社員一人当たりにかかるコストはいくら?人件費を抑える4つの方法

鷲津晴人
COSTの紙をハサミで切る

今回は、社員一人当たりにかかるコストについてお話をしていきます。

 

「事業が大きくなってきて、そろそろ社員を雇いたい」と考えているベンチャー企業の社長さんや個人事業主の人もいるのではないでしょうか?

 

しかし、「社員を一人雇うと2〜3倍のコストがかかる」とも言われています。

 

この記事では、実際に社員を一人雇うとどのくらいのコストがかかるのか、人権費を抑える4つの方法と共にお伝えしていきます。

これから社員を雇う社長さんはもちろんのこと、今いる社員の人件費を抑えたいと思っている人にも必見です。

 

 

社員一人当たりにかかる具体的なコストとは?

まずは、社員一人当たりにかかる具体的なコストについてみていきましょう。

 

よく「営業マンは、給与の3倍稼げて一人前」などと言われたりしますが、この3倍というのはどこからきたのでしょうか。

実は、営業マンが給与の3倍稼ぐことで、会社へ利益をだすことができるのです。

 

では、なぜそんなにコストがかかるのか、月収30万円の正社員を例に具体的なコストについて解説していきます。

 

 

正社員を雇うと2倍のコストがかかるって本当?

正社員を雇うと2倍のコストがかかるというのは、本当です。

 

一口に「人件費」と言っても、以下のようなお金が社員一人当たりに対してかかります。

  • 毎月の給与
  • 採用にかかる費用
  • 研修・教育にかかる費用
  • 福利厚生費
  • 社会保険料の会社負担分
  • 業務に使用する機器のリース代など
  • 退職金の積立て
  • 間接部門の費用(人件費)

 

特に、社会保険料の会社負担分は、コストの中でも大きな割合を占めています。

社会保険にも以下の種類があります。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 介護保険(40歳以上)

 

社会保険料は労働者と事業者とで分担して負担することになっていて、負担の割合は保険ごとや業種によっても異なります。

たとえばIT関連企業ならば以下のようになります。

健康保険 月額給与の約1000分の10(事業者と労働者で折半)
厚生年金 月額給与の約1000分の178(事業者と労働者で折半)
労災保険 賃金総額の1000分の2.5(全額事業者負担)
雇用保険 賃金総額の1000分の13.5(事業者8.5、労働者5)

 

厚生年金と健康保険は雇用者と従業員で半額ずつ負担します。

労災保険、雇用保険は給与だけでなく、賞与や各種手当も含まれて計算され、厚生年金、健康保険は毎月の給与額により決まります。

 

こうした費用を合わせると、社員一人当たりに対して大体2倍のコストがかかってくるというわけです。

 

では、次の章で、月収30万円の正社員を雇った場合にかかるコストを例に説明していきます。

 

 

月収30万円の正社員を雇った場合にかかるコスト例

月収30万円の正社員を雇った場合にかかるコスト例をみていきましょう。

 

<モデルケース>

  • 年 齢:30歳
  • 月 収:30万円(月収内訳:基本給27万円、交通費2万円、住宅手当1万円)
  • 賞 与:4ヶ月分(年に2回2ヶ月分ずつ支給)
  • 勤務地:東京都
  • 職 種:IT関連

 

給与 月収×12ヶ月分 30万円×12ヶ月=360万円
賞与 基本給×4ヶ月分 27万円×4ヶ月=108万円
健康保険料 標準報酬月額30万円に対する保険料は14,865円×12ヶ月 14,865円×12ヶ月=178,380円
厚生年金保険料 標準報酬月額30万円に対する保険料は27,450円×12ヶ月 27,450円×12ヶ月=329,400円
労災保険料 賃金総額×保険料率で計算。 4,680,000円×3.5/1,000=16,380円
雇用保険料 事業の種類によって異なる。この場合は「一般の事業」に該当。事業者負担率は6/1,000。 4,680,000円×6/1,000=28,080円
合計   5,232,240円

 

この表をみていただくと分かる通り、月収30万円の正社員を雇うと、年間で520万円以上がかかることになります。

これに、退職金の積立てや、備品などの経費なども合わせると、さらに一人当たりに対する負担額が増えていくことになります。

 

 

 

社員一人当たりのコストを抑える4つの方法

会議に参加する女性

社員一人当たりのコストを抑える方法は、以下の4つです。

  1. 給与の見直しをする
  2. 残業時間の管理
  3. 福利厚生費を一時金にする
  4. 社員のコスト意識を高める

 

社員のコストを抑えつつ、良い環境を提供することで、優秀な社員に長期的に働いてもらいたいですよね。

そのための方法を、1つずつ詳しく解説していきます。

 

 

社員のコストを抑える方法1.給与の見直しをする

社員のコストを抑える方法1つ目は「給与の見直しをする」ことです。

 

すでに支給している給与の見直しをするのは、なかなか難しいことだと思います。

しかし、毎年一定率で給与を上げるよりも、役割基準や職務基準を明確にし、その基準で昇給するようにすると、能力に応じた給与を支給することができます。

それにより、社員のモチベーションアップにも繋がります。

 

また、「その仕事は正社員がやるべきなのか?」を考え、必要に応じてパートやシニアを採用する、というのも一つの手です。

助成金や補助金などの制度もあるので、活用してみるのも良いでしょう。

参考:非正規雇用の労働者を雇用する事業主の方へ|厚生労働省

 

 

社員のコストを抑える方法2.残業時間の管理

社員のコストを抑える方法2つ目は「残業時間の管理」をすることです。

 

業務時間外の労働に対しては、残業代を支払わなければなりません。

残業時間は、近年社会問題になったこともあり、各会社で残業時間を減らす試みが用いられています。

例えば、過酷な労働環境が多いとされているアニメ業界の中の株式会社ピコナでは、下記の対策で時間外労働をこれまでの80%以上も削減した実績を持っています。

その対策とは、

  • 残業チケット制
  • 残業時のペナルティー
  • ピコナポイント制度

の3つです。

 

「残業チケット制」とは、21時以降に残業をする場合、1ヶ月につき上限10枚までのチケットの使用を必須としたものです。

この残業チケットを6枚以上使うと、ピコナポイントと呼ばれるポイントが5ポイント引かれるペナルティーがあります。

ピコナポイントとは、毎日出社するごとに1ポイントずつ貯まり、ポイント数に応じてテーマパークのチケットなどがもらえるサイコロを振ることができるという仕組みです。

つまり、残業チケットを7枚使用すると、1週間分のポイントが減るので、社員はポイントを減らさないためにメリハリを持って仕事をするようになったと言います。

 

 

こうした、業務時間に仕事に集中できる環境作りや、タイムマネジメントを社員に意識させることで、残業時間を減らすことに成功しています。

 

ただ闇雲に「残業してはいけない」と言うのではなく、就業時間内に社員のやる気を引き出しながら、残業管理を行うことが大切です。

 

 

社員のコストを抑える方法3.福利厚生費を一時金にする

社員のコストを抑える方法3つ目は「福利厚生費を一時金にする」ことです。

 

業務とは関係なく支給される福利厚生費を見直す会社が増えています。

しかし、福利厚生費を一切支給しないというのは社員の不満に繋がってしまいます。

 

例えば、住宅手当や家族手当を毎月支払うのではなく、社員が引っ越した際や子どもが生まれた際に一時金として支払う制度に変えると、コストを抑えることができます。

 

 

社員のコストを抑える方法4.社員のコスト意識を高める

社員のコストを抑える方法4つ目は「社員のコスト意識を高める」ことです。

 

経営者にとって、コストの削減は常に意識している重要事項だと思います。

しかし、社員にとっては、頭では理解していても、今ひとつ自分のこととして捉えられていない場合が多いのではないでしょうか。

 

社員が常に「コスト意識」を持つことで、一人ひとりが業務のなかでコストに見合った成果を生むかどうかを判断し、かけたコストに見合った行動ができるようになることが大切です。

そのひとりひとりの意識こそ、会社が利益を生み出し、成長していくための企業競争力の源泉であるということを正しく認識してもらうことが必要なのです。

 

 

社員のコスト意識を高めるには?

社員のコスト意識を高めるには、「見える化をする」ことです。

会社の経費は、経理などの担当者だけが把握していることが多いのではないでしょうか。

 

全社や各部門ごとにどれだけの経費がかかっているかを、「見える化」することから始めてみましょう。

例えば、

  • 電気代が月に一人当たりどのくらいかかっているか
  • 1時間の会議に1人当たりどのくらいの人件費がかかっているか

など、こうした業務や作業ごとのコストを全社員に見える化していくことで、社員一人ひとりが節約意識を持つことになります。

そうすることで、「ムダな業務の発見」や「業務の改善」を行っていくことができ、社員の生産性があがるのと同時にコスト削減へと繋げていくことができます。

 

 

【まとめ】社員のコスト意識を高めることが長期的な人件費の削減に繋がる

社員のコスト意識を高めることが、長期的な人件費の削減に繋がります。

 

社内の経費などを「見える化」することで、社員一人ひとりが節約意識を持ち、業務改善へと繋がっていくことで、会社へ利益を出すことに繋がります。

 

しかし、いきなり「見える化する」といっても、どこから始めたら良いかわからないですよね。

 

そんなときは、経営コンサルタントに相談してみるのも一つの手です。

経営コンサルタントと一緒に、社員のコスト意識を高める方法を段階的に取り入れていくことで、スムーズに社員へと浸透させていくことができるでしょう。

 

弊社代表の北岡は、単なるマーケティングではなく、いかに社長の手元に利益を残すのか、働く時間を減らし社長の自給を高めていくのか、を主眼としたコンサルティングを得意としています。

中小企業、フリーランス、コンサルタントに特化し、1000社以上のコンサルティングで成功率は93.8%になります。

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それだけでもかなりの気付きを得ることができるはずです。

 

会社にとって大事な資産である社員一人ひとりに、気持ちよく働いてもらいながら、不要なコストを削減することが会社を成長する上で最も大切なことです。

ぜひ、今回の記事を参考に、社内で取り組んでみてください。

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