今回はインサイドセールス(InsideSales)の役割と導入企業の事例を紹介します。
インサイドセールスは主にBtoBの現場で、効率的に営業活動を行うための方法です。
高い効率性を求められている今、重要性が増しており日本でも多くの企業が導入や定着化を進めています。
特に、以下のように悩んでいる企業には効果を発揮するでしょう。
- 悪化している営業成績を改善したい
- 今の営業手法以外に新しい手法を取り入れたい
- 効率的・効果的な営業手法を導入したい
とはいっても、具体的にインサイドセールスとはどのような手法なのか?導入方法や期待できる効果を知りたいですよね。
今回はインサイドセールスとは何か?メリットやデメリット、導入企業の事例などを紹介します。
営業を効率化して、受注件数や売上を増やすヒントにしてくださいね。
インサイドセールスとは何か?
インサイドセールスとは内勤営業のことです。
会社内で電話やメールなどを活用し、お客さんにアプローチしていく方法ですね。
それに対して、客先に訪問する営業をフィールドセールスといいます。
一般的には、マーケティングとセールス(営業)の中間にある役割です。
業務内容としては見込み顧客の精査や育成を行います。
近い将来に顧客になりそうな見込み客に中長期的なフォローを行い、商談機会が発生したら営業(フィールドセールス)に引き継ぐ流れですね。
インサイドセールスの特徴
インサイドセールスには以下の特徴があります。
- 日本の商習慣に合った方法
- BtoBだけじゃなくBtoCにも使える
- テレアポとの違いはナーチャリング(教育)すること
それぞれについて解説しますね。
インサイドセールスの特徴.1
日本の商習慣に合った方法
インサイドセールスは日本の商習慣に合った方法といえます。
営業の現場では相手企業のキーマンと合うまでは難しいですが、キーマンと接触でき信頼関係を構築できれば深く長い付き合いになることが多いですよね。
キーマンと合うためにはまずは信頼関係を築くことが重要といえます。
インサイドセールスはいきなり成約をせまるのではなく、見込み客と信頼関係を作り上げていく方法です。
そのため、相手企業のキーマンとつながりを作るために有効な手段といえます。
さらに、日本企業のBtoB業界の特徴として、取引が決まれば相手は社全体で真剣に話合いや情報提供してくれますよね。
欧米では担当者の裁量で判断される場面が多々あります。
個人の考えを尊重する文化があるからですね。
そういった意味でも、インサイドセールスは信頼関係を構築して相手企業の懐に深く潜り込める、日本の商習慣に合った手法だといえます。
インサイドセールスの特徴.2
BtoBだけじゃなくBtoCにも使える
インサイドセールスはBtoBだけでなくBtoCでも活用できます。
例えば美容室、整体院などでも応用は可能です。
例えば美容院の場合は、一度来店してくれたお客さんに対して次に髪を切るタイミングで連絡をします。
連絡方法は電話やメール、もしくはLINE@などのSNSでも構いません。
お客さんにとって負担のない方法が良いですね。
完全に営業目的の内容だと引いてしまうお客さんもいるので、来店時に会話した内容を混じえてコンタクトをとると良いでしょう。
そのためには、初回来店時にお客様の髪質やスタイリング方法などの他に、話をした内容を詳細に記録しておく必要がありますね。
インサイドセールスの特徴.3
テレアポとの違いはナーチャリング(教育)すること
テレアポとインサイドセールスの大きな違いは、「単発」か「長期的」かの違いです。
テレアポは、電話をかけたタイミングでアポが取れるかどうか。
基本的にはアポがとれた件数のみで評価される業務です。
長期的にお客さんをフォローするという考えはありません。
一方でインサイドセールスの目的は「ナーチャリング(育成)」を行うことです。
ナーチャリングとは、見込み客を商品の購入意思のあるお客さんになるまで教育することですね。
お客さんが商品やサービスを必要とするタイミングまで定期的にコンタクトをとります。
もちろん、商品のメリットなどを混じえてフォローすることが重要です。
ナーチャリングに有効であれば、メールやDMなど様々なメディアを利用する点もテレアポとの違いですね。
お客さんのニーズが高まったころに、フィールドセールスに引き継ぎ商談に移ります。
テレアポとインサイドセールスは目的が全く違いますので混同しないようにしましょう。
インサイドセールスのメリットとデメリット
インサイトセールスを導入するメリットとデメリットについて解説します。
インサイドセールスのメリット
インサイドセールスのメリットは3つあります。
- コア業務に集中できる
- 会社全体の業務効率アップ
- 業務レベルの均一化ができる
それぞれについて解説しますね。
インサイドセールスのメリット.1
コア業務に集中できる
業務を分担することで、それぞれの業務に集中することができます。
1人の営業マンが見込み客を集めるところからクロージングまでを管理するよりも、業務を分けたほうが効率的なのはイメージしやすいですよね。
- インサイドセールスは見込み客の発掘と管理
- フィールドセールスはクロージング
それぞれのコア業務に集中することで、品質を上がり成約に繋げられる可能性を高めることができます。
インサイドセールスのメリット.2
会社全体の業務効率アップ
インサイドセールスを取り入れることで、業務全体の効率化が可能です。
例えば、今まで訪問営業していた業務をインサイドセールスに置き換えることで、1日に接触できるお客様が多くなりますよね。
沢山のお客さんとつながり信頼関係を構築することができれば、そのまま商談や成約できる数を大きくできる可能性も高いです。
他にも、今まで訪問営業していたときにかかっていた移動時間や交通費を削ることができます。
インサイドセールスは業務効率化と、経費削減にも効果が期待できますね。
インサイドセールスのメリット.3
業務レベルの均一化ができる
インサイドセールスは業務レベルを均一化できます。
つまり、人の入れ替えが容易にできるということです。
今までの訪問営業の場合、営業能力は個人差が大きいものでした。
ゼロから人間関係を構築して成約まで持っていく、その経験やコツは簡単に引き継ぐことができないものです。
しかし、インサイドセールスは違います。
事務所内で業務を行うため、社員の育成を容易に行うことが可能です。
電話であればモニタリングしてフィードバックすることができますし、メールならその文面を情報共有することができますよね。
さらに業務内容が明確に決められているため、マニュアル化しやすいです。
インサイドセールスは、属人化されない業務の仕組みを作ることができます。
インサイドセールスのデメリット
インサイドセールスのデメリットは2つあります。
- システムや仕組みを構築する必要がある
- 営業、マーケティング部門の軋轢が生まれやすい
それぞれについて解説します。
インサイドセールスのデメリット.1
システムや仕組みを構築する必要がある
インサイドセールスを導入するためには、新しく仕組みを構築しなければいけません。
インサイドセールスの目的は見込み客の発掘と育成です。
そのため、今まで営業で培ってきた方の経験やノウハウが通じないこともあります。
新しい仕組みを構築することには労力がかかります。
担当してもらう方には、インサイドセールスを行う目的と役割をしっかり理解してもらうようにしましょう。
インサイドセールスのデメリット.2
営業部門と軋轢が生まれやすい
営業とは役割が違うため、軋轢が生まれやすいです。
- 営業はすぐに成約につながる見込み客を求める
- インサイドセールスは顧客になりそうな情報を営業に引き継ぐ
この2つは似ているようで違います。
営業が求めているのはすぐに成約する可能性が高い見込み客の情報です。
しかし「商品に興味あるけどまだ必要性のない見込み客」を引き継いでしまうと、成約に結びつきません。
これでは部署ごとの意識のズレが生じていますよね。
意識のズレを起こさないために、インサイドセールスから営業に引き継ぎするときの条件を明確に決める必要があります。
他にも部署毎の情報交換を密に行うことも円滑に業務を行う上で重要なことですね。
インサイドセールス導入のやり方とコツ
インサイトセールスのやり方と導入時のコツについて解説します。
- 務範囲を明確にする
- 業務フローを明確にする
- 営業との情報共有を密に行う
これからインサイドセールスを導入する方は参考にしてください。
インサイドセールス導入のやり方とコツ1.
業務範囲を明確にする
インサイドセールスと営業の業務範囲を明確に分けるようにしましょう。
この取り決めがないと、他部署と業務のバッティングが起き混乱を招くことになります。
そのため、業務設計を行い各部署の役割を明確にしましょう。
例えば、以下の内容が聞き出せた時に引き渡すなどですね。
- 商材の内容
- 予算
- 導入時期
基本的なルールを決めることで、部署間の混乱を避けることができるでしょう。
ただし、相手企業の企業規模によっては早めに引き渡すなどの対応も重要です。
相手の企業規模が大きいほどに、商談金額も大きくなる傾向がありますよね。
そのため早めに営業に引き渡したほうが受注金額を最大化できる可能性が高まります。
基本的な業務範囲を決めた上で、状況に合わせて柔軟に対応できるようにしましょう。
インサイドセールス導入のやり方とコツ2.
業務フローを明確にする
業務フローを決めることで、業務レベルの均一化が可能です。
業務フローを決める際に重要なことは見込み客の精査です。
具体的には見込み客の興味・関心の具合によって区分けして、ナーチャリングするようにしましょう。
例えば、相手の興味関心が弱ければランクC。
有用な情報提供を軸にしてコミュニケーションをとる。
興味関心が強ければランクA。
現状の課題などを聞き出し、個別の解決を提案しつつ商談につなげるなどですね。
見込み客のランクに合わせたナーチャリング方法を明確にすることで、業務レベルが均一化され誰が行っても同じような効果を出せるようになります。
インサイドセールス導入のやり方とコツ3.
営業との情報共有を密に行う
他部署との情報連携を密に行うことで、効果を上げることができます。
特に密に関わる営業部門とは密に情報共有を行うべきですね。
インサイドセールス部門から営業に引き渡す際には、見込み客から聞き出せた情報と合わせて、どのようなナーチャリングを行ったのか経緯も含めて伝えましょう。
どの情報が鍵となって成約に結びつくかわからないので、必要だと思われるモノはすべて引き継ぐ方が良いですね。
そして、営業の活動結果はインサイドセールス部門に連携するようにしましょう。
なぜなら、今後のナーチャリングの課題や、成約に結びつきやすい見込み客の傾向がわかるようになるからです。
部署間の情報共有を密にして業務の質を上げることで、インサイドセールスの効果を最大限に上げることができるでしょう。
インサイドセールス導入企業の成功事例
インサイドセールスを導入した企業の事例を紹介します。
インサイドセールス導入企業の成功事例1.
大手通信会社
訪問営業の移動時間の削減のために、インサイドセールスを取り入れた事例です。
営業活動で抱えていた問題点は2つあります。
- 地方のため客先までの移動時間が1社当たり平均80分程度かかる
- 社員数が少ない(15名程度)ため効率的な営業を行えていない
インサイドセールスを導入した結果、客先への移動時間を大幅に削減することに成功。
削減できた時間を商談に費やし、業績アップに効果を発揮しました。
インサイドセールス導入企業の成功事例2.
レジャー施設のPR支援、電子チケット販売業
インサイドセールスで移動時間の削減と幅広い商品の販売に成功した事例です。
抱えていた問題は2つあります。
- レジャー施設まで移動時間が長い(往復5時間以上かかることも)
- 業務の拘束時間が長いため営業社員が疲弊している
インサイドセールスを導入したことで効率良く見込み客にアプローチできるようになり、営業スタッフにかかる負担も減らすことができました。
さらにナーチャリングを行うことで、メインで販売していた商材以外の需要があることも判明。
提案できる商材の幅も広げることにも成功しました。
営業地域が全国のため、訪問営業では実現不可能な数字を出すことに成功した事例ですね。
インサイドセールス導入企業の成功事例3.
個人税理士事務所
顧客の創出のためにインサイドセールスを導入した事例です。
抱えている問題点は「売上の低下」です。
1人で運営している事務所のため、手間がかからないようにメルマガを運用。
経営者に役立つ情報提供をメインに、無料相談のオファーも入れて週1程度で発行しています。
- インサイドセールスはメルマガに任せる
- 無料相談で営業する
インサイドセールスの考え方を応用した事例ですね。
結果としてメルマガ経由から、月5件の問い合わせと3件の成約につながりました。
メルマガを見込み客のナーチャリング(育成)に見立てた、1人でも運用できる良い事例ですね。
アウトソーシング(外注)する方法もあり
インサイドセールスの構築に労力を割くことが難しければ外注することも可能です。
今は代行する業者も多くあるため、興味があれば話を聞いてみるのも良いでしょう。
インサイドセールスをアウトソーシングするメリットは3つあります。
- 労力を削減できる
- 時間を削減できる
- 経験が豊富でスキルが高い
インサイドセールスの仕組みを構築するまでの手間を、全て任せることが可能です。
自社スタッフで運用するよりもスムーズに導入することができるでしょう。
一方で、インサイドセールスをアウトソーシングするデメリットは4つあります。
- 業種によっては外注化できない
- 知識や経験が蓄積されない
- 顧客情報を預けることになる
- コストがかかる
あなたの会社で扱う商材が、専門的であれば外注業者では対応できない可能性があります。
その場合は自社スタッフで運用するしかありません。
他のデメリット関してはアウトソーシングなので仕方がない部分ですね。
メリットとデメリットを理解した上で、外注するかどうかを決めるようにしましょう。
インサイドセールスを学べる書籍
インサイドセールスを学べる本3冊を紹介します。
インサイドセールス 究極の営業術 最小の労力で、ズバ抜けて成果を出す営業組織に変わる
著者:水嶋 玲以仁 有名外資企業で活躍した著者が、インサイドセールスの最新情報と手法をまとめた1冊。 訪問営業せずに成約できる営業組織を作るためのコツが書かれています。 体系的にまとめられており、今後インサイドセールスを立ち上げ、運用する際に読んでみる価値のある本です。
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インサイドセールスの実務―売上を3倍に増やす驚異の営業支援システム
著者:沼澤 拓也 インサイドセールスの仕組みの解説から、導入と運用方法まで基礎から応用まで知りたい方にオススメできます。 いろんなチャネル(販売方法)との連動方法にも触れており、インサイドセールスに関連する内容を一通り網羅できる1冊です。 業務の分業化と実施する上での注意点も参考になります。
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インサイドセールススペシャリスト教本: インサイドセールスを始める上でおさえておくべき基礎から応用まで
著者:ベルフェイス株式会社 著者がインサイドセールス立ち上げに800社以上も携わった経験を1冊に詰め込んだ内容です。 数多くの現場を知っている著者が、導入時や運用時のポイントを的確にわかりやすく、細い部分まで解説してあります。 今まさにインサイドサールスを立ち上げしようとしている企業は参考になるはずです。 |
実際の現場で導入や運用に関わっている方の書籍は貴重です。
立ち上げ時の留意点を事前に知ることができるため、セールスの関連書籍は目を通しておくようにしましょう。
【まとめ】インサイドセールスは作業効率と売上アップにつながる
今回はインサイドセールスについて解説しました。
インサイドセールスは、効率的な営業活動を行うための営業手法です。
事例でも解説した通り、客先への移動時間の削減や営業スタッフの労力を減らすこともできますよね。
そして、訪問営業していたころよりも多くの商談が行え、売上増に成功している結果となっています。
インサイドセールスを導入する上で注意点は3つあります。
- 業務範囲を明確にする
- 業務フローを明確にする
- 営業との情報共有を密に行う
各部署の業務範囲を明確して、情報共有を円滑にすることで高い効果を発揮します。
特に業務範囲を曖昧にしてしまうと現場が混乱してしまうため、シッカリと線引するようにしてください。
他にインサイドセールスを導入する際の注意点は、単なるテレアポになってしまわないことです。
簡単に説明するとテレアポとの違いはナーチャリング(育成)の視点があるかどうかですね。
断られて終わりのテレアポとは違い、インサイドセールスは見込み客との関係性を維持する視点を持って運用するようにしましょう。
インサイドセールスは多くの商談機会を生み出せる方法の1つです。
結果として成約数が増え、売上アップにつながるでしょう。
しかし、売上増に目を向けるのであれば、さらに効果的な手法があります。
それは「商品の値上げ」です。
商品価格を上げることで、どの手法よりも簡単に売上アップを達成することができます。
商品を値上げした状態で、インサイドセールスで多くの顧客を掴むことができれば、売上アップの効果が絶大であることは想像できますよね。
「しかし、値上げは顧客の反発が起こるのでは?」と疑問に思うかもしれませんが、実はお客さんからの反発なく値上げすることは可能です。
弊社代表の北岡がコンサルしたクライアントの中には、単価20倍に成功した人もいるほどです。
インサイドセールスは多くの見込み客にアプローチできる効果的な手法です。
さらに価格アップを組み合わせれば効果は倍増します。
価格アップはそれだけでも売上増につながる方法なので、具体的な方法はインタビュー記事をご覧になってみてください。