今回は業務効率を上げ収益性を改善するための施策「人員配置」についてお話をしていきます。
自社の収益性の改善を課題だと感じている経営者の方は非常に多いです。
一般社団法人日本能率協会の調査によると、日本の多くの企業が収益性の向上を企業課題だと感じていると報告されています。
出典:日本企業の経営課題 2018(一般社団法人日本能率協会)
そんな収益性を改善する方法の一つとして、業務効率を改善することは経営者であれば誰もが考えることではないでしょうか?
業務効率を改善する方法の一つとして、人員配置は非常に重要です。
もちろん、他の方法で収益性を改善することもできますが、自社の人員配置がうまくいっていないことが原因で、業務効率が悪化し収益性も悪くなってしまっている企業も多く存在するのです。
そこで、この記事では業務効率を上げる人員配置について以下の4つの内容を中心に解説します。
- そもそも人員配置とは?
- 人員配置を行うメリット・デメリット
- 人員配置を最適化する5つのポイント
- 人員配置を最適化させた事例紹介
業務効率に課題を感じている経営者の方や、人件費のコストを改善したい経営者の方、収益性を改善したい経営者の方はぜひご一読ください。
そもそも人員配置とは?人員配置を行う目的
まず、そもそも人員配置とはなんなのか? ということを解説していきます。
人員配置とは、従業員や事業に関わる人にどのような業務を任せるのか、組織図のどの位置で業務を行ってもらうのかを決めることを指します。
具体的には、人員配置によって次のようなことができます。
- 従業員のスキルに合わせて業務を担当してもらえる
- 各業務に適切な人数の従業員を配置できる
- 従業員の希望に合わせて業務を担当してもらえる
人員配置によって、従業員の業務や役職が決められるため、人員配置は業務効率や人件費に大きく関わる重要な施策といえます。
つまり、人員配置が適切でなければ、業務効率が悪化したり人件費が高くなってしまうことがあるのです。
そのため、人員配置を行う目的としては、「適切な人員配置を行うことで業務効率の改善や人件費の適正化を行い、結果として収益性の向上を図ること」といえるでしょう。
どんなタイミングで行うべき?人員配置の5つの種類を解説!
人員配置には、5つの種類に分けることができます。
何気なく行っていることもある人員配置ですが、以下のタイミングで行っているということを理解すれば、さらに適切な人員配置を行うことができるでしょう。
- 人事異動
- 組織体制の変更
- 役職の変更
- 人材の新規採用
- リストラや契約解除
それぞれの人員配置の種類について詳しく解説します。
人員配置の種類1.人事異動
人事異動を行う際には、人員配置が伴います。
人事異動は、企業の中でも頻繁に行われる人員配置です。
部署の変更や支社への異動などを行うことで、業務や労働環境が変わります。
一般的には、既存の従業員の
- スキル
- 知識
- 経験
- 勤務態度
などを加味して人事異動が行われます。
人員配置の種類2.組織体制の変更
企業自体の組織体制を変更する際にも、人員配置が行われます。
企業が、組織全体の業務効率を改善しようと、組織体制を変更することはよくある話です。
特にベンチャー企業やスタートアップ企業など中小企業には多いです。
そのため、組織体制の変更に伴う人員配置は、企業自体の命運を分ける場合もあるため、非常に重要です。
時間やコストもはもちろん、企業の未来を担う人員配置のため、慎重に行う必要があります。
人員配置の種類3.役職の変更
役職を変更することも人員配置の1種です。
役職の変更は、場合によっては企業に大きく影響を与えることもあります。
昇格の際には、昇格させる従業員が担っていた業務を他の従業員に任せることや、昇格させる従業員が部下の教育ができるのかということも考えなければいけません。
降格の際には、従業員を降格させる前に、次にその役職を任せる従業員を決めておかなければいけません。
役職の変更は、事業や他の従業員にも影響を少なからず与えるということを頭に入れておきましょう。
人員配置の種類4.人材の新規採用
人材を新たに採用する際にも、人員配置が行われます。
新卒採用や中途採用など、人材の採用にはさまざまなケースが存在しますが、採用時には募集する職種や役職を予め決めてから募集をします。
そのため、人員配置のタイミングとしては採用した人材が働き始めるタイミングですが、その人材の配置は更に早い段階できめておく必要があるのです。
人員配置の種類5.リストラや契約解除
リストラや契約解除が起こる際にも人員配置は必要です。
リストラや契約解除は、基本的には計画的に行うものです。
そのため、人材の新規採用と同じように人員配置も事前に決めておく必要があります。
ただし、リストラや契約解除はポジティブな要因での人員配置とはいえないため、周りの従業員への配慮も忘れてはいけません。
頻繁に行うと逆効果!人員配置を行う2つのデメリット
ここからは、人員配置を行うデメリットについて解説します。
人員配置は、業務効率や人件費に大きな影響を与える以外にも、2つのデメリットが存在します。
- 頻繁に行うと従業員のスキルが伸びない
- 人員配置の変更自体は売上に直結しない
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
人員配置のデメリット1.頻繁に行うと従業員のスキルが伸びない
人員配置の1つ目のデメリットは、頻繁に行うと従業員のスキルが伸びないということです。
人員配置は、従業員の部署異動が伴うことも多いです。
同じ部署内での人員配置ならまだしも、他部署への異動となると、そもそもの業務も変わります。
業務が変わると、業務に必要なスキルや知識ももちろん変わります。
そのため、従業員が各業務のスキルや知識を持ち合わせていない場合には、従業員が成長しないこともあるのです。
人員配置を行う際は、人員配置を行う頻度に注意をしましょう。
人員配置のデメリット2.人員配置の変更自体は売上に直結しない
人員配置の2つ目のデメリットは、人員配置自体は売上に直結しないということです。
人員配置は、業務効率や人件費に影響を与えることはありますが、売上を直接生むものではありません。
そのため、人員配置にコストをあまりにもかけると、売上や収益性を改善することがいつまで経ってもできなくなります。
人事配置は売上に直結しないということは、頭に入れてから人事配置を行うようにしましょう。
業務を効率化!人員配置を行う3つのメリット
次に人員配置を行う3つのメリットについて解説します。
人員配置を行うことで、基本的には以下の3つを改善することができます。
- 人件費の改善
- 業務効率の向上
- 従業員満足度の向上
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
人員配置のメリット1.人件費の削減
人員配置の1つ目のメリットは、人件費を削減できるということです。
人員配置を適正化すると、部署や業務ごとに適切な従業員を適切な人数で配置することができます。
そのため、いままで同じ業務にかかっていた人件費を分散することができるのです。
たとえば、3人いれば成り立つ業務を5人が担当していた場合、人員配置を行い業務を担当する人数を3名に適正化することで、人員の無駄をなくし人件費を削減することができます。
人員配置を適正化することで、無駄な人件費を削減して収益性を改善することができるのです。
人員配置のメリット2.業務効率の向上
人員配置を行う2つ目のメリットは、業務効率を改善することができるということです。
人員配置が適正化できると、各業務に必要なスキルを持ち合わせた従業員を配置することができます。
業務によって、必要なスキルや知識は違うため、従業員が必要なスキルや知識を持ち合わせている場合、その従業員のスキルや知識を活かせる業務を担当させることによって、業務効率を上げることができるのです。
また、経営者や人事の方は、従業員のスキルや知識を把握していることが多いですが、実際に事業や業務が増えると、必要なスキルや知識も増えることは当然です。
そのため、人員配置の際には、従業員のスキルや知識を見直してみましょう。
いままでの業務では発揮できなかったスキルや知識を持っている従業員に、適切な業務を担当してもらうことにより業務効率を上げることができるかもしれません。
人員配置のメリット3.従業員満足度の向上
人員配置を行う3つ目のメリットは、従業員満足度を向上させられるということです。
人員配置自体は経営者や管理職が人事とともに行うものですが、実際に大きな影響を受けるのは従業員です。
そのため、人員配置を行う際には、従業員のニーズや希望を調査するということを忘れてはいけません。
もし、従業員が希望していない業務を担当させてしまうと、従業員が離れていく可能性も考えられます。
従業員のニーズや希望を調査することで、いままで把握できていなかった従業員の情報やスキルを知ることができるかもしれません。
また、スキルや知識がない場合でも、新しいことに意欲的に挑戦したいと考えている従業員は少なからず存在します。
その場合には、その従業員が希望する業務を担当させることで、本人のモチベーションや意欲が向上するため、従業員満足度も向上させることができるのです。
人員配置を最適化する5つのポイントを紹介!
ここからは、人員配置を最適化する5つのポイントを紹介します。
この5つのポイントを理解しておくことで、収益性を改善しながら従業員満足度を向上させられるようになります。
- 各業務に必要な人員数やスキルを把握する
- 従業員のニーズにあった人員配置を行う
- 人員配置前後の環境を効果測定する
- 従業員一人ひとりの成績を見える化する
- 人員配置ツールを導入する
人員配置の方法や、最適化する方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ポイント1.各業務に必要な人員数やスキルを把握する
1つ目のポイントは、各業務に必要な人員数やスキルを把握するということです。
人員配置を行う前に、各業務に必要な人員数やスキルを把握しておかなければ、適切な人員配置を行うことはできません。
そのため、まずはあなたの経営する会社の業務を洗い出し、その業務に必要なものを把握しましょう。
- 人員数
- スキル
- 知識
- 経験
- 属性(性別や年齢など)
このような項目は業務によって変化します。
そのため、業務ごとにどの項目がどれくらい必要なのかを把握しなければいけません。
人員配置後に、配置した従業員が適切に業務できなければ、業務効率も従業員満足度も下がってしまいます。
人員配置をする前には、各業務に必要な人員数やスキルを把握するようにしましょう。
ポイント2.従業員のニーズにあった人員配置を行う
2つ目のポイントは、従業員のニーズに合った人員配置を行うということです。
繰り返しになりますが、人員配置は従業員の業務に直接影響するものです。
そのため、従業員のニーズや希望にあった人員配置を行わなければ、業務効率や従業員満足度が下がってしまうことがあります。
従業員のニーズや希望を把握するためには、アンケートや聞き取り調査をすることができます。
まずは、従業員に人員配置に関するアンケートや聞き取り調査をして、人員配置の参考にしましょう。
ポイント3.人員配置前後の環境を効果測定する
3つ目のポイントは、人員配置前後の環境を効果測定するということです。
人員配置の効果があるかどうかは、効果測定をしなければ判断することができません。
そのため、人員配置をする前と、行った後で効果測定をする必要があるのです。
部署や業務ごとに数値化できるものは、全て数値化して見える化すれば、人員配置前と後で比較しやすいです。
たとえば、
- 売上高
- 契約数
- 利益率
このように経営する上で重要な項目は必ず数値化して効果測定するようにしましょう。
これら以外の指標に関しても、なるべく数値化して効果測定することで、人員配置の効果を詳しく知ることができます。
人員配置の適切な効果を知るためにも、人員配置を行う際には、アンケートなどと並行して効果測定を行うようにしましょう。
また、従業員満足度や数値化しにくい項目も、従業員へのアンケートによって数値化することができる場合もあります。
ポイント4.従業員一人ひとりの成績を見える化する
4つ目のポイントは、従業員一人ひとりの成績を見える化するということです。
これは、人員配置の効果測定をする意味でもありますが、それ以上に従業員一人ひとりを適切に評価する意味でも必要なことです。
人員配置が表面上は上手く行えた場合でも、従業員を正しく評価することができなければ、従業員満足度が下がってしまい、離職につながってしまうケースもあります。
人員配置が適切行えても、従業員が離れていっては本末転倒です。
そのため、従業員一人ひとりの成績を見える化し、効果測定と併せて成績評価も行えるようにしましょう。
ポイント5.人員配置ツールや人材管理ツールを導入する
最後のポイントは、人員配置ツールや人材管理ツールを利用するということです。
人員管理ツールや人材管理ツールを導入することで、どこに誰がいてどんな業務を担当しているかだけでなく、誰がどんな仕事にどれくらいの工数を掛けているかを把握することができます。
その他にも、日報や勤怠の管理もできるため、売上に直結しない人事配置をコストを抑えて管理することができるのです。
自社に人事配置に割く人的リソースが足りていない場合や、人材管理を簡単に行いたい場合には、ツールを導入してみましょう。
【まとめ】人員配置を最適化して事業を好転させよう!
今回は人員配置について解説しました。
人員配置は、事業効率やコスト削減を通じて収益性の改善を目的に行うものです。
収益性の改善は、日本国内の多くの企業が感じている経営課題です。
人員配置を最適化することで、収益性の改善をし事業を好転させられる可能性があります。
人員配置を最適化するには、以下の5つのポイントを抑えておく必要があります。
- 各業務に必要な人員数やスキルを把握する
- 従業員のニーズにあった人員配置を行う
- 人員配置前後の環境を効果測定する
- 従業員一人ひとりの成績を見える化する
- 人員配置ツールを導入する
人員配置は、収益性の改善を図るものですが、実際に業務を担当するのは従業員だということを忘れてはいけません。
不適切な人員配置で、従業員満足度が下がってしまって、従業員が離れてしまっては本末転倒です。
そのため、人員配置の際には従業員のニーズや希望を調査しましょう。
従業員のニーズや希望を含めた人員配置を行うことで、従業員満足度があがり、従業員の業務対するモチベーションも向上させられますよ。
ただし、一点だけ注意してほしいことがあります。
それは、人員配置を最適化したとしても、収益性が改善されないことがあるということです。
この場合は、人員配置以外に収益性を悪化させている原因があるということです。
私の経験上、多くの企業ではそもそも商品・サービスに適切な価格設定が行われていないということが非常に多いです。
これでは、どんな施策を行ったとしても大した効果は得られません。
そのため、人員配置などの施策を行う前に、自社製品の価格設定が適切であるかどうかを確認してほしいのです。
価格設定を改善し、人員配置も最適化することで、さらなる収益化の改善が望めますよ。