々の業務の忙しさに流され、分析が疎かになってしまう可能性があります。
そして原因の分析が終わったら、改善して、またデータを集めて分析するという繰り返しが大切です。
「分析→改善→分析→改善→……」を繰り返していくわけですね。
売上が減少する原因というのはさまざまな種類があるわけですから、本質的に言えばこの方法以外に売上減少を食い止めるすべはあり得ません。
しっかりと分析して、改善したらまた分析するというのは、売上減少の解決策としてだけでなく、ビジネスの基本でもあるのです。
売上が減少したときに絶対やってはいけないこと
売上が減少したさい、絶対にやってはいけないのは、分析を行わず、ヤマカンで改善をしてしまうことです。
とくにヤマカンで商品やサービスの価格を定価から大きく下げてしまう社長が多いのですが、それをしてしまうと今度は十分な利益が取れなくなってしまいます。
値下げを行えば確かに売上が回復する場合もあるのですが、実際は利益率が低くなっているため、多くの場合、状況は改善していません。
低い利益率で長時間働かなくては黒字にできなくなってしまったり、原価の高騰などで一気に赤字に転落してしまったりといった問題が発生しやすくなってしまうのです。
そうなってしまえば、最終的に多くの事業が失敗に終わり、最悪会社は倒産してしまいます。
売上が減少したときに重要なのは、その原因をしっかり分析し、論理的な改善を行うことです。
もちろん、根拠があって値下げや値上げを行うのなら構わないのですが、根拠がない場合は、下手な対策を打たないようにしてください。
売上が減少したままでも利益を上げる方法
売上が減少した場合、多くの社長が売上をなんとか回復させようとするのですが、その考え方が必ずしも正解であるとは限りません。
なぜなら物量で市場シェアを独占できない中小企業の場合、たとえ売上を下げてでも利益を上げることが必要になってくるからです。
弊社の代表である北岡も、「売上目標には意味がない」という考え方を持っています。
たしかに売上を上げることである程度利益も上昇するのですが、一定の売上に達すると、それは止まってしまうのです。
(参考:売上目標なんて意味がない)
ではどうすれば良いのかというと、「利益率」を上げることが重要になってきます。
たとえば、利益率1%の商品で1000万円売り上げた場合、利益は10万円です。
一方、利益率20%の商品を100万円売り上げた場合は、利益は20万円になります。
この場合だと、売上は1/10でも、利益は2倍出せている計算です。
このように利益率を上げることができれば、必ずしも売上に固執する必要はありません。
とくに労力や資金力が限られた中小企業は、売上よりも利益率を重要視するべきです。
実際私も、売上に固執するあまり無理な価格競争をした結果、利益と労力のバランスが取れなくなって倒産した会社を知っています。
労力が足りなくなるとお客さんへの対応も不十分になってしまい、結局評判が悪くなってリピーターがいなくなり、売上を大幅に落としてしまうことになるのです。
では、どうすれば利益率を上げることができるのか?
その答えの1つが、「商品の価格を上げること」です。
「商品の価格を上げてしまえばそれこそお客さんが来なくなる」と考えたかもしれませんが、やり方次第ではそんなことにはなりません。
なぜなら、日本の社長の多くが、実は商品が持つ本来の価値よりずっと安い価格を設定してしまっているからです。
あらゆる企業にとって、もっとも重要なのは売上ではなく利益です。
そして利益を上げることは、必ずしも売上を上げることではないのだと覚えておいてください。
【まとめ】売上が減少したときはまず原因を分析することが重要
今回は売上が減少したさいの対処法についてお話をしてきました。
売上が減少したさい、まず社長であるあなたがやるべきことは、みずからがその原因を分析することです。
逆に、原因を分析せずにヤマカンで対策することは絶対にしていけません。
売上が減少したさいは、とにかく「分析→改善→分析→改善→……」を繰り返すことが重要なのです。
ただ、売上に固執しすぎることも問題です。
なぜなら、会社の目的は売上を上げることではなく、利益を上げることだからです。
とくに中手企業の場合、無理に売上を上げることで余力がなくなってしまい、事業を失敗させてしまう可能性があります。
ではどうすれば利益を上げることができるのかというと、おすすめなのが「商品の価格を上げること」です。
商品の価格を上げれば当然利益率が上がりますので、たとえ売上が下がってしまったとしても利益を上げることができます。
また、商品の価格を上げるということは、実は多くの社長が思っているよりも簡単にできることなのです。
売上が減少したさい、もっとも重要なのは原因を分析することです。
ただそのさい、売上減少の原因だけでなく、売上を回復させることが本当に正解なのかどうかについても、1度考えるようにしてください。
とくに中小企業の場合、売上を追いかけるより利益率を追いかけた方が、うまくいくことは多いです。