今回は、社員の低いモチベーションが向上する施策やそもそも「モチベーションが下がる原因とは何か?」について詳しく解説していきます。
社員のモチベーションを上げたいのは、事業の生産性をアップさせて売上を増やし、会社に残る利益をたくさん残したいからですよね。
利益が残れば、あなたの報酬も社員の給料も上げることができますし、あなたがもっとやりたい事業を展開することもできます。
つまり、会社に関わる全員の豊かさは、「第一線で働く社員」にかかっているわけです。
社員のモチベーションを高く維持して、高い業績を維持したいと思うのは当然のことですよね。
世間一般的には、社員のモチベーションは「上げられる」という認識ですが、弊社代表の北岡は「上げられも下げられもしない」という見解です。
というのも、そもそもモチベーションは「感情」と同じ。
にんじんが嫌いな人をにんじん好きにさせることができないのと同じで、モチベーションが低い人に対して他人の力で上げさせることもできないのです。
では、どのように社員のモチベーションを高め、会社の業績や売上を守っていくのか?
この記事では、社員の低いモチベーションに対して正しく働きかけ、会社の売上利益を維持(または向上)させる方法について詳しく解説していきます。
「社員のモチベーションが低い!」と考えてはいけない本当の意味とは?
「社員のモチベーションが低い!」「なんとか上がるように仕向けなければ!」と考えると思いますが、実はあまり意味がありません。
なぜなら、モチベーションとはただの「感情」。
つまり「好き嫌い」と同じで、力づくで上げることは不可能だからです。
例えば、「にんじん嫌い」の人を「にんじん好き」にさせられないのと同じように、モチベーションが低い人のモチベーションを上げさせたりやる気をアップさせたりすることはできません。
ですから、社員のモチベーションを力ずくで上げようと頑張るのは無意味なのです。
と言っても、モチベーションはできるだけ高くあって欲しいと思いますよね。
社員のモチベーションが低いと業績が下がり、あなたの報酬も社員の給料も守れなくなり、最悪、会社の存続が危ぶまれることさえあります。
では、あなたは社員に何ができるのか?
それは以下の2点です。
- モチベーションを下げる原因を取り除く
- モチベーションに関わらず業績が維持できる仕組みを作る
モチベーションが下がる原因は社員によって違います。
大量の仕事を前にしてやる気になる人もいれば、げんなりする人もいます。
ですから、社員のモチベーションを下げないためには、一人ひとりの力量を知り、その人にあったマネジメント(行動管理)を行うことが重要なのです。
また、社員のモチベーションに関わらず会社の利益が確保できる仕組みを作ってしまえば、もう社員のモチベーションのことを気にする必要はありません。
もっと重要な業務に集中することができ、会社の業績にもプラスに働くでしょう。
社員のモチベーションの管理方法については「スタッフのモチベーション管理(Podcast)」でも解説しているので、参考までに聞いてみてください。
社員のモチベーションを上げることよりも、「下げる原因を取り除く」「モチベーションに関わらず利益を守れる仕組み作り」に焦点をあててみてください。
社員のモチベーションが下がる5つの原因と施策(上げ方)は?
社員のモチベーションが下がる原因としては、主に以下の5つが考えられます。
- 仕事(目標)と力量が合っていない
- 評価制度に納得していない
- 給料が労働に見合ってない
- 労働環境が悪い
- 職場の人間関係が悪い
上記を見て言えるのは、総じて「マネジメント不足」がモチベーション低下の原因になっているということです。
ですから、下がっているモチベーションの上げ方としては、上記の5つに対するマネジメント施策を行って、下げている原因を取り除くことです。
社員のモチベーションが下がる原因と施策1.仕事(目標)と力量が合っていない
社員のモチベーションが下がる原因と施策の1つ目は「仕事(目標)と力量が合っていない」です。
社員に与える仕事は「難しすぎ」「簡単すぎ」のどちらに偏ってもモチベーションが下がります。
仕事内容が難しすぎると恐怖で手が止まって仕事に手をつけようとしなくなり、逆に簡単すぎると退屈してやる気がなくなってしまうからです。
上記は心理学的にも「フロー」という言葉で証明されています。
フロー (英: Flow) とは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。ゾーン、ピークエクスペリエンス、無我の境地、忘我状態とも呼ばれる。
引用元:Wikipedia「フロー(心理学)」
同じくWikipediaによると、フローの構成要素としては以下の8つが上げられるとのこと。
- 明確な目的(予想と法則が認識できる)
- 専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中。(活動に従事する人が、それに深く集中し探求する機会を持つ)
- 自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
- 時間感覚のゆがみ – 時間への我々の主体的な経験の変更
- 直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)
- 能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)
- 状況や活動を自分で制御している感覚。
- 活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。
引用元:Wikipedia「フロー(心理学)」
上記の通り、モチベーションそのものではなく、「能力と難易度のバランス」や「自主性」「目的の明確化」などに働きかけると社員は仕事に没頭するようになります。
具体的な施策としては、「目標設定を見直す」です。
社員一人ひとりが設定している「目標」が、その社員に見合っているかを見直してみましょう。
社員の力量にあった目標設定(頑張れば手が届くくらい)をしてあげると、フロー状態に入り、仕事にやりごたえと楽しさが生まれて、モチベーションを勝手に上げてくれます。
社員を目標達成に夢中にさせることができれば、勝手に高いモチベーションは維持されます。
まずは社員に与えている仕事内容がその人に力量に適切なのか見直してみましょう。
目標設定の方法については「モチベーションを高める目標設定」の記事も参考にしてみてください。
社員のモチベーションが下がる原因と施策2.評価制度に納得していない
社員のモチベーションが下がる原因と施策の2つ目は「評価制度に納得していない」です。
社員が「自分が頑張ったことが報われていない」と感じてしまう評価制度なら、やる気を失うのは当たり前です。
例えば、新人営業マンの場合、たくさん顧客を回っても売上にはほとんどつながらないことがほとんどです。
だからといって、売上につながった分だけで評価してしまうと、その営業は「自分の頑張りが認められていない気持ち」になり、やる気を失います。
ですから、売上のような「コントロールできない指標」を評価するだけでなく、「コントロールできる指標」も評価する仕組みを作るといいです。
具体的には、以下のような指標です。
- 訪問件数
- 電話営業件数
- 商談件数
- 事務処理件数……etc
「自分でコントロールできる指標」が評価されるなら、あとは自主的に行動するだけですから、フロー状態に入りやすく自然とやる気もアップします。
社員のモチベーションが低い時は、評価制度が社員の頑張りをしっかり反映するものになっているかを確認してみましょう。
社員のモチベーションが下がる原因と施策3.給料が労働に見合ってない
社員のモチベーションが下がる原因と施策の3つ目は「給料が労働に見合ってない」です。
社員が働いている一番の理由は、生きていくためのお金をもらうためです。
会社の理念に共感し、「お金をもらえなくても働きます!」といった社員はほとんどいないでしょう。
ですから、「自分が頑張った分の給料をもらえていない」と感じてしまえば、モチベーションややる気が下がるのは無理もありません。
この場合にできる対策は、以下の2つのどちらかです。
- 還元率を上げる(給料を上げる)
- 労働時間を少なくする
給料を多く出せるのが一番いいですが、余裕がなければ「労働時間」を少なくする工夫をします。
具体的な施策については「人件費削減のメリットとデメリットとは?失敗しない方法も解説!」の記事で一部解説しているので、参考にしてみてください。
また、中には「社内表彰」といった「給料以外の報酬を与える」という対策をしている会社もありますが、あまり効果はありません。
社員もバカではないので、内心では「こんなんで機嫌とろうとしている」と思っていることがほとんどです。
社員が「疲弊を伴うモチベーション低下」をしているなら、労働と給料が見合うように見直すと効果があるでしょう。
社員のモチベーションが下がる原因4.労働環境が悪い
社員のモチベーションが下がる原因の4つ目は「労働環境が悪い」です。
どんなに給料が良くても、以下のように労働環境が悪ければ、社員はモチベーションが下がるどころか、会社を離れていきます。
- パワハラ
- セクハラ
- 周辺環境(騒音、異臭)
- 事務所内の環境(換気、空調設備)……etc
事例として、事務所に窓がなくて太陽の光も入らず、換気できないばかりか、空調設備も壊れているという会社がありました。
当然のごとく離職率は高かったです。
辞めていく社員のほとんどは体調を壊して辞めていっていました。
上記は極端な例ですが、お金が良くても、肉体的・精神的な健康が保てない職場では、モチベーションどころの話ではありません。
人間は「肉体」「感情」「精神」が満たされなければ、自己実現のための行動はできないと学問的に証明されています。↓
自己実現理論(じこじつげんりろん、英: Maslow’s hierarchy of needs)とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。
引用元:Wikipedia「自己実現理論」
よって、給料や労働時間の面では良好なのに、モチベーションが低い場合は、労働環境を一度見直してみましょう。
具体的には、社内アンケートや面談、研修などを通して、社員から直に話を聞く機会を設けましょう。
人間には「正常バイアス」という、自分に都合の悪い情報は無視するという心理が働いているので、社員から話を聞くことであなたには見えていなかった実態を知ることができます。
会社の労働環境を一番知っているのは実際に働いている社員ですから、直接問題点を聞くのが一番早い解決策です。
社員のモチベーションが下がる原因5.職場の人間関係が悪い
社員のモチベーションが下がる原因の5つ目は「職場の人間関係が悪い」です。
「労働環境」に通ずるところはありますが、職場の人間関係がうまくいってなくて仕事に支障をきたしているケースは多いです。
実際に、転職経験者の半数が「職場の人間関係が原因」であると答えているデータがあります。↓
引用元:エンジャパン「1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査 」
「職場の人間関係の悪化」は、モチベーションが下がるどころか辞めてしまう危険性もあるのです。
評価方法の面で何も原因が見つからない時は、社員同士の人間関係にも注目してみてください。
具体的な施策としては、こちらも社内アンケートや面談、研修が効果的です。
社員一人ひとりの人間関係は、表には決して現れませんから、直接話を聞く以外の解決方法はありません。
とは言え、社員があなたになんでも話せる関係でなければ、意味がありませんから、あなたと社員との関係性も良好にしておくのは大前提です。
職場の人間関係悪化は、モチベーション低下どころか「退職してしまう」ほどのインパクトがありますから、社長としては敏感になっておきたい問題です。
社員のモチベーションが向上した事例を紹介!
社員のモチベーションが向上した事例として、弊社代表の北岡がコンサルしたある英会話学校を経営する会社を紹介します。
その会社は、事業開始当時、「自分たちの給料も払えない状況」に陥りそうになっていました。
原因は「自分たちがやっている仕事」がいっぱいいっぱいになっているにも関わらず、適切な価格が取れていないことでした。
いわゆる、自分たちのやっていることが難しすぎて「フロー」から外れている状態です。
そこで、社長と社員全員で「今やっている仕事」を洗い出し、仕事内容の見直しをしたところ、
- サービスの単価を上げた方がいい
- 自分たちが提供するサービスの得意分野と注力箇所
に気づくことができました。
その結果、社員が自発的に動いて、平均単価2倍、利益3倍、しかも成約率も1.5倍にすることに成功しています。
このように、自分たちの仕事内容や目標設定を見直すと、社員のモチベーションアップだけでなく、利益アップに直接繋げることもできるのです。
【まとめ】社員のモチベーションを維持して会社の利益を守ろう!
社員のモチベーションを高く維持したいなら、「モチベーションを下げる原因を取り除くための施策」を行うことです。
その具体的な方法としては以下のように解説してきました。
原因 | 施策 |
仕事(目標)と力量が合っていない | 社員の目標設定を見直して、簡単すぎず難しすぎない「フロー状態」に持っていく。 |
評価制度に満足していない | 社員がコントロールできる指標(訪問件数、事務処理件数など)も昇給、人事評価に導入する。 |
給料が労働に合っていない | 給料を上げる、それができないなら、労働時間の短縮を検討する(ワークライフバランス)。 |
労働環境が悪い | アンケートや面談、研修を通して、「社員の本音」を知る機会を作る。 |
職場の人間関係が悪い | 同上。 |
上記のように、社員のモチベーション低下の原因は、総じて「マネジメント不足」です。
社員に向き合う行動が取れれば概ね解決します。
会社の業績を最前線で作っているのは社員なのですから、当然といえば当然なのですが、社長業をしているとこの視点が見えなくなりがちです。
社員のモチベーションを高く維持し、会社の業績を維持・向上させたいと思うなら、今一度、社員に真摯に向き合ってみてください。
とはいえ、そもそも社員のモチベーションをコントロールするのはとても難しいことです。
「他人と過去はコントロールできない」という原理原則は多くの自己啓発本でも言われていることです。
ですから、会社の業績を守るために、社長であるあなたがまず考えるべきことは「社員のモチベーションに関係なく売上が上がる仕組みを作ること」です。
それさえ作れば、あなたは社員の顔色を伺う労力を手放せるので、もっと売上に繋がる業務に集中して効率的に利益を上げることができます。
その具体的な方法については、弊社北岡がコンサルティングを通して、共有させていただいています。
北岡は今までに1000社以上の中小企業のコンサルをしており、成功率は「93.8%」を誇っています。
実際にコンサルを受けた企業の中には売上を「20倍」にした事例もあります。
そういった成功事例も踏まえてアドバイスできるので、コンサルを受ければ実利につながる確率は高いです。
この記事が「社員のモチベーションの上げ方」に関する悩みを解決する一助となれば幸いです。