三現主義、5ゲン主義の意味とは?ホンダやトヨタも掲げている経営哲学を解説

鷲津晴人
三現主義の意味とは

今回お話しするのは、あのホンダやトヨタも重要視している「三現主義」、「5ゲン主義(5現主義)」についてです。

 

最近はネットによる通信環境が充実してきたことにより、ほとんどのことをパソコンやスマホ上で管理できるようになっています。

会議にしても、Skypeやzoomのテレビ電話機能を使えば自宅から参加することだって可能です。

 

しかしビジネスにおいて、それだけでは見えてこないこともあります。

その見えてこないことを見るために重要視されているのが、今回お伝えする三現主義、5ゲン主義です。

 

三現主義、5ゲン主義の理念をしっかりと理解すれば、机上の空論ではない、地に足の着いた問題解決や改善をすることができるようになります。

インターネットの普及によって多くの経営者が現場を軽視してしまっている今だからこそ、三現主義、5ゲン主義の理念を学び、ビジネスに活かしてみてください。

結果それが競合他社との差別化に繋がり、売上が上がることだってあり得ます。

 

今回の記事では三現主義、5ゲン主義について、主に以下のことをお話ししていきます。

 

  • 三現主義の意味とは?
  • 5ゲン主義の意味とは?
  • 三現主義、5ゲン主義を重要視したビジネスの成功事例

 

何度も言いますが、三現主義、5ゲン主義はあのホンダやトヨタが重要視している理念です。

なぜあれほどの大手が重要視しているのか、その理由をぜひ知っておいてください。

 

 

三現主義の意味とは?

三現主義とは、もともと問題解決をするさいのスタンスを表す言葉でした。

何か問題が起こったさいには机上の空論で話を進めるのではなく、以下の3つのことを重要視するべきだという考え方です。

 

  1. 現場」に出向くこと
  2. 現物」に直接触れてみること
  3. 現実」を見ること

 

この「現場」、「現物」、「現実」の3つを相称して三現主義と呼んでいます。

三現主義の理念は、主に生産分野での品質管理などで重視される考え方です。

 

たとえばあなたが大きな工場を経営していると考えてみてください。

そして、想定以上の不良品が出てきてしまっている状況だとします。

あなたは問題を解決しなければいけないと思い、現場責任者に原因の特定を指示しました。

すると現場責任者は、「生産機械が古いことが原因だ」と返してきたのです。

そこであなたは多大な予算をかけて生産機械を新調しました。

ところが不良率は一向に下がりません。

そして結果的に、生産機械の新調で多大な資金を使ってしまったあなたの会社は倒産してしまったのです。

 

……これは、三現主義を重要視しなかった場合の例です。

しかしもし仮に、あなたが三現主義を重要視していたならどうなっていたでしょうか?

 

たとえば現場責任者に原因の特定を指示するだけでなく、あなた自身が生産現場に足を運んでいたとします。

そして、不良品の現物をその目で確認しました。

すると明らかに機械の不調では現れないような不良が出ていたのです。

そこであなたは、従業員の作業態度を見てみることにしました。

すると、現場管理者が従業員をまったく管理できていないという現実を知ることになったのです。

つまり不良品の原因は「機械」ではなく、「人」にあったということに気づけたわけですね。

 

これが三現主義を重要視した場合の例です。

もちろん現場に行った結果、本当に機械の不調であったという場合もあり得ます。

しかしそれはあくまでも結果の話であり、実際にその目で見て原因を特定しているかどうかというところに大きな意味があるのです。

 

さらにこの三現主義の考え方は他分野のビジネスでも同様に重要だということで、生産分野以外の経営者でもたくさんの人が重要視しています。

というのも三現主義は、問題解決だけでなく、問題を未然に防いだり商品やサービスを改善したりすることにも有効な考え方だからです。

 

だからこそあなたが経営者であるのなら、三現主義という考え方についてはぜひ知っておいてほしいと思います。

 

 

なぜホンダやトヨタは三現主義を重要視するのか?

ホンダやトヨタといった大企業が三現主義を重要視するのには理由があります。

 

たとえば本田技研工業株式会社の代表取締役社長である八郷隆弘氏は、独自性を追求するホンダだからこそ市場のニーズから外れてしまわないように、実際に現場に足を運ぶことが重要なのだと言っています。

つまり三現主義を意識しなければ、ホンダは独自性を持った企業ではなく、ただの独りよがりな企業になってしまうと言っているのです。

 

また、トヨタ自動車の創設者である豊田喜一郎氏は「現場で考え、研究せよ」という言葉を残しています。

「机上の空論では何も生まれない。現場に立つからこそ良いアイディアが生まれ、物事が進む」という意味です。

トヨタはこの理念の基、世界的な自動車企業へと成長することができました。

そのためトヨタの生産方式は、今でも三現主義を重視した形になっているのです。

 

このようにホンダとトヨタは、三現主義によってそれぞれの強みを活かし、大企業へと成長を遂げました。

三現主義は、ホンダとトヨタを支える考え方の1つであると言っても過言ではないのです。

 

大企業のビル

 

 

三現主義から進化した5ゲン主義(5現主義)とは?

5ゲン主義(5現主義)とは、ここまでに説明した三現主義の「現場」、「現物」、「現実」に加え、「原理」、「原則」を重要視した考え方です。

わかりやすくまとめると以下のようになります。

 

  1. 現場」に出向くこと
  2. 現物」に直接触れてみること
  3. 現実」を見ること
  4. 原理」を理解すること
  5. 原則」を知っておくこと

 

ちなみに5ゲン主義における原理と原則の意味は以下のとおりです。

 

  • 原理 → 物事が成り立つ法則やメカニズム
  • 原則 → 多くの場合に当てはまる規則や決まりごと

 

たとえばビジネスをする場合、ライバルの多い市場で商品を売ってもなかなか売れませんが、ライバルのいないブルーオーシャンで商品を売ればたくさん売れます。

これは需要と供給のバランスによるものです。

つまり、供給の方が多い市場ではなかなか商品が売れなくて需要の方が多い市場では商品がよく売れるという法則が成り立ちます。

これがいわゆる原理です。

 

あともう1つ、今度はクレープ屋さんを始めようとしたとき、男子校の前と女子校の前のどちらに店を構えた方が良いかを考えてみてください。

この場合、ほとんどの人が女子校の前に店を構えるべきだと考えると思います。

なぜなら、クレープを買うのは圧倒的に女子だからです。

もちろんクレープが嫌いな女子もいますし、逆にクレープが好きな男子もいます。

しかし多くの場合、女子はクレープが好きで男子はそうでもないという規則性が当てはまるはずです。

これがいわゆる原則です。

 

最近は三現主義だけでなく、この「原理」、「原則」を足した5ゲン主義を重要視すべきだという声が挙がっています。

ちなみに5ゲン主義を提唱したのは、『5ゲン主義 現場管理者の心得』の著者でもある古畑友三氏です。

 

三現主義だけでなく、「それがなぜ成り立つのか」、「多くの場合どういう結果になるのか」ということを理解しておけば、より問題解決や改善に役立てることができるというわけですね。

 

 

三現主義、5ゲン主義を重要視したビジネスの成功事例

ここからは三現主義、5ゲン主義を重要視して成功した2つの事例を紹介していきます。

 

  1. カレーハウスCoCo壱番屋
  2. 炭火焼肉たむら

 

それぞれがどのような形で成功を収めたのか、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

三現主義、5ゲン主義による成功事例1.
カレーハウスCoCo壱番屋

今でこそ有名なカレーハウスCoCo壱番屋(通称ココイチ)が成功した要因は、三現主義の中でもとくに「現場主義」にあります。

というのももともとココイチは、名古屋市郊外にある普通の喫茶店だったのです。

喫茶店で提供していたカレーがかなり人気だっためカレー屋に転身したという経歴があります。

そのためココイチは当初、カレー屋としてのノウハウを一切持っていない状態でした。

多くの問題も起こり、最初の1年2年は本当に苦しい思いをしたそうです。

 

ではそんなココイチがどのように業績を好転させたのかというと、「現場主義」、「お客さま第一主義」、「率先垂範」の3つを貫き通したことが要因でした。

※率先垂範(そっせんすいはん)=リーダーが率先して手本を見せ、自ら模範となること

 

問題が起こったり悩んだりしたときには、現場にその答えの糸口がある」という考え方を貫き通し、とにかく現場とお客さんに目を向け続けたのです。

 

結果、今やココイチはカレー屋さんと言えばまず名前が挙がるような大企業に成長しました。

問題解決や成長の糸口は、いつだって現場にあるものなのです。

 

 

三現主義、5ゲン主義による成功事例2.
炭火焼肉たむら

炭火焼肉たむらを大繁盛に導いたことで有名な芸人たむけんことたむらけんじ氏は、「成功の秘訣は自分が店(現場)に顔を出したことにあると語っていました。

と言っても、客寄せの意味で顔を出していたわけではありません。

たむらけんじ氏は経営者ががお店に直接顔を出すことによって、以下のようなメリットがあると語っていたのです。

 

  • 常に現場にいる従業員では見えないものが見える
  • 従業員の空気を引き締めることができる

 

とくに注意が必要なのが、現場にずっといる人間では気づけないことが現場に眠っている場合があるということです。

そのため現場管理者から上がってくる報告書を読んでいるだけでは、経営者は問題の本質を見抜けないことがあります。

だからこそときには経営者自らが現場に赴き、現物と現実をしっかりと把握することが大事なのだと言えるわけです。

 

またたむらけんじ氏は、原理原則に基づいた方法でお店のアピールをすることにも成功しています。

どうやったのかというと、芸人仲間に「ウチの焼肉屋をマズイとボロクソに言ってもええよ」と言ったそうなのです。

普通、「自分のお店を宣伝してほしい」と頼めば、多くの人が顔をしかめるうえに、頼んだ側が恩を返す立場になってしまいます。

しかしたむらけんじ氏のやり方の場合、むしろネタを芸人仲間に提供することになったわけです。

そうなればこぞってネタにするのが芸人の原則であると言えます。

さらに言えば、芸人がマズイとネタにしたからといって、お店の評判が落ちることもないと考えられるのです。

なぜなら、芸人はそもそもそういった冗談を言う仕事をしているからです。

そのため、芸人の言うマズイという情報を真に受ける人はかなり少ないのではないか、と予想できます。

 

つまりたむらけんじ氏は、芸人の仕事の原理原則を利用して、自分のお店の認知度を爆発的に上げたわけですね。

 

 

問題が起こったときこそ三現主義、5ゲン主義に立ち返るべき

もしあなたのビジネスで何か問題が起こっているようなら、三現主義、5ゲン主義に立ち返って対策を考えてみるべきです。

実際に弊社のクライアントには、現場のスタッフと一緒に対策をとることで業績を大きく好転させた事例があります。

 

加藤さんの事例

 

業績を大きく好転させたのは、英会話学校を経営している加藤さんという方です。

加藤さんは、忙しいはずなのに自分たちの給料すら確保できない現状に大きな問題を感じていました。

そこで加藤さんが取った行動は、現場の状況を詳しく理解することだったのです。

すると、スタッフの中には生徒さんから頼まれて個別対応をしている人がたくさんおり、想定以上の仕事量になっているという問題を発見しました。

つまり現場では、もらっているお金以上のサービスを提供してしまっていたのです。

これでは労力が足りず、利益率も下がってしまいます。

問題を突き止めた加藤さんは現場のスタッフと一緒に対策を練り、過剰なサービスをしなくなったことによって、平均単価2倍、利益3倍、成約率1.5倍という見事な数字をたたき出すことに成功したのです。

加藤さんの経営する英会話学校の場合、文字通り問題が現場に眠っていたわけですね。

このように解決策のわからない問題がある場合は、1度あなた自らが現場に足を運び、現物や現実をその目で確認してみてください。

そうすることで問題解決の糸口を発見できる場合があります。

 

 

【まとめ】ネットが発達した今だからこそ三現主義、5ゲン主義は重要

今回はホンダやトヨタも掲げる経営哲学、三現主義、5ゲン主義についてお話をさせていただきました。

 

通信技術が発達した現在、経営者の多くがこの3現主義、5ゲン主義を忘れ、効率だけに目を向けています。

確かに発達した通信技術はどんどん利用すべきですし、効率を重視するのも大切な考え方です。

しかしそれと同じくらい、三現主義、5ゲン主義の考え方も重要だと言えます。

なぜなら「現場」で実際に「現物」を見なければ、本当の「現実」が見えてこないからです。

ネットが発達し、効率化が進んだいまだからこそ三現主義、5ゲン主義はとても重要な考え方であると言えます。

もしあなたが現場に久しく目を通していないというのなら、ぜひこの機会に1度現場に足を運んでみてください。

今まで見えていなかったものが見えるようになるかもしれませんよ。

 

 

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