今回は業務提携の1つの形であるレベニューシェアについてお話ししていきます。
レベニューシェアはリスクもある反面、うまくいけば大きな利益を出すことのできる業務提携の方法です。
うまく活用することができれば、あなたのビジネスを飛躍的に大きくできる可能性だってあります。
そこで今回はレベニューシェアに関して、以下のようなことを説明していきます。
- レベニューシェアの意味
- レベニューシェアのメリット、デメリット
- レベニューシェアにおける相場の考え方
- レベニューシの事例
- レベニューシェアの契約書を作るときの注意点
この機会にレベニューシェアについて調べ、ビジネスチャンスをさらに拡大してください。
レベニューシェアの意味とは?
レベニューシェアとは、パートナーと業務提携を行い、決めておいた割合で収益を分配するといったやり方のことです。
作業に対して決められた報酬が発生するのではなく、リスクと報酬を両社で共有します。
たとえば自社サイトを持っている企業と個人事業主のライターの関係が分かりやすいです。
普通に外注を雇う場合、サイトの所持者は1記事、もしくは1文字何円といった形でライターに依頼を出します。
しかしレベニューシェアの場合、記事を納品した段階では報酬は発生しません。
サイトから収益が上がったさいに初めて、収益の何割といった形で報酬が発生するのです。
もちろんサイトからの収益が上がらなければライターは報酬を受け取ることができませんし、逆にサイトの所持者は利益が予想以上にあがればその分高額な報酬を支払うことになります。
こういった形で業務提携を行うことをレベニューシェアというのです。
ちなみにサイト運営以外のビジネスモデルとしては、アプリ開発についてもレベニューシェア契約を結ぶことが多いですね。
レベニューシェア型の契約で業務提携を結ぶ場合、協力して収益をあげていくことがお互いの利益に繋がります。
そのためレベニューシェア契約は、請負契約というよりはビジネスパートナーといった関係性に近いと言えるでしょう。
レベニューシェアとプロフィットシェアの違い
少し補足的な説明となりますが、ここからはレベニューシェアとプロフィットシェアの違いについて説明していきます。
というのもこの2つの違いは、レベニューシェアの話をするさいによく挙がってくる疑問だからです。
レベニューシェアとプロフィットシェアの違いは以下のとおりです。
レベニューシェア | 事業によってあがった収益をそのまま分配する提携方法 |
プロフィットシェア | 事業によってあがった収益からかかった費用を差し引いた利益を分配する提携方法 |
要は、「収益(売上)」を分配するのがレベニューシェアで、そこから経費を差し引いた「利益」を分配するのがプロフィットシェアであるということですね。
レベニューシェアとプロフィットシェアは、それ以外には大きな違いはありません。
レベニューシェア型契約のメリット、デメリット
ここからはレベニューシェアのメリットとデメリットについて、発注側と受注側の目線から説明をしていきます。
レベニューシェアはうまくやれば発注側と受注側でWIN-WINの関係を築ける提携方法です。
お互いのメリットとデメリットを理解し、より良い業務提携を結びましょう。
発注者にとってのメリット、デメリット
レベニューシェアで業務提携を行う場合、発注側には以下のようなメリットとデメリットがあります。
〇メリット
- 外注に使う初期費用を抑えることができる
- ビジネスがうまくいかなかった場合のリスクを抑えることができる
- 受注者側にとってはビジネスがうまくいった方が収入が上がるため、より質の高い仕事をしてもらいやすい
- 受注者側にとってはビジネスがうまくいった方が収入が上がるため、受注者側から改善のアイディアが挙がってきやすい
〇デメリット
- ビジネスがうまくいった場合の利益が少なくなる
- 収益分配や仕事の配分で受注者側とトラブルになることもある
- 受注者側の意見も取り入れてビジネスを進めなければいけないため、自由度については外注契約より劣る
発注者側にとってのレベニューシェアのメリットは、大きく分けて費用面と仕事の質の2つにあります。
レベニューシェアの場合は収益があがるまで報酬が発生しないため、「初期費用が必要ない」、「収益があがらなかった場合のリスクが少ない」というメリットがあるのです。
さらに受注者側の報酬が収益額によって左右されるため、受注者側はより高いモチベーションで仕事をこなしてくれるため、必然的に仕事の質が高くなるというわけですね。
一方で発注者側には、最終的な収益と人間関係の面でデメリットがあります。
もしビジネスが予想以上の収益をあげた場合、発注者側はレベニューシェア契約に則ってより高い報酬を支払わなければいけません。
さらにレベニューシェア契約の場合、外注としてではなくビジネスパートナーとしての関係性を築くことになりますので、その分ビジネスに対する自由度が低くなったりトラブルが起こったりというデメリットもあるのです。
ただこのデメリットについては、WIN-WINの関係を目指すことで気にならなくなります。
発注者側も受注者側も得をするということを念頭に置いて協力し合い、より良い関係を築いていきましょう。
受注者にとってのメリット、デメリット
レベニューシェアで業務提携を行う場合、受注者側にとってのメリット、デメリットは以下のとおりです。
〇メリット
- ビジネスがうまくいけば多くの報酬を受け取ることができる
- 将来性の高いビジネスをやる場合、大きな飛躍のきかっけとなることもある
- ビジネスパートナーとして長期的に仕事をもらうことができる
- 発注者側とより良い関係を築くことで人脈ができる
- 仕事の受注がしやすくなる
〇デメリット
- ビジネスがうまくいかなかった場合、報酬を得られないこともある
- 報酬がビジネスの収益に左右されるため、収入が安定しない
- 報酬面や仕事量について発注者側とトラブルになる場合がある
受注者側のメリットとしては、報酬面、人脈の構築、仕事の受注のしやすさが挙げられます。
まず報酬面のメリットとして、レベニューシェアの場合はビジネスの成功度合いによって固定報酬では得られないような収益を得られることもあります。
そのため将来性の高いビジネスに関わることができれば、受注者側にとって大きな飛躍のきっかけとなることも少なくありません。
さらにレベニューシェアの場合、自社よりも大きな規模の会社とビジネスパートナーとなれる場合もあります。
そこで良い関係を築くことができれば、発注者側が自社のことを同レベルの企業に紹介してくれる可能性があるため、レベルの高い人脈を構築できることもあるのです。
あとは初期費用がかからない提携方法であるということで、発注者側からしてみれば仕事が依頼しやすく、受注者側にとっては仕事を受注しやすいというメリットもあります。
ただしレベニューシェアは受注者側にとって、無報酬のリスクと人間関係のトラブルというデメリットがあることを忘れてはいけません。
レベニューシェアの報酬はビジネスの収益に依存しているため、万が一ビジネスがうまくいかなければ、どれだけ手間と時間をかけていようと収入が入ってこないというリスクがあります。
また報酬面や仕事量についてのトラブルも多いです。
とくに受注者側を完全に下であると認識して無茶を言ってくる発注者には注意してください。
無理な量の仕事を無計画に発注してきて、失敗したら受注者側のせいにするという発注者も残念ながらいます。
発注者のメリットデメリットの説明をしているときにも言いましたが、重要なのはお互いがWIN-WINの関係を目指しているということです。
あなた自身がWIN-WINの精神を持つことはもちろんですが、発注者側も同じ気持ちでいるのかどうかというところは注意しておきましょう。
レベニューシェアにおける相場の考え方
レベニューシェア契約を結ぶうえでもっとも悩むのが報酬の配分率についてです。
そこでここからは、レベニューシェア契約における相場の考え方について説明をしていきましょう。
まず前提条件として、発注者側が〇割で受注者側が〇割、といった決まった相場はありません。
これはビジネスによってお互いの仕事内容やかかる費用が変わってくるため、当然と言えば当然ですね。
ただレベニューシェアの相場の考え方として、想定どおりの収益があがった場合には、受注者側が普通の外注費よりも高額な報酬を受け取れるように調整するのが基本となります。
これはレベニューシェアの場合、本来発注者側だけが負うはずの「ビジネスがうまくいかなかった場合のリスク」を受注者側も負うことになるためです。
また報酬を決める段階で、あるていどお互いの仕事配分についても決めておくべきです。
そうしなければそもそも報酬の比率を決めることもできません。
あとはお互いにかかる経費についてもきちんと計算しておきましょう。
収益があがっても経費がかかりすぎて利益が出ないというのであれば本末転倒です。
そのため経費の予測については、しっかり丁寧に行っておきましょう。
とはいえお互いの仕事配分と経費をきちんと話し合ったうえで配分率を決めても、そのうえでトラブルに陥ってしまう場合はあります。
なぜならレベニューシェアでビジネスを行う場合は力関係的に発注者側の方が強く、その結果受注者側が圧倒的に損をしてしまうというケースが多いからです。
たとえば「最初に聞いていたのよりはるかに多い仕事量をこなさなければならないのに、報酬の配分率はそのまま」といった事例は非常に多いですね。
発注者側からしてみれば受注者側にどれだけ仕事をさせても支払う報酬は変わらないため、自分の都合でどんどんと無理を言ってくる場合があるのです。
そこでもしあなたが受注者側になった場合には、きちんと自社の価値について理解し、そのうえで発注者側に価値を知ってもらうという努力をしてください。
簡単に言えば、あなたの仕事を安売りしてはいけないということです。
レベニューシェアに限った話ではありませんが、自社の商品やサービスの価値をきっちり伝え、知ってもらうというのは非常に重要なことだと言えます。
とはいえ最終的にレベニューシェアで1番重要なのは、お互いにWIN-WINの関係を築けることです。
報酬を決めるさいもお互いに得ができるよう、きちんと話し合って決めるようにしてください。
レベニューシェア契約の事例
ここからはよりレベニューシェア契約について理解していただくため、事例を紹介していきます。
- あべのハルカスの設備、情報システム
- 物販教材販売者とライター
それでは1つずつ説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
レベニューシェア契約の事例1.
あべのハルカスの設備、情報システム
あべのハルカスは設備、情報システムの利用料金についてレベニューシェアの契約を結んでいます。
レベニューシェア契約にすることで利用者が少ない場合や設備の老朽化というリスクを回避しているのです。
さらにあべのハルカスはお互いにWIN-WINの関係を築くため、報酬配分に関する契約内容を1年ごとに見直すということをしています。
来場者数によっては発注者と受注者のどちらかに負担がかかってしまう可能性があるため、そうならないように考慮しているわけですね。
そういった意味であべのハルカスは、とても良いレベニューシェア契約を結んでいると言えます。
レベニューシェア契約の事例2.
物販教材販売者とWebライター
物販のノウハウを持っているコンテンツホルダーがWebライターとレベニューシェア契約を結んだ事例があります。
物販のノウハウを持っているコンテンツホルダーは、そのノウハウを教材にして売り出したいと考えていました。
しかし、集客のノウハウを持っておらず、またサイトを外注で作るための初期費用もなかったのです。
そこでそのコンテンツホルダーは、SEO(検索上位表示のための対策)に詳しいライターとレベニューシェアの契約を結びました。
教材が売れるたびに決められた割合で報酬を支払うようにしたのです。
その結果コンテンツホルダーは、初期費用をかけずに教材をたくさん売ることに成功しました。
そして最終的にはライターの方も、普通に外注として記事を書くより多くの報酬を手にしたのです。
このように初期費用をかけずに外注を使いたい場合は、レベニューシェアという手法が使えます。
とくに自分のビジネスに将来性がある場合は、より能力の高い受注者を探すことができるでしょう。
レベニューシェアの契約書を作成するときの注意点
ここからはレベニューシェア契約の契約書を作るさいの注意点を解説していきます。
というのも、契約書が明確になっていなかったがためにトラブルになってしまうというケースが少なくないからです。
ではどのような内容を明確にしなければいけないのかというと、以下のとおりです。
- 仕事内容、責任の所在を明確にしておくこと
- 報酬の割合を明確にしておくこと
- 費用についての記載を明確にしておくこと
- 分配すべき報酬を明確にしておくこと
- 契約期間について明記しておくこと
まず、仕事内容や責任の所在についてはしっかりと明記しておく必要があります。
そうでなければ仕事量の過不足や不測の事態によるトラブルが起こりやすくなってしまうからです。
仕事量や責任の所在に関するトラブルはレベニューシェア契約において非常に多くあります。
だからこそ契約書で先に取り決めておくことで、未然にトラブルを避ける必要があるわけですね。
そして次に報酬の割合についても明確にしておいてください。
もちろん収益の何%が報酬になるのかという取り決めは最初にするはずですが、それだけでは足りない場合もあります。
たとえば収益が想像の何倍以上にも膨らんだ場合、報酬割合の見直しをしたくなってしまう場合もあるからです。
そのため、もし収益があまりに高額になった場合のことが心配なら、収益額によって報酬割合を変化させるように取り決めておいたり、年に1度報酬割合を見直す旨の記載をしておくと良いでしょう。
あとは費用についての記載も重要だと言えます。
どこまでを費用として認めるのか、という部分ですね。
とくにレベニューシェアではなくプロフィットシェアの形にしようとしている場合、この取り決めは必須です。
さらに分配する報酬の範囲を明確に決めておくこと必要となります。
たとえばサイト運営をする場合、そのサイトから直接あがった収益だけが報酬に含まれるのか、それともバックエンドの収益まで報酬に含めるのか、ということです。
ここをしっかり決めておかないとトラブルになる確率が非常に高くなってしまいます。
あとは契約期間の取り決めも重要です。
レベニューシェア契約の場合、契約期間が長期に渡ることも多々あります。
そのため発注者側としては、いつまで報酬を払い続けなければいけないのか、と考えてしまうわけです。
だからこそ契約期間については契約書でしっかりと決めておきましょう。
契約期間を設けるのか、それとも収益があがり続ける限り永続的に契約が続くのか、という部分を決めるだけでも多くのトラブルを回避することができます。
以上がレベニューシェア契約の契約書を作成するさいに注視ておかなければいけないことです。
契約書を作る場合は、これらの内容がきっちり記載されているかチェックしておいてください。
【まとめ】レベニューシェア型契約はお互いの信頼関係が重要
今回はレベニューシェア契約について説明をしてきました。
レベニューシェア契約でもっとも重要なのは、WIN-WINの関係を築くということです。
レベニューシェア契約は多くのメリットがある反面、報酬や仕事量が変動しやすい提携方法であるため、トラブルが起こりやすいという大きなデメリットもあります。
だからこそお互いがお互いの利益のことを考え、信頼関係を築いていくことが非常に重要なのです。
しかしだからといって、自社の仕事を必要以上に安売りしてしまうのだけは絶対に止めてください。
要は、報酬の割合を話し合うさいはきっちりと仕事の価値に見合った割合を提示してください、ということですね。
そうしなければ結局あとから不満が出てしまい、レベニューシェア契約がうまくいかない原因になってしまいます。
さらに言えば安い報酬で想定以上の仕事量が発生してしまえば、あなたの会社が存続できないほどのダメージを受けてしまう場合さえあるのです。
だからこそレベニューシェア契約をする場合は、きっちりと自社の価値を相手に伝えるようにしましょう。
とはいえ最終的には、やはりお互いの信頼関係が1番重要だと言えます。
レベニューシェア契約を結ぶ場合は、WIN-WINの精神を忘れないようにしましょう。