今回は、バックエンド商品と事例と作り方について解説します。
バックエンド商品は会社に大きな利益を生んでくれる商品です。
- 継続的に利益を上げる仕組みを持ちたい
- 来月の売上の予測ができるようになりたい
このように考えているのであれば、バックエンド商品は持っておいたほうが良いでしょう。
しかし、実際に作るとなると、どう作って良いかわからなくなりますよね。
作成の際に気をつけるべきポイントや事例があった方がわかりやすいはずです。
そのため、今回の記事では絶対に外してはいけないバックエンド商品の3大原則と、業種別の事例、そしてオリジナルバックエンド商品の作り方について解説します。
これからバックエンド商品を作成する方は参考にしてください。
バックエンド商品の3大原則
バックエンドには外してはいけない三つの原則があります。
- フロントエンドとの一貫性を保つ
- 生涯価値(ライフタイムバリュー)込みで考える
- お客様が欲しいモノだけを売る
それぞれについて解説します。
原則1.フロントエンドとの一貫性を保つ
バックエンドはフロントエンド商品と一貫性があることが重要です。
一貫性がないとバックエンド商品を売ることは難しくなります。
例えば、ダイエットサプリのお試し商品を購入したお客様に、パーソナルトレーナー(スポーツジム)の有料会員を提案して成約させるのはムズカシイですよね。
スポーツジムもダイエットに効果的ですが、フロントエンド商品とバックエンド商品の一貫性がありません。
一方で、ダイエットサプリの定期購入がバックエンド商品であれば成約しそうですよね。
このようにフロントエンド商品とバックエンド商品は、一貫性があることで成約しやすくなります。
原則2.LTV(ライフタイムバリュー)込みで考える
LTVはお客さまが会社にどれだけの利益をもたらしてくれるのかという金額のことです。
例えば、一回施術が5,000円の整体院あるとします。
お客様が月1回、そして12月間通ったくれた場合、
5000円 × 12ヶ月 = 6万円
このお客様のライフタイムバリューは6万円です。
もちろん通ってくれる期間や回数はお客様によって異なります。
そのため、平均して一人のお客様がどれくらいの利益を会社にもたらしてくれるのか? ということを把握しましょう。
LTVが分かれば、お客様をひとり獲得するまでにどれだけ広告費を使うことができるか?が分かります。
LTVの考え方について詳しく知りたい方は「生涯価値(LTV)を正しく使って売上を最大化する方法」を読んでみてください。
3.お客様が欲しいモノを作る
バックエンド商品はマーケットインの考えで作成しましょう。
マーケットインとは買い手の視点で必要なモノを提供するという考え方です。
基本的にお客様側からの意見や要望を元にした商品やサービスであればOKです。
一方で、プロダクトアウトの考え方では売れません。
プロダクトアウトは販売側の発想で作られた商品のことで、お客様の声を考慮していないからです。
バックエンド商品を作成するときはマーケットインの考え方で作りましょう。
そうすることで多くの人に受け入れられる商品になります。
9つの実例から学ぶバックエンド商品の事例
バックエンド商品の種類を実例を紹介します。
- 無料オファー→バックエンド
- 低価格オファー→バックエンド
この2つのパターンに分けて、合計9つの事例を紹介します。
フロントエンド商品からバックエンド商品までの流れも合わせて解説するので、参考にしてください。
無料オファーからバックエンドの事例
最初に無料オファーからバックエンド商品の販売につなげている事例を紹介します。
1.Hulu(フールー)
- フロントエンド:2週間無料キャンペーン
- バックエンド:定額サービス
本サービスを期間を決めて無料体験させる手法は多くの企業で取り入れています。
同じ動画配信サービスだとNetflix(ネットフリックス)やU-NEXTが有名ですね。
こういった無料キャンペーンはデジタルコンテンツがメインですが、手法自体はビジネスのヒントになります。
例えば、自社で扱っている商品やサービスを期間限定などで無料提供することはできないか? という視点で考えてみると面白いアイデアが思い浮かぶかもしれません。
2.ライザップ
フロントエンド:無料カウンセリング
バックエンド:シェイプアッププログラム
ライザップは無料カウンセリングで集客を行い、シェイプアッププログラムのバックエンドを販売しています。
無料カウンセリングでは、かなり詳細にデータを測ってくれます。
- 体重
- 体脂肪
- 骨量
- 筋肉量
- 筋肉の左右のバランス
- BMI値
などなど、他にも沢山のデータがわかりますし、トレーニング方法や食事の改善点などを教えてくれます。
もちろん有料コースの案内もしますが、基本的には案内だけです。
それでも入会する人が多いのは、お客様が得られる結果が明確に伝わっているからです。
無料オファーがそのままバックエンド商品のクロージングにつながっている良い事例ですね。
3.注文住宅の工務店
フロントエンド:構造見学会と完成見学会
バックエンド:住宅販売
注文住宅を扱う工務店は、建築途中の家を見学してもらう構造見学会や完成見学会を行っています。
お施主さん(家を買った人)と話すこともでき成約に結びつくことも珍しくないそうです。
構造見学会は建築途中の家を見せるため隠し事はできません。
そして、お施主さんからは工務店に依頼するときのアドバイスを教えてもらえます。
最後は完成見学会を開くのですが、そこまで見学した見込み客の成約率は高いです。
お施主さんを巻き込み、途中経過の商品を見せることも成約させる有効な方法だといえますね。
4.司法書士の個人事務所
フロントエンド:無料ニュースレター
バックエンド:顧問契約など
フロントエンドとしてステップメールでニュースレターを配信します。
ステップメールで配信する内容は、今までの依頼内容で顧客に役立ちそうな内容を抜粋してまとめたものです。
もちろんそういった方法なので、メールの内容は顧客にとってタイミングが合わないことも多いです。
しかし、定期的に情報を提供することによってその分野の先生という認識を持たれるようになります。
そのため、いざ司法書士に依頼する必要が出てきた場合に、すぐに司法書士の先生のことが思い浮かぶようになり、成約に結びつくわけです。
ステップメールを使うことで、バックエンドが自動的に売れる事例ですね。
これはどのような業種でも応用ができる有効な手段です。
低価格オファーからバックエンドの実例
続いて低価格オファーからバックエンドに繋げる事例を紹介します。
1.健康食品のやずや
フロントエンド:低価格サンプル商品
バックエンド:定期購入
初回お試しサンプルを申し込んだお客様に対して、商品を使い切る数日前に定期購入を推奨する連絡をします。
- メール
- DM
- 電話連絡
これらの方法を使ってお客様とコンタクトをとります。
お試しサンプルから定期購入のバックエンドがやりやすい業界は「消費する商品」を扱っている業界です。
例えば化粧品や日用品を扱っている業界なら取り入れやすい手法ですね。
2.学習塾(家族経営)
フロントエンド:500円お試し入学
バックエンド:本サービス申し込み
ある学習塾では地元で一番偏差値が高い高校合格に狙いを定めたバックエンド商品を用意しています。
単に偏差値を上げることが目的ではなく、地元の「○○高校の合格」という明確なゴールを提示することで高い成約率を叩き出しています。
明確なベネフィットを打ち出して、集客とバックエンドの販売を成功させている事例ですね。
3.整体院(個人)
フロントエンド:初回半額
バックエンド:半年会員契約(半年・年間会員割引あり)
この整体院では初回は半額で施術を受けることができ、2回目以降は通常価格です。
ただし、半年会員になることで2回目以降の施術が割引になります。
詳しい金額の説明は省きますが、半年会員の会費は1万円で半年の間に4回以上手術を受けることで割安になる計算です。
しかし、この整体院は決して割引を武器に半年会員を勧めません。
お客様に伝えることは、次回来店する理由や定期的に通ってもらう理由です。
- 体の不調の原因となっていること
- 施術でできる内容と必要な日数
- 改善するには通ってもらう必要があること
これらを説明して納得いただいた上で、半年会員になったほうがお得になる説明を行います。
施術内容や通うことを納得したお客様は高い確率で半年会員になり、そのまま高い確率でリピーターとなります。
4.コンサルタント(個人)
フロントエンド:低価格セミナー
バックエンド:顧問契約
低価格セミナーの内容が、そのまま顧問契約のセールスになっています。
- 問題提起を行う
- その対応方法を教える
- 解決策として商品を提示する
大抵はこの流れでセミナーセールスが行われます。
低価格とはいえお金を払ってセミナーに足を運ぶお客様は、それなりに意識が高い状態です。
さらにセミナーで講師の話くことでテンションが上がっているため、成約率が高くなります。
5.コーチ、セラピスト(個人)
フロントエンド:低価格セッション
バックエンド:20万円以上のセッションor顧問契約
コーチ、セラピストで20万円以上の高額バックエンドを販売している人は珍しくありません。
高額セッションに取り入れるべき要素は2つあります。
- 自分の強み
- 競合との差別化
高額セッションを成約するには、自分のファンになってもらう必要があります。
そのためにユーチューブやブログなどで、情報を発信してまずは自分を知ってもらいます。
そして、低価格セッションから高額バックエンドの販売につなげます。
注意点としては、低価格セッションとバックエンドの導線をシッカリ作ることです。
フロントエンドがただの安売りになってしまわないように注意してください。
オリジナルバックエンド商品の作り方
オリジナルのバックエンド商品の作り方について解説します。
バックエンド商品を作る際は、基本的に以下の5つの手順を踏みます。
- コンセプトを決める
- バックエンドの種類を決める
- オファーを考える
- 価格設定をする
- 販売方法を決める
この手順をしっかりたどれば、大きな失敗はないはずです。
それぞれ詳細を説明していきます。
バックエンド作成の手順1.
顧客のニーズを聞き出しコンセプトを決める
バックエンド商品にはコンセプトが必要です。
お客様にとってどんな利益がある商品にするのか? という目的を明確にすることですね。
最初にお伝えしたとおり、お客様の意見や要望を元に商品やサービスを作り上げるのがベストです。
プロダクトアウトではなく、マーケットインですね。
そのためお客様に直接聞いたり、アンケートを取るなどして沢山の意見を集めてください。
お客様の声の中にバックエンド商品を作る際のヒントが隠されています。
とはいっても、まったく新しい商品やサービスである必要はありません。
- 既存の商品を改良する
- 既存の商品をまとめる
最初はこのような作り方で構いません。
今もっているリソースで、お客様の要望に応えられる商品に近づけることが重要です。
バックエンド作成の手順2.
バックエンドの種類を決める
バックエンド商品の代表的な5種類を紹介します。
- フロントエンド商品を補完する商品
- サポート商品
- セミナー商品
- 上位商品
- 関連商品
それぞれの概要を説明しますね。
種類1.フロントエンド商品を補完する商品
フロントエンド商品のままでは未完成な状態のときに使います。
フロントエンドとバックエンドが合わさって完成する商品のことです。
例えば、ディアゴスティーニがわかりやすいかもしれません。
ディアゴスティーニには「ジッポーコレクション」というシリーズがあります。
フロントエンドは創刊号で低価格での販売で、2冊目以降は定価での販売です。
毎号違うジッポーがついてくるため、全商品を制覇したいコレクター心理を突いた商品ですね。
種類2.サポート商品
フロントエンド商品だけでも成り立っている商品や、バックエンド商品のプラスアルファで付けることができるサービスですね。
サポートは対面やスカイプ、電話、LINEなどで行います。
ただし、あまりに顧客が多くなってくると対応しきれないので、顧客数が少ないときに有効な手段ですね。
種類3.セミナー商品
セミナー自体をバックエンド商品にします。
コーチ、コンサル、セラピストなど情報を主に扱う方に向いていますね。
少人数でも大人数でも対応が可能です。
種類4.上位商品(アップセル)
フロントエンド商品よりランクの高い商品のことです。
無料オファーや低価格オファーから継続課金モデルの販売もここに分類されます。
種類5.関連商品(クロスセル)
フロントエンド商品の関連商品を販売します。
例えばダイエット商材を購入したお客様がモテたいために痩せるのであれば、恋愛系の商材も売れるということです。
お客様の要望にあった商材であれば、関連商品もバックエンドで売ることができます。
バックエンド作成の手順3.
成約率を高めるオファーを考える
バックエンド商品を成約率を上げるためのオファー例を紹介します。
心理学に基づいたやり方なので、あなたの商品に合ったやり方を取り入れると高確率で効果を上げることができるはずです。
オファー1.限定性
人は希少なものに魅力を感じるようになっています。
そのため、数量や期間を区切った限定性はとても有効です。
基本的に限定性はつけた良いオファーですね。
ただし、演出は大事ですが嘘の限定性はあなたの会社の信頼性が落ちるだけなので辞めてください。
限定性の例をいくつか挙げますので参考にしてください。
- 先着○○名限定
- 数量○○限定
- 会員様限定
- 初回購入者限定
- ○○円以上購入した方限定
オファー2.簡単さ(手軽さ)
簡単であることは商品を魅力的にみせます。
例えば以前に「スリッパダイエット」というダイエット商品がありました。
その名の通りスリッパを履くだけでダイエットできる商品です。
そういった手軽さがあれば、人は飛びつきます。
他にも、プログラムが分からなくてもホームページが作れるソフトも、簡単さを売りにしていますね。
オファー3.社会的証明
人は大勢の人が行っている行動に影響を受ける生き物です。
これを社会的証明をいいます。
「多くの人がこの商品を選んでいる」ということを伝えることは成約率を上げる有効な手段です。
少し前に流行った「○秒に1人が買っている」というキャッチコピーがありましたが、多くの人が買っているんだよというメッセージを伝えているわけですね。
あなたのバックエンド商品も、社会的証明になる要素があれば組み込みましょう。
オファー4.保証
お客様のリスクを取り除くことで成約率を上げることができます。
おすすめは返金ではなく、成果に対する保証を付けることです。
例えば「商品に満足できなかったら30日以内なら返金を受け付けます」といった内容よりも、「成果がでるまでサポートすることを保証する」といった内容が良いでしょう。
返金するよりも誠実な印象を与えることができます。
バックエンド作成の手順4.
価格を設定する
最初の段階では、利益がシッカリと取れる価格で設定してOKです。
本来、価格設定はそれだけで1冊の本が出来上がるほどの分野なのですが、最初から完璧を目指す必要はありません。
「これくらいは欲しいな」という感覚で決めて構わないので、利益を確保することを最優先にしてください。
バックエンド作成の手順5.
販売方法を決める
バックエンド商品が完成したら、次は販売方法を決めましょう。
- 対面
- 電話
- WEBページ
方法はいくつかありますが、顧客と対面で会うことができる環境なら対面が良いですね。
直接会って話すほうが成約率が上がるからです。
もし、顧客が離れている場所にいるならWEBページを活用しましょう。
電話は問い合わせ用に使うのが良いですね。
販売方法まで決まったら、バックエンド商品は完成です。
【まとめ】特別なスキルが無くてもバックエンドは作れる
今回は、バックエンド商品の実例と作り方について解説しました。
バックエンド商品があることで、会社が大きな利益を上げる仕組みを作り上げることができます。
そうなれば、来月の売上が見えない不安から開放されることも可能です。
バックエンド商品を作るために、特別な能力は必要ありません。
必要なことはたったの2つです。
- お客様の意見を集めてコンセプトを考えること
- 今あるリソースを活用してバックエンド商品を作り上げること
記事の中で紹介した事例や手順も参考にして、オリジナルのバックエンド商品を作ってみてください。
バックエンド商品に限らずですが、一番難しいのは価格の設定かもしれません。
競合と価格を合わせてしまったり、売れやすいように安い価格に設定してしまう社長が多いからです。
しかし、何も考えずに低価格にしてしまうとお客様に商品の価値が伝わらず、最高の商品だと思ってくれません。
それでは中途半端な商品になってしまい大きな利益を生み出すことは不可能です。
バックエンド商品は必ず高価格(商品価値に見合った価格)で販売しましょう。
また、通常商品の価格アップもあわせて検討してみるべきです。
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一体どのような方法で値上げを行い成功したのか? ぜひインタビュー動画でご確認ください。