今回は画期的なアイディアを生み出すときに役立つ「ブレインストーミング」について解説をしていきます。
会議や打ち合わせをするとき、参加者からなかなかアイディアが出ず、困ってしまうことはありませんか?
そんな問題を解決できるのが、今回紹介するブレインストーミングという手法です。
ブレインストーミングを実践すれば、社員から多くのアイディアを引き出すことができます。
さらにアイディアが多く生まれればそれが刺激となり、また新たなアイディアが生まれるという良いサイクルを生み出すこともできるのです。
そこで今回はブレインストーミングについて、以下の情報をお伝えしていきます。
- ブレインストーミングの意味
- ブレインストーミングにおける4つのルール
- ブレインストーミングのメリット
- ブレインストーミングのやり方
- ブレインストーミングで出したアイディアのまとめ方
- ブレインストーミングが失敗してしまう原因
資源の少ない中小企業において、アイディアは非常に大きな資産となります。
ぜひ今回の記事を参考にして、多くのアイディアが生まれる会社づくりを行ってください。
ブレインストーミングの意味とは
ブレインストーミングとは、「アイディアが生まれやすい会議の手法」のことです。
1950年ころに生まれた手法で、原則となる4つのルールに則って会議を進行することで、通常の会議よりもアイディアが生まれやすくなります。
ビジネスにおいて、誰かがふっと思いついたアイディアからヒット商品が生まれたり、問題が一気に解決したりすることは決して珍しくありません。
ブレインストーミングとは、そのアイディアを意図的に引き出すことを目的とした会議手法なのです。
ブレインストーミングの重要なルール(4原則)
ブレインストーミングには、4つの大原則とも言えるルールが存在しています。
- 結論厳禁
- 自由奔放
- 質より量
- 結合改善
(参考:Wikipedia_ブレインストーミング)
これらのルールに則って話し合いを行うことで、普通の会議よりも格段にアイディアが生まれやすくなるというわけですね。
それでは4つのルールについて、1つずつ掘り下げて説明をしていきましょう。
ブレインストーミングのルール1.
結論厳禁
ブレインストーミング中は、出てきたアイディアに対して結論を出したり批判をしたりすることを禁止しています。
結論や批判についてはあとから判断することで、ブレインストーミング中はアイディアを出すことに注力したいからです。
たとえばあるアイディアに対して、「それは実現不可能だ!」というような話をしてしまうと、アイディアを出すための議論が止まってしまううえに、場が委縮してしまってアイディアが出にくくなってしまいます。
これではブレインストーミングをしている意味がありません。
ただし、「予算が厳しいけれど対応策はあるのか?」というように、可能性が広がる発言であればOKとする場合もあります。
なぜなら「予算の問題を解決するアイディア」が新しく生まれる可能性がある発言だからです。
ブレインストーミングはあくまでもアイディアを出すことを目的とした会議手法です。
そのため、とにかく議論が止まらないようにすることが重要だと言えるでしょう。
ブレインストーミングのルール2.
自由奔放
ブレインストーミングでは、無難なアイディアよりも奇抜なアイディアを尊重しなければいけません。
普通なら考えないようなアイディアにこそ、新しい可能性が秘められているからです。
また、現実味のないアイディアを出してはいけないという空気感ができてしまうと、参加メンバーもアイディアを出しにくくなってしまいます。
そのため、多少現実感のないアイディアが飛び出してきたとしても、それを否定してはいけないのです。
自由な発想でアイディアを出し合うことで、その中から価値の高いものが生まれてくるというわけですね。
ブレインストーミングのルール3.
質より量
ブレインストーミングでは、アイディアの質を高めることよりもとにかくたくさんのアイディアを出すことが重要です。
下手にアイディアの質を高めようとして考え込んでしまうと、自由な発想でアイディアを出すことができません。
そのためブレインストーミングにおいては、採用されやすい無難なアイディアを1つ提案するよりも、奇抜な10のアイディアを出す方が価値が高いと言えるのです。
ブレインストーミングでは、完成度は低くても良いので、とにかくたくさんのアイディアを出すことに注力しましょう。
ブレインストーミングのルール4.
結合改善
ブレインストーミングで上がったアイディアについて、アイディア同士を関連付けて考えたり、見る角度を変えたり、アイディアの一部を変えて新しいアイディアにしたりといった作業も重要です。
そうすることでアイディアが新しいアイディアを呼ぶ状況を作り上げることができます。
そのためブレインストーミングでは、誰かが出したアイディアに便乗することも推奨されています。
たとえば、「今出た意見について、こうすればさらに良くなるのではないか?」というような意見を出すのも良いですね。
ただ無秩序にアイディアを出すだけでなく、各アイディアを結び付けたり見方を変えたりすることで、より多くのアイディアを出すことができるようになるのです。
ブレインストーミングを行うメリット
ブレインストーミングには、以下のような5つのメリットがあります。
- 普段は出てこないアイディアが出てくるようになる
- 考え方の幅が広がる
- 個人の能力が向上する
- メンバーに信頼関係が生まれる
- 競合との差別化に繋がる
なぜこのようなメリットが生まれるのか、1つずつ見ていきましょう。
ブレインストーミングのメリット1.
普段は出てこないアイディアが出てくるようになる
ブレインストーミングを行えば、普段の会議では出てこないような奇抜なアイディアが出てくるようになります。
というのも普段の会議の場合、アイディアを思いついても言わないということが起こっているからです。
「アイディアを思いついたけどただの思いつきだし、言うほどのことでもないかな」と考えてしまい、その意見が胸中から出てこないということが結構あるわけですね。
ところがブレインストーミングの場合、普段は胸の内にしまっている意見を出すことこそが目的の1つです。
口にしないだけで、普段から色々とアイディアを考えている社員はいます。
ブレインストーミングを行えば、そういった社員のアイディアを吸い出すことができるのです。
ブレインストーミングのメリット2.
考え方の幅が広がる
ブレインストーミングでは、普段は考えもしないようなアイディアについても考えていくため、参加メンバーの考え方の幅が広がります。
つまり、より柔軟な思考が身につくのです。
そのためブレインストーミングを何度か行えば、普段の会議でも新しいアイディアが出やすくなるでしょう。
ブレインストーミングのメリット3.
個人の能力が向上する
ブレインストーミングを実践すれば参加メンバー個人の能力向上にも効果を発揮します。
ブレインストーミングではそれぞれのメンバーが発言する機会が増えるため、提案力やアイディアを考える力が鍛えられるのです。
さらにさまざまな意見を聞くことで、参加メンバーは良い刺激を受けることもできるでしょう。
このようにブレインストーミングはアイディアを生み出せるだけでなく、社員の成長にも役立つのです。
ブレインストーミングのメリット4.
メンバーに信頼関係が生まれる
ブレインストーミングで意見交換が活発になれば、参加メンバーの間に信頼関係が生まれます。
ブレインストーミングがキッカケでコミュニケーションが活発になったり、普段お互いが何を考えているか理解できるようになったりするからです。
ブレインストーミングを行い、より活発なチーム作りを行いましょう。
ブレインストーミングのメリット5.
競合との差別化に繋がる
ブレインストーミングを行えば普通は出てこないようなアイディアも出てくるようになるため、競合との差別化に繋がります。
とくに資源力で戦えない中小企業の場合、いかに競合と差別化し、独自の価値を生み出すことができるかが重要です。
仮に、競合がまったくいない市場のアイディアを出すことができれば、非常に利益率の高い商品を売り出せる可能性があります。
競合がいないということは、価格競争が起こらないということだからです。
価格競争が起こらなければ、十分な利益率を確保した価格設定ができます。
とくに中小企業の場合、利益を最大化できる価格設定をすることが非常に重要です。
新しくて独自性の高いアイディアは、それだけで高い利益率を実現できる可能性があります。
そのためにもブレインストーミングを行い、自社独自のアイディアを生み出しましょう。
ブレインストーミングのやり方【5手順】
ブレインストーミングを実践するには、以下の5手順を実行してください。
- 目的を決める
- 参加メンバーと役割を決める
- 制限時間を決める
- 議論を行う
- アイディアをまとめる
この手順を1つずつ行うことで、ブレインストーミングのメリットを最大限得ることができます。
それではブレインストーミングの進め方を順番に解説していきましょう。
ブレインストーミングの手順1.
目的を決める
まず最初に、何のためにブレインストーミングを行うのかを明確にしましょう。
大量のアイディアを出す会議であると言っても、目的を決めなければアイディアの出しようがありません
さらに言えば、その目的によって参加メンバーの選出も変わってくるはずです。
まずは目的を明確にし、会議の方向性を定めましょう。
ブレインストーミングの手順2.
参加メンバーと役割を決める
目的が明確になったら、次に参加メンバーを選出しましょう。
さらにその中で、「進行」、「書記」、「タイムキーパー」といった役割を決めてください。
ちなみにブレインストーミングは、3人~10人ていどで行うのがもっとも効果的です。
それより少ないと出てくるアイディアが減ってしまいますし、多いと収拾がつかなくなってしまいます。
またメンバーを選出するときは、できるだけ違うタイプの人を組み込むようにしてください。
たとえば「年齢」、「性別」、「役職」、「部署」、「経験」、「性格」などをバラバラにするということですね。
そうすることで、多種多様なアイディアが出てきやすくなります。
ブレインストーミングの手順3.
制限時間を決める
集中力が途切れないように制限時間を決めておく必要があります。
また制限時間を決めるときは、「アイディアを出す時間」と「アイディアをまとめる時間」を分けて設定しておきましょう。
後述しますが、ブレインストーミングでは出したアイディアを放置するのではなく、まとめる必要があります。
制限時間を決めるときは、その時間も考慮しておかなければいけないということですね。
ちなみに制限時間については、アイディア出しに10分ていど、アイディアをまとめるのに15分ていどを目安にしておくと良いでしょう。
ブレインストーミングの手順4.
議論を行う
ここまでの手順でブレインストーミングの準備ができたら、実際に議論を行ってください。
そのさいには、記事内で解説した「4つのルール」に反しないよう注意する必要があります。
とくにまとめ役の人は、誰かがルールに反していた場合、指摘するようにしましょう。
ブレインストーミングの手順5.
アイディアをまとめる
ブレインストーミングの議論が終わったら、出たアイディアをまとめる作業を行ってください。
この作業をやらないと、結局アイディアが使える形になりません。
アイディアを出すのと同じくらい重要な作業であると言えるでしょう。
ちなみにアイディアの上手なまとめ方については、次の段落で紹介する「KJ法」、「マインドマップ」を試してみてください。
ブレインストーミングで出したアイディアのまとめ方
ブレインストーミングで出たアイディアをまとめる方法としては、前述したとおり以下の2つが効率的です。
- KJ法
- マインドマップ
中でもとくにブレインストーミングとセットで語られることが多いのが「KJ法」ですね。
それでは1つずつやり方を解説していきます。
アイディアのまとめ方1.
KJ法
KJ法とは、1枚の紙に1つずつアイディアを書き込み、複数の紙を整理することで情報をまとめる手法です。
1965年に川喜田二郎氏によって考案された手法で、「KJ」は彼のイニシャルから名付けられました。
KJ法は、以下のような手順で行います。
- アイディアを1枚の紙に1つずつ書き込む
- 複数の紙の中から似たものをグループとしてまとめる
- グループ同士の関係性を図解化する
- 図を文章化して結論を出す
1番やりやすいのは、ブレインストーミングであがったアイディアを大きめの付箋に書き込んでおき、それをグループ分けしてからホワイトボードに張り付け、関係性を書き込んでいくという方法です。
下記のようなイメージがわかりやすいですね。
(画像引用:Happy Networking様)
そしてこの図解化したものを参照して、文章としての結論を組み立てていくわけです。
KJ法はブレインストーミングとセットで行われることが多い手法なので、ぜひ覚えておいてください。
アイディアのまとめ方2.
マインドマップ
マインドマップとは、1つのテーマを中心として関連する言葉やアイディアを外に広げて書き込んでいく手法です。
イギリスの教育学者であるトニー・ブザン氏によって考案されたもので、以下のように書き込みを行います。
ブレインストーミングからマインドマップを作成する場合の手順は以下のとおりです。
- 目的を中心に書き込む
- 目的を達成するために必要なこと(グループ)を書き込む
- ブレインストーミングで出たアイディアをグループに繋げていく
- 図を文章化して結論を出す
マインドマップを使えば、目的を達成するために何をクリアしなければいけないのか、そのためのアイディアにどのようなものがあるのか、をわかりやすく図にすることができます。
自分の思考をまとめるときやプレゼンをするときにも使えますので、ぜひ覚えておいてください。
ブレインストーミングが失敗する要因
ブレインストーミングを実践しても大してアイディアが出なかった場合、失敗の主な原因としては以下の2つが考えられます。
- メンバー間に緊張や遠慮がある
- 議題が難しい
まずは、メンバー間に緊張や遠慮があるせいでアイディアが出てこなかったというパターンです。
この場合は人選を見直すか、日ごろのコミュニケーションを見直すことで改善します。
そしてもう1つの原因が、そもそも議題が難しすぎてアイディアが出せないというパターンです。
この場合、ブレインストーミングを行う前に本当に実現可能な議題かどうかを考える必要があります。
もしくは議題を細分化して1つずつブレインストーミングを行い、1つずつクリアしていくという方法も効果的ですね。
もしブレインストーミングを実践しても上手くいかなかった場合は、この2つの要因がなかったか考えてみてください。
【まとめ】ブレインストーミングでイノベーションが起きるかもしれない
今回はたくさんのアイディアを出すための手法、「ブレインストーミング」について解説をしてきました。
ブレインストーミングを実践すれば、普通の会議では出てこないようなアイディアを発掘することが可能です。
奇抜で独自性の高いアイディアも出てきやすいので、競合との差別化においても効果を発揮します。
大きな市場を独占できない中小企業の場合、競合との差別化が非常に重要です。
小さくとも競合がいない市場を見つけることができれば、価格競争が起こらないため高い利益率を確保することができます。
そしてそんな市場を見つけ出したり作り出したりするときに、ブレインストーミングで出した独自性の高いアイディアが役立つわけですね。
ちなみに、もし競合のいない市場に参入することができたら、商品価格は利益を最大化できるように設定しましょう。
ここでの価格設定の仕方で、会社の利益に大きな差が生じてしまいます。
とくに中小企業では、1つのアイディアで業績が何倍にも伸びるという事例は多いです。
ぜひブレインストーミングで、あなたの会社独自のアイディアを発掘してみてください。