今回お話しするのは、顧客流出の原因と優良顧客に残ってもらう方法です。
ビジネスの世界は常に顧客の取り合いであるため、顧客流出に悩む社長は少なくありせん。
たとえば大企業であっても、ドコモ、ベネッセ、関西電力、ソフトバンクなどは、顧客流出に悩み、さまざまな対策を行っています。
結論から言うと、完璧に顧客の流出を防止するのは不可能なことです。
今この瞬間にも、どんどんと新しい商品、サービスが生まれていますので、どうしても顧客の移動は起こります。
しかしだからと言って、顧客流出を抑えるための対策がないというわけではありません。
そこで今回は、顧客の流出が目立ってきたときにとるべき対策について、原因別にお話ししていきます。
ぜひ、参考にしてください。
顧客が流出してしまう2つの大きな原因と防止策
顧客が流出してしまう原因は色々とありますが、実は大きく2つに分けることができます。
- 商品、サービスに問題がある
- 仕組み、伝え方に問題がある
まず1つ目が、商品やサービスに魅力が足りないため、顧客が流出してしまうパターンです。
とくに自社製品を上回る新製品が他社から登場したさいなどは、顧客流出が起こってしまいます。
そしてもう1つが、ビジネスの仕組みや価値の伝え方に問題があるパターンです。
リピーターを作れる仕組みができていなかったり、商品やサービスが持つ本来の価値をお客さんに理解してもらえていない場合も、顧客流出が起こります。
つまり顧客流出の原因は、「売っているものが悪いのか」、「売り方が悪いのか」、という2パターンであるということなのです。
もちろん、顧客流出を解決するときには、原因をさらに細分化して対策を練る必要があります。
しかし本質的には、商品かビジネスのやり方のどちらかが原因なのだと理解しておいてください。
それではこれから、詳細を説明していきます。
顧客流出の原因1.商品、サービスに問題がある
商品、サービス自体に問題がある場合は、下記のようなことが原因になっている可能性が高いです。
- 価格が他社に劣っている
- 品質が他社に劣っている
- 商品が時代にマッチしていない
- 接客態度が悪い
- お店やホームページが汚い
それでは、それぞれの詳細と対策を説明していきます。
価格が他社に劣っている
同じ性能で他社より価格が高い場合、より安い方に顧客が流出してしまいます。
対策として、価格を下げて競合他社に対抗するというのも1つの手です。
ただし、シェアを独占できない中小企業の場合、価格を下げ過ぎてしまうと利益が取れなくなり、逆に業績が悪化してしまうことがあります。
そのため、どうしても他社に価格で勝てない場合は、商品やサービスに付加価値を付けたり、差別化を考えましょう。
そうすれば価格だけで比べられることがなくなるため、顧客のほとんどが安い方へ流れてしまうという状況を緩和できるはずです。
品質が他社に劣っている
同じ価格帯の競合他社に対して、商品やサービスの質が劣っていれば、当然、より質の高い方に顧客が流れてしまいます。
もちろん対策として、より商品の質を上げるというのは重要なことです。
商品の質が競合他社よりも上がれば、お客さんも戻って来てくれるでしょう。
しかし、それよりも真っ先に考えるべきは、商品やサービスの差別化です。
極論、あなたの会社からしか買えないような商品を作り出すことができれば、競合他社に悩まされることはなくなります。
もちろん、だからといって質を落として良いわけではありません。
ただ、差別化を念頭に置くことで、「競合他社を意識するあまり無理に質を上げつつ安く売ろうとして、その結果利益率が低くなってしまう」ということは避けられるはずです。
顧客流出のさいに限らず、ビジネスにおいて商品の差別化は常に考えるべきことなのだと覚えておいてください。
商品が時代にマッチしていない
以前は売上良好で顧客もたくさんいたのに、気づけばいなくなっていた、という場合、自社の商品が時代にマッチしていないことを疑ってください。
つまり、技術的に遅れていたり、流行りが終わっていたり、という要因による顧客流出ですね。
たとえば現在、紙でできた本の売れ行きは、13年連続で減少しているというデータがあります。
電子書籍や本以外の娯楽(スマホ、TV、ゲームなど)の影響によって、紙の本が以前ほど売れなくなっているのです。
こういった時代の移り変わりによる影響の中で、何も考えずに依然と変わらず本を売っていれば、当然顧客はいなくなってしまいます。
現に全国の書店数が、ここ10年~20年で43%以上も減っているというデータまで存在しているのです。
もしかするとこの先、電子書籍の普及が進めば、紙の本は時代遅れの商品として、ほとんど売れない時代が来てしまうかもしれません。
そうなれば書店に来ていたお客さんたちは、みんなAmazonや楽天といった電子書籍を取り扱う会社へと流出してしまうでしょう。
このように、ビジネスは常に時代に合わせて変化させていく必要があります。
時代遅れの商品をいつまでも扱っていては、顧客は流出する一方です。
そうならないためにも、マーケティングには力を入れるべきでしょう。
マーケティングさえできていれば、いち早く市場の変化に気づけるはずです。
接客態度が悪い
飲食店や美容院といったサービス業の場合、接客態度が悪いという理由で顧客が流出してしまうことも少なくありません。
どれだけ食事がおいしかろうと、どれだけカットの技術が優れていようと、それらは接客まで入れて初めて商品と言えるのです。
そういう意味で接客態度が悪いということは、「商品の品質が他社よりも劣っている」と考えることもできます。
もし今顧客が流出している状態なら、1度接客まで込みで競合他社と自社を比べてみてください。
接客の質を客観的に知りたいなら、お客さんからアンケートを取ることも効果的です。
接客は商品の一部であるという意識をしっかりと持ち、商品の質を高めていきましょう。
お店やホームページが汚い
お店やホームページが汚いという理由で顧客離れが起こる場合もあります。
上記で説明している接客態度と同様、利用者からしてみればお店やホームページも商品の一部です。
飲食店ならきれいなお店で食事ができればそれが1つの価値になりますし、会員制サイトなら操作性の良さや見やすさが価値になります。
たとえば、同じくらいおいしいラーメン屋があった場合、お店や器が油でギトギトのお店より、清掃の行き届いたお店に行きたいと思いませんか?
もしくは整体に行く場合も、汚いベッドでマッサージを受けるよりも、衛生的なベッドでマッサージを受けたいと思うはずです。
そのため、商品も価格も負けていないのになぜ顧客流出が起こるのか、と悩んでいる場合は、1度自分のお店を見直してみてください。
接客態度と同様、お客さんにアンケートを取って率直な意見を集めてみるのもありです。
お客さんがお金を払ってくれているのは、「商品そのもの」に対してだけではない、ということを理解しておきましょう。
顧客流出の原因2.仕組み、伝え方に問題がある
ビジネスの仕組みや価値の使え方に問題がある場合は、下記のようなことが原因となっていると考えられます。
- 価値が顧客に伝わっていない
- リピートできる仕組みになっていない
- 購入後のフォローができていない
- 顧客リストを残せていない
- 流出顧客向けのキャンペーンをしていない
それでは、それぞれの詳細と対策をお話ししていきます。
価値が顧客に伝わっていない
ビジネスの世界では、商品やサービスの質で優れている会社が必ずしも勝てるわけではありません。
なぜなら、その価値がきちんとお客さんに伝わっていないこともあり得るからです。
「10」のサービスを持っているのに「5」しか伝えられていない会社と、「7」のサービスを持っていて「7」を伝えられている会社ならば、顧客を獲得できるのは後者です。
そのため、商品の価値を顧客に伝えることを怠ってはいけません。
厳選された素材を使っているなら商品説明でそれをアピールするべきですし、長い間勉強をした末に身につけたスキルがあるのなら、接客のさいにそれをアピールするべきなのです。
ちなみに、商品価値をきちんと伝えることで、お客さんからの抵抗なしに価格を20倍にまでアップさせた事例もあります。
商品価値を伝える方法について参考になると思いますので、そちらも確認してみてください。
リピートできる仕組みになっていない
顧客流出の原因として、お客さんが残りやすい仕組みを作れていないという場合もあります。
極論、買い切りの商品を販売していて、サポートや新商品の販売を一切していなければ、当然ながら顧客が残ることは一切あり得ません。
そのため、顧客流出を防ぎたいなら、顧客があなたの会社に残りやすいような仕組みを作る必要があるのです。
たとえば、継続課金型のサービスを作るというのは効果的です。
もしくは大手携帯キャリアのように、2年間契約で割引、といったやり方もありですね。
あとは航空機のマイレージサービスのように、ポイントを付けるという方法もあります。
このように、お客さんがリピーターになりやすいビジネスモデルはいくらでもあります。
こういったものを作れれば、顧客流出は防げるはずです。
購入後のフォローができていない
顧客流出の原因の1つが、購入後のフォロー不足です。
その場合、購入後のアフターフォローをすることで、お客さんを繋ぎとめることができます。
アフターフォローについては、手間と時間がかかるうえに直接的な売上にならないからやらない、という会社は多いです。
しかし、リピーターを作りたいなら、ぜひアフターフォローに力を入れてみてください。
人間には心理学で言うところの「返報性の原理」という、「良くしてもらったら何かを返さなければいけない」という考え方があります。
(参考:Wikipedia_返報性の原理)
そのため、アフターフォローを丁寧にしてもらったお客さんは、そこに恩を感じて残ってくれるのです。
「返報性の原理」は人間心理に根付いた法則であるため、アフターフォローは案外バカになりません。
アフターフォローが十分にできていないという場合には、ぜひ改善してみてください。
顧客リストを残せていない
顧客リストが残せていないと、次の一手が打てずに顧客が流出してしまう可能性があります。
基本的にお客さんは、何もしなければあなたの会社の存在を忘れてしまいます。
そのため顧客流出を防ぎたいなら、きちんと顧客のリストは残しておき、あなたの会社を忘れさせないような対応をするべきなのです。
たとえば、顧客リストがあれば、新商品が出たさいに売り込みをかけることができます。
もしくはメールマガジンなどで有益な情報を流し続ければ、あなたの会社のファンを作ることも可能です。
濃い顧客リストの場合、メールアドレスを1件取得するだけで数千円の報酬が支払われることもあります。
顧客リストとは、それほどまでに価値があるものなのです。
流出顧客向けのキャンペーンをしていない
顧客流出を防ぐだけでなく、一旦流出した顧客が戻ってくるようなキャンペーンを打つことも効果的です。
たとえば、「以前にサービスを利用していた人は今だけ入会金が無料」とかですね。
新規顧客獲得のキャンペーンと併せ、こういった流出顧客向けのキャンペーンを行っておくと、お客さんが戻りやすくなります。
優良顧客の流出を最優先で防ぐ必要がある
顧客流出の対策について、もっとも防ぐ必要があるのは優良顧客の流出です。
それこそ、優良顧客以外の流出については二の次で構いません。
むしろ会社にとって良くないモンスター顧客の流出については、歓迎しても良いくらいです。
(参考:モンスター顧客の対応方法!理不尽クレーマーに悩むのはもうやめよう)
では、どうすれば優良顧客の流出を防げるのかというと、優良顧客を特別優待することで可能となります。
「お客様は神様で差別してはいけない」と考える社長は多いのですが、ことビジネスにおいてその考え方は間違いです。
あなたの会社を好きでいてくれる優良顧客はきっちりと選別し、特別扱いしてあげるべきなのです。
ちなみに、顧客の選別には、「RFM分析」を試してみてください
RFM分析とは、以下の3つの項目を洗い出して顧客を分析するマーケティング手法のことです。
- R(Recency) ⇒ 直近の購入、来店日
- F(Frequency) ⇒ 購入、来店の頻度
- M(Monetary) ⇒ 一定期間中の利用金額
この3つを見比べて、優良な顧客を選別するわけですね。
そのほか、顧客を選別する方法については、別記事でも説明しています。
ビジネスには必要な考え方ですので、ぜひ併せて確認しておいてください。
⇒顧客選別は絶対に必要!会社にとって良い顧客に残ってもらう方法とは
優良顧客に愛されながら価格を20倍に上げた事例
現在オクゴエ! では、優良顧客に愛されながら価格を20倍にまでアップさせた治療院経営者さんへのインタビュー動画を無料配信しています。
治療院を経営している田中さんは、自分のサービスの価値をきっちりと伝えたうえで価格アップを行いました。
その結果、田中さんのサービスの価値を理解してくれているお客さんがしっかりと残り、業績を大幅に上げることに成功したのです。
多くの社長は、価格を上げてしまえば顧客離れが起こると思っています。
しかし、本当にあなたの会社のファンになってくれている優良顧客が相手なら、実はその限りではありません。
むしろあなたのサービスの価値をしっかりと伝えることで、きちんとそれに見合ったお金を払いたいと思ってくれているのです。
【まとめ】顧客流出において重要視すべきは優良顧客
今回は顧客流出の防止方法についてお話しをさせていただきました。
顧客流出の原因と防止策について色々とお話ししてきましたが、もっとも重要なのは優良顧客をきっちりと残すことです。
優良顧客はあなたの会社のファンなので、顧客の中でもとくに手放してはいけません。
優良顧客を見極める方法は今回の記事内で説明していますので、そちらを参考にしてください。
また、優良顧客が相手なら、商品の価値をきっちりと伝えることで、価格をアップさせることも可能です。
むしろ優良顧客はあなたの会社のファンなので、喜んでお金を払ってくれます。
基本的に顧客流出は、「売っているものが悪い」か「売り方が悪い」かのどちらか、もしくは両方が原因です。
そのことを理解して、優良顧客の確保に尽力してください。