この記事では、エリアマーケティングにおける分析手法やツール、成功事例について解説していきます。
あなたがビジネスを行う本質は、「あなたの商品やサービスを提供して、たくさんの利益を確保し、自分の人生を豊かにするため」ですよね?
そのためには、商品やサービスをできる限り多くの人に提供し、価値を感じてもらい、その対価を受け取らなければ実現しません。
ですから、まずは「あなたの商品」を効率良く届けるための戦略を立てる必要があります。
その一翼を担うのが「エリアマーケティング」です。
エリアマーケティングを行えば、あなたの商品を必要としている「エリア(市場)」がわかるので、無駄な労力をかけずにサービスを販売することができます。
また、逆にエリア(市場)の特徴やニーズがわかれば、提供するべきサービス(=売れる商品)も知ることができ、利益を出しやすくなります。
この記事では、エリアマーケティングの概要や方法だけでなく、成功事例や学ぶ方法まで紹介しています。
エリアマーケティングについて一通り把握したいのであれば、チェックしておいて損はありません。
エリアマーケティング戦略の意味やビジネスに取り入れるメリットとは?
エリアマーケティングとは、「対象地域に特化した商品やサービスを提供することで、効率良く売上・利益を確保していく戦略」を意味します。
市場を単なる商品売買の場として捕らえるのではなく、顧客の日常の生活空間として捉え、そこから商店の存在する場所に特化した経営を展開していくという経営戦略。(中略)店舗によって地域限定の製品が異なっていたり、関東と関西では食料品の味が異なっている場合などもエリア・マーケティングが行われているからである。
引用元:Wikipedia「エリア・マーケティング」
要するに、エリアマーケティングはそのエリアに住む顧客の特性(属性、ニーズ、生活様式など)を掴むことが最大の目的です。
エリアに住む顧客の特性(=エリアマーケティング)がわかれば、
- 自分のサービス(商品)の需要があるエリアはどこかがわかる
- このエリアはどんなサービス(商品)を欲しているのかがわかる
といった2つのメリットを享受できます。
つまり、エリアマーケティングを取り入れたビジネスは「勝ち戦」をするようなもので、より多くの売上・利益をラクに確保できるようになるのです。
とはいえ、競合他社も同じような戦略をとっていることが多いので、しっかりと「差別化」を行う必要もあります。(参考記事:差別化戦略の成功例や活用方法)
これからビジネスを始める経営者はもちろん、すでにビジネスを始めている経営者でも、エリアマーケティングを取り入れる重要性はとても大きいです。
【エリアマーケティングの4つの手法】何を分析、調査すればいい?
エリアマーケティングの具体的な手法に関して、他の情報媒体では調査、分析すべき項目について難しく紹介されています。
しかし、それらを簡素化して紹介するならば、主に以下の4つにまとめられます。
- どんな場所か?
- どんな人が住んでいるか?
- どんなことを考えているか?
- ライバルはいるか?
要するに、エリアマーケティングでは「そのエリアに住んでいる人」と「競合」を詳しく分析する作業です。
「ビジネス」の原則は「人と人の関係性」で成り立っていますから、そこを見落とさないようにしましょう。
エリアマーケティングの手法1.どんな場所か?
エリアマーケティング手法の1つ目は「どんな場所か?」の分析・調査です。
主に以下の項目に関して深く調べていきます。
- 自然環境(気温、地形など)
- 周辺環境(公共施設、商圏エリアなど)
- 風習(祭事、行事)
- 歴史
特に「自然環境」や「周辺環境」の調査には注力したいです。
例えば、「自然環境」について、あなたが「防寒具」を取り扱うビジネスをするのであれば、九州・沖縄圏のような「暖かい地域」より東北圏の「寒い地域」の方が売れやすいです。
また、「周辺環境」について、あなたがスーパーを経営するのであれば、商業施設が密集しているエリアより、住宅地なのにスーパーがないエリアの方が繁盛するのは当たり前です。
このように、対象エリアが「どんな場所なのか?」を知ることは、「人のニーズ」を深く知るための第一歩となります。
エリアマーケティングの手法2.どんな人が住んでいるか?
エリアマーケティング手法の2つ目は「どんな人が住んでいるか?」の分析・調査です。
主に以下の項目に関して深く調べていきます。
- 人口(分布・増減)
- 世代
- 年代
- 年収
- 属性
- 家族構成
- 資産
これらのように、対象エリアに「どんな人が『多く』住んでいるのか?」を把握すると、あなたのサービスは売りやすくなります。
例えば、個人経営の不動産投資家の話では、「都心」と「郊外」では購入対象の不動産が変わります。
どう変わるかというと、一人暮らしの会社員や学生が多く住む都心では「1Rマンション」、3〜4人家族が多く住む郊外では「ファミリータイプマンション(2LDK以上)」の購入を進めるそうです。
その方が、賃貸に出した時に借りてもらいやすくなり、賃貸経営が安定するからです。
他にも、「高級飲食店」を出すなら「富裕層」が多く住むエリアの方がいいですし、整骨院や整体院を出店するなら「高齢者」が多く住むエリアの方が需要があります。
「どんな人が住んでいるか?」がわかれば、「その人たちが求めているサービス」や「自分のサービスが求められるか?」が簡単にわかるので、ビジネスは失敗しにくくなります。
エリアマーケティングの手法3.どんなことを考えているか?
エリアマーケティング手法の3つ目は「どんなことを考えているか?」の分析・調査です。
主に以下の項目に関して深く調べていきます。
- ニーズ(必要としているもの)
- 情報収集の方法
- 価値観
- 習慣
- 消費動向
- ライフスタイル
そのエリアに住む人が「どんなことを考えているか?」「どんなものを欲しているか?」がわかれば、あとはそれに合ったサービスを届けるだけで簡単に売上になります。
例えば、友人や知人、ご近所さんと一緒に「芋煮会」をすることが習慣になっている山形県では、多くのスーパーで「芋煮セット」を売っています。
店内の目立つところに芋煮用の具材を並べ、購入しやすいように工夫しているのです。
芋煮に使う具材をまとめて置いておけば、買い忘れなどリスクを防げますから、売上を最大化することができます。
それだけでなく、芋煮をするための鍋やゴザなどを「貸し出している」スーパーもあります。
山形ではこのようなスーパーが多いので「差別化」にはなっていませんが、またリピートしたくなる仕組みではありますよね。
対象エリアの人々が「日々何を考え、何を欲しているのか?」がわかれば、あとはそれに答えるサービスを届けるだけでお金になりますから、ビジネスは簡単になります。
エリアマーケティングの手法4.競合
エリアマーケティング手法の4つ目は「競合」の分析・調査です。
主に以下の項目に関して深く調べていきます。
- 店舗の配置
- 店舗の作り
- 空いているエリア
- 営業時間
- シェア
対象エリアに住む人々が把握でき、提供したら必ず成功するサービスを用意しても、競合他社がすでに同じことをやっていたらビジネスになりません。
よって、競合を調べ、競合とは違った切り口でアプローチする必要があります。
例えば、最近のファミリーマートは「イートインスペース」に力を入れていて、業界1位のセブンイレブンより顧客が入っている光景を何度も目にします。
競合と違う「店舗の作り」と「顧客のニーズ」を組み合わせたエリアマーケティング戦略で成功している事例の一つと言えます、
また、「空いているエリア(ニーズはあるが競合がいないエリア)」を見つけられれば、そこに出店するだけで一人勝ちすることができます。
実際に静岡県の下田に旅行に行った際、そのエリアでは一軒しかないために、高単価でもお客さんで賑わっているスーパーを発見したことがあります。
どのように競合と違うビジネスをするかを考えるときは、「差別化戦略」を立てるのが効果的です。
「差別化戦略の成功例と活用方法」の記事で詳しく解説しているので、気になる方は確認してみてください。
エリアマーケティングで事業を成功させた「ある美容院」の事例を紹介!
エリアマーケティングを行ったことで、事業を成功させている「ある美容院」の事例を紹介します。
その美容院は、出店前に対象エリアの「エリアマーケティング」を行なったことで、予約が取れないほどの美容院へと成長しました。
具体的には、美容院の経営者は、主に以下のような「エリアマーケティング」を行いました。
- 乗降客数の多い駅を抽出
- 駅近エリアでテナントを探す
- 駅に一日中張り付いて、乗降客の属性を把握する
- 競合調査(メニュー、単価、営業時間、事業スタイル、店舗の作りなど)
- 顧客ニーズの調査
これらを行なって見つけ出した答えは、
- 人通りは多いが美容院が少ない
- 競合は、一人の顧客に対して複数の美容師で分業している
- 競合の単価は安めで高級感がない
というものでした。
ですから、この経営者は「初めから終わりまで一人のお客さんに対応する(同時進行しない)」というスタイルをとり、その分単価を上げて「高級感」で勝負しようと決めたのです。
また、この経営スタイルは「顧客」ニーズを捉えたものだったので満足度が高く、自然と口コミでお客さんを紹介してもらえる連鎖が生まれる結果となりました。(参考記事:口コミ効果を科学的に検証!)
その結果、今では新規のお客さんが予約できないほど人気の美容院となりました。
あなたが起業前で、事業を高確率で成功させたいと思っているなら、エリアマーケティングは必ず取り入れるべき施策といえるでしょう。
もちろん、すでにビジネスを開始している経営者も一度見直してみるべきです。
エリアマーケティングが簡単になる4つのツールを比較!【無料ソフトあり】
エリアマーケティングを行う際に使えるツールは、主に以下の4つです。
TerraMap | 商圏分析に必要な機能とデータを備えたエリアマーケティングGIS(地図情報システム)の決定版。
全国地図、国勢調査データ、分析レポート帳票機能、各種商圏分析機能が使える。 特にワンクリックで商圏分析レポート(サンプル)を出してくれるのは便利。 価格は「380,000円」。 |
MarketAnalyzer | エリアマーケティングGISのスタンダードモデル。約2000社が導入。
国勢調査などの統計情報と自社店舗情報などの保有情報をデータベース化し、地理的に集計や分析を行うことができる。 主に、「新規出店時の商圏調査」「既存店分析」「顧客分析・販促エリア分析」「比較分析」が可能。(サンプル) IT製品の比較サイト「ITトレンド」にて、ユーザーから最も問合せが多かった製品として年間ランキング1位を獲得している。 初期費用「550,000円」、月額「100,000〜300,000円」。 (参考:技研商事インターナショナル株式会社「MarketAnalyzer」) |
jSTAT MAP | 総務省統計局が提供している「統計GIS」。政府が取得した統計データを地図上で見ることができる。いわば「地図で見る統計」。
国税調査から人口動態、経済センサスなど様々な統計データを出すことができるツールです。 料金はかからず、誰でも「無料」で使えます。 (参考:e-Stat「jSTAT MAPを始める」) |
RESAS(地域経済分析システム) |
産業構造や人口動態、人の流れなどの官民ビッグデータを集約し、可視化するシステム。 経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供しています。 人口や地域経済循環、経済構造などが地図上で色別に可視化されて表示されるので、今の日本の経済状況が一目でわかります。 こちらも「無料」です。 (参考:RESAS「地域経済分析システム」) |
無料のソフトだと日本全体や都道府県までの統計データが見れ、有料のソフトだと市町村まで細かく情報が把握できます。
まずは無料ソフトで試してみて、「自分のビジネスはもっと細かいエリアまで調べる必要がある」と感じたのなら、有料版を検討するといいです。
すでに紹介した成功事例のように、ツールを使わなくてもエリアマーケティングは可能ですが、ツールを使えばもっと専門的な情報を元にマーケティングが可能です。
エリアマーケティングを学べるおすすめの本や書籍やセミナーは?
エリアマーケティングについて学べる本や書籍、セミナーを挙げるとするなら、以下の2つです。
エリア・マーケティングアーキテクチャー 岩田貴子著(日本大学商学部教授) エリアマーケティングという理論の誕生から最新情報まで学べる1冊。エリアマーケティングについて事例なども踏まえて多角的に伝えている。 エリアマーケティングについて伝える本は少ないが、読みやすく、わかりやすいとの評判あり。 |
マップマーケティング株式会社の「無料セミナー」 エリアマーケティングのツール「TerraMap」を提供しているマップマーケティング株式会社は、
など、エリアマーケティングに関して様々な角度から伝えるためのセミナーを「無料」で開催しています。 「TerraMap」を提供しているエリアマーケティングのプロ集団が開催するセミナーなので、情報の質は高いと言えるでしょう。 |
ご紹介した本やセミナーに一通り触れておけば、「エリアマーケティング」に関する知識はある程度身につきます。
ただ、その知識をあなた自身で実際のビジネスに落とし込み、結果を出せるかは別の話です。
というのも、本やセミナーでは一般論しか学べないからです。
膨大な情報の中から、あなたの会社に適した行動案導き出し、自ら「検証・改善・取捨選択」していくのは大変な作業です。
それなら、実際にエリアマーケティングを仕掛けて成功に導いているコンサルタントから、あなたのビジネスに合ったアドバイスを受けた方が、結果が出るのは早いです。
「エリアマーケティングを取り入れて早急に売上を伸ばしたい」と思っているなら、弊社代表北岡のコンサルティングを活用してみてください。
北岡はこれまでに何百社ものコンサルに携わり、実際に相談者の売上を「20倍」にした実績があります。
本やセミナーで学ぶのもいいですが、最短で利益につなげたいならコンサルを活用した方が確実です。
【まとめ】エリアマーケティングで勝ち戦!効率的に利益アップを!
エリアマーケティングを徹底して行えば、ビジネスにおいて「勝ち戦」をするようなものです。
なせなら、エリアマーケティングは「お客さんの求めるサービス」と「競合」を調べ尽くす作業だからです。
この2つを知っておけば、「売れる商品を誰にも邪魔されずに売ることができる」ので、売上・利益が伸びないはずがありません。
具体的な手法については、以下の4つの項目を調査・分析することをご紹介しました。
- どんな場所か?
- どんな人が住んでいるか?
- どんなことを考えているか?
- ライバルはいるか?
ビジネスは「人と人の繋がり」で成り立っています。
ですから、「そのエリアにはどんな人が住んでいて、どんなことを考えているのか?」を掴むことがポイントとなります。
エリアマーケティングを知っておけば、あなたのビジネスが成功する確率は高まりますから、取り入れない手はありません。
とはいえ、実際にあなたのビジネスへ落とし込むとなると、何からどのようにエリアマーケティングを行えばいいかわからないですよね。
この記事で解説しているのはあくまでも「一般論」ですから、そう思うのは当然の話です。
ここで見切り発車で進めても構いませんが、着手する方法や順序を間違えると、無駄な努力になるだけです。
もし、正しい手順で正確に「エリアマーケティング」を行いたいと思うなら、弊社代表北岡のコンサルティングを検討してみてください。
北岡は今までに1000社以上の中小企業のコンサルをしており、成功率は「93.8%」を誇っています。
実際にコンサルを受けた企業の中には売上を「20倍」にした事例もあります。
その中の成功事例も踏まえてエリアマーケティングのアドバイスができるので、高い確率で実利につながりますし、何より結果が出るのは早いです。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。