経営破綻が起こる5つの原因とは?意味や事例、破綻後のことを徹底解説

鷲津晴人
経営破綻が起こる5つの原因

今回お話しするのは、会社経営をしているなら必ず付きまとうリスクである「経営破綻」についてです。

 

普通に考えて、会社を倒産させようなんて考えている社長はいません。

しかし現実は、多くの企業が経営破綻に陥っています。

実際に2018年には、国内で8235件もの倒産が発生しているのです。

(参考:中小企業庁)

 

また、経営破綻は零細企業にだけ起こるものではありません。

安泰だと思っていた大企業が経営破綻を起こしてしまうというケースも多くあります。

たとえば2000年(平成12年)に経営破綻した大手百貨店そごうは大きな話題となったため、覚えている人も多いのではないでしょうか。

もしくは最近、スルガ銀行がシェアハウスの不正融資問題で経営破綻するのではないかということで不安の声が挙がっていますね。

このように経営破綻は、会社経営をしているならその規模に関わらず、必ずリスクとして存在しているものなのです。

 

そこで今回は経営破綻について、以下のようなことを説明していきます。

 

  • 経営破綻とはどのような状態を指すのか?
  • 経営破綻が起こってしまう原因とは?
  • 経営破綻後の選択肢
  • 経営破綻した企業の事例

 

あなたも会社経営をしているなら、この機会にぜひ経営破綻について考えてみてください。

 

 

経営破綻とはどのような状態を意味するのか?

経営破綻とは、読んで字のごとく経営状態が破綻して倒産に追い込まれてしまうような状態のことを意味しています。

もともとはマスコミが使い始めたもので、再建することが可能な倒産のことを遠回しに表現するために用いた言葉です。

もう少し具体的に定義すると、法人が経済的に破綻して債務の返済ができなくなってしまったような状態だと言えます。

要は金銭の支払いサイクルが回せなくなり、自社だけでは再建できなくなってしまったときということなのです。

 

 

経営破綻に近い言葉の意味

経営破綻の意味説明の補足として、混同しやすい言葉の意味についても説明します。

 

  • 倒産 → 銀行との取引が中止になったり2回目の不渡り手形が発行されたり、具体的に経営の破綻が確認できる状態を倒産と呼びます。
  • 破産 → 財産がすべてなくなった状態や債務者が債務を完済できなくなった状態を指します。もしくは経営破綻のあとに会社をたたむ場合のことを指す言葉でもあります。
  • 廃業 → 経営状況にかかわらず、自主的に会社をたたむことを意味しています。

 

ちなみによく迷われるのが経営破綻と倒産の違いですが、この2つに関しては同じ意味として扱われることも多いです。

ただし経営破綻はマスコミが使い始めた言葉であるということで、やや漠然とした意味合いとして使われる傾向があります。

一方で倒産は、具体的な状態を指すときに多く使われる言葉です。

 

 

経営破綻が起こる5つの原因とは?

ここからは「なぜ経営破綻が起こってしまうのか?」ということについて説明をしていきます。

経営破綻が起こる原因の中でもとくに多いのは、主に以下のようなものです。

 

  1. 販売不振
  2. 売上至上主義
  3. 人手不足
  4. 業務改善ができていない
  5. 財務分析ができていない

 

実際に多くの企業が上記を原因として経営破綻に追い込まれてしまっています。

それではそれぞれどういう意味なのか、1つずつ解説をしていきましょう。

 

マイナス収益

 

 

経営破綻の原因1.
販売不振

経営破綻に陥る大きな原因の1つは、販売不振による売上の低下です。

売上が下がるということはそれだけ会社に入ってくるお金も減るということなので、当然経営状況も悪くなってしまいます。

もちろん何か狙いがあってあえて売上を落としている場合は問題ないのですが、競合他社の参入や流行の廃れなどによる販売不振の場合は早急に手を打たないと、経営破綻に陥ってしまう危険性が高いと言えるでしょう。

実際に販売不振による経営破綻を起こす会社の社長は、競合他社や流行に合わせた変化を行わず、昔からのやり方を貫いてしまっていたという場合が多いです。

 

あとはお客さんの質についても、販売不振と大きなかかわりがあります。

お客さんがあなた商品のことをどれだけ好きでいてくれるか、つまりあなたの会社の根強いファンがどれだけいるか、というところも、販売不振を起こすかどうかという意味で非常に重要な要因となってくるでしょう。

 

 

経営破綻の原因2.
売上至上主義

売上に固執するあまり利益率を落としてしまい、その結果経営破綻する企業も多くあります。

なぜなら売上を上げるためにはそれだけ経費や労力が多くかかるからです。

もちろん、経費や労力をかけた分だけしっかりと利益が出ていれば問題はありません。

しかし、経費や労力、つまりリスクが多くかかるにもかかわらず十分な利益が出なければ、経営が回らなくなってしまう危険性もそれだけ上がってしまうというわけですね。

 

たとえば飲食店の店舗を無計画に増やしてしまうパターンが分かりやすいのではないでしょうか。

飲食店の店舗を増やして売上を上げても利益が上がらなければ、人件費不足から人材不足や教育不足に陥ったり、少し売上が落ちただけで家賃や原価といった経費が利益を上回って赤字になってしまったりします。

この記事内で実際に無理な店舗拡大を繰り返して経営破綻してしまった事例も紹介していますので、そちらの方も参考にしてみてください。

⇒ナポリス(遠藤商事)の事例

 

また、売上ではなく利益や利益率を上げるためには、商品やサービスの価格を上げるという方法をまず考えてみるべきです。

当たり前な話ですが、販売価格を上げることができれば経費や労力はそのままで利益を増やすことができます。

とくに売上を上げるために価格を下げて薄利多売戦略に手を出してしまっている場合は、とにかくまず価格の見直しを行ってみてください。

もちろん確信的な勝算があれば良いのですが、基本的に中小企業は薄利多売戦略に向いていないということを念頭に置いておきましょう。

(参考:薄利多売のメリット・デメリットから考える利益倍増の戦略とは?)

 

経営破綻の原因3.
人手不足

人手不足によって事業が回らなくなってしまい、経営破綻を起こしてしまうというパターンもあります。

人手が足りない状況で無理に事業を回してしまえば、あまりの激務に社員がどんどんと辞めていってしまい、人が定着しません。

そうなると新しい人を雇うにしても仕事を教える手間がかかってくるため、さらに作業量が増え、人手不足が深刻化してしまうのです。

 

実際に私が知っている事例として、パーソナルトレーニングの経営をしていた社長が人手不足のために経営破綻してしまいました。

競合他社に合わせてサービス価格を下げてしまった結果、十分な利益を出すために多くの仕事をしなければいけなくなってしまい、人手不足へと陥ってしまったのです。

 

中小企業の倒産理由の1つとして、実はこの価格の下げ過ぎというのはよくあります。

基本的に人手不足というのは、仕事内容と収入のバランスが悪いために起こるものです。

忙しかったり大変だったりするのに収入が悪い仕事には、当たり前ですが人は集まりません。

しかし逆にしっかりと働きに見合った給料を支払えるのならば、特殊なスキルが必要な仕事ではない限り、人手不足の問題は解決できる可能性が高いです。

 

経営破綻の原因4.
業務改善ができていない

経営破綻の原因の1つに業務改善ができていないというものがあります。

市場は常に動き続けているため、ずっと同じことを続けていても生き残れません。

現に昔ながらのやり方から脱却することができず、そのまま経営破綻に陥ってしまう中小企業も非常に多くあります。

そのため経営破綻を回避するには、常に業務改善を繰り返して変化していく必要があるのです。

 

ちなみに業務改善を続けるには、常にPDCAサイクルを回すことをおすすめします。

PDCAサイクルは改善のためのフレームワークで、回し続けることでどんどんと改善を進めることができます。

PDCAサイクルについては別記事にて詳しく解説していますので、ぜひ参考にして、PDCAサイクルを回してみてください。

⇒具体例で学ぶ!PDCAサイクルを回す正しい方法と注意点とは?

 

 

経営破綻の原因5.
財務分析ができていない

財務分析ができてないということも経営破綻の大きな原因になり得ます。

財務分析ができていないということは自社の状況を把握することができていないということです。

そのため大きな問題点に気づくことができなかったり、業績が落ちていることに気づけなかったりしてしまいます。

そうなれば当然徐々に会社は弱っていき、その兆候に気づけないままやがて経営破綻に陥ってしまうというわけですね。

 

 

経営破綻した場合の選択肢

残念ながら経営破綻してしまった場合、法律に照らし合わせて社長が選ぶべき選択肢は3つあります。

 

  1. 破産
  2. 会社更生法
  3. 民事再生法

 

ちなみに大きく分けると、破産は会社をたたむ方向性で、残り2つは経営を立て直すという方向性です。

それでは1つずつ説明していきましょう。

 

経営者の背中

 

 

経営破綻後の選択1.
破産

経営破綻を起こしたときに取るべき選択肢の1つが破産です。

簡単に言うと会社をたたむということですね。

この場合、会社が持つ資産をすべてお金に換え、債権者にできるだけ返済するという義務が生じます。

ちなみに給与未払いなどが発生していた場合は元従業員も債権者です。

 

またこのとき、1つ確認しておかなければいけないことがあります。

それが、あなた個人に返済の義務が生じるか否かという点です。

通常、会社をたたむ場合は会社の資産のみを返済に充て、あなたの個人資産は守られます。

しかし、あなたが会社の保証人となっていた場合は話が別で、その場合はあなた個人にも責任が発生してしまうのです。

もし破産を選択する場合は、責任の所在についてもしっかりと確認しておきましょう。

 

 

経営破綻後の選択2.
会社更生法

会社更生法は経営破綻の状態から会社を立て直すための手続きです。

会社更生法はどちらかというと大手企業向けの再生法となっており、株式会社のみが対象となっています。

 

会社更生法を申請した場合、企業の経営者や役員は再建業務にかかわることができません。

裁判所が選任した管財人だけが再建業務を行うことができるという決まりなのです。

そのため会社再生法を選んだ場合は、淡々と冷酷に経営破綻の原因を特定されることになります。

もしあなたに経営破綻の原因があったなら、それをはっきりと特定されてしまうのです。

 

 

経営破綻後の選択3.
民事再生法

民事再生法は中小企業の再生に用いられることを想定された再生法です。

会社更生法を簡素化した再生法であり、こちらは株式会社だけでなく個人やそのほかの法人も対象となります。

 

また、民事再生法の場合は社長や役員が再建業務にかかわることができるという点が会社再生法との大きな違いです。

そのため中小企業が会社を再建する場合は、こちらの民事再生法を選ぶことになるでしょう。

 

 

経営破綻した企業の事例

ここからは、実際に経営破綻した企業の事例を3つ紹介していきます。

 

  1. ナポリス(遠藤商事)
  2. スカイマーク
  3. そごう

 

1つずつ解説していきますので、参考にしてください。

 

 

経営破綻した企業1.
ナポリス(遠藤商事)

本格的なピザがワンコインで食べられるということで話題を呼んでいた「ナポリス」というレストランですが、それを運営していた遠藤商事が2017年4月に経営破綻してしまいました。

 

原因は色々とありますが、その中でもとくに大きいと言われているのが無理な店舗拡大です。

ナポリスが行った急激な店舗拡大は大きな人手不足を生みました。

通常、新規のフランチャイズ加盟店には本社から教育係の人員を派遣します。

店舗運営の基礎をしっかりと教え込み、お客さんが満足できるサービスを提供できるレベルまで引き上げるためです。

しかしナポリスは人手不足に陥ってしまっていたため、その教育があまりにもおざなりになっていました。

そのためお店の質は大きく低下してしまい、深刻な客離れを起こしてしまったのです。

 

それにもかかわらず、ナポリスは100店舗を目標として無理な店舗拡大を続けました。

その結果、ナポリスは経営破綻を起こしてしまい、それを運営していた遠藤商事は倒産してしまったのです。

 

このように無理な事業拡大は経営破綻の大きな原因となってしまいます。

事業拡大をする場合は自社の状況をしっかりと見極め、無理なく計画的に行うようにするべきでしょう。

 

 

経営破綻した企業2.
スカイマーク

経営破綻した企業としては、航空会社のスカイマークも有名です。

スカイマークは2015年3月期に赤字113億円を記録してしまい、民事再生法を適用しました。

 

スカイマークが経営破綻してしまった原因については、円安ドル高や燃料費の高騰という外部的な要因投資ミスや無借金経営という内部的な要因が挙げられます。

円安ドル高、燃料費の高騰は、どちらも航空会社にとっては大打撃であると言えるできごとです。

そしてさらにスカイマークは、そこで大きなミスを犯してしまいました。

 

まずスカイマークは、売上高が900億円に満たない状況で、1915億円を使って6機の航空機を発注したのです。

しかし円安ドル高や燃料費の高騰でスカイマークは赤字に転落してしまい、発注していた6機の航空機のうち2機の購入延期と4機のキャンセルを行いました。

ところが前払い金や違約金が発生してしまい、結局1000億円近くの経費がかかってしまったのです。

そこでさらに問題となったのが無借金経営です。

実はスカイマークにはメインバンクが付いておらず、銀行からの融資を受けることができませんでした。

そのため赤字転落から投資ミスの流れによってキャッシュがすぐになくなってしまい、またたく間に経営破綻に陥ってしまったのです。

 

ただそんなスカイマークですが、民事再生法を適用したことにより、たった1年で営業利益で15億円の黒字を叩き出すことに成功しました。

このように経営破綻に陥っても再生法を適用することでV字回復できるというパターンもあります。

だからこそ経営破綻したらそこで終わりというのではなく、そのあとのことも非常に重要となってくるのです。

 

 

経営破綻した企業3.
そごう

大手百貨店として有名なそごうグループも経営破綻に陥り、2000年7月に民事再生法の申請を行いました。

 

そごうが経営破綻を起こしてしまった1番の原因は、新規店舗の出店を積極的に行っていたことです。

そごうは新規店舗を出店するため、店舗の土地を担保にして多くの融資を受けていました。

ところが想定していなかった地価の急落によってその経営手法は行き詰まり、最終的に約1兆8700億円という多大な負債を抱えて倒産してしまったのです。

また、阪神・淡路大震災による神戸店本館の半壊平成不況による消費の低迷も経営破綻の大きな要因の1つであると言われています。

 

このように想定していなかった事態によって経営破綻を起こしてしまう企業も多いです。

だからこそ無理な事業拡大は控え、きっちりと手元にキャッシュを残しておくことも会社経営には重要なことであると言えるでしょう。

 

 

【まとめ】経営破綻回避のためにも原因をよく理解しておくべき

今回は経営破綻についてお話をしてきました。

 

経営破綻を回避するために重要なのは、その原因をしっかりと理解し、対策をすることです。

今回の記事でお話しさせていただいた経営破綻の原因は以下の5つでしたね。

 

  1. 販売不振
  2. 売上至上主義
  3. 人手不足
  4. 業務改善ができていない
  5. 財務分析ができていない

 

ちなみに、中小企業がこれら5つの問題を回避するためにまず考えるべきことは、商品やサービスの価格を見直すことです。

販売価格を上げることができれば利益率が上がり、キャッシュを多く手元に残すことができるようになります。

さらに高額にした分商品の質を高めれば、価格にかかわらず商品を好きになってくれるコアなファンを作ることもできます。

そうなれば客離れを起こしにくくなり、経営破綻に陥りにくくなるのです。

だからこそ現状安すぎる価格設定をしてしまっているなら、この機会にぜひ価格の見直しを行ってみてください。

会社の状況によっては、それだけで大きく業績が好転するはずです。

経営破綻は会社を経営している以上、避けることができないリスクです。

だからこそその原因をしっかりと理解しておき、自社が経営破綻を起こさないように対策をとれるようにしておきましょう。

 

 

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