サブスクリプションビジネスのメリットと導入条件とは?成功事例を解説

鷲津晴人
サブスクリプションビジネスとは

今回は「サブスクリプションビジネス」について解説をしていきます。

 

昨今、新しいビジネスモデルとして注目されているのがサブスクリプション方式です。

今後はサブスクリプションビジネスがどんどん増えていくと予想している人も多く、経営者の間ではトレンドになってきています。

つまり、サブスクリプションビジネスの意味やメリットを知っておかないと時代に取り残されてしまう可能性があるということです。

 

そこで今回はサブスクリプションビジネスについて、以下のことを説明していきます。

 

  • サブスクリプション方式のビジネスモデルとは?
  • サブスクリプションビジネスのメリットとデメリット
  • サブスクリプション方式を導入する条件
  • サブスクリプションビジネスの市場規模について
  • サブスクリプションビジネスの成功事例
  • サブスクリプションビジネスで使える決済代行サービス

 

サブスクリプションビジネスについてしっかりと理解して、時代の流れに対応しましょう。

 

 

サブスクリプション方式のビジネスモデルとは?

サブスクリプション方式のビジネスモデルとは、使用した期間や使用量に応じて料金が発生するという方式で行うビジネスのことです。

 

たとえば自動車の場合、普通にお金を払って購入する場合は売り切り型のビジネスとなります。

一方、IDOM(ガリバー)が運営する「NOREL(ノレル)」というサービスは車のサブスクリプションサービスで、月額利用料を支払うことでその期間の自動車利用権を得ることができます。

つまり、短期間のリース契約を結ぶイメージです。

ちなみにこの車のサブスクリプションサービスには、あのトヨタも「株式会社KINTO」という子会社を設立して参入すると明言しています。

 

このように、売り切るのではなく期間や利用量を定めた利用権を売るのがサブスクリプションビジネスです。

これからは「所有する時代から利用する時代に変わる」とも言われており、サブスクリプションビジネスが大きな注目を集めています。

 

 

サブスクリプションビジネスのメリット、デメリット

サブスクリプションビジネスには、売り切り型ビジネスと比べてメリットもデメリットも存在しています。

 

まずメリットについては以下のとおりです。

 

  • 安定した継続収益が望める
  • 新規顧客の参入障壁が低い
  • 客離れが起こりにくい
  • 顧客の評価を見ながら商品の改善をすることができる

 

サブスクリプションビジネスの場合継続的な利用が前提となるため、利用者が増えればあるていど安定した収益を見込むことができます。

また1回1回の支払い額が多くならないため、新規顧客が気軽に手を出せるというのもメリットの1つですね。

さらに継続的な利用が前提ということは、その分客離れも起きにくくなっています。

そしてもう1つ、サブスクリプションビジネスは売り切り型と違ってずっとお客さんと接していくことになるため、顧客の評価を随時確認することが可能です。

顧客の声を細かく聞くことができれば、商品の改善や開発をするさいに失敗するリスクを大幅に下げることができるでしょう。

 

ただしサブスクリプションビジネスには、以下のようなデメリットも存在しています。

 

  • あるていどの収益があがるまでに時間がかかる
  • 継続利用してもらえなければ収益性がかなり低い
  • 継続的にお客さんと関わるため、手間が増える

 

サブスクリプションは初回支払い額が少ないため、サービス開始当初のまだお客さんが少ない時期にはかなり低い収益となってしまいます。

またプロモーションに力を入れてたくさんの新規顧客に登録してもらっても、その登録を継続させることができなければ収益性を上げることができないのです。

要はサブスクリプションビジネスの場合、軌道に乗るまでが大変であるということですね。

また、継続的なサービスの提供をするわけなので、商品にも継続性がなければいけません。

仮にコンテンツビジネスでサブスクリプション方式を取り入れる場合は、絶えずコンテンツを追加し続けなければいけないのです。

 

このように、サブスクリプションビジネスにはメリットもデメリットも存在しています。

ただ総合的に見て、メリットの方が大きいと判断する経営者は多いですね。

 

 

サブスクリプション方式の導入条件

自社のビジネスにサブスクリプション方式を導入しようとした場合、2つの条件をクリアしておく必要があります。

 

  1. 商品やサービスに持続性があること
  2. 利用頻度が高いこと

 

まず最初の条件が、「商品やサービスに継続性があること」です。

これは簡単な話で、継続利用できるような商品やサービスを取り扱っていない場合、そもそもサブスクリプション方式は成り立ちません。

お客さん視点で考えて、お金を払い続ける意味がありませんからね。

 

あともう1つ重要なのが、「利用頻度の高い商品を取り扱っていること」というのも重要です。

たとえば1年に数回しか使わない商品やサービスを取り扱っている場合、お客さんはその商品に対して月額費を払うことはありません。

単純明快、無駄になるからです。

そのためサブスクリプションビジネスはお客さんの利用頻度が高い商品を取り扱っていなければ成り立ちません。

ただ1つ例外なのは、コミュニティへの所属にお金を払ってもらう場合です。

この場合はお客さんがコミュニティに価値を感じ続けているうちはお金を払い続けてくれます。

コミュニティに参加して価値を感じている状態=サービスを利用している状態」と考えることができるわけですね。

 

以上の2つが、サブスクリプションビジネスを導入するための条件です。

 

 

なぜサブスクリプションサービス事業の市場規模は上がる見込みなのか?

今後さらにサブスクリプションサービス事業の市場規模が上がる要因としては、電子決済が主流になってきているという点が挙げられるでしょう。

というのもサブスクリプションサービスは一定間隔で支払いサイクルが訪れる仕組みであるため、電子決済との相性が良いのです。

 

たとえばECサイトを利用する場合、多くの人は現金ではなくクレジットカードやWebマネーといった電子決済を利用します。

そこでECサイトは、自分のサイトで買い物をする人にサブスクリプションサービスを勧めるという戦略をとったのです。

AmazonのAmazonプライムなんかがまさにそれですね。

Amazonプライムは、月額費か年会費を払うことで送料を無料にしたりストリーミングで動画コンテンツを視聴したりできるサービスです。

 

今の時代、日常的な衣服や食料品までECサイトで買えるようになっています。

それこそ中には「Amazon以外で買い物はほとんどしない」という人もいるほどです。

このECサイトの普及は、経済産業省がまとめた「EC市場規模の推移」のグラフを見てもわかります。

 

EC市場規模の推移

(引用:経済産業省HP)

 

このように昨今のサブスクリプションサービスの普及は、電子決済を使ったECサイトの普及が大きな要因となっていると考えて良いでしょう。

 

そして現在、日本は国をあげて電子決済の普及を推進しています。

今まではリアル店舗の場合、まだまだ現金支払いがメインであることからサブスクリプションサービスを受け入れてもらうことの難易度は高いと言えました。

しかし最近では電子決済を導入しているリアル店舗が増加したため、サブスクリプションサービスを始めるところも増えてきたのです。

 

そして電子決済は国が推進していることから、今後さらに普及することが予測されます。

そのため、同時にサブスクリプションサービスの市場規模も上がるのではないか、という予想がたてられるわけですね。

 

ちなみに国が推進している電子決済の普及については、別の記事で詳しく説明しています。

併せてそちらの方も確認してみてください。

⇒キャッシュレス決済の種類を比較!導入におすすめなのはどれ?

 

 

【業界別】サブスクリプションビジネスの成功事例【一覧】

ここからはサブスクリプションビジネスの成功事例を、いくつかの事例別に紹介していきます。

 

  • 自動車業界の成功事例「NOREL(ノレル)」
  • 飲食業界の成功事例「coffee mafia(コーヒーマフィア)」
  • アパレル業界の成功事例「着ルダケ」
  • 音楽業界「Apple Music」
  • 家電業界「ダイソン」

 

それでは1つずつ詳細を見ていきましょう。

 

 

自動車業界の成功事例.
NOREL(ノレル)

記事の前半部分で少しお話ししたとおり、NOREL(ノレル)は自動車のサブスクリプションサービスです。

簡単に言えば期間の短いリース契約のようなもので、月額費を支払うことで1か月分の自動車利用権を得ることができます。

高額な維持費を必要とせず、最短3か月で車の乗り換えもできることから、今注目を集めているサービスです。

 

NOREL

(画像引用:NOREL)

 

最近の日本は昔に比べ、自分の車を所有したいという人が減って色々な車に乗ってみたいという人が増えている傾向にあります。

だからこそリース車が登場し、流行ったわけです。

NORELはそこに目を付け、さらに多くのニーズに応えられるようにしたサービスであると言えるでしょう。

 

 

飲食業界の成功事例.
coffee mafia(コーヒーマフィア)

coffee mafia(コーヒーマフィア)は都内にあるカフェで、サブスクリプションサービスとして月額定額制のコースを2種類用意しています。

クイックカップが無料になる3,000円コースと、全てのドリンクが無料となる6,500円のコースです。

 

コーヒー マフィア

(画像引用:coffee mafia西新宿店)

 

月額定額制のコースを作ることによってお客さんにお得感を感じてもらえたり、リピーター客になってもらえたりといった効果が期待できます。

最近はこの効果に注目する飲食店も増えており、月額制で食べ放題のラーメン屋なども登場してきています。

 

 

アパレル業界の成功事例.
着ルダケ

株式会社レナウンが運営する着ルダケというサービスは、簡単に言えばスーツのレンタルサービスです。

月額費を払うことで春夏用と秋冬用のスーツをレンタルして使うことができます。

 

着ルダケ

(画像引用:着ルダケ)

 

着ルダケのサービスを使えば1着6万円ていどのスーツ2着を月額5,000円ていどで使うことができるため、お得感を演出することができます。

スーツは2年ごとに新しいものと交換となり、そのたびに返却か買取かを選ぶことも可能です。

さらにスーツの保管や修繕といった手間も省けるため、仕事着に手間やお金をかけたくないという層から支持されています。

 

 

音楽業界の成功事例.
Apple Music

Apple Musicは月額980円で5,000万曲を楽しめる音楽配信のサブスクリプションサービスです。

一昔前は邦楽ラインナップが揃っていないという印象でしたが、ここ最近はその辺りのラインアップも充実してきています。

 

AppleMusic

(画像引用:Apple Music)

 

動画や音楽、本といったエンタメ系のビジネスはサブスクリプションと非常に相性が良く、多くの企業が参入してきています。

中でもApple Musicはラインナップも豊富であの有名なAppleが運営しているというところから、かなり人気の高いサービスです。

「スマホで音楽を聴く」という行為と相性が良いのもポイントですね。

 

 

家電業界の成功事例.
ダイソン

実はあの有名な家電メーカーのダイソンもサブスクリプションサービスを展開しています。

ダイソンテクノロジープラスという名前で、月額1,000円からダイソンの商品を使うことができるサービスです。

 

ダイソン

(画像引用:ダイソン)

 

従来の家電販売の場合、高い商品を買ったのに使ってみたらあまり良くなかった、ということがよく起こっていました。

そんな問題を解決できるのがダイソンの行っている家電のサブスクリプションサービスです。

月額制なら、使って良くなかったらサービスの利用をやめるという選択肢もあります。

さらに新商品が出たら新しい機種へとバージョンアップもされるため、安心して使い続けることができるのです。

 

 

継続課金のシステムを導入できる決済代行サービス

サブスクリプションビジネスを導入するためには、継続課金のシステムを導入する必要があります。

そこでここからは、継続課金のシステムを導入できる決済代行サービスを紹介していきましょう。

 

  • ROBOT PAYMENT
  • SBペイメントサービス

 

それでは1つずつ詳細を説明していきます。

 

 

継続課金システムの使える決済代行サービス1.
ROBOT PAYMENT

ROBOT PAYMENTは、定期課金、継続課金の運営ができる決済代行サービスです。

 

ROBOTPAYMENT

(画像引用:ROBOT PAYMENT)

 

ROBOT PAYMENTでは、口座振替やクレジットカード決済が使えます。

こちらの決済代行サービスを使えば、サブスクリプションサービスの運営がとても楽になるでしょう。

 

 

継続課金システムの使える決済代行サービス2.
SBペイメントサービス

SBペイメントサービスでは、クレジットカードによる継続課金システムを導入することができます。

 

SBペイメントサービス

(画像引用:SBペイメントサービス株式会社)

 

SBペイメントサービスはクレジットカード決済による都度課金、継続課金のほか、振込票や口座振替による決済にも対応しています。

サブスクリプションサービスを導入する場合には非常に便利な決済代行サービスです。

 

 

サブスクリプションビジネスを始めるときは価格設定に注意

サブスクリプションビジネスを始めるさいに注意しなければいけないのが価格設定です。

サブスクリプションビジネスの場合、価格設定の方法が売り切りの場合と大きく違ってきます。

そのため、どのくらいの価格設定をすれば良いのかの判断が難しいのです。

 

またサブスクリプションビジネスの場合、運用してみて価格が安すぎると判断した場合は、価格を上げることも必要になります。

現にAmazonプライムも、2019年4月から月額費と年会費の値上げを発表しました。

 

ただこういう話をすると、「商品やサービスの値上げなんてできない」と口にする経営者が多くいます。

しかし、現実はそうではありません。

価格アップは案外簡単にでき、かつ必要なものなのです。

 

【まとめ】今後はサブスクリプションビジネスがさらに増加する見込み

今回はサブスクリプションビジネスについてお話をしてきました。

サブスクリプションビジネスはここ最近注目され始め、さまざまな会社がぞくぞくと参入し始めています。

日本という国がキャッシュレス決済の普及を推進しているのもあり、サブスクリプションビジネスは今後ますます増加してくる見込みです。

もしあなたのビジネスでもサブスクリプション方式がとれそうなら、時代に乗り遅れないうちに検討してみた方が良いかもしれません。

 

ただしサブスクリプションビジネスは従来の売り切り型ビジネスとは違うため、価格設定をするさいは注意してください。

とくにお得感を演出しようとして安くしすぎてしまうと、そのあとの運用で苦労することになります。

 

また安すぎる価格設定をしてしまったら、きちんと適正価格まで値上げすることも重要です。

これからは「所有する時代から利用する時代へ変わる」とも言われています。

今後は電子決済の普及にともない、ますますサブスクリプションビジネスは発展していくことでしょう。

その波に乗り遅れないように今からサブスクリプションビジネスのことを学び、積極的に導入してみてください。

 

 

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