今回は、経営者なら絶対に知っておくべき「ビジネススキーム」について解説をしていきます。
ビジネススキームについては、似た言葉であるビジネスプランやビジネスモデルと比べて、聞き覚えがないという人も多いのではないでしょうか。
しかしビジネススキームは、ビジネスプランやビジネスモデルと同様、事業を行ううえでは絶対に把握しておかなければいけません。
仮に経営者が自社のビジネススキームを把握していなかった場合、その経営者は自社のビジネスの手綱を掴めていないとさえ言えるのです。
そこで今回はビジネススキームについて、以下のような内容でお話をさせていただきます。
- ビジネススキームの意味
- ビジネススキームの事例
- ビジネススキームと似た言葉との違い
- ビジネススキームを把握しておくメリット
- ビジネススキームの組み立て方法(スキーム図の作成方法)
ビジネススキームについてよくわかっていないという場合は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
ビジネススキームの意味とは?
ビジネススキームとは、事業(ビジネス)における全体的な枠組みのことです。
たとえば、以下のようなものはすべてビジネススキームに含まれています。
- 商品開発
- マーケティング
- 営業
- 販売戦略
このようなビジネス戦略において、「ビジネスに関わる人や会社の間でお金、モノ、情報などがどのように流れているか」ということを表したものがビジネススキームなのです。
そのためビジネススキームは、「事業の全体像」を俯瞰的に捉えたものであるとも言えますね。
ビジネススキームの事例
ビジネススキームのイメージを掴んでいただくための事例として、「Webサイトで広告収入を得るビジネス」のビジネススキームを紹介します。
いわゆるアフィリエイトというビジネスですね。
ビジネススキームについては、スキーム図というもので表すとわかりやすくなります。
たとえば「Webサイトで広告収入を得るビジネス」のスキーム図を簡易的に描くと以下のとおりです。
この図を見ていただければ、Webサイト媒体の広告事業でどのようにお金、モノ、情報が流れているかを一目で理解することができます。
さらに、以下のような要素を細かく明確にすれば、事業規模やビジネス戦略の優位性についても把握することが可能です。
- どれくらいの金額が動いているのか
- どういった広告への誘導を行っているのか
- どういった業務を任せているのか
- どういった情報を発信しているのか
- どういった顧客を集めているのか
このような情報をスキーム図としてまとめておけば、より事業の全体像を把握しやすくなるということですね。
ビジネススキームと似た言葉との違いを解説
ビジネススキームとよく混同されるのが、ビジネスプラン、ビジネスモデルという言葉です。
これらは別の意味を持つ言葉であり、一覧で簡潔にまとめると以下のようになります。
ビジネススキーム | ビジネススキームはすでに決定されたビジネスの「全体的な枠組み」のことを指す言葉です。
どのような仕組みでお金、モノ、情報が流れているかを表しています。 またビジネススキームはすでに完成されたビジネスの仕組みとして、継続的に実行していけるものでなければいけません。 |
ビジネスプラン | ビジネスプランには、その名のとおり「計画」という意味があります。
ビジネスの案や予定を示す言葉です。 |
ビジネスモデル | ビジネスモデルは、ビジネスの「収益構造」を示す言葉です。
要は、どうやって利益を生み出しているのか、ということですね。 「誰に」、「何を」、「どうやって売るのか」といった部分がビジネスモデルに含まれます。 |
この表を見比べていただければわかるとおり、ビジネススキーム、ビジネスプラン、ビジネスモデルにはぞれぞれ別の意味があります。
混同しないように、しっかりと意味を理解しておきましょう。
※関連記事
ビジネスモデルの作り方、考え方とは?成功事例に学ぶ8つのパターン
ビジネススキームを把握しておくメリット
ビジネススキームはビジネスの全体像であるという説明をしましたが、それを把握しておけば2つの大きなメリットを得ることができます。
- 経営戦略を見直す時に使える
- 資金調達をするさいの資料として使える
これらのメリットは、経営者には魅力的に映るはずです。
ビジネススキームがそれぞれどのように役立つのか、1つずつ説明していきましょう。
ビジネススキームを把握しておくメリット1.
経営戦略を見直すときに使える
自社のビジネススキームを把握しておけば、経営戦略を見直すときに非常に便利です。
ビジネススキームはそのビジネスの全体像なので、参考にすることでどこを改善すれば良いか探しやすくなります。
とくにスキーム図を作成しておけば、より自社のビジネスを見直しやすくなるはずです。
ちなみに、経営戦略の立て方については詳しくまとめた記事があります。
どのような基準で経営戦略を見直せば良いのかという部分については、こちらを参考にしてみてください。
⇒1記事でわかる経営戦略入門!経営戦略の種類や事例も徹底解説
また多くの経営者が忘れがちなのですが、経営戦略を見直したさいには商品の価格についても忘れずに見直すようにしておいてください。
事業を改善して商品価値を高めたにもかかわらず、商品の価格を据え置いてしまう企業は意外と多いです。
しかしそれではせっかく商品価値を高めたというのに、利益がまったく上がっていません。
経営戦略を見直して商品の価値を高めたのなら、その分商品価格についても上げ、正当な利益を獲得するべきなのです。
ちなみに商品価格を上げると深刻な客離れが起こると思っている経営者は多いですが、必ずしもそうとは限りません。
ビジネススキームを把握しておくメリット2.
資金調達をするさいの資料として使える
ビジネススキームを把握し、スキーム図を作成しておけば、資金調達をするさいの資料として有効活用することができます。
なぜならビジネススキームは融資者に事業内容を説明するときにも使えますし、自社の魅力を伝えるための計画を立てるさいにも役立つからです。
資金調達をする場合は、融資者に対して自社の事業がいかに魅力的で成功できる可能性が高いか、ということを伝えなければいけません。
そんなときに社長が自社のビジネススキームを把握していなければ、融資者は大きな不安を感じてしまうことでしょう。
当然融資者が不安を感じてしまえば、資金調達も失敗してしまいます。
だからこそ経営者は、自社のビジネススキームについてしっかりと把握しておかなければいけないわけですね。
ちなみに、資金調達の具体的な方法については以下の記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
⇒資金調達とは?資金調達を行う30の方法と成功させる3つのポイントを解説
ビジネススキームの組み立て方法(スキーム図の作成方法)
ここからはビジネススキームを組み立て、スキーム図を作成する方法について解説をしていきます。
スキーム図を作成するために必要なのは、以下の4手順です。
- ビジネスに関わっている人や会社、媒体などを書き出す
- お金、モノ、情報がどのように流れているかを書き出す
- 客観的な事実を反映させる
- 書き出した内容をスキーム図に配置する
この手順を辿れば、あなたの事業のビジネススキームがスキーム図という形にまとめられ、把握できるようになるはずです。
それでは順を追って説明していきましょう。
ビジネススキーム図の作成方法1.
ビジネスに関わっている人や会社、媒体などを書き出す
まずはビジネスにどのような人物、会社、媒体が関わっているのかを書き出してください。
自社と顧客はもちろんですが、ほかにも外注先や仕入先など、さまざまな企業や人物がビジネスには関わってきます。
スキーム図でいえば、四角の中に書き込んでいる部分ですね。
スキーム図の基礎的な部分になりますので、ビジネスで何かしらのやりとりがある人、会社、媒体についてはしっかりと抜き出しておきましょう。
ビジネススキーム図の作成方法2.
お金、モノ、情報がどのように流れているかを書き出す
次に抜き出した人、会社、媒体の間でどのようなやりとりがされているのかを書き出していきます。
とくにお金、モノ、情報がどのように動いているのかを明確にしておいてください。
スキーム図では矢印にあたる部分ですね。
ビジネススキーム図の作成方法3.
客観的な事実を反映させる
次に抜き出した情報に対して、客観的な事実を反映させていきます。
ビジネススキームはビジネスプランとは違い、現実的に回せるような枠組みにしなければいけません。
そのため客観的な事実を盛り込み、より現実的な数値に落とし込んでいかなければいけないのです。
ビジネススキーム図の作成方法4.
書き出した内容をスキーム図に配置する
あとは書き出した情報をスキーム図の形で配置すれば、ビジネススキームを一目で確認できるようになります。
詳細なスキーム図を作成できていれば、そのビジネスの全体的な流れや無駄な部分なども見えてくるはずです。
逆にスキーム図を見ても不明瞭な部分がある場合はあなた自身が自社のビジネスを把握できていない可能性があるので、このタイミングで1度見直しておいてください。
またスキーム図は事業説明をするさいの資料にもなりますので、わかりやすさも重要な要素となります。
そのためスキーム図を作成するさいは、誰が見てもわかるような描き方を心掛けましょう。
【まとめ】経営者はビジネススキームを把握しておくべき
今回は事業の全体像を表すビジネススキームについて解説をしてきました。
ビジネススキームを把握しておけば以下のようなメリットがあります。
- 経営戦略を見直す時に使える
- 資金調達をするさいの資料として使える
とくに中小企業では事業のかじ取りや資金調達は経営者の仕事となりますので、あなたも経営者であるならば、自社のビジネススキームについてはしっかりと把握しておくべきです。
もしビジネススキームについて考えたことがないようなら、今回の記事の「ビジネススキームの組み立て方法(スキーム図の作成方法)」を参考にして、1度自社のビジネスでスキーム図を作成してみると良いでしょう。
また、ビジネススキームによって経営戦略の見直しをすれば、間接的に利益を上げることにも繋がります。
たとえばスキーム図を使った経営戦略の見直しでより商品の価値を上げることに成功した場合、その分、商品の価格を上げることができるのです。
経営者にとって、自社のビジネススキームを把握しておくというのは非常に重要なことです。
定期的にスキーム図を作成してみて、無駄や不明瞭な部分が発生していないか、チェックするようにしましょう。