今回はBtoB(企業間取引)マーケティングについて解説します。
toを数字のtwoに変えて、B2Bともいいますね。
従来のBtoBの現場は、既存取引先からの売上に頼る部分が大きく、テレアポや対面の営業活動が主でした。
しかし、グローバル化が進むについて顧客の囲い込みが難しい状況になってきており、今までの方法で売上を上げ続けることが難しい状況になっています。
そこで注目を浴びているのがBtoBマーケティングです。
BtoBマーケティングの目的は、簡単にいってしまうと「商談の場を増やすこと」です。
競合他社と商品力に差がなくても、BtoBマーケティングのスキルを身に着けることで有利に立つことも可能になります。
今回の記事ではBtoBマーケティングが注目を集めている背景や基本戦略、事例について解説します。
効率の良い営業方法を見つけたい、また売上が伸び悩んでいる状況であれば、参考にしてください。
BtoBマーケティングが注目を集めている背景とは?
企業の購入担当者は、ネットから必要な情報を簡単に手に入れることができます。
そのため営業マンが商品の説明に伺う前に、すでに情報収集などが終わっている可能性が高いでしょう。
2012年と少し古いデータですが「The Digital evolution in B2B Marketing」では、企業の購入担当者の約57%が営業担当に会うまでに情報収集と競合分析を終えている、という調査結果があるほどです。
今ではさらに割合が増えているいるでしょうね。
つまり、ネット上であなたの会社の名前が出てこなければ、商談まで進む可能性は低いということです。
商談の場まで進めるためには従来の飛び込み営業やテレアポだけでは通用しません。
ネットを活用して効率的に顧客にアプローチ出来る、BtoBマーケティングの重要性が増してきているのです。
BtoBマーケティングの基本戦略
BtoBの取引は、組織的な意思決定が必要になる場合が多いため検討期間が長くなることが多いです。
そのため、見込み客を集めた後のリードナーチャリング(見込み客の育成)が重要となります。
BtoBマーケティングの基本戦略は以下の4つです。
- リード(見込客)獲得
- リードナーチャリング(見込み客育成)
- 商談獲得
- 内部拡大
集めた見込み客に対して定期的にアプローチをかけて購買意欲を高めます。
商品へのニーズが高まった時期に商談を行うのが最も効率の良い方法ですね。
それでは基本戦略のひとつひとつを解説します。
BtoBマーケティングの基本戦略.1
リード(見込客)獲得
最初は効率良くリードを獲得すること重要です。
リード(見込客)を集める主な方法は9つあります。
- テレアポ
- 飛び込み営業
- FAXDM
- ホワイトペーパー
- オウンドメディア
- オンライン広告
- SNS
- 展示会
- セミナー
従来の飛び込み営業やテレアポも効果はありますが、相手のニーズが分からない状態でアプローチするため反応は悪くなりますよね。
一方でオウンドメディアや展示会など、ニーズをもったお客さんからアクションを起こす方法の場合は反応が良く、ニーズがあるお客さんを継続的に獲得し続けることも可能です。
特に自社で運営するオウンドメディアは効果的です。
相手企業の担当者も、複数の企業から必要な情報を短時間で得ることができるメリットがあります。
自社のホームページ上から資料や問い合わせが出来る環境を作っておきましょう。
オウンドメディアの運用については、中小企業のオウンドメディア戦略とは?メリットや事例、運営のポイントを徹底解説を参考にしてください。
注意点としては、プッシュ型とプル型を同時に行う際は顧客リストを混同しないことですね。
オウンドメディアから問い合わせが入って商談が進んでいるのに、テレアポの電話をかけてしまっては情報管理ができていない企業と判断されてしまいます。
見込み客の管理システムを導入するなど、顧客リストの扱いには注意しましょう。
複数の方法で集めたリードの中には重複しているリストもありますので、不要な情報は削除して必要な情報のみまとめると効率的です。
BtoBマーケティングの基本戦略.2
リードナーチャリング(見込み客育成)
リードナーチャリングは、見込み客に段階的なアプローチをかけて購買意欲を高めることです。
そのために見込み客の課題を把握することや、商品を購入する場合の導入時期や予算などを聞き出す必要があります。
相手企業は、自分達が抱えている課題を解決できるのかどうかだけに興味があるのです。
そのため、「相手の課題は何か?」「どんな不安を抱えているのか?」をシッカリと聞き出す必要があります。
自社の良さばかりをアピールする話にならないようしましょう。
リードナーチャリングは主に2つの要素に分けて考えてみましょう。
- 見込み客のランク分け
- ランク毎にアプローチ方法を変える
例えば、購入意欲が高く導入時期も直近で予算もある企業はランクA。
興味が薄く導入時期も予算も未定の見込み客はランクCなどランク分けします。
ランクAの見込み客はすぐに営業に引き渡しして、早い段階で商談に進めるのが良いです。
ランクCの見込み客はメールなどで情報提供をメインに行い、ニーズが高まるのを待つというアプローチが考えられます。
今すぐに顧客になる可能性が低くても、継続的にアプローチをすることで将来的に顧客になる可能性を高めることが重要ですね。
業界や商品によっても変わりますが、以下の条件が揃ったら商談に進めるようにしましょう。
- 見込み客のニーズが高まっている
- 導入予定時期が決まっている
- 予算が合う可能性が高い
商談に進める見込み客の条件を決めることで、スムーズに業務を進めることができます。
BtoBマーケティングの基本戦略.3
商談獲得
商談は、主に確認作業を行う場といえます。
なぜなら、リードナーチャリングで相手企業が抱えている課題を解決する提案を行っており、商品に対するニーズが高まっている状態だからです。
本当に相手企業にとって必要な商品かを確認し合い、後は購入するかどうか相手の判断を待ちましょう。
クロージングについては、クロージングは時代遅れ。セールスの成約率を高めるもっとも重要な要素とは?で詳しく解説しているので読んでみてください。
もし契約まで結びつかなくても、もう一度リードナーチャリングに戻るだけです。
一度商談を行っているため、相手企業の情報がありますし、次回の提案に活かすこともできます。
再度、商品ニーズが高まる時期まで定期的にアプローチを行うようにしましょう。
BtoBマーケティングの基本戦略.4
取引先で内部拡大を狙う
顧客が抱えている課題は1つだけではありません。
そのため、取引を通じて顧客の課題を洗い出し、別な商材の提案などを行うことで取引額を大きくしていきましょう。
相手企業が新しく始める事業や時期、予算などが聞き出せるとベストです。
顧客がこの先抱えるであろう課題を先回りして、解決策を提案できると有利に商談を進めることができます。
相手企業に深く入り込み、内部拡大を行うことは売上アップに有効な手段です。
取引先の今後の動向や課題などを常に意識して、どのような提案ができるかを社内で話し合っておくことが重要ですね。
BtoBマーケティングの成功事例を紹介
BtoBマーケティングでネットを活用した事例を紹介します。
いろんな業種で応用できますので参考にしてみてください。
BtoBマーケティングの成功事例.1
MFクラウド(マネーフォワード)
MFクラウドは、個人事業主や中小企業までを対象とした会計ソフトを提供している会社です。
企業が抱えているであろう税金や会計に関連する疑問を解決するコンテンツをサイト上に掲載することで、見込み客を集めています。
見込み客が抱えている課題を解決する情報提供と、ツールを使うことで効率化できる利点を上手くアピールできていますね。
サイト上では、無料トライアルやサービス内容をまとめた資料をダウンロードできるようになっています。
リードナーチャリングとして、実際にサービスを使ってもらうことは最も有効な手段ですね。
無料トライアル中に、有料会員になることのメリットを伝えて定着化も行っています。
BtoBマーケティングの成功事例.2
SEO HACKS(ナイル株式会社)
ナイル株式会社は、企業向けのウェブコンサル事業を行っている会社です。
ウェブ集客に関連するSEOの基本的な知識やQAといったコンテンツを、オウンドメディア(SEO HACKS)に豊富に載せてることで企業担当者と接点を多く作っています。
コンテンツの質の高さと豊富さから、SEOの専門家というポジショニングもできていますね。
集客した見込み客に対して以下のリードナーチャリングを行っています。
- 無料ダウンロード資料
- SEO対策コンテンツ
- 無料動画
- セミナー
- メルマガ
企業のWEB担当者にとって、SEOは最新の情報を追いかけなくてはいけません。
そのため、常に業界の最新情報を提供してくれる同社に対する信頼感は高いものがあります。
企業がコンサルティングが必要になった場合は、すぐに比較検討される企業の1つとなるでしょう。
BtoBマーケティングの成功事例.3
中小企業の工場
中小企業の工場で行っているBtoBマーケティングはユニークな方法です。
自社で製造できる部品の品番を、自社で運営するオウンドメディア上にすべて掲載しSEO対策をしています。
部品の品番で検索したときに、工場のページがトップで表示されるようにしておくのです。
部品の品番で検索する場合、その部品を必要としている企業がいるときです。
他の工場のホームページは、住所や業務内容の紹介などで終わっているため、検索結果に表示されることはありません。
そのため、競合と比較して有利に商談の場まで進むことができるようになります。
【まとめ】BtoBマーケティングの肝は「これから客」の囲い込み
今回は、BtoBマーケティングについて解説をしました。
従来のテレアポや飛び込み営業だけに頼った営業方法は、これからは通用しません。
ニーズのある見込み客を効率良く集めて、将来的に購入する可能性がある見込み客を囲い込むことが重要ですね。
BtoBマーケティングの基本戦略は以下の3つです。
- リード(見込客)獲得
- リードナーチャリング(見込み客育成)
- 商談獲得
リードを効率良く集めるためには、ニーズのあるお客さんが自ら行動してくる媒体を持つことが重要です。
オウンドメディアなどのプル型のメディアを活用して、継続的に質の高い見込み客が集まる手法が効果的といえます。
集まった見込み客はランク分けをして、見込み客に合わせたアプローチを行うようにしましょう。
ランク分けする要素は以下のものが考えられます。
- 見込み客のニーズが高まっている
- 導入予定時期が決まっている
- 予算が合う可能性が高い
他にも必要だと思われる要素を追加してみてください。
そして、購入の可能性が低い見込み客には情報提供に徹する。
購入の可能性が高い見込み客は商談に進めるといった、ランクに合わせたアプローチを行いましょう。
BtoBマーケティングは、見込み客を囲い込むことで効率よく営業活動を行うことができます。
見込み客が多ければ、売上を上げ続けることもできるようになるでしょう。
現状の営業活動では効率が悪い、売上が下がり始めていると感じているようなら、BtoBマーケティングの基本戦略に取り組んでみてください。
売上を上げる上げる方法であれば、「商品の値上げ」も有効です。
相手企業が抱えている課題を理解して、それを解決できる方法を提案できるのであれば、お客さんから反発なく値上げすることができます。
弊社代表の北岡がコンサルしたクライアントの中には、単価20倍に成功した人もいるほどです。
BtoCに限らず、BtoBの現場でももちろん通用するノウハウです。
BtoBマーケティングは見込み客と信頼関係を作り上げる方法でもあります。
信頼関係が出来上がった状態で、商品の価値が正しく伝わっている状態であれば商品の値上げは容易です。
ただし、値上げには正しい手順で行う必要があるため、実際にどのような流れで値上げに成功したのか?についてはインタビュー動画で確認にしてみてください。