今回はD2Cマーケティングについて解説します。
D2Cは、「Direct To Consumer」の略で、ECサイトで直接でお客さんに商品を販売するビジネスモデルです。
通販サイトが普及しネットで購入することが当たり前になった今、D2Cを導入して急成長している企業が増えています。
しかし、予算の少ない中小企業が行う場合は注意が必要です。
大企業のように潤沢な予算があるわけでも、マーケティングの経験やノウハウを持っているわけでもありません。
大企業が行っていることを表面上だけ真似しても、失敗に終わる可能性が高いでしょう。
そのため、事前に情報収集を行うことが重要です。
今回はD2C市場が伸びている背景と、中小企業がD2Cマーケティングで成功するために必要な要素、日本企業の事例について解説します。
D2Cの導入を検討している企業は参考にしてください。
D2C市場が伸び続けている背景とは?
D2C市場が伸びている背景として、以下の2つの要素があります。
- 通販市場の拡大
- SNSの日常化
今では生活用品やプレゼントなどを、ネット通販で購入することが当たり前の時代になりましたよね。
消費者がネットを通じて購入することに抵抗感が少なくなってきています。
つまり、メーカーがネットを通じて直接お客さんに商品を提供できる環境になってきているということです。
D2Cマーケティングでは中間業者を通さないため中間マージンが発生しません。
そのため高品質な商品を手頃な価格で提供することができます。
フェイスブックやツイッター、インスグラムなどのSNSが普及していることも重要です。
自社で運用しているSNSで直接消費者とつながることで、フォロワーに対して直接商品の宣伝を行うことができます。
商品に対する反応もダイレクトに知ることができるため、商品を改良する情報収集としても活用できますね。
ネット通販への抵抗の低さと、SNSでコミュニケーションがとれることが、D2C市場が盛り上がっている主な理由といえます。
中小企業がD2Cを成功させる要素
中小企業がD2Cマーケティングを成功させるために必要な要素は以下の2つです。
- 商品価値が高いこと
- WEBマーケティングノウハウ
これらの要素がなければ、D2Cマーケティングで失敗する可能性が高いといえるでしょう。
それぞれについて解説します。
中小企業がD2Cを成功させる要素.1
商品価値が高いこと
D2Cマーケティングを成功させるために、商品力が高いことが重要です。
周りの商品と何が違うのか良くわからないような商品では、誰も興味を持ってくれません。
「他社製品とはここが違う」というセールスポイントのある商品を開発することが重要です。
例えば、D2Cのアパレルブランド「Everlane(エバーレーン)」は、製造から販売までに至る工程をみせています。
「この商品がなぜこの価格で売られているのか?」という理由を、お客さんが納得できる仕組みを作っているわけです。
商品価値が高い商品だと納得したお客さんは、市場価格より多少高値であっても購入してくれます。
他にも例を挙げると、男性用ひげ剃り用品を扱う「Dollar Shave Club」があります。
6枚刃カミソリ1つと替え刃が4枚、シェービングクリーム1本が入ってたったの5ドル(約500円)という低価格商品を開発しました。
その結果、4年で会員数300万人超える顧客を得ることができています。
このように、お客さんの目を引く商品価値の高い商品を作ることが重要です。
中小企業がD2Cを成功させる要素.2
WEBマーケティングノウハウ
D2Cを成功させるためにWEBマーケティングノウハウは必要です。
情報発信を行い、お客さんと関係性を構築・維持するためのマーケティングですね。
しかし、中小企業で専門のWEB担当者がいるところは数少ないでしょう。
WEBマーケティングを代行してくれる企業もありますが、あなたの会社でもある程度知識を持っていないと上手く運営していくことは難しいといえます。
そのため、最初は大変かもしれませんが、知識と経験と積むために自社で運用するのが良いでしょう。
WEBマーケティングは、直接お客さんとつながることができるSNSをメインに行います。
SNSを運用する上で必要なことは、他社との違いと強みを知ることとターゲットの選別です。
SNSの運用については中小企業こそ積極的に使おう!SNSを活用した自社ブランディング方法で詳しく解説しているので読んでみてください。
お客さんとコミュニケーションをとり、商品を最大限にアピールできる媒体を育てましょう。
D2Cマーケティングを導入するメリット
D2Cマーケティングで得られるメリットは以下の3つです。
- コストカットと提供スピードの速さ
- 顧客情報の収集ができる
- コアなファンの創出
それぞれについて解説します。
D2Cマーケティングを導入するメリット.1
コストカットと提供スピードの速さ
D2Cマーケティングは中間業者を省くことで、コストカットが可能です。
例えばアパレル業界の場合、商品が出来上がるまでに部門が細かく分類されていますよね。
企画や製造、販売といった部門のことです。
それぞれの部門に専門業者を通すことで中間マージンがかさんでいきます。
最終的に商品価格にそれらがすべて上乗せされ、販売されることがほとんどですよね。
その点、D2Cマーケティングは自社で製造から販売までを行うため、余計な中間マージンがかかりません。
同時に中間業者を通さないことで、新商品を企画してからお客さんへ提供するまでのスピードが速くなりますね。
コストカットと商品提供の速さは、中間業者を通さないことで得られるメリットです。
D2Cマーケティングを導入するメリット.2
顧客情報の収集ができる
D2Cマーケティングを導入することで購入履歴や要望、クレームなど様々な情報が集まるでしょう。
それらの情報は商品や販売方法を改良するためのアイディアとなります。
経済誌Forbes(フォーブス)のインタビューでユニクロ柳井社長も、顧客の購買情報を分析・活用することの重要性を説明しています。
お客さんの購買履歴を分析することで、今後売れる商品の傾向が見えてくるからです。
D2Cマーケティングは顧客情報の収集ができ、そして改善点に対する対処を素早く行うことができます。
D2Cマーケティングを導入するメリット.3
コアなファンの創出
D2Cマーケティングは、コアなファンを作り出しやすいです。
直接お客さんに販売することで、商品の品質や商品が手元に届くまでの全てをお客さんから評価されます。
それらを全て満足させることができれば、あなたの会社そのもののファンになる可能性が高いでしょう。
これは、商品を他社に卸していたのでは得ることができないメリットといえます。
例えば、ある人が楽天市場で商品を購入したとしましょう。
商品の質に満足したお客さんは、商品を製造している企業よりも、販売していた楽天市場のほうを好きになってしまう傾向があります。
お客さんは、製造会社よりも販売会社との関係性を重視するのです。
製造から販売までを行うD2Cマーケティングを行うことで、お客さんと深い関係を築くことができ、コアなファンを創出できる可能性が高いといえます。
D2C導入している日本企業の成功事例
D2Cマーケティングを導入して成功している企業事例を3つ紹介します。
成功事例1.株式会社バルクオム(BULK HOMME)
バルクオムは化粧水やシャンプーなどのメンズスキンケア商品を扱っている企業です。
男性は一度を商品を気に入ったら、他の商品に移りづらい特徴がありますよね。
そのため他メーカーよりも細かくPDCAサイクルを回し、商品改良をし続けてリピーターの確保に成功しています。
ターゲット層が20代~30代のため、LINEやSEOなどネットをメインにお客さんとコミュニケーションを行っています。
D2Cの特徴を活かし、細かく商品改良を行うことでリピーター獲得出来ている企業といえますね。
成功事例2.株式会社FABRIC TOKYO(ファブリック東京)
ファブリック東京はオーダーメイドでスーツやシャツを販売する企業です。
採寸さえ測ってしまえば、スマホで自分のサイズにピッタリな商品を購入できます。
スーツの買い替えの時期にわざわざ店舗まで足を運ぶ必要がありません。
銀座に店舗を構えていますが、目的としては採寸とスーツやシャツに使用する素材を確認するためですね。
購入はECサイトからで、深夜の時間帯のオーダーが多いそうです。
その後に、競合他社であるZOZOTOWN(ゾゾタウン)が、ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)を発表し、お客さんのサイズに合った服を提供するサービスを開始しました。
オンライン上でオーダーメイドの服を提供するサービスが盛り上げってきている状況ですね。
今後、競合他社との差別化を行うためにどのような施策を行うのかに注目です。
成功事例3.株式会社Knot(ノット)
Knotはカスタムオーダー腕時計を扱う企業です。
腕時計本体のデザインや、ベルト部分も含めてパーツを自由に選ぶことができます。
流通を含めて徹底したコストカットを行っており、市場価格の1/3程度の価格で提供することができています。
商品の品質も国内外からの評価が高いですね。
D2Cマーケティングのモデルとして、参考にするべき企業の1つです。
【まとめ】D2Cの成功させる鍵は商品力とマーケティング
今回はD2Cマーケティングについて解説しました。
D2Cマーケティング導入で得られるメリットは以下の3つです。
- コストカットと提供スピードの早さ
- 顧客情報の収集ができる
- コアなファンの創出
コストカットが実現できるため、利益率を上げることができますね。
お客さんの購入履歴や、要望やクレームなどの情報が自然と集まり、分析することで商品改良を素早く行うことができます。
お客さんの要望にあった対応ができていれば、コアなファンを作ることもできるでしょう。
結果として、D2Cマーケティングが上手く機能したときは、大きな利益を生み出すことができます。
ただし、中小企業がD2Cマーケティングで成功するには以下2つの要素が重要です。
- 商品価値の高い商品
- WEBマーケティングノウハウ
これらの要素を持っていなければ、失敗する可能性が高いといえるでしょう。
実際に、莫大の予算を持っている大手企業がD2C市場に乗り込んでも失敗するケースは珍しくありません。
そのため新しくマーケティング戦略を立てるときは、経営コンサルタントなど第3者から客観的な判断を行うことが有効的な手段だといえます。