今回は「体験型コンテンツ」についてお伝えしていきます。
顧客一人ひとりが自分にとって必要な情報を選びとる昨今において、他の情報との差別化を図り、自社の商品やサービスをアピールするための有効な方法の1つが「体験型コンテンツ」です。
この体験型コンテンツは今人気を集めていて、導入している企業も少なくありません。
従来から、ワークショップやポップアップストアなどの、参加者が自ら赴く「参加型」の体験型コンテンツはありましたが、ここではIT技術を利用した体験型コンテンツについてご紹介していきます。
体験型コンテンツとは?
体験型コンテンツとは、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)のようなIT技術を利用して、消費者が自ら体験することのできるコンテンツのことを指します。
例えば、専用のゴーグルをかけるだけで、海の中にいるような体験をすることができたり、鏡(実は特殊なシステム)の前に立つだけで、自分に合った洋服をコーディネートしてくれるなど、「疑似体験ができる」コンテンツです。
従来は、文章や写真・動画などでサービスや商品をアピールしていましたが、ただ「見て」もらうだけでなく、実際に「体験」してもらうことで、その魅力をより詳しく伝えることができます。
GfK グローバル意識調査
「時間」と「お金」、および「所有」と「体験」のどちらを重視しているか調査
GfKという調査会社が2017年に17カ国22,000名のインターネットユーザーに、「時間」と「お金」、および「所有」と「体験」のどちらを重視しているかを調査し、その結果を発表しました。
それによると、日本では「所有」よりも「体験」を重視する人が多いという結果が出ています。
これは世界的にも同じ調査結果となっており、全体的な流れとして、体験することへの価値の高まりが広がりをみせています。
人間は受動的に情報を得るよりも、能動的に得たときの方が、情報の吸収力や記憶力に大きな差が出ると言われています。
そのため、実際に体験してもらった商品やサービスが、消費者により強い印象を与えることができるのです。
体験型コンテンツの3つの種類と活用方法
体験型コンテンツは大きく分けて以下の3種類があります。
- VR(仮想現実)
- AR(拡張現実)
- MR(複合現実)
それぞれの特徴と、どのように事業に活用することができるのかを解説していきます。
体験型コンテンツの種類と活用方法1.
VR(仮装現実)
体験型コンテンツの種類、1つ目が「VR(仮装現実)」です。
VRとは、コンピュータ・モデルとシミュレーション技術によって作り出された三次元空間を、ユーザーの五感を含む感覚を通じて、疑似体験できるようにした技術のことを指します。
HMDと呼ばれる専用のゴーグルをかけるだけで、まるで本物の世界にいるかのような体験をすることができます。
活用方法としては、津波や消火訓練などの再現しづらい体験や、建築現場の事前調査などの行ったことのない場所の調査、宇宙旅行や海底探索などの疑似体験を行うなど、様々な場所での活用が期待されています。
体験型コンテンツの種類と活用方法2.
AR(拡張現実)
体験型コンテンツの種類、2つ目が「AR(拡張現実)」です。
ARは、CGなどでつくった仮想現実を、現実世界に現すことができる技術のことを指します。
例えば、社会現象を巻き起こしたスマートフォンゲームの「ポケモンGO」もARの一つです。
カメラを現実世界にかざすと、まるでポケモンが現実世界に存在しているかのように表示されますよね。
ARは現実世界を拡張させてみせることができるのです。
ARはシミュレーションに活用する方法がよく使われています。
人にカメラを向けて髪型をCGで照らし合わせて、その人に合う髪型を見つけたり、部屋にカメラをかざすことでCGの家具を置き、間取りを考えることもできます。
ARの使い方は無限大で、特にエンターテイメント事業と相性の良い技術です。
体験型コンテンツの種類と活用方法3.
MR(複合現実)
体験型コンテンツの種類、3つ目が「AR(拡張現実)」です。
CGなどで作られた仮想世界と現実世界の情報を組み合わせて、確認や操作を可能とした技術を指します。
ARは仮想世界を体験するだけで、つくられた「もの」に触ることはできません。
しかしMRは現実世界の情報と仮想世界の情報を融合することで、実際に触ったり動かすことができるのが大きな特徴です。
VRよりも現実に近い疑似体験ができます。
特に医療の現場ではこの技術を利用して、例えば患者の実際の内臓をCG化し、それを手で動かしたり向きを変えながら悪い部分を見つける、といったことができるのです。
このように医療現場のような「精密さ」が重視される場所で重宝されるのがMRの技術なのです。
体験型コンテンツの導入事例
実際に体験型コンテンツを導入して成功した企業の例をご紹介します。
- ANA VIRTUAL TRIP(VR)
- IKEA Place(AR)
- Microsoft HoloLens(MR)
デジタルマーケティングの一環として、体験型コンテンツを導入している企業は多くあります。
その中で、VR、AR、MRの技術別にご紹介していきます。
体験型コンテンツの導入事例1.
ANA VIRTUAL TRIP(VR)
まず一つ目が航空会社であるANAが提供している「ANA VIRTUAL TRIP」というサービスです。
このサービスではVRの技術を使って、自宅にいながら本当に旅行をしているかのような体験をすることができるのが特徴です。
航空会社ならではのサービスですよね。
ANAはこのサービスで「旅行に行ってみたいな」と顧客に思わせ、新規顧客獲得に成功するという流れを作り出しました。
お金も時間もかかるイメージの旅行ですが、このように実際に旅行に行ったかのような体験を顧客にしてもらうことで、広告以上の宣伝効果を持たせることに成功したのです。
長時間の旅行が難しいお年寄りや病人向けなど、今後需要が広がるサービスになることは必須です。
体験型コンテンツの導入事例2.
IKEA Place(AR)
続いてご紹介するのが大手家具メーカーのIKEAの「IKEA Place」です。
IKEA Placeでは、ARの技術を利用して、自分の部屋にIKEAの家具を「試し置き」することで、事前シミュレーションができます。
家具を買うときに、実際のサイズ感が分かりづらかったり、部屋に置いたらどうなるかイメージが湧きにくいことってありますよね。
そんなときに「IKEA Place」のアプリを使用し、部屋をカメラで写しながら、約2,000種類のソファーやベッドを置きたい場所に置くことができるのです。
これにより、購入後のミスマッチが減り返品などの削減効果や顧客の購買促進が期待されています。
このAR技術は、今やファッション業界や化粧品業界などにも導入され、今後も発達していくことでしょう。
事前にシミュレーションしてから購入することが当たり前になる時代も、そう遠くはなさそうです。
体験型コンテンツの導入事例3.
Microsoft HoloLens(MR)
三つ目にご紹介するのがマイクロソフトの「Microsoft HoloLens」です。
このサービスは専用のレンズ(HMD)をかけることで、立体的なホログラムを映し出し、細部などの情報を詳細に確認することができるシステムです。
日本航空では「Microsoft HoloLens」を、飛行機整備士の学習用に応用していて、HMDに表示されたジェットエンジンを分解したり、部品を取り出すなどの技術教育に活かしています。
以前は、実物ではなく平面図で学習していましたが、MRの技術を活用することで実際に手にとって設計・分解が行えるなどの疑似体験ができ、学習効率や効果の向上が期待されています。
体験型コンテンツ導入のメリット
体験型コンテンツ導入のメリットは以下の2つです。
- 圧倒的な情報量の多さ
- 理解が生まれる
IT技術の発展と共に企業活動の一環として、体験型コンテンツを取り入れる流れは、これからますます加速していくことが予想されます。
体験型コンテンツのメリットを十分に理解し活かすことで、自社にとっても大きなメリットと成りうることでしょう。
体験型コンテンツ導入のメリット1.
圧倒的な情報量の多さ
まず一つ目のメリットは、「圧倒的な情報量の多さ」です。
これまでは、主に利用者の視覚に訴えるようなアプローチしかできませんでしたが、疑似体験をすることで体感することができるため、そこから伝わる情報量は視覚のみに比べて遥かに多いと言えます。
例えば旅行会社の広告に「今度の休暇はハワイで非日常を味わいませんか?」とあったとします。
従来だと、写真と文字でのメッセージのみのため、実際にハワイに行ったことがない人にとっては「非日常」の感覚は自分の想像の域を越えるものではありませんでした。
しかし、VRであたかも実際にハワイにいるような体験をしてもらうことで、「ハワイに行きたい!」と思わせることができます。
VRに限らず、かなりのインパクトを与えることができるのが体験型コンテンツで、他のコンテンツと差別化を図り、より利用者の印象に残るアプローチができるのです。
体験型コンテンツ導入のメリット2.
理解が生まれる
二つ目のメリットは「消費者からの理解が生まれる」ということです。
消費者自らにコンテンツを通して体験してもらうことで、商品やサービスへの理解や気づき、納得感を得ることができ、購買意欲へと繋げることができます。
また、このような体験型コンテンツを提供することで、消費者から企業へとの信用や信頼を得られることにもなるでしょう。
体験型コンテンツ導入のデメリット
良いことばかりの体験型コンテンツですが、デメリットも存在します。
- 導入コストがかかる
デメリットもしっかりと知った上で、導入を検討していきましょう。
体験型コンテンツ導入のデメリット
導入コストがかかる
体験型コンテンツのデメリットは「導入コストがかかる」点です。
これからますます発展・普及していく技術ですが、高度なため導入にはコストがかかります。
例えば、導入事例でご紹介したMicrosoft HoloLensは一台¥555,800 (税込)です。
これを研修用や自社のサービスに応用するとなると、更に費用がかかることが予想されます。
しかしデメリット以上のメリットがあるのが体験型コンテンツの魅力です。
十分に考慮した上で導入することをオススメします。
自社ファンを増やす体験型コンテンツ作成に必要な4つのこと
自社ファンを増やす体験型コンテンツを作成するために、必要な4つのことをご紹介していきます。
- コンテンツの質
- 消費者ニーズの理解
- 自社の強みを分析
- ユニークな発想
消費者に魅力的だと感じてもらえるような体験型コンテンツを作成するためには、十分な施策を立てなければなりません。
これから解説する4つの項目を掘り下げていくことで、自社の商品・サービスに合った体験型コンテンツを作成するヒントが見つかることでしょう。
体験型コンテンツ作成に必要なこと1.
コンテンツの質
体験型コンテンツ作成に必要なこと1つ目が、「コンテンツの質」です。
体験型コンテンツを作成するには、技術力とコストが必要です。
せっかく投資をして作成したコンテンツも、質が悪ければ、消費者の心を掴むどころか逆効果になってしまう恐れもあります。
消費者が求めているのは、良質な体験であり、それを可能にするコンテンツです。
魅力的で体験する人にインパクトを与えるようなコンテンツの作成を心がけていかなければなりません。
体験型コンテンツ作成に必要なこと2.
消費者ニーズの理解
体験型コンテンツ作成に必要なこと2つ目が、「消費者ニーズの理解」です。
体験型コンテンツを作成する大きな目的の1つは「疑似的な体験を通じて商品・サービスの魅力を伝え、そこから感動や理解などをしてもらう」ためです。
そのためには、消費者ニーズをきちんと把握しておかなければなりません。
「自社の商品・サービスを通して、消費者は何を得られるのか?」「何を求めているのか?」を消費者目線になって考えることで、質の高い体験コンテンツを提供することができるでしょう。
体験型コンテンツ作成に必要なこと3.
自社の強みを分析
体験型コンテンツ作成に必要なこと3つ目が、「自社の強みを分析すること」です。
体験コンテンツの作成に限らず、自社の強みが分かっていなければ、その魅力を消費者にきちんと伝えることは難しいでしょう。
自社の強みと消費者のニーズを理解することで、「消費者はこういったサービスを望んでいるのか。それであれば自社の強みである〇〇を生かしたサービスを提供しよう」という流れで消費者により良いサービスを提供することができます。
上質なサービスを提供して自社ファンを増やすためにも、自社の強みを分析することは必須のことといえるでしょう。
体験型コンテンツ作成に必要なこと4.
ユニークな発想
体験型コンテンツ作成に必要なこと4つ目が、「ユニークな発想」です。
VRなどの仮想現実を作れる技術では、想像できることはどんなことでも形にすることができます。
そのため、他の企業がやっていることと同じようなサービスを提供しても、消費者からの注目度は低く、すぐに飽きられてしまいます。
消費者に「これは面白い」「この企業はすごいことをやっているな」と思わせるようなユニークな発想をコンテンツに取り入れることができれば、自社のファンが増え優良な顧客へと育ってくれることでしょう。
そのためには、前項の「自社の強み」をしっかりと把握した上で、消費者が喜ぶようなコンテンツの施策を考えることが重要です。
【まとめ】独自の体験型コンテンツで他社との差別化を計ろう!
モノに溢れていると言われる現代で、消費者は「体験」にお金や時間をかけるようになってきました。
IT技術の発展と共に、消費者に自社の商品・サービスの疑似体験を通して、魅力や理解を得ようとする「体験型コンテンツ」の導入が、多くの企業で広まっています。
消費者を惹きつける魅力的なコンテンツを作り、独自の体験を提供することで、他社との差別化を計ることが重要となってきます。
そのためには、本文でもお伝えした「体験型コンテンツを作成するために必要な4つのこと」を軸に客観的で戦略的な施策を充分に練らなければなりません。
コストや技術が必要な体験型コンテンツを失敗させないためにも、これから導入を考えている人はぜひ弊社代表の北岡を頼ってみてはいかがでしょうか。
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この機会に体験型コンテンツを導入して、消費者へ感動体験を届けましょう。