マニュアルの正しい作り方

北岡 秀紀 北岡 秀紀
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151102-1

Kitaoka

マニュアルは、小さな会社に本当に必要なのか?
答えは、もちろんYesです。
では、なぜはマニュアルが必要なのか?

それは、
・その人の能力に関わらず、一定の能力以上の仕事がスグにできるようになる
・社員の入退社の場合の仕事の引き継ぎがスムーズになる
・マニュアルが先生となり効率よくスタッフの育成ができるので、あなたや先輩社員の教育にかかる時間を減らすことができる
こんなメリットがあるからです。

そして、もうひとつ意外と誰も言わない大きなメリットがあります。
それは「スタッフの反目リスクを大きく下げる」こと。

マニュアル化しないと仕事が属人化します。
スタッフが自分にしかできないような仕事をたくさん作ってわけです。
意図的にスタッフが自分の仕事をブラックボックス化することで、そのスタッフがいないと会社が回らないような状態を作ろうとすることがあります。
会社に対して優位な立場を作ることで、社内的な地位を高めようとするわけです。

で、社長であるあなた含め全スタッフが彼女(「彼」のこともありますが比較的「彼女」が多いです。)の顔色を伺って仕事をするようになってしまいます。
そして、最後に突然辞めてしまいます。
小さな会社では被害甚大です。

マニュアルがあれば仕事が透明化されるので、こういったリスクを大きく下げることが可能です。

今回は、マニュアルを正しく作ることで社員の成長スピードを速め、あなたの会社の生産性を高め、社内のリスクも下げる「マニュアルの正しい作り方」について、お伝えしていきます。

目次


1. マニュアル人間は、ダメなのか?

 1-1 マニュアルで生産性がグンと上がる理由


2. チェックシート形式にする

 2-1 マニュアルがなぜチェックシート形式だと、日頃から使われやすいのか?
 2-2 チェックシートの記載事項


3. マニュアルの作り方 3つのポイント

 3-1 マニュアルは、作りやすいものから作る
 3-2 マニュアル作りは、スタッフに依頼する
 3-3 マニュアルは、完璧を目指さない


4. マニュアルの運用方法

 4-1 マニュアルは、紙ベースにする
 4-2 マニュアルは使わなければ意味がない
     マニュアル通り頑張ったけど、達成できなかった場合
     マニュアル通りにやっていなくて、達成できなかった場合
 4-3 マニュアルは、社長が運用しなければ消滅する


5. マニュアルの改善

 5-1 マニュアルの改善案を常に募る
 5-2 マニュアルを変える意志決定をする場とタイミングを決めておく
 5-3 マニュアルの以前のバージョンは残しておく


マニュアルの正しい作り方まとめ

1. マニュアル人間は、ダメなのか?

マニュアルの作り方をお話する前に、まずマニュアル人間は良いのか悪いのか、、、?
マニュアル人間という言葉は一般的に皮肉として使われますが、私は肯定的にとらえています。

マニュアル通りに動くことで、活動の品質にムラがなくなります。
つまり、マニュアル人間とは、一定品質以上の水準で生産できる人間である、といえます。

もしマニュアル人間で社内に弊害が生まれるのなら「マニュアルが悪い」と考えるべきです。

1-1マニュアルで生産性がグンと上がる理由

マニュアルがあると最短で一定水準に達することができます。
それは、能力の低い人でも能力の高い人であっても、です。
が、マニュアルが重要になるのは、ここから。

能力の高い人は
・もっと工夫をしてパフォーマンスを上げられないか?
・もっと業務を改善する方法はないか?
・もっともっと多くの活動ができないか?
と自分で考えるようになります。

能力の高い人が早い段階で一定水準に達することができれば、さらに早く伸びていきます。
ですから、マニュアルがあると活躍できる人間がもっと活躍できるということです。

ホスピタリティや柔軟性がなくなるのではないか?
というマニュアル人間の弊害を語る人がいます。

が、心配には及びません。
実は、マニュアルは正しい作り方をすれば、ホスピタリティや柔軟性を落とすことはありません。
マニュアル人間が増えても会社のオペレーションに影響は出ません
ので、安心してください。

先に言った通り、マニュアル人間でオペレーションに弊害が出るとすれば、マニュアルそのものが悪いのです。

では、優秀なマニュアル人間を育成するにはどうすれば良いか?
ここからは本編の「マニュアルの正しい作り方」について解説していきます。

2. チェックシート形式にする

何百ページ、何千ページとあるマニュアル。
そんなマニュアルを読んでから仕事に取りかかる人が果たしているでしょうか?
・・・当然いるはずがありません。

マニュアルは、使われないと意味がありません。
であれば、日頃から使いやすいマニュアルであるように工夫する必要があります。
実はそれが、チェックシート形式というわけです。

2-1 マニュアルがなぜチェックシート形式だと、日頃から使われやすいのか?

チェックシート形式とは、
1. 事務所の留守番電話は、確認と解除をしたか?
2. 郵便受けの郵便物は、確認したか?
3. ゴミ箱のゴミは、回収したか?



こういった形式のことです。

チェックシート形式だと「この順番にこれを取り組めばいいんだな」ということが一目瞭然。
日頃の業務の確認で使えるので、マニュアルがしまいっぱなしになることがありません。
また、チェックシート形式だと、業務の確認と同時に学習もできます。


だからこそマニュアルは、一挙両得のチェックシート形式にするのがベストです。

2-2 チェックシートの記載事項

一口にチェックシートと言っても、どんなことに注意をして作れば良いか?
チェックシートの正しい作り方は、次の3つの記載事項を設けてください。

1. 達成基準
→ どのような状態になれば、ゴールなのか?

2. 目的
→ 何のために達成基準を達成する必要があるのか?

3. 手順を書く
→ 1つ目は、コレ。2つ目はコレ。3つ目はコレ、、、といった手順を書く

この3つを設けて下さい。

このとき、特に重要な点は、2の「目的」です。
「何のために達成基準を達成する必要があるのか?」
これを明確にしておくことで、達成基準に達しなくても、目的さえ達成していれば良いという発想ができるようになります。

例えば、あなたがカフェの店員だと考えてください。
時計を気にしてそわそわして明らかに急いでいる人が席で待っている。
でも、その前にドリンクを待っている人が何人かいます。

そのとき、「順序良くドリンクを出すこと」という達成基準しかなければ、急いでいるお客さんは無視することになります。でも、目的が「気持ち良く過ごしてもらうこと」と設定しておけば…この人のドリンクを先に出してあげる、という選択肢もあり得るわけです。

逆に言えば、目的が見えないと、
・単にマニュアル通りに従って機械的に行動してしまう、、、
・達成基準さえ満たしていれば良い、、、
といった考え方になりがち。

目的が重要なのは、「行動そのもの」を目的にしないためです。
目的が明確になると、自律して柔軟に行動できる人間を作ることができるようになります。

3.マニュアルの作り方 3つのポイント

では、具体的にマニュアルの作り方について3つのポイントを解説します。

3-1 マニュアルは、作りやすいものから作る

マニュアルの作り方でまず最初に気をつけること。
それは、作りやすそうなものからマニュアル作りに取り組むことです。
やったことのないものに慣れる意味でもこれは非常に重要です。

・時間のかかりそうな大きな作業が必要なもの
・どうしても早くマニュアル化をしたいもの
あなたがこうしたものからマニュアルを作りたい、という気持ちも分かります。

が、不慣れなうちからこういったものに手を出すと、
・意外にめんどくさいな、、、
・なかなか大変だな、、、
と感じてしまい、マニュアル作りそのものを断念してしまいます。

手間のかかるもののマニュアル作りは、後回しにしましょう。

3-2 マニュアル作りは、スタッフに依頼する

マニュアルは、どうしても自分の基準で作りたくなります。
が、社長は他にも重要な仕事を抱えています。
結果、マニュアル作りは後回しになる…
これではいつまで経ってもマニュアルは完成しません。

そこで、マニュアルは、スタッフに作ってもらうようにしましょう。
あなたがスタッフに何か業務を依頼するとします。
そのとき、マニュアル化も一緒に頼んでしまいます。

あなたが説明してやらせる。
そして、やったことをチェックシート形式で完成させる。
ここまでで業務を完了とします。

それでマニュアルを作成することができます。

3-3 マニュアルは、完璧を目指さない

スタッフに作ってもらったマニュアル。
これは、社長から見ると不完全に見える場合があります。
というか、99%のマニュアルが不満なはず。
が、それで構いません。

マニュアルが正しいかどうかは、実際に運用してみて判断します。
というのも、スタッフは意外と問題もなくスムーズにマニュアルを運用していたり、お客から見ても十分に満足してくれている場合も少なくありません。

では、もし運用が上手くいかなかったら?
その段階ではじめてブラッシュアップをしてください。


マニュアルは、社長が口出しをして完璧を目指すのは間違い。
「その都度、後からブラッシュアップをすればいいんだ」という気持ちで、作るのがコツです。

4. マニュアルの運用方法

マニュアルは、せっかく作っても運用されなければ意味がありません。
では、どんな点に気をつけて運用すれば良いのか?
3つの注意点があります。

4-1 マニュアルは、紙ベースにする

業務依頼をする時には、紙に印刷されたマニュアルをスタッフに手渡しして下さい。
パソコン内のデータでは、開くのに時間がかかり、見たい時にぱっと見れません。
これでは、すぐに使われなくなってしまいます。

4-2 マニュアルは使わなければ意味がない

マニュアルは、達成基準や目的を実現させるためにあるもの。
スタッフが達成基準、目的をうまく実現できない場合は、マニュアルが正しく運用されているかどうかを確認する必要があります。

・マニュアル通り頑張ったけど、達成できなかったのか?
・マニュアル通りにやっていなくて、達成できなかったのか?

この点をチェックしてください。

◆マニュアル通り頑張ったけど、達成できなかった場合


この場合は、スタッフと一緒にあなたもマニュアルを見ながら教えてあげましょう。

ただ、この場合に注意したいのは、マニュアルの手順通りにやったのに
・達成基準を満たせない
・目的に到達できない
という場合。

これは、チェックシートに問題があります。

その場合は、都度マニュアルに抜け漏れがないかを見直してください。
マニュアルに問題を見つけたら、ブラッシュアップをしましょう。

◆マニュアル通りにやっていなくて、達成できなかった場合

マニュアル通りにやっていなければ、当然達成できるはずがありません。
この場合は、スタッフを叱って頂いて構いません。

チェックシートがあることで「自分がチェックシート通りにやっていないから叱られているんだ、、、」
こんな風にスタッフから見てもマニュアルがあることで、叱られる理由が視覚化されます。
すると、叱られる理由をすぐに理解してもらえるので、納得もしてもらえるわけです。
叱られても納得していれば、モチベーションが下がることもありません。

4-3 マニュアルは、社長が運用しなければ消滅する

マニュアルは、初めて導入する際は運用まで時間がかかるもの。
それに実際にスタッフがすぐに使い始めることもなかなかありません。
そこで、まずは社長自身がマニュアルをしばらく継続して使って下さい。

社長がやっていれば、スタッフも当然まねるようになります。
しばらく継続しているとそれが習慣となり、今度は会社の文化として徐々に根付いていきます。

1度根付いてしまえば、社長がマニュアルの運用から抜けても大丈夫。
スタッフだけでも継続してマニュアルを使ってくれるようになります。

5. マニュアルの改善

マニュアルは、運用をしていると、
・時が流れるうちに状況が変わってきて対応できなくなる、、、
・抜け漏れが出てくる、、、
こういったことが目に付くようになります。
ですから、マニュアルは常に改善していく必要があります。

では、どのようにマニュアルを改善をしていけば良いか?
これには3つのポイントがあります。

5-1 マニュアルの改善案を常に募る

マニュアルは1度作って終わりではありません。
最終的には変わっていくものだ、ということをスタッフにも理解をしておいてもらいましょう。

・ここは改善した方が良い!
・ここを変えた方が良い!

こうした点が気になったら、それらを日頃から改善案として集めてストックしておいてください。

5-2 マニュアルを変える意志決定をする場とタイミングを決めておく

マニュアルを改善する時は、
・意志決定をする場
・タイミング
・人
を決めておく必要があります。
なぜなら、これを決めておかないと、各々が自分勝手にマニュアルを改編し出すからです。
そんなマニュアルでは、一定の水準が保てず、マニュアルの意味を成さなくなってしまいます。

具体的には、
・2、3ヶ月に1回、マニュアル改善会議をする
・あなたが思い立った時に改善をする
こういった感じで構いません。

集めておいた改善案を使って、人や場、タイミングを決めてマニュアルの改善を図って下さい。

5-3 以前のバージョンのマニュアルは残しておく

以前のバージョンのマニュアルは必ず残しておきましょう。
なぜなら、改善後はどこが変わったのかを確認できるようにする必要があるからです。

実際、改善後の新しいバージョンのマニュアルを使ってみると、前のバージョンの方が使いやすかった、ということもあり得ます。

マニュアルの改善前と改善後が分かれば、そのマニュアルの善し悪しを比較することができます。そのためにもマニュアルの以前のバージョンは残しておくようにしてください。

マニュアルの正しい作り方まとめ

マニュアルを作るのは難しい、、、
このように感じている方は少なくありません。
が、ポイントさえ押さえておけば、マニュアルの作り方はさほど難しいものではありません。

もう一度おさらいをすると、
・チェックシート形式にする
・自分で作らない
・完璧主義にしない
・一旦マニュアルを仮決めで運用を開始する
マニュアルの正しい作り方は、この点を抑えておくだけで構いません。

マニュアルを仮決めで運用を開始すると、あなたもマニュアルを改善するためにどんどんマニュアルを使うことになります。
すると、スタッフの成長スピードはもちろん、あなた自身の業務スピードもあがります。

良い事ずくめのマニュアル。
マニュアルの正しい作り方をマスターし、あなたの会社でもマニュアルをぜひ導入してみてください。

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