今回お話しするのは、今日本でどんどんと市場規模を広げている「キャッシュレス決済」の導入についてです。
あなたは今現在、日本の経済産業省がキャッシュレス決済の普及を推進しているということをご存じでしょうか?
消費税の増税も控えていることから、経済産業省でさまざま施策を実施したり、支援制度を作ったりと、日本政府は今、キャッシュレス決済の普及にかなりの力を入れているのです。
だからこそ私たち経営者は、今こそキャッシュレス決済のことをよく知り、導入するかどうかを検討する必要があります。
幸い、今は国の支援制度があるため、うまくすれば初期費用を一切かけずにキャッシュレス決済を導入することも可能です。
つまり今こそが、もっともお得にキャッシュレス決済を導入できるチャンスだと言えるわけですね。
そこで今回は、
- キャッシュレス決済の種類
- それぞれにどのようなメリットがあるのか
- キャッシュレス決済導入の支援制度(補助金)について
というところを詳しく説明していきます。
国がさまざまな支援制度を実施している今だからこそ、ぜひキャッシュレス決済の導入について検討してみてください。
キャッシュレス決済の種類とそれぞれのメリット
キャッシュレス決済には、以下のような種類があります。
- クレジットカード決済(デビットカード決済)
- 電子マネー決済
- QRコード決済(バーコード決済)
それでは、それぞれどのようなもので、どのようなメリットがあるのかを説明していきましょう。
クレジットカード決済(デビットカード決済)
現在の日本において、もっともなじみ深いキャッシュレス決済が、JCBやVisaといったクレジットカード(デビットカード)を用いた決済方法です。
日本人のクレジットカード保有率は87.9%に及ぶというデータもあり、日本での普及率は非常に高いと言えます。
そのためクレジットカードは、キャッシュレス決済の中でもとくに無視できない存在です。
クレジットカード決済の導入には、以下のようなメリットがあります。
- 客単価、客数のアップが見込める
- 現金管理の手間が減る
これらのメリットはクレジットカードだけでなく、ほかのキャッシュレス決済でも同様に言えることです。
クレジットカード決済はほかのキャッシュレス決済と比べて利用者が非常に多いため、このメリットをより強く実感できるでしょう。
しかし一方で、クレジットカード決済の導入には以下のようなデメリットもあります。
- 売上の回収に時間がかかる
- 代行会社からの資金回収遅れや回収不可の可能性
- 端末の費用がかかる
- 決済手数料がかかる(決済額の数%)
クレジット決済の場合、売上は一旦クレジットカード会社や代行会社に預けることになり、入金までにあるていど時間がかかります。
もちろんほかのキャッシュレス決済でも時間がかかる場合があるのですが、クレジットカード決済は全体的にかかる時間が長めです。
さらに、契約している代行会社の業績が悪くなった場合、最悪、売上の回収ができなくなってしまう可能性もあります。
また、コスト面に関してもデメリットであると言えます。
とくにクレジットカード決済を導入する場合は専用端末が必須となりますので、購入料金か、もしくはレンタル料金として毎月の維持費がかかってくるのは理解しておいてください。
ただ、クレジット決済を導入するさいには国からの支援を受けられる場合もありますので、そちらを利用すればデメリットを最小限に抑えることができます。
クレジットカード決済導入に関する支援の話や実際にクレジットカード決済を導入する方法については、別記事で詳しく説明していますので、そちらも併せて確認してみてください。
⇒賢くクレジットカード決済を導入するには?代行会社を選ぶポイントを解説
電子マネー決済
電子マネーを使った決済も、最近は徐々に普及しつつあります。
とはいえやはりクレジットカードほどの普及率ではなく、よく使われている電子マネーも、suica(スイカ)やPASMO(パスモ)といった交通系(電車、バスなど)のものがメインです。
そのため、導入しても思ったほどは使われないということもあるでしょう。
ただ、今は国がキャッシュレス決済の普及を推し進めている状態なので、今後使用率が伸びてくる可能性は十分にあります。
現に電車の料金については電子マネー支払いをしている人がかなりの数を占めていますので、それが普段の買い物にまで拡大する流れができてくれば、一気に市場規模が広がるということもあり得るのです。
そういう意味では、今後に期待の持てるキャッシュレス決済であると言えますね。
そんな電子マネー決済ですが、導入することで私たち経営者側が得られるメリットは以下のようなものです。
- 売上を回収できないリスクが少ない
- 交通系の用途も含めれば多くの人がすでに電子マネーを持っている
電子マネーには、先にチャージしておくプリペイド式とあとから支払いを行うポストペイ式があります。
このうちプリペイド式の電子マネーを取り扱う場合、決済処理が即時行われることになりますので、クレジットカードに比べて売上が回収できないというリスクが大幅に軽減されるのです。
また、電車やバスで電子マネーを使っている人は非常に多いため、潜在的なユーザーが多くいるということもメリットであると言えるでしょう。
ただその一方で、やはりコスト面のデメリットも存在しています。
- 専用の端末が必要になる
- 決済手数料がかかる(決済額の数%)
電子マネー決済を導入するためには、専用の端末を用意しなければいけません。
ほとんどの場合、端末は購入するか、もしくはレンタルすることになり、その費用がかかってくるのです。
あとは、決済手数料も当然かかってきます。
売上の数%ていどが決済手数料の相場になりますが、その数%を気にする経営者は意外と多いです。
そのほか、電子マネー決済については別途まとめた記事があります。
導入の方法や決済サービスの種類を説明していますので、この機会にぜひ確認しておいてください。
⇒電子マネー決済の仕組みと導入する方法を解説!契約すべきサービスとは?
QRコード決済(バーコード決済)
QRコード決済(バーコード決済)は、QRコードかバーコードを使って決済処理を行う方法です。
QRコード決済には、以下のようなメリットがあります。
- 初期費用がほとんどかからない
- 導入が簡単にできる
- 中国で広く普及しているため、中国人観光客の獲得に繋がる
QRコード決済の大きな特徴の1つが、専用の読み取り端末を必要としないということです。
QRコード決済の場合、お客さんのスマホでQR、もしくはバーコードを読み取ってもらうか、もしくはお店側のタブレット(スマホ)で読み取るかという形になります。
そのため、ほかのキャッシュレス決済と比べて初期費用を抑えることができ、簡単に導入することができるのです。
さらに、中国でQRコード決済が広く普及しているというのもメリットの1つです。
QRコード決済は中国人観光客にとってなじみの深い決済方法なので、観光客へのアピールポイントとしても機能してくれるわけですね。
ただその一方で、QRコード決済には以下のようなデメリットもあります。
- 手軽さから多くのサービスが乱立している
- 日本ではまだ認知度が低い
- QRコードすり替えによるセキュリティ面の問題がある
- 決済手数料がかかる(決済額の数%)
まず1つ目のデメリットが、QRコード決済サービスサービスの乱立です。
その手軽さから、どのサービスを導入すれば良いか迷うくらい、色々なサービスが誕生しています。
ただ、QRコード決済は初期費用がほとんどかからないという特徴がありますので、基本的には複数を導入してしまうことが可能です。
そのため、とりあえず主要なサービスについては、迷うことなく、すべて導入してしまうくらいでも良いでしょう。
そして次に挙げられるデメリットが、日本での知名度の低さです。
現状日本では、QRコード決済の普及率が諸外国に比べて高くはありません。
ただ冒頭でもお話ししたとおり、今は国がキャッシュレス決済の普及を推進している状態ですので、今後伸びてくる可能性は大いにあります。
そしてもう1つ、QRコード決済の特徴的なデメリットとして、セキュリティのリスクが挙げられます。
QRコード決済は、お店にQRコードを設置し、それをお客さんのスマホで読み取ってもらって決済を行うという仕組みがメインです。
ただし、お店にQRコードを印字したものを置いておく場合、それのすり替えが行われるというリスクが発生します。
現にQRコード決済が日常的に普及している中国では、QRコードのすり替えによって売上や個人情報を盗まれるという被害が起こっているのです。
そのため、QRコード決済を導入するなら、セキュリティ面での意識はしっかりと持つようにしておきましょう。
そして最後、これはすべてのキャッシュレス決済に言えるデメリットですが、決済手数料がかかります。
現在はキャンペーンなどで決済手数料を無料にしているサービスも多いのですが、今は無料でもいずれは決済額の数%が手数料としてかかってくることになります。
つまり、その分利益が下がるということです。
とはいえ、キャッシュレス決済のサービスを運営している会社もボランティアをしているわけではありませんので、QRコード決済に限らず、決済手数料についてはデメリットというよりも「当然かかってくるもの」と考えましょう。
以上が、QRコード決済のメリット、デメリットです。
そのほか、QRコード決済の導入に関しては、別記事で詳しく解説しています。
どのサービスを導入すれば良いのか、という部分についても説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
⇒【店舗向け】QRコード決済の導入を徹底解説!導入方法や費用は?
【おすすめ】QRコード決済なら導入コストを抑えられる
ここまでキャッシュレス決済の種類を紹介してきましたが、とりあえず何かを導入したいというのなら、まずはQRコード決済を導入してみることをおすすめします。
QRコード決済は専用端末が必要でないため初期費用がかからず、ほかのキャッシュレス決済と比較して気軽に導入することができるからです。
もちろん、確固たる理由があるのならほかのキャッシュレス決済を選択するべきですが、そうでないなら、まずは初期費用のかからないQRコード決済を導入して、キャッシュレス決済がどういったものなのか実感してみましょう。
※ただし、2019年10月1日~2020年6月30日の間はキャッシュレス決済導入の初期費用についての支援が受けられる可能性があります。
そのため、もしあなたの店舗が支援制度の対象になる場合は、QRコード以外のキャッシュレス決済を選ぶという選択肢もありです。
支援制度についてはこの記事内でも説明していますので、1度確認してみてください。
多くの店舗がキャッシュレス決済の導入を渋る理由(デメリット)とは?
日本ではこれからキャッシュレス決済が広まる流れがあるものの、実際はまだまだキャッシュレス決済の導入を渋る店舗も数多く存在しています。
なぜなのかというと、多くの経営者が費用対効果に疑問を持っているからです。
ここまでで、各キャッシュレス決済の種類ごとにデメリットを紹介してきました。
そして、そんなデメリットの中でもすべてに共通していたのが、決済手数料など、コスト面の問題です。
正直なところ、消費者側視点で考えても、キャッシュレス決済はまだまだ普及しきっているとは言えません。
やはり、現金を持ち歩く人が1番多いのが現状なのです。
そんな中、「決済手数料を支払ってまでキャッシュレス決済を導入して、本当に効果があるのか?」と考える経営者が多く存在するのも、無理のないことではないでしょうか。
しかし、「それなら今すぐではなく、キャッシュレス決済が普及しきるまで様子を見てから導入を検討すれば良いのではないか?」と考えているなら、それは間違いです。
なぜなら、国がキャッシュレス決済を推進している今だからこそ、お得にキャッシュレス決済を導入できるチャンスだからです。
このあと詳しく説明しますが、現在日本という国は、キャッシュレス決済普及のために支援制度を実施しています。
そして当然、キャッシュレス決済が普及しきってしまえば、国はわざわざ税金を使って支援をする必要なんてなくなってしまうわけです。
つまり、キャッシュレス決済導入の支援制度はいずれ終わってしまいます。
だからこそキャッシュレス決済を導入するなら、普及させようという流れがある今こそ、まさに検討すべきときなのです。
あとはそもそもの話ですが、数%の決済手数料で利益が取れなくなってしまうような状態の場合、ビジネスとして問題を抱えている可能性が非常に高いです。
なぜかというと、数%の決済手数料が痛手になるような状態は、明らかに利益率が低いと考えられるからです。
とくに限られた資金や労力しかない私たち中小企業や個人事業主の場合、利益率は非常に重要な数値であると言えます。
現に、大手企業と価格で勝負しようと値下げをして、結果的に利益率を下げてしまい倒産に追い込まれるという会社も少なくありません。
では、「どうすれば利益率を上げられるのか?」ということですが、まず最初に商品の価格を上げるという方法を考えてみてください。
というのも価格競争を意識するあまり、商品が本来持つ価値よりも安い値付けをしてしまっている企業が本当に多いのです。
しかし私たち中小企業は、基本的に価格では大手企業に勝てません。
だかこそ重要なのは、価格を安くすることではなく、差別化をしてしっかりと利益を確保することなのです。
日本政府はキャッシュレス決済の導入を推進している
現在日本では、キャッシュレス決済を普及させようという動きがあります。
その一環として、経済産業省によって「キャッシュレス・ビジョン」というものが策定されているのです。
「キャッシュレス・ビジョン」とは、2020年の東京オリンピック、2025年の大阪・関西万博に向けて、キャッシュレス決済を普及させるという動きのことです。
将来的には、世界最高水準の 80%というシェアを目指しているということで、国がキャッシュレス決済に大きな力を入れているということが分かります。
(参考:経済産業省_キャッシュレス・ビジョン_PDFファイル)
キャッシュレス決済導入に対して支援が受けられる場合もある
現在日本ではキャッシュレス決済の普及を推進しているということですが、それを裏付けるかのようにさまざまな支援制度があります。
たとえば私たち店舗側に対する支援制度については、
- 端末費用と設置費用が無料になる
- 実施期間中の決済手数料のうち1/3を国が負担
といったものがあります。
つまり、支援制度の対象になれば、キャッシュレス決済導入の初期費用を無料にできるうえに、期間限定で決済手数料まで安く抑えることができるのです。
支援制度の対象となるのは中小・小規模事業者で、対象期間は2019年10月1日~2020年6月30日までとなります。
キャッシュレス決済と親和性の高いビジネスをしている場合は、ぜひ自社が支援制度の対象になるかどうか調べておいてください。
(参考:キャッシュレス・消費者還元事業)
さらにキャッシュレス決済の支援制度は、ポイントという形で消費者にまで還元される予定です。
2019年10月に予定されている増税のさいに、キャッシュレス決済を利用するとポイントを還元するという施策が国から打ち出されています。
この記事を書いている2019年5月段階ではまだ還元率の詳細な数字は発表されていませんが、いざポイント還元が実施されたときにキャッシュレス決済を導入していないと、顧客離れを招いてしまうかもしれません。
今後の動向には注意を払っておくべきでしょう。
このように今の日本は、キャッシュレス決済の普及活動を国がらみで行っている状態です。
そのため、今後もキャッシュレス決済の市場規模が伸びていく見込みはかなり高いと言えます。
この波に乗り遅れないように、あなたも今のうちにキャッシュレス決済の導入について調べ、検討しておきましょう。
【まとめ】導入コストが気になるならQRコード決済で様子見をするべき
今回は、今日本で広まりつつあるキャッシュレス決済の導入についてお話をしてきました。
キャッシュレス決済と一口で言ってもいくつか種類があったわけですが、もしとりあえずの様子見で導入をしたいというのであれば、QRコード決済がおすすめです。
QRコード決済なら、専用端末が必要とならないため、初期費用がほとんどかからず、大きな負担なしで導入することができます。
また、キャッシュレス決済の導入を考える場合は、国の支援制度をしっかりと確認しておいてください。
中小規模・小規模の事業者の場合、端末導入費用が無料になったり、決済手数料が期間限定で安くなったりします。
対象期間は2019年10月1日~2020年6月30日までとなりますので、キャッシュレス決済の導入を考えているなら、その前に自社が対象になるか調べておくと良いでしょう。
(参考:キャッシュレス・消費者還元事業)
ただ、そもそもの話、数%の決済手数料で利益が取れなくなってしまうような状態なのだとしたら、それはビジネスとして利益率に問題があると考えるべきです。
とくに私たちのような中小企業や個人事業主の場合、薄利多売戦略を取れる大手企業より高い利益率を確保しておかなければいけません。
そうしなければ、働いても利益が出ないという状況に陥り、最悪、倒産に追い込まれてしまうこともあるのです。
キャッシュレス決済は、今国が普及率を上げようとして色々と施策をしている段階です。
つまり、
- 将来的にキャッシュレス決済の普及率が高まる可能性が高い
- 国からの支援制度があるため、キャッシュレス決済の導入を考えているなら今がチャンス
という2つのことが言えます。
もしキャッシュレス決済の導入について迷っているなら、今がまさに検討するべきときです。
時代の波に乗り遅れないよう、常にアンテナは張っておきましょう。