今回の記事では失敗しない業務提携について解説していきます。
業務提携とは、2社以上の企業が手を組んで事業を行うことです。
業務提携にもいくつかの種類があるのですが、基本的にはお互いにWIN-WINの関係を築くためのものであると言えます。
ところが業務提携には、実はメリットだけでなくデメリットも存在しているのです。
それこそ業務提携で失敗してしまうと、利益どころか大きな損失を招いてしまうことさえあります。
それも、提携企業は得をしているのに自社だけが損をしているなんてことにもなり得るのです。
そこで今回は失敗しない業務提携のために、以下のような内容を解説していきます。
- 業務提携の具体的な意味や種類
- 業務提携を結ぶメリット、デメリット
- 業務提携を成功させるための流れ
- 業務提携契約書を作成するさいの7つの注意点
- 業務提携の成功事例、失敗事例
- 業務提携せずに利益を大幅に上げる方法
もし今あなたの企業が業務提携について検討しているという状態なら、まずは今回の記事を参考にしてみてください。
本当に業務提携をすべきかどうが、どうすれば業務提携を成功させることができるのか、といったことを判断できるようになるはずです。
業務提携とは?
業務提携とは、「独立して経営している2社以上の企業が共同で事業を行うこと」です。
双方の企業が持つ強みを共有し合うことによって、より事業を発展させ、競争力を増強させる目的で行われます。
たとえば質の良い商品が作れるA社と広い販売ルートを持つB社が手を組めば、質の良い商品をより多くの人に売ることができる、といった感じですね。
このように業務提携は、販路拡大やコスト削減、生産力の向上などの相乗効果(シナジー)を狙って行うのが基本です。
業務提携の種類
業務提携には、大きく分けて3つの種類があります。
- 技術提携
- 生産提携
- 販売提携
それぞれで目的や契約が変わってきますので、しっかりと把握しておきましょう。
業務提携の種類1.
技術提携
技術提携は、片方の企業が持つ技術資源をもう片方の企業が活用するといった提携方法です。
主に以下のような契約が結ばれます。
- ライセンス契約
- 共同研究開発契約
ライセンス契約では、「片方の知的企業が財産権を持つ技術をもう片方の企業が自由に使える」という契約を結びます。
たとえば片方の企業が開発した生産管理システムをもう片方の企業が利用するような場合ですね。
一方、共同研究開発契約は、特定の技術や商品の開発を目的に企業同士が協力するための契約です。
お互いが持つ秘匿性の高い情報を開示したり、高い技術力を提供したりします。
このように企業間で技術面や知識面において協力し合うことを技術提携というのです。
業務提携の種類2.
生産提携
生産提携は、片方の企業に生産の一部や製造工程の一部を委託する提携方法です。
主に「生産提携契約(OEM契約)」という契約を結びます。
たとえば販売をメインで行っている中小企業が、自社製品の生産を他社に委託する、といった契約ですね。
生産提携を結べば在庫リスクを低減できたり、生産に対する負担を気にせず販売に専念できたりするといったメリットがあります。
また、自社で製造施設を持っていない場合は、製造施設を持つ企業と業務提携を結ぶことで、初期投資を抑えつつ商品を生産できるようになります。
これは小さな企業にとっては、非常に大きなメリットであると言えるでしょう。
業務提携の種類3.
販売提携
販売提携はその名のとおり、商品の販売を委託する提携方法です。
片方の業者が、もう片方の業者が持っている販売に使える人材や販路を活用するといった提携内容ですね。
販売提携を結ぶ場合は、主に以下のような契約が結ばれます。
- 販売店契約
- 代理店契約
- フランチャイズ契約
販売店契約は生産側の企業から商品を仕入れて在庫とし、それを販売する契約のことです。
販売店は在庫を仕入れたあと、独立した小売店として販売を行っていきます。
一方、代理店契約は、生産企業側の営業を肩代わりする提携形態のことです。
基本的な契約は生産企業と顧客の間で結ばれるため、営業をかける側が在庫として商品を仕入れることはしません。
たとえば保険の営業なんかは、代理店契約で行われることが多いですね。
そしてフランチャイズ契約は、フランチャイズ本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の間で契約が結ばれ、フランチャイズ本部が用意したビジネスプランと商標を使って加盟店が商品販売を行っていきます。
フランチャイズ契約の事例としては、セブンイレブンやローソンといったコンビニエンスストアが分かりやすいです。
このように、一方の企業が持っている商品を、もう一方の業者が販売するといった提携方法を販売提携といいます。
業務提携と資本提携の違い
業務提携と資本提携はよく混同されがちですが、それぞれの意味を並べると以下のような違いがあります。
業務提携 | 資本の移動を伴わずに企業同士が共同で事業を行うこと。 |
資本提携 | 企業間で資本の受け入れ、資本の投入を行うこと。もしくは企業同士が資本を持ち合うこと。一般的に拒否権確保(発行済み株式の3分の1を確保)には至らないことが条件となる。 |
このように、業務提携はあくまでも資本の移動を行わないものであり、逆に資本提携は企業同士で資本を移動させる提携形態のことをいうわけですね。
この2つについては混同しないようにしましょう。
業務提携を結ぶメリット
業務提携を結ぶメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 自社だけで事業を行うよりも成果が出るまでが早い
- 自社だけで事業を行うのに比べて資金面での負担を減らせる
- 自社だけでは参入できない事業に手を出せる
まず業務提携を結ぶことで外部要因を利用できるようになるため、成果が出るまでの時間を大幅に短縮することができます。
とくに起業間もなくて販路やノウハウを持っていない中小企業の場合は、業務提携を結ぶことで事業が進む速度を大きく上げることができるでしょう。
また業務提携の結び方によっては、資金面でのリスクを軽減させることも可能です。
とくに小ロットで商品を生産したい場合、大量生産を得意とする業者と生産提携を結ぶことで、コストを大幅に削減できます。
とくに自社で生産設備を持っていないという場合は、コスト削減効果がかなり大きくなるはずです。
そしてもう1つ大きなメリットと言えるのが、自社だけでは参入できないような事業に手を出せるということです。
業務提携を結べば自社が持っていない技術やノウハウを利用することができるので、事業の幅が大きく広がります。
たとえば、広告や販売に関するノウハウを持っている企業が専門的なコンテンツを持っている企業と業務提携を行えば、その専門分野に参入することができるのです。
このように業務提携を上手く結ぶことができれば、お互いに色々なメリットを得ることができます。
業務提携を結ぶデメリット
業務提携にはさまざまなメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも存在しています。
- ノウハウや技術の流出が起こり得る
- 両社間で揉めてしまう可能性がある
- 契約内容によっては損をしてしまう
まず業務提携でもっとも大きなデメリットと言われているのが、ノウハウや技術の流出が起こり得るということです。
とくに技術提携を行う場合、今までは自社だけで管理していたノウハウや技術を他社に提供することになります。
すると提携相手の業者はそのノウハウや技術の取り扱いに慣れていないので、意図せず情報流出を起こしてしまう可能性があるのです。
これはもちろん逆もしかりで、自社が他社の情報を流出させてしまう可能性だって十分にあり得ます。
もしくはお互いの解釈違いによって流出が起こる、というパターンもありますね。
このように技術提携を行うと、共有したノウハウや技術の秘匿性はどうしても下がってしまうのです。
そしてもう1つのデメリットとして、業務提携を結んだ両社間で揉め事が発生してしまう可能性があります。
とくに多いのが、成果物や経費の負担についての取り決めが曖昧で不信感が募り、トラブルに発展してしまうというパターンです。
そのため成果物や経費の取り扱いについては、業務提携を結ぶ前にしっかりと話し合い、契約書に明記しておく必要があります。
そしてあともう1つ注意しなければいけないのが、契約内容によっては自社側が一方的に損を被ってしまう可能性があるというデメリットです。
とくに経費負担や損失を被るような契約内容になっていたり、成果物がほとんど残らないような契約内容になっていると、WIN-WINの関係を築くことが難しくなってしまいます。
だからこそ業務提携を結ぶさいは、契約内容についてしっかりと精査しておかないといけないわけですね。
このように業務提携にはメリットだけでなく、デメリットも存在しています。
これらのデメリットに対応するためには、契約内容の精査と契約書への明記が必要不可欠です。
業務提携を結ぶさいには、こういったデメリットも念頭においたうえで話し合いをするようにしましょう。
業務提携を成功させる流れ
ここからは業務提携を結ぶ流れについて解説をしていきます。
以下のようなプロセスで業務提携を結べば、共同事業の成功率は上がるはずです。
- ビジネスプランを確認する
- 目標(ゴール)のビジョンを共有する
- 役割分担や責任分担、業務フローなどを決定する
- 利益配分、費用負担のルールを作る
- 業務提携契約書を作成する
それでは順番に1つずつ説明をしてきます。
業務提携の流れ1.
ビジネスプランを確認する
まずはどのようなビジネスプランで事業を進めていくのかを確認しましょう。
- 事業分野
- ターゲット
- 課題や解決方法
- 実行するための方法
少なくとも上記については、提携先と話し合って確認しておくべきですね。
業務提携の流れ2.
目標(ゴール)のビジョンを共有する
最終的な目標(ゴール)の解釈違いが起こらないように、しっかりとビジョンを共有しておくことも重要です。
ここが不十分なまま業務提携を進めてしまうと、あとになってから揉めてしまう原因にもなり得ます。
お互い向いている方向が微妙にズレてしまっているわけですから、上手くいくものもいかなくなってしまうわけですね。
業務提携を結ぶ場合は、目標(ゴール)を明確にして企業間で共有するようにしておきましょう。
業務提携の流れ3.
役割分担や責任分担、業務フローなどを決定する
次に、提携先と役割分担や責任分担、業務フローについて話し合い、決定してください。
少なくとも以下についてはきっちりと取り決めておくべきですね。
- どういう業務項目があってどのように役割分担するのか
- 責任の所在はどちらにあるのか
- どのような流れで業務を進めていくのか
- どのように両社間でコミュニケーションをとるのか
これらが明確になっていないと共同事業が上手く回りませんので、しっかりと詰めておきましょう。
業務提携の流れ4.
利益配分、費用負担のルールを作る
お互いの役割分担や責任の所在を決めたら、それをもとにして利益配分、費用負担のルールを作ってください。
ここもしっかりと詰めておかないと、あとから問題が起こる可能性が非常に高くなってしまいます。
基本的に利益配分は事業配分に対する寄与度で決定されるので、役割分担や責任分担が明確になっていないと判断が難しいです。
そのため、利益配分を決めるさいになかなか意見が一致しない場合は、役割分担や責任分担についてもう1度見直してみると良いでしょう。
利益配分や費用負担のルールは業務提携の肝になる部分なので、お互いに納得できるようにしっかりと話し合ってください。
業務提携の流れ5.
業務提携契約書を作成する
ここまでで決めた内容を業務提携契約書という形で明確に残します。
個人でやっているような小さな企業同士だと口約束だけで業務提携をしているところも少なくありませんが、それは絶対におすすめしません。
契約書がないと企業間で揉める原因になりますし、揉めたあとの落としどころも探せなくなってしまうからです。
そのため業務提携をするなら、必ず契約書を作成しておきましょう。
また契約書については、業務提携中に契約内容の見直しを行いたくなる場合もあるかと思いますので、一定期間ごとに契約内容を見直せるようにしておくと良いです。
業務提携契約書を交わしたら、あとはその契約書に則って事業を進めていきましょう。
業務提携契約書を作成するさいの7つの注意点
業務提携契約書を作成する場合、以下の7つの注意点を意識してください。
- 目的条項で解釈違いが起こらないようにする
- 役割分担は責任分担は明確にしておく
- 成果物、知的財産権の権利がどちらに帰属するか明記しておく
- 企業秘密の取扱いについて明記しておく
- 利益配分、費用負担について明記しておく
- 支配権が変更したときの対応について明記しておく
- 契約期間について明記しておく
業務提携契約書を作成するなら最低限、これらの内容については明確に記載しておく必要があります。
1つずつ解説していきますので、しっかり押さえておいてください。
業務提携契約書の注意点1.
目的条項で解釈違いが起こらないようにする
業務提携契約書の目的条項を作成するさいは、解釈違いが起こらないようにわかりやすく明記しておく必要があります。
もちろんお互いの企業でしっかりと確認して、あいまいな部分がないかチェックしてください。
提携業務中に解釈違いなどが起こった場合、基本的にこの目的条項が判断基準として使われることになります。
ここが明確になっていないと、解釈違いから起こったトラブルが解決せず、深刻な問題に発展しかねないのです。
そのため目的条項については、両企業がしっかりと納得できるような形に仕上げておきましょう。
業務提携契約書の注意点2.
役割分担や責任分担は明確にしておく
業務提携契約書を作成するなら、提携業務の内容と範囲、さらに責任の所在を明確に記載するようにしておいてください。
もちろん役割分担や責任分担については業務提携を行う前にしっかりと話し合いをするかと思いますが、その内容をできるだけわかりやすく契約書内に明記し、両社でしっかりと確認しておく必要があるのです。
役割分担や責任の所在が契約書にわかりやすく記載されていれば、企業間での揉め事が起こりにくくなりますし、起こったとしても解決しやすくなります。
ところが逆に業務提携契約書があいまいな状態だと、問題が起こったときに解決することができず、大きなトラブルになってしまいやすいのです。
だからこそ役割分担、責任分担についてはできるだけわかりやすく契約書に記載し、確認も念入りに行うようにしましょう。
業務提携契約書の注意点3.
成果物、知的財産権の権利がどちらに帰属するか明記しておく
業務提携契約書には、成果物や知的財産権の権利がどちらに帰属するのかも明確に記載しておいてください。
ここを明確に記載しておかないと、どちらかの企業が提携業務内で得た情報を悪用したり、共同技術や成果物、知的財産を独占したりできてしまいます。
たとえば、自社で開発した技術の特許を提携企業に独占されてしまうというような場合もあり得るのです。
この成果物や知的財産権の取り扱いは、業務提携で揉める大きな原因の1つであると言えます。
だからこそ成果物や知的財産権の取り扱いについては契約書内にしっかりと明記しておき、あとから揉めないようにしておきましょう。
業務提携契約書の注意点4.
企業秘密の取扱いについて明記しておく
業務提携では、提携相手に自社の企業秘密を明かす必要が出てくる場合もあります。
そのため、企業秘密の取り扱いについても契約書内で明確に記載しておきましょう。
記載内容としては、情報の管理義務、目的外での利用の禁止、機密保持義務の有効期間、といったものが基本となります。
あとは、万が一情報漏洩が起こった場合の対処法や責任の取り方についても記載しておくと良いですね。
基本的に他企業の企業秘密の取り扱いについて、もう一方の企業は慣れていないと考えておかなくてはいけません。
もちろん、自社が提携業者の企業秘密を扱う場合も同様です。
そのため必要であれば、企業秘密の内容に合わせた細かな取り決めも契約書に記載しておくと、より情報漏洩のリスクを下げることができるでしょう。
業務提携契約書の注意点5.
利益配分、費用負担について明記しておく
提携契約書を作成する場合は、もちろん利益配分や費用負担についても明確に記載しておかなければいけません。
業務提携において、費用面での解釈違いは大きなトラブルに発展しやすい要因であると言えます。
だからこそ利益配分や費用負担に対する取り決めはきっちりと話し合い、かつ解釈違いが起こらないようにわかりやすく契約書に記載しておく必要があるのです。
また、どちらかの企業が一旦すべての収益を手にしたり費用を負担したりするという場合には、利益を配分するタイミングや負担を清算するタイミングについても明記しておきましょう。
業務提携契約書の注意点6.
支配権が変更したときの対応について明記しておく
業務提携契約書には、企業の支配権が変更された場合に業務提携契約を解除できる権利を明記しておきましょう。
企業の支配権が変更された場合というのは、たとえば提携企業が他社に買収された場合などです。
支配権が変更されたさいに業務提携を解除できる権利について契約書に記載しておかないと、たとえ提携企業が買収されてしまったとしても勝手に業務提携契約を解除できなくなってしまいます。
そうなると最悪、提携企業を買収した企業に自社の企業秘密が漏洩してしまうことにもなりかねないのです。
そのような事態を防ぐためにも、支配権が変更したときの対応法についてはきっちりと契約書に明記しておく必要があるわけですね。
ただし、自社側が会社を売却して提携業務の発展を狙う場合もあるため、必ずしも「支配権の変更=契約解除」という内容で記載すれば良いというわけではありません。
支配権が変更したときの対応については、よく検討したうえで契約書に盛り込みましょう。
業務提携契約書の注意点7.
契約期間について明記しておく
契約書を作成するうえでは当たり前のことであるとも言えますが、契約期間についてもきっちり明記しておきましょう。
たとえば一定期間ごとに契約内容を見直せるように記載しておき、そのさいに契約を解除することもできるようにしておくと良いですね。
一般的には、「どちらの企業からも更新しないという意思表示がない場合は自動更新していく」という内容にしている契約書が多いです。
業務提携の成功事例と失敗事例
ここからは業務提携の成功例と失敗例として、以下の事例を紹介していきます。
- 【成功事例】ファミリーマートとH.I.S.(エイチ・アイ・エス)
- 【失敗事例】作業分担が明確でなかったA社とB社
業務提携がどのようなものなのか、参考にしてみてください。
業務提携の成功事例.
ファミリーマートとH.I.S.(エイチ・アイ・エス)
業務提携の成功事例としては、大手コンビニエンスストアのファミリーマートと旅行会社であるH.I.S.(エイチアイエス)の事例が有名ですね。
この2社の業務提携は、東京オリンピックが開催される2020年のインバウンド需要を見越して契約が交わされました。
具体的には、ファミリーマート店内に設置されているマルチ端末「famiポート」を使って、H.I.S.(エイチ・アイ・エス)の旅行券発行や旅行代金支払いができるようにしたのです。
(画像引用:ファミリーマート公式HP)
この業務提携によりH.I.S.(エイチ・アイ・エス)は、販売拠点を大幅に拡大し、自社サービスの利便性を高めることに成功しました。
一方のファミリーマートも、お客さんの来店機会が増えることで売上アップが期待できる状況を作り出すことができたのです。
このようにファミリーマートとH.I.S.(エイチアイエス)は、お互いの利害を一致させ、相乗効果によって利益を生み出すことに成功した、というわけですね。
業務提携の失敗事例.
作業分担が明確でなかったA社とB社
失敗事例ということで企業名は伏せますが、Webメディアを共同で運営するといった目的で業務提携を行っていたA社とB社は、作業分担が明確でなかったために決裂してしまいました。
背景を説明すると、両方ともかなり小さな会社で、A社はWebメディア運営のノウハウを持っており、B社はA社よりもやや高い生産力を持っていました。
そのため、A社はノウハウを教えるかわりに少なめの作業で、B社はその分多めの作業でWebメディアを構築、運営し、そのメディアからあがった利益を折半にするという契約を結んでいたのです。
ところがいざWebメディアを運営してみると、想定していなかった作業が多く発生してしまいました。
そしてその作業をどちらの企業が担当するのかということを巡って、解釈違いが起こってしまったのです。
両社の言い分としては以下のとおりでした。
- A社「うちはノウハウを提供しているのだから、雑務はB社がやるべきだ」
- B社「明らかに作業量が違いすぎるので、A社はもう少し作業を受け持つべきだ」
このように揉めてしまったのですが、契約書に明確な作業分担が記載されていなかったため、意見は平行線となり、そのまま業務提携は失敗に終わってしまいました。
業務提携では、作業量や利益配分で揉めることがよくあります。
契約内容の話し合いや契約書の作成は、そのことをきちんと理解したうえで行わなければいけないのです。
業務提携せずに利益を大幅に上げる方法
ここまで業務提携について説明をしてきましたが、もし利益の拡大を狙って業務提携を考えているのなら、それが必ずしも正解ではないということを認識しておくべきです。
この記事で説明してきたとおり、業務提携にはメリットもある反面、デメリットも存在しています。
それこそ契約内容によってはあなた側の負担が増える一方で、利益は増えないといったことも十分に起こり得るのです。
とくに提携企業に対して自社の立場が弱いという場合には、不利な提携を結ばされないように注意しなくてはいけません。
そこで業務提携を行う前に、1度自社だけでも利益を伸ばせないかどうか考えてみてください。
その手段としてとくに考えてみてほしいのが、商品やサービスの値上げです。
今売っている商品やサービスの価格を上げれば、その分ダイレクトに利益を増やすことができます。
ここでもしかするとあなたは、「値上げなんてしたらお客さんが離れてしまう」と考えているかもしれませんが、必ずしもそうはなりません。
なぜなら日本の中小企業の多くが、自社の商品やサービスを安く売りすぎてしまっているからです。
それこそ仮に値上げを行ったとしても、適正価格に戻るだけだというパターンも多くあります。
基本的に日本のビジネスマンは、自分の商品やサービスの価格を上げるのが下手だと言われています。
そのため多くの中小企業が、自社の商品やサービスを安売りしてしまっているのが現状なのです。
ただ誤解してほしくないのですが、もちろん業務提携は業務提携で決して悪い手段ではありません。
しかしそれなりのコストとリスクがかかってきてしまいますので、その点、無理をしないようにしましょう、ということですね。
【まとめ】業務提携は明確なルールを作って行うこと
今回は業務提携について解説を行ってきました。
業務提携を結ぶうえで重要なのは、契約内容を明確にし、その旨を契約書にわかりやすく記載しておかなければいけないということです。
業務提携には以下のように、大きなメリットもある反面デメリットも存在しています。
〇メリット
- 自社だけで事業を行うよりも成果が出るまでが早い
- 自社だけで事業を行うのに比べて資金面での負担を減らせる
- 自社だけでは参入できない事業に手を出せる
〇デメリット
- ノウハウや技術の流出が起こり得る
- 両社間で揉めてしまう可能性がある
- 契約内容によっては損をしてしまう
だからこそ業務提携を行いさいは、契約内容をよく検討しなければいけないのです。
また、業務提携だけが事業を大きくできる手段ではないということも認識しておくべきです。
たとえばオクゴエ! では、商品やサービスの値上げを行う重要性をずっと説明してきています。
ちなみに、「値上げなんてしたらお客さんが離れてしまう」と考えているかもしれませんが、必ずしもそうであるとは限りません。
ただそうは言っても、業務提携によって大きな利益が出るという場合ももちろんあります。
業務提携は正しいやり方で行えば、とても効果の高い手段だと言えるのです。
だからこそ業務提携を行うさいは契約内容や提携業務の進め方をよく検討し、ルールを明確にしたうえで行うようにしましょう。