今回は、全世界で注目されている「SDGs」(持続可能な開発目標)について解説をしていきます。
SDGsとは、2015年9月に開催された国連サミットで採択され、記事執筆時点での国連加盟国193か国が共通で掲げている人類の全体の目標です。
もちろん日本もSDGsを推奨しており、多くの民間企業がSDGsに関する取り組みを行っています。
また、基本的には社会貢献の色合いが強い取り組みですが、実際のところ取り組むことで企業が得られるメリットも多いです。
むしろ国民のSDGsへの関心が年々高まっていることから、取り組みをしていない企業は時代に置いていかれてしまう可能性さえあります。
SDGsは今、それほど注目されているのです。
そこで今回は中小企業向けにSDGsを解説するため、以下のようなお話をさせていただきます。
- SDGsの意味と17の目標
- 中小企業がSDGsに取り組むメリット
- SDGsに取り組むデメリット
- 【中小企業向け】SDGsの取り組み方
- SDGs取り組み企業の事例
SDGsへの関心は年々強まっており、企業として活動する以上無視できない状態です。
ぜひこの機会にSDGsを正しく理解し、自社にとって適切な取り組み方を考えてみてください。
SDGsの意味と17の目標とは?
SDGsは、人類が持続的に発展していくために掲げている国際目標です。
戦争や資源の枯渇、地球環境の汚染といった数々の問題を回避し、人類が成長を続けていくことが大目標となっています。
ちなみにSDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、「エス・ディー・ジーズ」と読みます。
またSDGsでは「地球上の誰一人取り残さない」という誓いを立てており、誰かが得をするのではなく、人類全員で前へ進むというのがコンセプトです。
この理念が多くの人々から評価され、今、世界中から注目を浴びているというわけですね。
SDGsには、以下のような17個のゴールが設定されています。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任、つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
(参考:外部省_JAPAN SDGs Action Platform)
これらのゴールを2030年までに達成する、というのがSDGsで掲げられている具体的な目標です。
日本でもこの目標を達成するために、企業の取り組みを推奨しています。
また17のゴールにはそれぞれターゲットが設定されています。
すべてのターゲットを合計した数は169個です。
ターゲットはゴールを達成するためのさらに具体的な目標や実施手段で構成されています。
つまり社会全体で169のターゲットをすべて実施、達成すれば、おのずと17のゴールも達成でき、SDGs自体も達成することができるということなのです。
ちなみにこのように目標から逆算してやるべきことを考える思考法をバックキャスティング思考といいます。
詳しくは別記事で解説しているので、併せてチェックしておいてください。
⇒バックキャスティング思考で問題にアプローチ!やり方や事例を解説!
それでは17個のゴールと169個のターゲットについて、それぞれ解説していきます。
あなたの企業でも取り組めることがないか、確認してみてください。
※表内における1.1などの数字が具体的な目標、1.aなどの英文字が実施手段です。
SDGs 1.
貧困をなくそう
「貧困をなくそう」では、お金がないために不自由な生活を送っている人々をなくすことが目標です。
世界には1日1.25ドル未満で生活しており、お金がないことで不自由を余儀なくされている人が大勢います。
そういった人たちをなくために掲げられているのが、以下のターゲットです。
(画像引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 2.
飢餓をゼロに
「飢餓をゼロに」では、十分な食べ物がなくて栄養不足に陥る人をなくすことが目標です。
世界では8.2億人、世界人口の約9人に1人が飢餓に苦しんでいると言われています。
そういった人たちをゼロにするために掲げられているのが、以下のターゲットです。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 3.
すべての人に健康と福祉を
「すべての人に健康と福祉を」では、世界に生きるすべての人が健康的な生活を維持できることが目標です。
目標を達成するためには、世界における深刻な医療不足、福祉不足を解消しなければいけません。
そのために掲げられているのが、以下のターゲットです。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 4.
質の高い教育をみんなに
「質の高い教育をみんなに」では、差別なくすべての子供が質の良い教育を受けられるようにすることが目標です。
質の高い教育が行き渡れば、世界が抱える多くの問題が解決すると言われています。
そういった世界を作り出すために必要とされているのが、以下のターゲットです。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 5.
ジェンダー平等を実現しよう
「ジェンダー平等を実現しよう」では、性別による社会的な差別をなくし、平等な社会を形成することが目標です。
ジェンダーとは、社会的、文化的に形成された性別のことを指します。
生物的な違いではなく、「男だから〇〇すべき」、「女だから〇〇すべき」といった固定観念のようなものですね。
こういった差別をなくすために必要であるとされているのが、以下のターゲットです。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 6.
安全な水とトイレを世界中に
「安全な水とトイレを世界中に」では、世界中のすべての人が衛生的な水を使えるようになることが目標です。
日本のように蛇口を捻れば安全な水が出て、清潔なトイレが完備されている国は実は多くありません。
世界の水事情を改善するためには、以下のターゲットを達成する必要があります。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 7.
エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」では、安全でクリーンなエネルギーを世界中に届けることが目標です。
世界では、年間400万人もの人が有害な燃料を屋内使用して亡くなっているというデータがあります。
そのような事態をなくすためにも、以下のようなターゲットの達成が必要なのです。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 8.
働きがいも経済成長も
「働きがいも経済成長も」では、健全な労働環境を維持しつつ経済を成長させることが目標です。
今、世界には非常に多くの失業者がいます。
そういった人にやりがいのある仕事を捻出しつつ、途上国の経済的発展を促すためには、以下のようなターゲットの達成が必要です。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 9.
産業と技術革新の基盤をつくろう
「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、インフラ、産業、イノベーションを支える基盤づくりを目標としています。
これらの基盤が揃ってこそ経済成長を果たすことができると考えているからです。
基盤づくりを行うためには、以下のようなターゲットを達成する必要があります。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 10.
人や国の不平等をなくそう
「人や国の不平等をなくそう」では、貧富の格差をなくし、すべての人に富が分配されることを目標としています。
国際協力団体オックスファムより発表された報告書によれば、世界でもっとも豊かな8人が貧しい36億人分に相当する資産を保有しているそうです。
こういった格差を是正するために、以下のようなターゲットが課題として掲げられています。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 11.
住み続けられるまちづくりを
「住み続けられるまちづくりを」では、災害に強く安全で住み続けられるまちづくり、およびすべての人がそのような場所に住めるようにするというのが目標です。
たとえ災害が起こっても素早く回復し、持続することが可能なまちが理想とされてます。
そのようなまちづくりを行うために、以下のようなターゲットの達成が必要です。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 12.
つくる責任、つかう責任
「つくる責任、つかう責任」は、持続的に開発、消費ができる環境づくりを目標としています。
地球上の資源やエネルギーは有限です。
つくる側には少ない資源で環境に負担をかけない生産方式が求められ、つかう側には余分な消費を抑えることが求められます。
具体的には、以下のターゲットが達成すべき課題です。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 13.
気候変動に具体的な対策を
「気候変動に具体的な対策を」では、気候変動による影響を軽減するための緊急対策を講じることが目標です。
今世界では、非常に多くの気候変動が起こっています。
コロナ渦の裏で深刻な食糧不足を引き起こしたサバクトビバッタの大量発生も、もとは気候変動が原因です。
そういった問題に対策をするために、以下のターゲットの達成が求められています。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 14.
海の豊かさを守ろう
「海の豊かさを守ろう」では、海の環境や海洋資源を保全し、持続的に利用できるようにすることが目標です。
今海では、魚類の乱獲やプラスチックごみといった多くの問題が発生しています。
そういった問題を解決し、人類がずっと海からの恩恵を受けられるように、以下のようなターゲットの達成が必要なのです。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 15.
陸の豊かさも守ろう
「陸の豊かさも守ろう」では、陸域の環境保全が目標となっています。
たとえば生態系の保護や回復、森林の保護や砂漠化の対処といったことが必要です。
そのためにも、以下のターゲットを達成しなければいけません。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
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SDGs 16.
平和と公正をすべての人に
「平和と公正をすべての人に」では、公正な法律にもとづいた平和な暮らしをすべての人が送れる世の中にすることが目標です。
日本にいると実感が薄いかもしれませんが、今も世界では戦争や紛争といった争いが発生しています。
こういった争いをなくし、地域、国、世界といったあらゆる規模で公正な法律が機能する世の中にしなくてはいけません。
そのために必要なのが、以下のターゲットの達成です。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
※クリックで拡大します。
SDGs 17.
パートナーシップで目標を達成しよう
「パートナーシップで目標を達成しよう」では、国同士、組織同士、人同士が協力し合うことを目標としています。
ここまで説明してきたSDGsのゴールですが、1つの国がどれだけがんばっても達成できるものではありません。
多くの国が手を繋ぎ、パートナーシップで臨んでこそ達成できるものなのです。
世界中でそういった関係性を築くために必要なものとして、以下のようなターゲットの達成が挙げられています。
(引用:農林水産省_SDGsの目標とターゲット)
※クリックで拡大します。
中小企業がSDGsに取り組む7つのメリット
SDGsに取り組むことで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 顧客からの好感度を上げることができる
- 取引先の開拓に繋がる
- イノベーションのきっかけになる
- 企業イメージの向上を図れる
- 経営資源の見直しができる
- 採用でもプラスに働く
- 従業員のモチベーションアップを図れる
SDGsが非常に大きな話であるため、もしかすると中小企業の立場でできることなんてあまりないと思われたかもしれません。
しかし実際は、中小企業であってもSDGsに取り組む価値があり、メリットもきちんと存在しているのです。
それでは各メリットについて、1つずつ解説していきましょう。
SDGsに取り組むメリット 1.
顧客からの好感度を上げることができる
SDGsに取り組めば、お客さんからの好感度を上げることができます。
というのもSDGsは世界で注目されている施策であり、認知も広まってきているからです。
そのためSDGsに取り組んでいる企業を、「お金稼ぎだけでなく、きちんと社会に貢献している良い会社だ」と評価する人は少なくありません。
ビジネスにおいて、お客さんからの好感度は非常に重要な要素です。
もちろんSDGsは人から好かれるためにやるものではありませんが、副次的なメリットとして十分大きな要素であると言えるでしょう。
SDGsに取り組むメリット 2.
取引先の開拓に繋がる
SDGsに取り組めば、取引先の開拓に繋がることもあります。
というのも、社会貢献への関心が高い企業との新規取引が増加する可能性があるからです。
同じく社会貢献をしている会社ということで、関心や信頼を得ることができるわけですね。
日本でもSDGsに取り組んでいる企業は増えてきています。
新しい取引先と繋がれる可能性も、今後どんどん高まってくるはずです。
SDGsに取り組むメリット 3.
イノベーションのきっかけになる
SDGsに取り組めば、イノベーションを起こすキッカケにもなります。
なぜならSDGsの目標を達成するためには、今までとは違った視点で新しいやり方を模索しなければいけないからです。
視点が変わることで新しい発見があるかもしれない、ということですね。
SDGsの目標は、世界的にニーズが高いものです。
だからこそSDGsに取り組むことで、新たな価値が生まれ、事業として成り立つ可能性も十分にあり得ます。
SDGsに取り組むメリット 4.
企業イメージの向上を図れる
社会貢献の色合いが強いことから、SDGsに取り組むことで企業イメージの向上を図ることができます。
だからこそ多くの企業が、自社のHPに取り組んでいるSDGsのことを記載しているわけです。
企業イメージが向上すれば、消費者だけでなく、取引先や投資家からの評価を上げることもできます。
そのためSDGsの取り組みを公表すれば、さまざまな面でメリットを得ることができるのです。
SDGsに取り組むメリット 5.
経営資源の見直しができる
SDGsに取り組むということは、経営資源の見直しをすることに繋がります。
なぜならSDGsは地球環境や天然資源を保護し、持続させることを目的にしているためです。
たとえばSDGsに取り組むことで、経営資源の再利用や無駄をなくすことを考えるようになります。
わかりやすいのが、飲食店で食材ロスを減らすような施策ですね。
このようにSDGsへの取り組みをきっかけに、コスト削減を実現することもできるのです。
SDGsに取り組むメリット 6.
採用でもプラスに働く
SDGsに関心を持つ若者も多いため、SDGsに取り組むことは求人の面でも有利に働きます。
また、SDGsに関心がある人材が集まるため、日ごろから社会情勢にアンテナを張っている人や、自分だけでなく他者と分かち合うことができる人が来てくれる可能性も高いです。
自社だけのことを考えず、社会のことまで考えて経営をするからこそ、そこに賛同してくれる良い人が集まってくれるということですね。
SDGsに取り組むメリット 7.
従業員のモチベーションアップを図れる
SDGsに取り組むことは従業員のモチベーションアップにも繋がります。
なぜなら、SDGsの取り組みが非常に意義深いものだからです。
従業員がやりがいを感じているかどうかは、作業効率に大きな影響をおよぼします。
もしSDGsに取り組むなら、その意義がしっかりと従業員に伝わるように研修を行い、SDGsの教育をしていきましょう。
SDGsに取り組む3つのデメリット
ここからは、SDGsに取り組むことで発生する3つのデメリットについて解説していきます。
- 手間がかかる
- コストが発生する可能性がある
- 本業がブレてしまう恐れがある
1つずつ解説していくので、SDGsに正しく取り組むためにも理解しておいてください。
SDGsに取り組むメリット 1.
手間がかかる
SDGsの取り組みをするためには、あるていどの手間を覚悟しなければいけません。
取り組みのための計画を立てたり、ミーティングをしたりしなければいけないからです。
また、従業員の業務量が増えるため、本業の作業効率が落ちてしまったり、従業員のモチベーションが一時的に低下してしまったりする可能性もあります。
SDGsは取り組み方次第で、従業員のモチベーションに良い影響も悪い影響も与えるということですね。
従業員のモチベーションを逆に向上させるためにも、「なぜSDGsの取り組みをするのか」という点については、しっかりと伝えるようにしましょう。
SDGsに取り組むメリット 2.
コストが発生する可能性がある
SDGsの取り組み内容によっては、コストがかかってしまう可能性があります。
SDGsは利益を追求するものではなく、社会貢献の色合いが強い取り組みだからです。
たとえば原材料を環境にやさしいものに変える場合、おそらくコストは上がってしまうでしょう。
SDGsは企業の利益を追求するものではない、ということは理解しておいてください。
SDGsに取り組むメリット 3.
本業がブレてしまう恐れがある
SDGsを気にするあまり、本業がブレてしまう場合があります。
確かにSDGsは世界的に重要な目標ですが、だからといって本業に勝るものではありません。
SDGsの取り組みは、あくまでも無理のない範囲で行うようにしましょう。
【中小企業向け】SDGsの取り組み方
中小企業がSDGsに取り組むなら、以下のようなやり方が効率的です。
- SDGsの理解を深める
- 自社で取り組むべき課題を見極める
- 課題を踏まえて目標を設定する
- 社内で浸透させ、実行する
- SDGsに関して外部発信を行う
それでは、順番に解説していきましょう。
SDGsの取り組み方1.
SDGsの理解を深める
まずは社長であるあなたとSDGs推進の中心メンバーで、SDGsについての理解を深めましょう。
SDGsがどういうものなのかを理解しておかなければ、正しく取り組むことはできません。
またSDGsに取り組む場合、必ず社長であるあなたか、もしくは経営に深く関わっている役員がメンバーに参加するようにしてください。
なぜなら、SDGsへの取り組みは企業の中期的な戦略となるからです。
SDGsの取り組みは、経営計画と合わせてしっかりと考えるようにしてください。
SDGsの取り組み方2.
自社で取り組むべき課題を見極める
SDGsについての理解を深めたら、自社がどのような課題に取り組むべきなのかを見極めてください。
SDGsには17のゴールと169のターゲットが設定されていますが、中小企業がすべてに取り組むことは非常に困難です。
そのため、とくに自社の事業と関連が深い課題を抜き出し、どの課題に取り組むかを見極める必要があります。
SDGsの取り組み方3.
課題を踏まえて目標を設定する
取り組む課題を決めたら、自社がやるべき細かい目標を設定していきましょう。
このとき役に立つのが「バックキャスティング思考」という思考法です。
バックキャスティング思考では、未来の目標を起点にして、そこから今やるべきことを逆算していきます。
つまり、取り組むSDGsの課題から逆算して、自社ができること、やるべきことを1つずつ抜き出していくわけですね。
バックキャスティング思考については別記事でくわしく解説しているので、ぜひこちらの方も併せてご確認ください。
⇒バックキャスティング思考で問題にアプローチ!やり方や事例を解説!
SDGsの取り組み方4.
社内で浸透させ、実行する
細かい目標を設定できたら、社内に浸透させて実際に行動を開始しましょう。
前述したとおり、SDGsの理念を従業員にしっかり伝え、教育することが重要です。
ここが抜けてしまうと上手く実践できなかったり、従業員のモチベーションが低下してしまったりする可能性あるので注意してください。
SDGsの取り組み方5.
SDGsに関して外部発信を行う
SDGsの取り組みは、自社HPやSNSなどでしっかりと外部に発信してください。
なぜならSDGsに取り組んでいるということを発信しなければ、共感を得ることもメリットを得ることもできなくなってしまうからです。
またそれだけでなく、外部に情報発信をすることで、新たにSDGsに関心を持ち、取り組みを始める企業や人が現れる可能性も高まります。
つまり外部に情報発信するということは、自社にとっても社会にとっても必要なことなのです。
実際、SDGsに取り組んでいる企業のHPでは、「自社はこの課題に対してこういう形で取り組んでいます」ということが記載されています。
たとえば日本を代表する大企業のトヨタも、自社HPでSDGsの取り組みを説明していますね。
自社でSDGsに取り組む場合は、このように外部へのアピールも行っておきましょう。
SDGs取り組み企業の事例
ここからは、SDGsに取り組んでいる「大企業」と「中小企業」の事例を紹介していきます。
- 【大企業】株式会社ファーストリテイリング
- 【中小企業】個人経営の衣服店
ぜひ、あなたの会社で取り組むさいの参考にしてください。
【大企業】株式会社ファーストリテイリング
ユニクロ、ジーユーの運営元である株式会社ファーストリテイリングも、積極的にSDGsに取り組んでいます。
その1つの事例が、「つくる責任とつかう責任」への取り組みです。
ファーストリテイリングは、衣服のリサイクルで難民支援を行っています。
自社が作った商品を上手く使い、できるだけ多くの人に清潔な衣服が生き渡るように取り組んでいるわけですね。
さらに、そのためにファーストリテイリングは長く使える衣服づくりに取り組んでいます。
要は、リサイクルしても長く使えるように、シンプルで質が良い衣服を作ったということです。
この流れは、きれいなバックキャスティング思考であると言えます。
SDGsの「つくる責任とつかう責任」を達成するために、「難民支援」を行うというのが1つの取り組みです。
そして「難民支援」を行うために、「自社商品をリサイクルする」という施策を実施します。
さらに「リサイクル」しても長く使えるように、「長く使える衣服づくり」に取り組んだわけです。
「つくる責任とつかう責任」 → 「難民支援」 → 「自社商品のリサイクル」 → 「長く使える衣服づくり」という思考の流れですね。
このようにSDGsのゴールを達成するために、1つずつ課題をクリアしていくのが基本的な取り組み方です。
【中小企業】個人経営の衣服店
ある衣服店では、プラスチック製買物袋有料化が始まるタイミングで完全に紙袋への移行をしました。
プラスチックごみを減らすことで、「海の豊かさを守ろう」、「陸の豊かさも守ろう」に貢献しているわけですね。
中小企業の場合、あまり大きな取り組みはできないかもしれません。
しかし多くの中小企業が少しずつ取り組めば、非常に大きな効果を生み出します。
無理をしてSDGsに取り組むのではなく、自社にとってできることを確実に行っていきましょう。
【まとめ】SDGsは世界的に注目されている
今回は世界で注目されている国際的な目標、「SDGs」(持続可能な開発目標)について解説をしてきました。
SDGsは人類が持続的に発展を続けられるように、「地球上の誰一人取り残さない」というコンセプトを持って取り組まれています。
SDGsは社会的に意義深いものですが、同時に自社のメリットにも繋がるものです。
とはいえ、資源が限られた中小企業の場合、無理をする必要はありません。
会社のためにも社会のためにもなる、WIN-WINな取り組みを心掛けてみてください。
そして、そのために必要不可欠なのが余裕のある経営です。
中小企業にありがちなのですが、忙しいのに大した利益に繋がっていないという経営状況では、とてもSDGsに取り組む余裕は生まれないでしょう。
もし今あなたが、時間もお金も余裕がないという状況なら、SDGsに取り組む前に自社の体制を立て直してください。
あなたがまず最初にしなければいけないのは、自分と、自社の従業員たちの生活を守ることです。
その順番は間違えないようにしましょう。
ちなみに、余裕ある経営環境を作り出す手段としてもっともおすすめなのは、商品の価格アップです。
商品の価格が上がれば、当然利益率が上がります。
つまり、時間にもお金にも余裕が出てくるということです。
ただ価格アップを勧めると、「そうはいっても価格を上げるのは難しい」と多くの社長が口にします。
本当は価格アップ自体、そう難しいものではないのですが、どうしてもそこを苦手としている経営者は多いです。
SDGsは、世界で多くの人が注目し、実際に多くの企業が取り組んでいる国際目標です。
ぜひあなたの会社でも、無理の生じないていどに取り組んでみてください。