今回は「外注化(アウトソーシング)」をテーマにお話をさせていただきます。
外注とは「ビジネスプロセスの一部をやってくれる労働サービスを外部から購入すること」です。
たとえばブログ記事の執筆を外注化させたい場合は、請負ライターさんの記事執筆というサービスを購入します。
そして外注化は、「今は自社でやっている業務を外注できるような仕組みづくりをする」という意味です。
ビジネスをやっていてあるていど成果が出始めると、多くの経営者が1度は外注化のことを考えます。
「仕事が忙しすぎる」、「もっとビジネスを大きくしたい」などの理由で、自社以外の労働力を求めるわけですね。
しかし、だからといって安易な外注化は禁物です。
外注化にはメリットもありますが、同時にデメリットも存在しています。
さらに言えば外注費もばかになりませんので、外注化のタイミングを間違えるとビジネスそのものが破綻してしまう可能性さえあるのです。
そこで今回は外注化について、以下のことをわかりやすく説明していきます。
- 外注化のメリット、デメリット
- 外注化をしてはいけないタイミング
- 外注化で失敗しないための注意点
- 外注先の見つけ方
- 外注、委託、請負の違いについて
- 外注化にまつわる税金の話
もし今あなたが外注化を考えているなら、まずは今回の記事を確認してみてください。
本当に今が外注化するべきときなのか、その答えが見つかるはずです。
スモールビジネスで外注化をするメリット、デメリットとは?
外注化にはメリットもデメリットも存在しています。
そこでここからは、私たち中小企業や個人事業主が行うスモールビジネスでの外注化におけるメリットとデメリットを説明していきましょう。
まず外注化のメリットには以下のようなものがあります。
- 自社だけではこなせない量の仕事がこなせる
- 自社が持っていない高い技術や知識を活用できる
- 新しい気づきを得られる場合もある
まずメリットの1つとして、自社だけではこなせない量の仕事をこなすことができます。
急に仕事量が増えてしまって人を雇おうにも間に合わないという場合や、もしくは一時的な業務量の増加に対応することができるわけですね。
さらに雑多な仕事を外注に任せれば、自社の社員は重要なコア業務に尽力できるようになります。
そしてもう1つのメリットが、自社が持っていない高い技術や知識を活用することができるという点です。
外注として仕事を依頼した場合、それなりの対価を支払えばその道のプロに業務を任せることができます。
そのため、自社の人間だけではできないようなことが可能となり、新しいビジネスにも手を出せるようになるのです。
また、外注を使うことで新しい気づきを得られる場合もあります。
外注の中には、向こうから提案をしてくれる人も少なくありません。
なぜなら外注の仕事を請けている人にとって、提案力は競合との差別化のためにも必要なものだからです。
その外注からの提案が新しい風となり、気づきを得ることにも繋がるわけですね。
以上がスモールビジネスで外注化をした場合のメリットです。
次にデメリットの方についても説明していきましょう。
外注化のデメリットには、以下のようなものがあります。
- 外部の人間であるためさまざまな食い違いが起こりやすい
- 品質確保のためのマネジメントが必要となる
- あるていど内部の情報を漏らさなければいけない
- 外注費が経費(コスト)としてかかる
まず外注に頼る場合、さまざまな食い違いが起こりやすいというデメリットがあります。
たとえば、うまく話が伝わっていなかったために望んでいたものとは違う成果物があがってきてしまう場合もあるのです。
さらに言えば報酬面での食い違いや、品質面での食い違いが起こる場合もあります。
そのため外注を使う場合は、内部で仕事を完結させることに比べてトラブルが起こりやすくなってしまうと言えるわけですね。
そしてもう1つのデメリットが、品質確保のためのマネジメントが必要になるという点です。
外注に仕事を任せる場合は、あるていどの品質管理をこちらで行わなければいけません。
外注と一言で言っても人によってその能力や考え方はさまざまであるため、管理しなければ品質にバラツキが出てしまうからです。
さらに場合によっては、外注を育てるところから始めなければいけないケースもあります。
そのため、「外注化すればまったく手間がかからなくなる」とは思わない方が良いでしょう。
さらに外注に任せる仕事内容によっては、機密情報を預けなければいけない場合もあります。
そのため情報を渡さなければできないような仕事を任せる場合は、相手が信頼できる人物かどうか精査する必要があるのです。
機密情報を渡して仕事を依頼する場合は、それなりのリスクもあるのだと認識しておいてください。
そして外注化にはもちろん、経費(コスト)がかかるというデメリットもあります。
単純な話ですが、外注を使うということは経費がかかり、その分利益率が落ちてしまうということを意味しています。
外注先も仕事ですので、原価や加工費、工賃といった必要経費に加え、自分たちの利益分も上乗せした金額を請求してくるはずです。
そのため、どうしても人手が足りないという場合はともかく、あなた1人でもできないことはないという場合には、本当に経費をかけてまで外注化するべき仕事なのか、よく考えるべきでしょう。
以上が外注化のデメリットです。
このように外注化にはメリットもデメリットも両方存在しています。
外注化について考えているなら、まずはメリットとデメリットをよく比較してみましょう。
利益が出ていないうちはむやみに外注化するべきではない
ここまでで外注化のメリットとデメリットを紹介してきましたが、それを踏まえたうえで1つ注意しなければいけないことがあります。
それが、「外注化はしっかりと利益が出てから考えるべき」ということです。
「仕事を委任するの間違い」という記事内で弊社代表の北岡も説明していますが、利益が出ていないうちは外注化をするのを控えてください。
なぜなら外注化にはコストがかかり、その分利益率が下がってしまうというデメリットがあるからです。
もちろん利益がきちんと出ていて外注を使う余裕がある状態なら良いのですが、そうでないなら、まずは自分自身で仕事をこなして利益を確保してください。
ちなみに、社長であるあなたが1度すべての仕事を経験しておくことにはメリットもあります。
利益が確保できていざ外注を使おうとしたときのマネジメントに役立つのです。
さらに、外注には急に取引を停止されてしまうというリスクもあります。
そんなとき、あなたが一通り仕事を覚えておけば緊急対応をすることも可能となるのです。
そのためビジネスを立ち上げてすぐの利益が出ていない状態の場合、外注化は一旦見送るようにしましょう。
結果的にそちらの方が効率的になることが多いです。
しかし、ここで以下のような疑問を持つ社長も多いのではないでしょうか?
「外注を使って仕事を大きくしないと利益も伸びないのではないか?」
結論から言うと、この考え方は間違いであると言えます。
なぜなら外注化でビジネスの規模を広げなくても、利益率を上げれば利益を確保することができるからです。
そもそも利益率が低いうちにビジネスの規模を広げてしまえば、倒産リスクを拡大させてしまうことに繋がってしまいます。
利益率が低いということは、原価の高騰などの理由によって利益が出なくなってしまう危険性が高いということだからです。
そのため、まだ十分な利益を確保できていないビジネスについては、外注化による業務拡大よりも先に利益率の向上を考えなければいけません。
では、どうすれば利益率を上げられるのか?
その手段は色々とありますが、中でもまず考えてほしいのが「商品価格の見直し」です。
とくに日本の中小企業の中には、自社が持つ商品やサービスの安売りをしてしまっているところが多くあります。
大企業との価格競争に参加してしまい、満足に利益が取れないような価格設定にしてしまっているのです。
しかし実際は、そこまで値段を下げなくても商品を売ることはできます。
このように、外注化はすぐにやれば良いというものではありません。
そのことはしっかりと理解しておきましょう。
外注化で失敗しないために注意するべきこと
外注化をする場合、失敗しないためにも以下のことに注意してください。
- きちんとした内容の契約書をかわすこと
- 仕事内容や要望は細かく伝えること
- 外注先とはビジネスパートナーとして接すること
- 外注先を探すさいは外注の人柄にも着目すること
- 外注先に渡すマニュアルを用意しておくこと
現状、外注を使えるほどの利益が出ているという状態なら、失敗のほとんどはこれらが原因となります。
逆に言えばこれらの注意点についてしっかりと対策をしておけば、外注化で失敗してしまう可能性が大きく下がるということです。
それでは1つずつ詳細を説明していきます。
よく理解し、対策をするようにしましょう。
外注化で失敗しないための注意点1.
きちんとした内容の契約書をかわすこと
外注化を行う場合、契約内容をきっちりと決めたうえで契約書を作るようにしましょう。
契約内容があいまいでトラブルが起こるというのは、外注化に限ったことではありません。
ビジネスをするうえでは非常に起こりやすいトラブルであると言えます。
また、フリーランスに外注をしたさいによく起こるのが、仕事を途中で放棄されてしまうということです。
それこそある日突然先方との連絡が取れなくなってしまう、ということも残念ながらよくあります。
そういった問題に対処するためにも、契約内容を細かく記した契約書を作り、相手からサインをもらうようにしておきましょう。
外注化で失敗しないための注意点2.
仕事内容や要望は細かく伝えること
外注で仕事を発注する場合、仕事内容や要望はできるだけ細かく説明するようにしてください。
仕事内容や要望が正確に伝わっていなければ、外注先は勘違いしたまま仕事を進めてしまいます。
こちらの意思が正確に伝わっていないわけなので、あがってきた成果物がまったく意図していないものになってしまうということも少なくありません。
そうなれば、最悪、外注費を丸々損してしまうことになるわけですね。
さらにレベルの高い受注者の中には、そもそも内容があいまいな仕事は請けないという人も多いです。
あいまいな条件や要求で仕事を請けてしまうと追加作業が発生しやすくなり、受注者から見ても割に合わない仕事になってしまいます。
つまり、仕事内容や要望を細かく伝えないと、そもそも質の良い外注先を見つけることすらできなくなってしまうわけですね。
だからこそ仕事内容や要望は、できるだけ細かく、わかりやすく説明するようにしましょう。
外注化で失敗しないための注意点3.
外注先とはビジネスパートナーとして接すること
外注先とは、ビジネスパートナーとしてWIN-WINの関係性を構築していきましょう。
間違っても、「こちらがお客だから」とふんぞり返ったり、あまりに不当な金額で買い叩いたりしてはいけません。
外注先に対して良くない態度をとってしまうと、多くの協力会社やフリーランスがあなたの会社に定着せず、少し無理を言っただけで離れていってしまいます。
さらにモチベーションの低下から仕事のクオリティも下がりますし、困っていても助けて貰えなくなってしまうのです。
逆に外注先と良い関係を築いておけば、信頼して仕事を任せることができます。
困ったときには無理を聞いてくれることもあるでしょう。
外注先はあくまでもビジネスパートナーです。
そのことを忘れず、外注先と良い関係を作っておきましょう。
外注化で失敗しないための注意点4.
外注先を探すさいは外注の人柄にも着目すること
とくに個人でやっているフリーランスと契約を交わす場合は、相手の人柄にも着目する必要があります。
なぜなら個人で仕事をしている人には会社という枷がないため、相手の人柄によって仕事への取組み方が大きく変わってしまうからです。
たとえば、以下のようなことを念頭において外注先を探すようにしてみてください。
- コミュニケーションが取りやすい人
- 最後まで仕事をやり切ってくれそうな人
- 時間や納期に対する考え方が几帳面な人
- 自社の担当と性格的に相性が良い人
人柄なのであくまでも印象的な部分の確認しかできませんが、それでもあきらかに問題がありそうな人の場合は発注を敬遠しておいた方が無難です。
個人に外注の依頼をする場合、フリーランスの中には本当に色々な人がいる、ということは念頭に置いておいてください。
外注化で失敗しないための注意点5.
外注先に渡すマニュアルを用意しておくこと
外注化をするなら、外注先に渡すマニュアルを用意してください。
そうしないと外注先が変わったり増えたりするたびに同じ説明をしなくてはならなくなり、あなたの手間が大きくなってしまいます。
外注化をすると作業が楽になると思う人も多いですが、最初はむしろ苦労することが増えることも多いです。
そのため外注化をするならマニュアルを作成して、できるだけこちらの負担を軽くするようにしましょう。
外注先の見つけ方
外注化をしたい場合、外注先は以下の方法で見つけることができます。
- クラウドソーシングサイトを使う
- 自社のHPで募集する
- 知り合いに紹介してもらう
外注化をするうえで、とくに苦労するのは優秀な外注先の確保です。
これから1つずつ説明していきますので、ぜひあなたに合った外注先の探し方を見つけ出してください。
外注先の見つけ方1.
クラウドソーシングサイトを使う
外注先を探すさいに1番簡単なのが、クラウドソーシングサイトを利用するという方法です。
クラウドソーシングサイトとは仕事のマッチングサイトのことであり、仕事を探している外注先候補が大勢登録をしています。
ここで自社の条件に合った人を探し、仕事を依頼するというわけですね。
とくに有名なクラウドソーシングサイトには、以下のようなものがあります。
それぞれ特色や規模が変わってきますので、まずは無料登録をしたうえでどんな人がいるのか覗いてみて、自社に合ったサイトを選ぶと良いでしょう。
外注先の見つけ方2.
自社サイトで募集する
自社サイトに詳細条件を載せて募集をかけるというのも外注先を探すうえでは良い手段です。
クラウドソーシングサイトを使うとどうしても中間マージンを取られてしまいますが、自社サイト経由ならばその心配はありません。
ただし自社サイトにあるていどのアクセスがないと、そもそも募集をかけても連絡が来ない可能性が高いです。
そういう意味では、クラウドソーシングサイトを使うよりもややハードルが高い方法であると言えます。
外注自先の見つけ方3.
知り合いに紹介してもらう
意外と多いのが、知り合いからの紹介で外注先を見つけるというパターンです。
実際、経験の長いフリーランスなんかは人からの紹介だけで仕事を請けている人も少なくありません。
そういった人はクオリティの高い仕事をしてくれる可能性も高いので、知り合いからの紹介で外注先を見つけるというのは非常に優れた方法なのです。
もし外注先を紹介してくれそうな知り合いがいるなら、1度声をかけてみると良いでしょう。
外注の方法には複数ある。委託・請負の違いは?
ここからは、外注と似た意味を持つ言葉について解説をしていきます。
たとえば、外注、業務委託、請負契約といったように、仕事を依頼する意味を持つ言葉にはいくつかの種類があります。
そのため多くの社長が、「自社のこれはどういった契約になるのだろうか?」と頭を悩ませてしまうわけですね。
ちなみに各言葉の意味は以下のとおりです。
外注(アウトソーシング) | 外注の正式名称は外部注文で、その言葉のまま外部に仕事を発注すること全般を意味しています。
かなり広い意味を持っており、業務委託、業務請負についても外注の一部です。 ただし、正式な契約形態を指す言葉ではありませんので、契約書には記載しない方が良いでしょう。 |
業務委託 | 業務委託は、請負契約と委任契約が含まれている言葉です。
委託する仕事の契約内容によって請負契約、委任契約のどちらかに分かれます。 業務委託は外注同様、正式な契約形態を指す言葉ではありません。 |
請負契約 | 請負契約とは、成果物を納品し、その対価を受け取るという契約のことです。
たとえば、ブログ記事の代筆をして提出したり、プログラムを組んで提出したりする場合は請負契約となります。 請負契約は正式な契約形態を指す言葉なので、契約書に載せることもできます。 |
委任契約 | 委任契約は、業務を遂行することで対価を受け取る契約のことです。
外部に仕事を任せるが決まった成果物がない、という場合はこちらになります。 委任契約も正式な契約形態を表す言葉なので、契約書に記載することができます。 |
以上が外注と似た言葉です。
契約書を作るさいには、「請負契約」か「委任契約」という言葉を使うのが一般的です。
ぜひ覚えておいてください。
外注化にまつわる税金について
外注化について、もう1つ経営者の頭を悩ませるのが税金にまつわる話です。
そこでここからは、外注化にまつわる税金の話をしていきます。
知らないと余分な税金を支払わなければいけなくなるケースもありますので、ぜひチェックしておいてください。
外注費にまつわる消費税の取り扱い
外注費を支払う場合、消費税を含めて支払う必要があります。
そのため、たとえば100万円で仕事を発注した場合は、実質108万円(消費税8%時)の支払いをしなければいけません。
ちなみに、外注を使う場合は総額で価格を提示する業者も多くあります。
そうすることで計算もしやすくなりますので、外注先と契約書を交わすさいは「100万円(税込み)」といった形で交渉すると良いでしょう。
源泉徴収が必要になる場合がある
もしあなたが法人である場合、実は外注費の支払いについても企業側で源泉徴収を行わなければいけないケースがあります。
ちなみに源泉徴収とは、報酬を支払うさいに一定割合の所得税・復興特別所得税を差し引いて支払いを行い、外注先の代わりにその分の税金を納めることです。
これは企業側にとっての義務であるため、怠ると不納付加算税や延滞税などのペナルティを受ける可能性があります。
そして、企業側が源泉徴収を行わなければいけないケースは以下のとおりです。
(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(2) 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
馬主である法人に支払う競馬の賞金
基本的には外注先が法人ではなく個人である場合に源泉徴収が必要になる可能性があるわけですね。
もしこれらに該当する仕事を発注していた場合は、忘れずに源泉徴収を行うようにしましょう。
また、外注先がフリーランスの場合は源泉徴収のことを理解していない可能性もありますので、事前の説明も必要不可欠です。
そのさいは、請求書に源泉徴収を記載してもらうようにしてください。
外注費が給与とみなされてしまう場合もある
外注にまつわる税金の話でもう1つ気をつけないといけないのが、税務調査で外注費を給与とみなされてしまう場合があるということです。
本来、外注費と給与は仕訳も意味も違ってきます。
つまり、違う経費になるわけですね。
- 外注費 → 請負契約や業務委託に準ずる契約に基づいて支払われる対価
- 給与 → 雇用契約やそれに準ずる契約に基づいて支払われる対価
この外注費か給与かという判断は、業務内容や契約内容によって判断がされます。
国税庁によると以下のような判断基準があるようです。
(1) その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
(2) 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
(3) まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
(4) 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。
(引用:国税庁HP_個人事業者の納税義務)
これらの判断基準を基に外注費か給与かを判断しているわけですね。
仮に外注費が給与であるとみなされてしまうと、消費税の仕入税額控除の否認、源泉徴収税の追徴税額・延滞税・加算税などを課されてしまう可能性があります。
そうならないよう、外注の契約をするさいには仕事内容や契約書に注意しておきましょう。
【まとめ】外注化はしっかりと利益が出てから考えるべき
今回は外注化についてお話をしてきました。
外注化について、もっとも考えてほしいのはそのタイミングです。
もし仮に、十分な利益を確保できていない段階で外注化を考えているなら、本当にそれが必要なことなのかもう1度考えてみてください。
中には「利益を出すために外注化して業務を拡大するんだ」という人もいるかもしれませんが、それはリスクの高い行為でもあります。
なぜなら利益率が低いうちにビジネスの規模を広げてしまえば、ちょっとした市場の変化で倒産してしまう可能性を拡大させてしまうことに繋がるからです。
実際、3店舗経営していた飲食店の経営者が1店舗に減らした結果、利益が上がったという事例もあります。
ビジネスは、拡大すれば良いというものではないのです。
また、利益を伸ばしたいというのであれば外注化よりも先に考えてほしいことがあります。
それが、「商品価格の見直し」です。
実は日本の中小企業には、大企業との価格競争に手を出してしまって無理な安値で商品を売っているところが多くあります。
本来商品が持つ価値よりもかなり安い価格で売っているために十分な利益率が上がらず、働いても働いても儲からずに苦しい思いをしている社長が多いのです。
そんな状況を改善するためには、商品価格を適正価格に戻さなければいけません。
それを先にやらないと業績を好転させることは難しいのです。
外注化はビジネスを大きくしていくうえで非常に効果的な手段の1つです。
しかし、だからといってすぐにでも外注化すればうまくいくというわけではありません。
外注化はタイミングが重要なのだということを理解しておいてください。