今回はビジネスや恋愛でよく活用される「ザイオンス効果」について、マーケティングで活かすという観点から解説していきます。
ザイオンス効果は、相手に好感を持たせるために役立つ心理法則です。
ザイオンス効果を理解し、上手く活用すれば、取引先や顧客との関係性をより良い形にしたり、自社の商品に好感を持たせたりすることができます。
ビジネスにおいて、人との関係性はとても大事なものです。
人脈という意味でもそうですし、顧客との関係性という意味でもそうですね。
そのためザイオンス効果を活用して好感を持ってもらうということは、実は利益にも直結する大事なことであると言えるわけです。
そこで今回は「ザイオンス効果」をビジネスやマーケティングで活かすために、以下のような内容でお話しをさせていただきます。
- マーケティングにおけるザイオンス効果とは
- ザイオンス効果のメリット、目的
- ザイオンス効果の注意点
- ザイオンス効果の活かし方を事例で解説
- ザイオンス効果は利益率向上にも使える
ザイオンス効果を上手く活用して、営業や広告の効果を最大化させましょう。
マーケティングにおけるザイオンス効果とは
ザイオンス効果とは、「何度も繰り返して接触することで好感度が上がる」という心理学に基づいた法則のことです。
アメリカの社会心理学者であるロバート・ザイアンス氏によって提唱されたもので、「単純接触効果」や「ザイアンス効果」という言い方もします。
(参考:Wikipedia_ロバート・ザイアンス)
たとえばとくに気に留めていなかった商品でも、何度もCMで目にしているうちにいつの間にか気になっていたという経験がないでしょうか?
もしくは営業マンに対して、何度も会って話をするうちに打ち解け、好感を持つようになるという経験はないでしょうか?
このように、何度も目にしたり会ったりするうちに好感を持つという心理学的な傾向を「ザイオンス効果」といい、実際にさまざまな場面で活用されています。
あなたも上手く活用すれは、ビジネスやマーケティングのさまざまな面で優位に立つことができるはずです。
ザイオンス効果のメリット、目的
ザイオンス効果を活用すること得られる大きなメリットは、営業活動を有利に運ぶことができるようになるという点です。
たとえば何度も営業先を訪問して好感を持ってもらうことができれば、顧客に対しては商品が売りやすくなりますし、ビジネスパートナーに対して何度も会うようにすれば、それだけ信頼関係を構築することができます。
顧客やビジネスパートナーとの関係性が良好になれば、ビジネスが非常にやりやすくなるはずです。
そして営業活動に活かせるということは、CV率の向上にも繋がるということです。
対面での営業はもちろん、メルマガや動画でも、何度も目にすることで売り手への好感度が上がり、売り込みをかけたときに売れる確率が上がるわけですね。
このようにザイオンス効果には、営業や販促において無視できないメリットが存在しています。
ザイオンス効果の注意点
ザイオンス効果には以下のように3つの注意点があります。
- 場合によっては逆に嫌われてしまう
- ザイオンス効果の回数には上限がある
- 時間をかけすぎると効果が薄くなる
これらについて注意をしないと、ザイオンス効果を狙った施策が逆効果を生み、顧客や取引先から嫌われることになってしまうかもしれません。
1つずつ詳しく解説していくので、逆効果にならないようにしっかりと理解しておきましょう。
ザイオンス効果の注意点1.
場合によっては逆に嫌われてしまう
ザイオンス効果は上手く活用すれば好感を抱かせることができる心理法則ですが、やり方を間違えると逆に嫌われてしまう可能性もあります。
なぜかというと、元から嫌いなものだったり、アプローチの仕方が良くなかったりする場合は、回数を重ねられれば重ねられるごとに嫌気がさしてしまうからです。
たとえば、どうしても気が合わない人と何回も会うとなると、会うたびにどんどん嫌になってしまいませんか?
もしくはうっとうしい宣伝を何回も見せられれば、その商品に対して嫌悪感を覚えることもあるのではないでしょうか。
ザイオンス効果はあくまでも、プラスの状態や0の状態から好感度を上げていけるものです。
明らかにマイナス状態からのスタートだったり、相手にマイナスな印象を与えるような関わり方をしてしまったりすると、ザイオンス効果が逆効果を生みだしてしまうので注意してください。
ザイオンス効果の注意点2.
ザイオンス効果の回数には上限がある
ザイオンス効果は繰り返せば繰り返すほど良いというわけではなくて、効果を発揮する回数に上限があります。
基本的に、10回以上の接触についてはイメージの向上が起こらなくなるとされているのです。
そしてザイオンス効果には、「セブンヒッツ理論」というものもあります。
これは、7回の接触によってユーザーの購買意欲が高まるということを意味した理論です。
このことからザイオンス効果を狙って複数回接触をする場合は、7回~10回の範囲で行うと効果的であると言えます。
ザイオンス効果を狙う場合は、接触回数についても気を配るようにしましょう。
ザイオンス効果の注意点3.
時間をかけすぎると効果が薄くなる
ザイオンス効果には時間をかけすぎると効果が弱くなるという特徴があるので、活用するなら短期間で一気に接触回数を重ねるべきです。
なぜなら、あまり期間を空けて回数を重ねても、相手の印象に残らないからです。
相手の印象に残らなければ、相手の中で「複数回の接触」と認識されにくくなり、ザイオンス効果が発揮しなくなるわけですね。
たとえばテレビCMが短期間で何回も同じものを流すのも、短期集中で視聴者に意識させたいという狙いがあります。
ザイオンス効果には回数の上限があるからできるだけ間を空けてじっくりいった方が良いと勘違いする人もいますが、それでは逆効果になってしまうので注意しましょう。
ザイオンス効果の活かし方を事例で解説
ここからはザイオンス効果をどのように活かせば良いのか、事例を交えて紹介していきます。
- 対面営業で活用する
- ステップメールなどで活用する
- 広告で活用する
- コンテンツの配信
- 人脈の形成
あなたのビジネスでも応用できるはずなので、ぜひ参考にしてください。
ザイオンス効果を活かす方法1.
対面営業で活用する
ザイオンス効果のもっともわかりやすい活かし方は、対面営業を繰り返して好感を抱かせるというものです。
何度も訪問先に顔を出すことで信頼関係を作り、好きになってもらってから売り込みをかけるという手法ですね。
たとえば、営業先に行ってもいきなり営業をかけずに、まずは何回か雑談だけして帰るという営業マンがいます。
そして相手が自分に好感を抱いたタイミングで商品を売り込むことで、CV率を上げるのです。
このように対面でザイオンス効果を活用するというのが、もっともわかりやすく、効果の高いやり方であると言えます。
その高い効果性から、ビジネスだけでなく恋愛でもよく用いられる手法ですね。
ザイオンス効果を活かす方法2.
ステップメールなどで活用する
ステップメールやLINEステップを使ったセールスでも、ザイオンス効果は活用できます。
というのも、ステップメールなどは回数を重ねるという意味では、すでにザイオンス効果を活用しているようなものだからです。
そこで、さらにザイオンス効果を意識して以下のようなことを考えると、よりザイオンス効果が効力を発揮し、CV率が上がる可能性があります。
- セールスをかけるまでは集中的に配信する(1日1回など)
- ザイオンス効果が表れるとされる7回~10回目の配信以降にセールスをかける
実際にメルマガなどに登録してみると、このようなことを意識してステップメールを組んでいる事例は多いです。
対面でなくても相手の役に立つ情報を発信していれば、回数を重ねるごとに好感度や信頼度が増すということですね。
ザイオンス効果を活かす方法3.
広告で活用する
広告を出稿するときも、ザイオンス効果は意識するべきです。
人は気になる商品の広告をみかけると、回数を増すごとにより興味を惹かれていきます。
そのため広告を出稿するときは、限られた広告費を少しずつ長期に渡って使うのではなく、短期集中で一気に使って、広告を何回も目にするような状況を作り出した方がより効果性が高くなる可能性が高いのです。
たとえば、テレビCMなんかがわかりやすい事例ですね。
あれは何度も流すことで、視聴者の興味を引いています。
そのため同じ番組の枠内で、同じCMを何回も放送するわけですね。
広告費の限られた中小企業だからこそ、できるだけインパクトのある広告出稿を行いましょう。
ザイオンス効果を活かす方法4.
コンテンツの配信
YouTubeなどでコンテンツを配信する場合も、ザイオンス効果を意識することでよりファンを作り出すことに繋がります。
どういうことかというと、1週間に1度70分の動画を投稿するより、1日に1回10分の動画を投稿する方がザイオンス効果が働き、視聴者に好きになってもらいやすくなるのです。
実際、有名なユーチューバーの中には、「週に最低3回、できれば1日1回は動画投稿をするべき」と明言している人もいます。
そうすることでユーザーの視聴習慣を作ることができ、短期間で何度も動画を見ているうちに、どんどん自分のことを好きになってもらえるというわけですね。
つまり、コンテンツを配信する場合は完成度を高めて一気に放出するより、短いスパンで定期的に出していった方が結果的にファンを作りやすくなるということです。
中小企業にとって、会社のファンを作るという意識は非常に重要であると言えます。
だからこそザイオンス効果を活用し、より自社のことを好きになってもらいましょう。
ザイオンス効果を活かす方法5.
人脈の形成
ザイオンス効果は人に好きになってもらうために活用できるものなので、当然、人脈形成にも大いに役立てることができます。
もしどうしても仲良くなっておきたい人がいたら、何回か会う機会を作りましょう。
たとえばザイオンス効果で考えると、単発のセミナーや会食だけで仲良くなろうとするより、それを足掛かりに次に会う約束をした方が良い関係を築きやすくなる傾向があります。
つまり、最初に会ったときの目標を「仲良くなる」ではなく、「もう1度会う機会を作る」というふうに設定するべきだということですね。
実際ザイオンス効果は抜きにしても、複数の人がいる場で仲を深めようとするより、1対1でゆっくり話せる機会を設けた方が仲良くなれるはずです。
「どうしてもこの人とは仲良くなっておきたい」という場合は、できるだけ会う機会を増やすと良いでしょう。
ザイオンス効果は利益率向上にも使える
ザイオンス効果は上手く使えば、利益率を向上させることにも活用できます。
なぜならあなたやあなたの商品の好感度が上がれば、その分お客さんが価値を感じやすくなるからです。
商品の価格は商品が持つ価値ではなく、お客さんが感じた価値によって決まります。
たとえば原価が100万円かかっていようとも、お客さんが価値を感じていなければ価格を上げることはできません。
しかし一方で、原価が10円であっても、お客さんが価値を感じていればそれだけ価格を上げることができるのです。
そして商品の価格を上げれば、その分は単純に利益増となります。
つまり、利益率が上がるわけです。
ここから言えるのが、利益を上げるためには「いかにお客さんに価値を感じてもらえるか」というところが非常に重要であるということですね。
実際、治療院を経営している方で、施術のたびにお客さんにサービスの価値を伝えたことで価格を20倍にまで上げた事例があります。
もちろん、元々それに見合う価値があったというのが前提ではありますが、それでも価値の伝え方によって商品の価格は大きく変わってくるのです。
その治療院の経営者さんは、価格を上げたことで金銭的、時間的な余裕が生まれ、さらにサービスを向上させるという好循環を生み出すことに成功しました。
現在オクゴエ! では、この治療院経営者さんの事例も含めて、3件の価格アップに成功した事例を紹介しています。
もし現状の利益率に不満を感じていたり、金銭や時間の余裕がないと思っていたりする場合は、ぜひ1度確認してみてください。
価格アップに成功した要因もお話ししているので、あなたの会社でも参考にしていただけるはずです。
お客さんとの関係を上手く深めて、利益率の向上に繋げましょう。
【まとめ】ザイオンス効果を上手に活かせば利益が上がる
今回は接触回数によって好感度が上がるという「ザイオンス効果」について解説をしてきました。
もともと心理学の言葉で、恋愛なんかでもよく利用されるものですが、ビジネスやマーケティングにおいても活用することができます。
実際、営業マンやテレビCM、ステップメールなんかは、このザイオンス効果を意識しているケースが非常に多いです。
そしてザイオンス効果を上手く活用すれば、利益率の向上を図ることもできます。
なぜなら商品の価格はお客さんが感じてくれた価値で決まるため、ザイオンス効果を活用してお客さんの好感度を上げることで価格が上げられるようになるからです。
価格が上がった分は、そのまま利益を上乗せすることになります。
ザイオンス効果はビジネスをするうえで必ず知っておきたい心理法則です。
上手く活用して、人から好かれる経営を心掛けましょう。