今回は、値上げ以外で客単価を上げる方法について解説します。
客単価が低い状態だと、いくら働いても利益が手元に残りません。
薄利多売で経営を続けているといずれ限界がきて会社を潰す、という可能性が高くなりますし実際にそういったケースは多々あります。
そうならないためにも客単価を上げるべきです。
客単価を上げて、手元にシッカリと利益が残るようにしましょう。
客単価を上げるにはもちろん値上げが手っ取り早いですが、実は値上げ以外にも方法はあります。
今回は、値上げ以外の客単価を上げるためのアイディアと客単価アップの実例を紹介します。
スグに客単価を上げたいと考えているなら、今回の記事を参考にして実戦してみてください。
客単価が下がる原因は安易なクーポンや値下げ
客単価が下がる原因は、安易な値下げに走ってしまうことです。
クーポンを発行したり価格を下げることによって、価格に釣られたお客さんを一時的に集めることはできます。
しかし、安さで勝負をしていては利益は残らず薄利多売の状態になってしまいます。
価格で集まったお客様は安さで判断する客層なので、さらに安いお店があればそちらに流れていきます。
これではいつまでたっても経営は楽になりません。
安易な値下げはしないようにしましょう。
値上げせずに客単価を上げる5つのアイディア
値上げ以外の方法で客単価アップするためのアイディアを5つ紹介します。
- 高単価のメニューを増やす
- 関連商品をパッケージにまとめる
- 連商品のクロスセルを行う
- 購入価格によって特典をつける
- クレジットカード払いOKにする
いずれも即実戦できる内容なので参考にしてください。
今回は解説しませんが、値上げも客単価アップに有効な手段です。
値上げで客単価を上げる方法を詳しく知りたい方は値上げを実現するための3つの方法を読んでください。
客単価アップのアイデア1.
高単価のメニューを増やす
高単価のメニューを取り入れる方法は2つあります。
- 松竹梅の商品を用意する
- 新商品を用意する
それぞれについて解説します。
松竹梅の商品を用意する
松竹梅は3つの価格帯の商品を用意する方法です。
例えば下に書いたような商品を用意します。
- 松 10,000円(上位商品)
- 竹 5,000円(通常商品)
- 梅 3,000円(下位商品)
3つの価格帯があるときにほとんどの人は竹を選びますが、一定の割合で高価格帯の松(10,000円)を選ぶ人もいます。
例えば、竹(単価5,000円)だけを販売したときと、松(単価10,000円)も扱ったとき、客単価にどのような変化が起きるかを下に書いてみました。
・竹だけの商品を扱った場合
竹の商品 5,000円 × 10個 = 売上50,000円
合計 50,000円(客単価 5,000円)
・竹と松の商品を扱った場合
竹の商品 5,000円 × 9個 = 売上45,000円
松の商品 10,000円 × 1個 = 売上10,000円
合計 55,000円(客単価 5,500円)
高額商品の松を購入するお客様が1割いたとした場合、客単価は500円高くすることができます。
3つの価格帯を用意するのが難しい場合は松と竹の2種類だけでOKです。
松竹梅の法則について詳しく知りたい方は松竹梅の法則で利益を大幅アップ!やり方と実際の成功事例も紹介!を読んでください。
新商品を用意する
新商品は客単価を上げるために効果的な方法です。
期間限定や数量限定から始めて、反応が良ければ定番メニューに加えるという流れが良いでしょう。
ほとんどの業界でいえることですがお客様は新商品を欲しがっています。
新商品は客単価アップの他に、お客様を飽きさせない目的もあるので定期的に入れましょう。
客単価アップのアイデア2.
関連商品をパッケージにまとめる
関連商品をパッケージ化して売る手法は至るところで見られる方法です。
例えば下に書いたような商品をみたことはありませんか?
- 生活家電セット(新生活応援フェア)
- ゴルフ入門セット
- 釣り道具入門セット
これから始める人がターゲットの商品が多いですね。
お客様からしてみたら何を揃えたらいいのかあれこれ悩まずに一度の買い物で済みます。
お店側としても客単価が上がるため、双方にとってメリットのある取引ですね。
客単価アップのアイデア3.
関連商品のクロスセルを行う
関連商品を勧めて客単価を上げる方法をクロスセルといいます。
マクドナルドでハンバーガーを買うと「一緒にポテトはいかがですか?」と聞かれるのが有名なクロスセルですね。
クロスセルは色んな業種で活用できるセールス技術ですが、気をつけるポイントは2つあります。
- お客様が商品を購入すると決めた瞬間に行うこと
- 購入した商品より割安な商品を紹介すること
クロスセルを行うタイミングは購入を決定した瞬間です。
マクドナルドの例で説明すると、ハンバーガーを購入するタイミングでポテトを勧めるから売れるのです。
食べ終わって帰ろうとしているときにポテトを勧められても買いませんよね。
そして購入する商品よりも割安な商品を勧めることで成功しやすくなります。
- ハンバーガーを買う人にポテト
- 車を買う人にカーナビやオーディオ
- 革靴を買う人に防水スプレー
- 家電を買う人に保証期間延長
いずれも購入した商品よりも割安な商品のクロスセルです。
ほとんどの業界で使えますし即効性があるので、関連商品を扱っているならスグに取り入れましょう。
客単価アップのアイデア4.
購入価格によって特典をつける
購入価格によって特典を付ける手法は良く見かけますね。
たとえば「5,000円以上の買い物は送料無料」と購入価格で特典がつくなどです。
大抵は商品を1つ購入しても送料無料にはならない金額設定にされています。
例えば、4000円くらいの商品を購入しようと考えているお客様がいるとします。
今の金額だと送料で1000円支払う必要があり、合計5,000円ですね。
それだったら1,000円程度の商品をもう1つ購入して送料無料になったほうがお得なのでは?と思わせることが目的です。
送料無料をエサにして購入数を増やし客単価を上げています。
ユニクロの「靴下3足セットで割引」なども、購入価格による特典ですね。
客単価アップのアイデア5.
クレジットカード払いOKにする
個人で経営されている方は未だに現金のみが多いです。
正直これは、機会損失がかなり多いと考えられます。
お客様は常に多くの現金を持ち歩いているわけではありません。
現金は持っていなくてもカードOKであれば支払いは可能です。
カードが使えるなら高額商品も分割で購入できますし、客単価アップも期待できます。
まだクレジットカード払いに未対応なら導入を検討してみてください。
実例紹介!客単価を上げる取り組みや戦略
客単価を上げるための具体的な取り組みを業種別に紹介します。
同業種の取り組みをマネするよりも、異業種の取り組みを参考にすることで新しいアイディアは生まれやすいです。
あなたの業種に取り入れることができる部分がないか考えながら読んでみてください。
客単価を上げる実例1.
アパレル
アパレル業界はクロスセルが使いやすい業界です。
例えば、お客様が何か商品を買う場合も関連商品のクロスセルは沢山あります。
- Tシャツ
- シャツ
- ジャケット
- パンツ
- ベルト
- シューズ
- アクセサリー
これらの関連商品を合わせてバッチリ決まった自分を鏡で確認してもらい、購買意欲を掻き立てることもできます。
クロスセルでどれだけ多くの商品を購入してもらうかが勝負です。
店員のフレンドリーな接客も重要です。
店員のアドバイスが的確で相談しやすい存在であるほど、勧めてくる商品は良いものだとお客様は認識します。
接客が良ければクロスセルの成功率も高くなり客単価を上げることが可能です。
客単価を上げる実例2.
飲食店
飲食店は新商品のおすすめがしやすい業界です。
季節限定の旬な食材を使った料理などがその代表例ですね。
- 季節限定の新商品の紹介
- 料理に合わせた飲み物の提案
こういった提案をホールスタッフ側からできるようになると客単価を上げることができます。
注意点としては、お客様にとって飲食店は利用頻度が高いので価格には敏感です。
例えば、お客様が1人当たりの予算3,000~4,000円程度できているのに、会計で1人6,000円を超えていると「このお店は高いな、もう来るのは辞めとこう」という気持ちになりかねません。
お客様の目線で妥当な金額かどうかを判断する必要があります。
客単価を上げる実例3.
美容室
美容室はメニューの複雑さから、最終的にいくらになるのか分かりづらいことがあります。
そのため、まずはメニュー表をシンプルにわかりやすく認識できるものにしましょう。
- シンプルにわかりやすく
- セットでいくら安くなるかも記載
- メニューを見せながらオプションを勧める
実際に、たったこれだけのことで客単価が上がった美容室があります。
サービス内容と価格が明確になるだけでもお客様の不安を取り除くことができた例ですね。
美容室で物販のクロスセル
美容室のクロスセルの事例として物販があります。
ある美容室ではお店で使っているトリートメントを小分けして、2週間に1回使う高級トリートメントとして販売しています。
美容室でケアしてもらった後のような髪を自宅で再現でき、お客様の半数以上が購入する売れ筋商品です。
トリートメントに限らず物販を絡めることで、手間をかけずに客単価を上げることができるので良い方法ですね。
客単価を上げる実例4.
コーチ・セラピスト
コーチ、セラピストは激安メニューで経営していることが多いです。
10分1,000円程度の価格設定をされているところも多いのでは無いでしょうか。
しかし、それでは労力の割に利益が残りません。
客単価を上げるための施策は2つです。
- 激安メニューを廃止する
- 高額の新メニューを作成する
安さで勝負することは辞めましょう。
割引は上手く使うことで集客することも出来ますが、何の戦略も無い割引は自分のクビを締めるだけです。
「自分の強みを活かしていること」と「他のサロンで提供できてないこと」の2つの要素を取り入れた高額の新メニューを作成しましょう。
そして、商品の価値をお客様にちゃんと伝えることです。
割引を辞めて高額の新メニューを作ったことで、スグに売上が1.5倍に増えたという事例もあります。
価格の安さでよってくるお客様ではなく、あなたの商品に価値を感じるお客様を集めることが客単価アップの近道です。
客単価を上げる実例5.
ECサイト
通販サイトはクロスセルが有効です。
ECサイトのクロスセルはAmazon が分かりやすいですね。
何か商品をカートに入れると他の関連商品が表示され、そこで合わせ買いされれば客単価を上げることができます。
他のファッションサイトでも、靴をカートに入れると「2足目は30%オフになります!」や「8,000円以上で送料無料」といった購入価格による特典で客単価を上げる施策が効果的です。
ECサイトはクロスセルや購入価格の他にも、客単価アップの手法を活かしやすいことが特徴ですね。
客単価アップはお客様の共感が必要
ここまで見ていただいたアイデアと実例の通り、客単価を上げるにはお客様の共感が必要です。
こちらの都合だけを考えて押し売りになってしまっては意味がありません。
お客様にとってメリットがあり「それだったら買いたい」と思わせる提案が必要ですね。
客単価を上げるには、お客様の目線でモノゴトを考えるようにしましょう。
【まとめ】客単価を上げることはお客様のためでもある
今回は客単価を上げるアイディアと実例をご紹介しました。
客単価アップの方法はパターンは決まっています。
- 高額商品を用意する
- 関連商品のパッケージ販売
- 関連商品のクロスセル
- 購入による特典を付ける
- 支払い方法を増やす
あとは客単価を上げていくためにどの方法が有効なのか検討するだけです。
業種別で紹介した客単価アップの取り組みを参考にしながら、自社に合った方法を取り入れてみてください。
客単価アップはお客様の共感があってこそ成り立ちます。
「そのサービスが欲しい」や「それがあると便利」と思ってもらえる提案であれば、抵抗なく受け入れてくれることがほとんどです。
お客様から共感を得られる可能性があるなら、客単価アップの施策をどんどん取り入れましょう。
今回の記事では紹介しませんでしたが、「値上げ」も簡単に客単価アップできる方法です。
お客様に抵抗無く値上げすることが出来たら、それだけで客単価を上げることが可能になります。
3つの事例を知ることで、あなたが抱いている値上げに対する不安を解決することが可能です。
- 価格を上げることが本当に可能なのか?
- お客様からの反発はなかった?
- どのような手順で値上げをするのか?
- 利益だけじゃなく自由な時間を増やすには?
客単価を上げるために重要なのはことは、お客様に共感してもらうことです。
その視点がずれていなければ、客単価アップの施策が大きくハズレることはありません。
今回の記事で紹介した方法と合わせて、値上げの成功事例も参考にしてみてください。